食品衛生学雑誌
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36 巻, 3 号
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  • 堀江 正一, 中澤 裕之
    1995 年 36 巻 3 号 p. 329-343
    発行日: 1995/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
  • 里見 正隆, 山口 敏季, 奥積 昌世, 藤井 建夫
    1995 年 36 巻 3 号 p. 344-351_1
    発行日: 1995/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    加圧損傷菌の回復に及ぼす各種環境条件について検討した. 菌培養液を室温で加圧 (大腸菌の場合2,000atm, 30分間, 腸炎ビブリオの場合1,200atm, 10分間) し, 加圧菌液を各種回復液 (栄養培地, 最少培地, 蒸留水及び人工海水) に懸濁し, 回復条件 (温度, pH, 食塩濃度, 酸素の有無) を変えて, 経時的に菌数をTSA及び選択培地を用いて測定した. 大腸菌の回復は栄養培地, 30~37°, pH 7.0付近, 食塩濃度1.0%以下で, 腸炎ビブリオにおいては栄養培地, 37°, pH 7.0, 食塩濃度0.5~3%, 好気状態で優れていた.
  • 林 智子, 渡邉 美和, 深谷 幸代, 吉田 喜代子, 昆野 和典, 堀田 之, 猪飼 誉友, 岡 尚男, 早川 順子, 石川 直久
    1995 年 36 巻 3 号 p. 352-359_1
    発行日: 1995/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    トルエン, スチレン, p-ジクロロベンゼン等が成分由来や事故等により食品を汚染し, 異臭による苦情食品となることがある. 苦情食品対策としてこれらの異臭原因物質の確実な分析法が望まれるが, これまで食品中からの簡便で確実な方法は報告されていない。食品に混入するおそれのある12種の有害な異臭物質を同時定量するための簡便迅速, かつ精度のよい方法を作成した. 試料中の異臭物質を精油定量器による蒸留でn-ヘプタンに捕集した後, FID-GCで定量した. 各種市販食品について, 試料濃度50ppmにおける添加回収実験を行ったところ, ベンゼンのみ75%以上とやや低い傾向が見られたが, その也はいずれもは85%以上, 変動係数は5%以下と良好であり, 検出限界は1ppmであった. 本法は届け出のあった苦情食品にも応用できた.
  • 牛島 香代子, 出口 佳子, 菊川 浩史, 野村 孝一, 足立 忠夫
    1995 年 36 巻 3 号 p. 360-364_1
    発行日: 1995/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    GC/MS法による, 3-クロロ-1, 2-プロパンジオール (MCP) の微量分析法を検討した. 試料を多孔性ケイソウ土カラムで抽出した後, フェニルホウ酸誘導体とし, GC/MS法で定量した. 調味料 (液体10g, 粉末1g) に20μg添加した際の回収率は96~102%であり, 検出限界は, 液体調味料では0.005ppm, 粉末調味料では0.05ppmであった. 本分析法は迅速, 簡便な方法であり微量分析が可能であった.
  • 熊谷 進, Anong BINTVIHOK, 河野 まり, 岩城 正昭, 小西 良子, 伊藤 嘉典, 加登 通正
    1995 年 36 巻 3 号 p. 365-374_1
    発行日: 1995/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    種々の哺乳類と鳥類動物の肝臓ミークロゾームによるアフラトキシンB1 (B1) の活性とサイトゾールによる不活化を in vitro でのアフラトキシン-DNA結合を指標として比較検討した. ミクロゾームによるB1の活性化は, アヒルヒナと雌ニワトリにおいて比較的高く, 雄ラットと雄マストミスにおいて比較的低かった. サイトゾールによる不活化は, ハムスター, マストミス, 雌ニワトリにおいて比較的高かった. この不活化は, ハムスターとマストミスではグルタチオンに依存したが, ウズラ, ニワトリ, アヒルでは依存しなかったことから, 鳥類ではグルタチオントランスフェラーゼを介さない不活化の機構があると考えられた. これら相反する活性が, B1の毒性・発ガン性に関する種差の主要な要因であることが考えられた.
  • 関山 泰司, 水上 勇一, 高田 麻美
    1995 年 36 巻 3 号 p. 375-382_1
    発行日: 1995/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    ワサビやカラシの辛味主成分で強い抗菌作用を有することが知られているアリルカラシ油について, その蒸気の金属類, ゴム及びプラスチック等の諸材質に対する腐食性及び各種フィルムに対する透過性について調べた. その結果, アリルカラシ油蒸気は100ppm以下の低濃度では腐食性を示さなかったものの, 3,000ppmレベルの高濃度では, ネオプレン (ゴム類) 及びポリオレフィン系樹脂, ナイロン及びテフロン以外のプラスチック樹脂に対して腐食性が見られた. 種々食品包装フィルムに対する蒸気透過性については, PE及びPPが抗菌処理に至適な透過性を有することが分かった. なお, これらのフィルムに対するアリルカラシ油蒸気の透過性は厚みに反比例した.
  • 永山 敏廣, 小林 麻紀, 塩田 寛子, 伊藤 正子, 田村 行弘
    1995 年 36 巻 3 号 p. 383-392_1
    発行日: 1995/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    果実類から検出される農薬について, 果皮及び果肉中濃度を比較検討した. 農薬の果皮中濃度に対する果肉中濃度の比 (果肉/果皮濃度比) は, 水溶性農薬を除き, イミダゾール系及びフェノキシ酸系農薬が最も高く, 次いで, カーバメイト系農薬の順に高い傾向が示唆された. しかし, その濃度比は, 有機塩素系農薬, 有機リン系農薬では比較的低かった. レモンから検出されたイマザリルでは, 果皮及び果肉における残留量に, log (果肉中濃度)=-1.22+0.924×log (果皮中濃度) γ=0.892の関係が認められた. 農薬使用時からの経過時間が長い場合などでは, 同一作物中の農薬について果肉/果皮濃度比に一定の関係がある可能性が示唆された. また, 農薬の果肉/果皮濃度比にはその農薬の水への溶解度が密接に関係しており, 濃度比 (%)=-0.99+2.41×log (溶解度) γ=0.942の高い相関が認められた.
  • 中里 光男, 斉藤 和夫, 守安 貴子, 石川 ふさ子, 藤沼 賢司, 二島 太一郎, 田村 行弘, 佐藤 穂積, 小川 俊雄
    1995 年 36 巻 3 号 p. 393-399_1
    発行日: 1995/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    くさやの二次加工品から検出された不揮発性アミン及び揮発性塩基窒素の由来について, 製造工程順に試料を採取して調査を行った. その結果, くさやの素焼から検出されたスペルミジンは元来魚体中に含まれる生体アミンであること, プトレシンはくさや汁に含まれていたものであることが判明した. しかし, 味付け品から比較的高濃度に検出されたプトレシン, カダベリン, ヒスタミン, チラミン及びスペルミジンは主として調味液に由来するものであることが判明した. また, 揮発性塩基窒素はくさや汁に由来するものであった.
  • 永山 敏廣, 小林 麻紀, 塩田 寛子, 伊藤 正子, 田村 康宏, 田村 行弘
    1995 年 36 巻 3 号 p. 400-403_1
    発行日: 1995/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    バナナ中ビテルタノールの残留状況について検討した. 市販品109検体中2検体が食品衛生法規格基準値の0.5ppmを上回ったが, その他は基準値以下であった. また, 果肉中からはほとんど検出されなかった. バナナ中ビテルタノールの残留は, 一房あるいは一本中でも部位差が大きく, サンプリングには各部位を十分に均一化する必要があった. また, 輸入時から熟成, 市販に至るまで, 残留量はほとんど減少しないことが分かった.
  • 経口感染伝染病起因細菌の制限酵素の研究 (第一報)
    石渡 尚子, 谷村 顕雄, 宮原 美知子, 三瀬 勝利
    1995 年 36 巻 3 号 p. 404-408_1
    発行日: 1995/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    チフス菌ファージ型別標準株D4より, 5′-CCNGG-3′を認識・切断する制限酵素の遺伝子を持つ多コピー小型プラスミドpSTd4を分離した. このpSTd4を大腸菌K-12に形質転換し, その制限酵素地図を完成し, 遺伝学的特徴づけを行うと共に, 本プラスミドがチフス菌の type-determining plasmid であることを証明した. チフス菌の疫学に利用されているファージ型別用標準株の中で, プラスミドやファージの存在によってファージ型が変化するD4など希少型を通常の型別業務から除外する提案を行った.
  • 三橋 隆夫
    1995 年 36 巻 3 号 p. 409-412_1
    発行日: 1995/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    農産物全般に適用できる総臭素定量法を開発するため, 酸化により生成する遊離臭素を誘導体化後, ECD-GCで測定する既報に改良を加えた. 試料の灰化段階でのアルカリ添加量を増加したことにより, 臭素の損失が抑えられた. 誘導体化の際にスルファミン酸を添加することにより, 目的の臭素誘導体である 2-bromo-3-pentanone のピークは高くなり, また塩素誘導体などの副反応物の生成が抑えられた. 臭素の定量限界は試料濃度として0.05μg/g (穀類, 豆類) 及び0.02μg/g (野菜類, 果実類) であり, 低レベルの臭素でも精度良く定量できた. 回収率は農産物に臭素イオンとして5μg/gの濃度で添加したとき, 87.2~96.8% と良好な値であった. また, 臭素含量が既知の標準試料の分析を行い, 本法の信頼性を確認した.
  • 中桐 裕幸, 佐久間 修三, 小若 雅弘
    1995 年 36 巻 3 号 p. 413-416_1
    発行日: 1995/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    市場において開栓したビールから昆虫が発見されることがある. 熱処理されたビールから発見された場合には, カタラーゼ活性の有無で昆虫が製造工程中に混入したか開栓後に混入したかを判断している. しかしながら, この判定方法は生ビールに対しては精度が低く, 実用にならない. そこで生ビールに対しての判定方法を検討した結果, 昆虫に含まれるコリンエステラーゼ活性の残存度により, 混入後の経過日数を推定する方法を開発した. コリンエステラーゼ活性は昆虫の個体間のばらつきが少ない. またこの方法はホモジナイザー, 分光光度計, 遠心分離機等の機器類, 及び簡単な試薬さえあればすぐに測定できる簡便性も備えている.
  • 山田 真記子, 加藤 喜昭, 中村 幹雄, 石光 進, 柴田 正, 伊藤 誉志男
    1995 年 36 巻 3 号 p. 417-422_1
    発行日: 1995/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    HPLCを用い食用赤色102号の末反応原料及びその不純物であるナフチオン酸 (NA), G塩 (GS), 7-ヒドロキシ-1, 3, 6-ナフタレントリスルホン酸塩 (TS), R塩 (RS), シェファー塩 (SS) 及び付随色素であるポンソー6R (P6R), 食用赤色2号 (R-2), ファーストレッドE (FRE) の定量法を作成した. 本報での定量限界は, 0.05μg/gであった. 市販品の定量を行ったところ, TSは0.005~0.044%, GSは0.044~0.284%, NAは0.013~0.196%であり, RS及びSSは検出されなかった. 付随色素はP6Rが0.008~0.169%, R-2がND~0.279%, FREが0.007~0.100%であった.
  • 水田 満里, 高田 久美代, 門田 達尚, 米田 達雄, 山内 慎也
    1995 年 36 巻 3 号 p. 423-427_1
    発行日: 1995/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    麻痺性貝毒によって毒化したカキ (g当たり約17MUと約30MUのもの) を使用して広島県における商業的な製造方法に従って, 水煮缶詰とくん製油漬缶詰の2種類の缶詰を作成し, 各製造工程における毒力の変化とHPLCによる毒成分の変化を調べた. その結果, 水煮工程とレトルト処理工程のいずれにおいても大きく減毒し, いずれの缶詰も規制値以下になった. レトルト処理として115°45分又は50分と121°20分加熱について比較したが, 115°45分又は50分が減毒により有効であった. この減毒はゴニオトキシン1, 2, 3, 4が消失したためであった.
  • 辻 澄子, 四方田 千佳子, 柴田 正, 一色 賢司, 神蔵 美枝子, 西島 基弘, 林 弘道, 深澤 喜延, 黒田 弘之, 後藤 宗彦, ...
    1995 年 36 巻 3 号 p. 428-441_1
    発行日: 1995/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    化学的合成食品添加物のうち天然にも食品成分として存在する49種について日本人1人当たりの1日摂取量を, マーケットバスケット方式で, 1986年6月に購入した非加工 (生鮮) 食品及び1988年6月に購入した加工食品中の残存量を測定して求めた結果, 生鮮食品からの摂取の合計は7.3g, 加工食品からのは9.2gであり, 1日摂取量は16.5gであった. 1g以上の1日摂取量を示した物質は乳酸, クエン酸, グリセリン, グルタミン酸及びD-ソルビトールであり, 乳酸及びクエン酸は生鮮食品群からの摂取が多かった.
  • 峯岸 裕, 塚正 泰之, 三明 清隆, 島崎 司, 今井 千春, 杉山 雅昭, 信濃 晴雄
    1995 年 36 巻 3 号 p. 442-446_1
    発行日: 1995/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    真空包装スモークサーモンの貯蔵性に影響すると考えられる食塩含量, aw,生菌数及び細菌叢について, 5企業の製品を調査した. 各社の平均食塩含量は, 2.02%から2.80%の範囲内であった. 平均awは1企業を除き0.97以上で, 生サーモンに近い値を保持していた. 凍結販売された製品の低温細菌数は, 大半が104CFU/g台又はそれ以下であったのに対し, 非凍結販売された製品の低温細菌数は, 大半が105CFU/g台又はそれ以上であった. 乳酸菌は73%の製品で微生物叢の50%以上を占めた. スモークサーモンの貯蔵中の変敗に関係していると考えた Enterobacteriaceae も67%の製品から検出され, 広く分布していることが確認された.
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