食品衛生学雑誌
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37 巻, 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 笠原 義正, 板垣 昭浩, 久間木 國男, 片桐 進
    1996 年 37 巻 1 号 p. 1-7_1
    発行日: 1996/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    毒茸のツキヨタケをマウスに投与したときの消化器系に与える影響を検討し, 塩蔵による毒抜き操作の有効性を調べた. その結果, 餌摂取量の減少, 体重の減少, 胃の膨満, 便重量の減少などの異常な状態はツキヨタケを塩蔵後塩抜きすることによって消失することが分った. また, 胃を膨満させる毒性物質として illudin S を単離した. 更に, この物質がツキヨタケの中毒症状の一つである嘔吐の原因物質であることもカエルを用いた動物実験により明らかにした.
  • 堀江 正一, 斉藤 貢一, 能勢 憲英, 宮嶋 徹, 中澤 裕之
    1996 年 37 巻 1 号 p. 8-13_1
    発行日: 1996/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    豚肉中に残留するカルバドックズ (CDX) とをの主要代謝物であるキノキサリンカルボン酸 (QCA) のHPLCによる同時分析法を検討した. 両薬剤を0.3%メタリン酸-MeOH (7:3) で除タンパクと同時に拙出し, Bond Elut C18カートリッジでクリーンアッフを行った. 分離には Wakosil-II 5C18RS, 移動相には0.05Mリン酸塩緩衝液 (pH 2.5)-MeCN系を用い, グラジエント溶出法を採用した. 豚筋肉及び豚肝臓に0.1μg/g添加時のCDX及びQCAの回収率は80%以上であり, 変動係数はおおむね5%以内であった. 検出限界は豚筋肉で0.005μg/g, 豚肝臓で0.01μg/gであった. また, CDXの中間代謝物である Desoxy-CDXの分析に関しても基礎的検討を併せて行った.
  • 守安 貴子, 斉藤 和夫, 中里 光男, 石川 ふさ子, 藤沼 賢司, 二島 太一郎, 田村 行弘
    1996 年 37 巻 1 号 p. 14-19_1
    発行日: 1996/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    多種類の食品に適用できるカフェイン, テオフィリン及びテオブロミンの簡便で迅速な分析法について検討した. ガムを除く固形試料は沸騰水浴中で1時間透析した後, 5時間室温で透析し, 試料溶液とした. ガムは加温後, 熱水抽出を行い, 液状試料は1%リン酸で希釈したものを試料溶液とした. これらの試料溶液をBAKERBOND spe (SO3H) に負荷し, 水で洗浄した後, 2%アンモニア水-15%塩化ナトリウム溶液-MeOH (1:1:2) 混液で溶出したものをHPLC用試験溶液とした. これらの試験溶液は, カラムに Cosmosil 5C18-AR, 移動相にMeCN-0.01Mリン酸緩衝液 (pH3.5) (1:9) 混液を用いたHPLCにより分析した. 本法の回収率は, 90%以上であり, 検出限界はいずれも10μg/gであった.
  • 合田 幸広, 中西 俊元, 坂元 史歩, 佐藤 恭子, 米谷 民雄, 山田 隆
    1996 年 37 巻 1 号 p. 20-28_1
    発行日: 1996/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    パプリカ (トウガラシ) 色素の色素成分の一斉分析法として, 簡便で汎用性の高い, 水-アセトン系の逆相HPLC条件を作成した. 市販パプリカ色素23製品の分析を行ったところ, クロマトグラムの傾向から, 市販色素は2種類に分類された. 原料がスペイン産の製品を主とするグループ (18製品) は,β-caroteneか未知ピークc1が最大ピークであり, 最大ピークに対して40%以上のピーク高さを持つピークが平均5ピーク存在した. 一方, 原料が中国産のグループ (5製品) は,β-carotene, c1に加え, 未知ピークc3, c5が主ピークで, 40%以上のピーク高さを持つピークが平均10ピーク存在した。ピークc1, c3を単離し, 構造解析を行った結果, それぞれ lauroylmyristoylcapsanthin, dimyristoylcapsanthin であることが判明した.
  • 安井 照代, 戸田 千登世, 永納 秀男, 石原 英子
    1996 年 37 巻 1 号 p. 29-37_1
    発行日: 1996/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    特定保健用食品等中のオリゴ糖の測定法として, 遠心分離法によるオリゴ糖の抽出精製と示差屈折検出HPLCを用いた簡便な測定法を作成した. また, β-D-ガラクトシダーゼ処理により, ラクトシルフルクトシドの定性, 及びラクトース存在下でのキシロトリオースの定量が可能となった. 本法を特定保健用食品等に含まれるオリゴ糖の測定に応用したところ, キシロビオースを除くすべてのオリゴ糖を定量することができた. 本法によるオリゴ糖の検出下限は, 液状試料で0.2mg/ml, 脱脂及び除タンパクが必要な試料で0.5mg/g, 半流動状又は半固形試料で1mg/gであった. また, 添加回収率は95.0~118%であった.
  • 佐野 満昭, 佐々木 清隆, 富田 勲, 池谷 守司, 鳥居 幸男, 小泉 豊, 小泊 重洋
    1996 年 37 巻 1 号 p. 38-42_1
    発行日: 1996/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    抗酸化物質を豊富に含む緑茶やその茶がらを肉用鶏の飼料に添加し, と殺後の鶏肉の鮮度保持に対する有効性を検討した. ブロイラーを3%茶粉末含有飼料で35日間飼育した結果, 緑茶, 茶がら両群とも飼料摂取量や体重の増加率には影響しなかったが, 鶏肉の鮮度の保持 (K値を測定) と抗酸化性 (TBA値を測定) には有意な効果を示した. これは茶葉に豊富に含まれるα-トコフェロールなどの脂溶性抗酸化物質が鶏肉に移行した結果であることを鶏肉中の脂溶性ビタミンの測定結果から推定した. 特に, 茶がらはカフェイン含量が低く, 長期投与用の添加素材としてふさわしいものと思われ, 最近急速に増加している緑茶缶ドリンク製造の廃棄物である茶がらの処理対策としても, 飼料への有効利用が期待される.
  • 起橋 雅浩, 尾花 裕孝, 堀 伸二郎, 西宗 高弘, 佐々木 寧
    1996 年 37 巻 1 号 p. 43-47_1
    発行日: 1996/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    タマネギ等の残留農薬分析は, ガスクロマトグラム上の酵素反応由来の夾雑ピークにより, 分析が困難であった. 酵素反応を抑えるため電子レンジで前処理した後, 分析した結果, ECD, FPDのガスクロマトグラム上に出現する夾雑ピークを大幅に減少させることができた. また,電子レンジ処理による残留農薬の喪失は特に問題とならなかった. これによって, 従来困難であったタマギなどの農薬分析を簡易化することができた.
  • 門田 実, 今中 雅章, 池川 喜由, 熊城 一男, 森 忠繁, 鈴木 澄子, 中澤 裕之
    1996 年 37 巻 1 号 p. 48-53_1
    発行日: 1996/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    飲料水中のニトロフェノール系農薬11成分の一斉分析法を開発した. 分離には Wakosil II 3C18ARカラムを, 移動相はA液 (モノクロロ酢酸-MeCN-ブタンスルホン酸ナトリウム溶液 (10:30:60)) とB液 (モノクロロ酢酸-MeCN (10:90)) を用いたグラジエント溶出を採用し, 検出には, UVとAMDを併用した. 試料は塩酸でpH 4に調整後, Sep-pak Plus PS-2 で固相抽出し, 試験液とした. 各農薬の飲料水への添加回収率は, 20μg/L添加で58.0~98.6%であった.
  • 穐山 浩, 宮原 誠, 豊田 正武, 斎藤 行生
    1996 年 37 巻 1 号 p. 54-58_1
    発行日: 1996/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    玄米, 白米, コーンスープ試料におけるフモニシンB1及びB2の分析法を作成した. 従来法で回収率の低かった玄米, 白米試料では, α-アミラーゼにより消化する操作を加えることにより, 白米試料に0.5μg/g添加した場合, フモニシンB1及びB2の平均回収率が各々91%及び94%となった. また, 試料がコーンスープの場合, α-アミラーゼ及びβ-マンノシダーゼ処理を加えることにより, コーンスープに0.5μg/g添加した場合, フモニシンB1及びB2の平均回収率が各々90%及び92%に増加した. 定量限界はフモニシンB1及びB2とも玄米及び白米は0.05μg/g, コーンスープは0.01μg/gであった.
  • 守安 貴子, 斉藤 和夫, 中里 光男, 石川 ふさ子, 藤沼 賢司, 二島 太一郎, 田村 行弘
    1996 年 37 巻 1 号 p. 59-63_1
    発行日: 1996/02/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    市販食品中のカフェイン (CF), テオブロミン (TB), テオフィリン (TP) の含有量調査を行った. 市販清涼飲料水中のCF及びTBの含有量は, コーヒー豆や茶葉を通常飲用する条件で抽出した場合より, 低いものが多かった. また, 菓子やアイスクリームなどから検出されたCF及びTBは特に高濃度のものはなく, その含有量から, 製品中に含まれるコーヒー, ココア及び抹茶に由来すると考えられる. また, 菓子類の中で, 眠気防止効果が表示されたあめやガムからは, CFが高濃度に検出された. 一方, 健康志向飲料の中には, CF添加の表示があるにもかかわらず, 10μg/g未満のものがあった.
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