食品衛生学雑誌
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38 巻, 6 号
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  • 平澤 玲子, 片岡 裕美, 飛松 佳江, 井上 朋美, 開原 亜樹子, 小林 由紀, 澤 典子, 扇間 昌規, 伊藤 誉志男
    1997 年 38 巻 6 号 p. 391-399_1
    発行日: 1997/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    マウスを用いたアナフィラキシー依存性の血圧降下を指標とするMAHT法によるアレルギー発現性の検査を短期間で行うたあに, 免疫する際に抗原とともに投与するアジュバント (免疫応答活性剤) の検討を行った. フロイント不完全アジュバント (FIA) とIgE抗体産生を強く誘導する水酸化アルミニウムゲル (Alum) を用いた. Alum には, オボアルブミンのように吸着しやすいタンパク質と卵白リゾチームのように吸着しにくいタンパク質があることが分かった. そこで, Alum とFIAを等量混合したものをアジュバントとして用いたところ, 各々を単独で用いたときよりも検査期間が短縮され, アナフィラキシー反応が強くなった. このことは食物である鶏卵白のアレルギー発現性の評価にも応用できた.
  • 斉藤 貢一, 堀江 正一, 徳丸 雅一, 中澤 裕之
    1997 年 38 巻 6 号 p. 400-405_1
    発行日: 1997/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    食品中のタウリン含量を測定するために, オシカラム蛍光誘導体化HPLCを検討した. 試料を水抽出し, Carrez 試薬を用いて除タンパクした後, Bond Elut SCXを用いてクリーンアップを行った. HPLCカラムには Shodex RSpac DE-413を, 移動相は0.5mmol/Lオルトフタルアルデヒド, 1mmol/L 2-メルカプトエタノール及び20%MeCNを含有した50mmol/L四ホウ酸ナトリウム溶液を用いた. 乳児用粉ミルクやドリンク剤, 牛乳, チーズ, ヨーグルトなどの乳製品, 更に貝類や鶏卵, はちみつにおけるタウリンの添加回収率はいずれも90%以上であった. 本法により, これまでに検出報告例のなかった, 鶏卵 (1.26±0.15mg/100g) やはちみつ (0.34±0.08mg/100g) にタウリンが存在することが確認された.
  • 穐山 浩, 陳 大義, 宮原 誠, 合田 幸広, 豊田 正武
    1997 年 38 巻 6 号 p. 406-411_1
    発行日: 1997/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    コーヒー豆, 米, 大麦, 小麦, とうもろこし中のオクラトキシンAの迅速でクロロホルムを使用しない分析法を開発した. 食品試料からアセトニトリル-1%リン酸 (9:1) でオクラトキシンAを抽出し, 陰イオン交換前処理カラム (Bond Elut DEA カラム) でクリーンアップした. 調整された試料溶液は蛍光検出高速液体クロマトグラフで測定した. HPLC分析はカラムに Cap-cell Pak C8, 移動相にアセトニトリル-水-酢酸 (40:58:2) を用いて, 蛍光検出により行った. 食品試料における10ng/gと50ng/gにおける平均添加回収率は各々93.9±3.9%, 96.1±3.5%であった. 検出限界はコーヒー豆, 米, 大麦, 小麦, とうもろこし試料で0.05ng/gであった.
  • 近藤 一成, 穐山 浩, 合田 幸広, 豊田 正武
    1997 年 38 巻 6 号 p. 412-417_1
    発行日: 1997/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    モロヘイヤ (C. olitorius) の各部位及び野菜“モロヘイヤ”, モロヘイヤ加工品である健康茶及び健康食品中の強心配糖体の分析法を開発した. 試料のメタノール抽出液を1mol/L塩酸で加水分解後, 種子は直接, その他の試料は Silica gel カラムで前処理し, 逆相HPLCでストロファンチジン (SP) として分析した. 完熟種子中には強心配糖体がSPとして平均5.43mg/g, その莱には0.24μg/g含まれていたが, 茎, 野菜“モロヘイヤ”, モロヘイヤ加工品である健康茶及び健康食品中には強心配糖体は含まれていなかった. したがって, 日常の食生活に用いられるモロヘイヤ中には強心配糖体は存在しないものと考えられる. また, 完熟種子にはSPをアグリコンとし, 糖部の異なる少なくとも2種の強心配糖体が存在することが明らかになった.
  • 関口 幸枝, 浅香 清美, 川端 彰, 斉藤 勝, 加納 碩雄, 加納 尭子
    1997 年 38 巻 6 号 p. 418-424_1
    発行日: 1997/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    1996年から1997年までの1年間, 専門学校生739名を対象にして, 鼻前庭, 手指などの黄色ブドウ球菌保菌調査 (検査総数3,780件) を行った. 鼻前庭からの検出率は12.6%, そのコアグラーゼ型はVII型 (45.2%), 次いでIII型 (11.8%) が多かった. エンテロトキシン産生株は44.1%, その型はB型 (40.3%), 次いでA型 (25.4%) が多く, MRSAは検出されなかった. 3回の検査とも陽性を示した学生23名は持続保菌者で, そのほとんどが同一コアグラーゼ, エンテロトキシン型を示した. その学生と家族由来黄色ブドウ球菌のコアグラーゼ及びエンテロトキシン型が同型であったのは各々, 57.9%, 100%であった.
  • 丸山 良子, 宇野 和明
    1997 年 38 巻 6 号 p. 425-429_1
    発行日: 1997/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    養殖ウナギ及びアユにオキシテトラサイクリンを経口投与し, 両魚種における残留性について検討した. 更に, 調理法が組織に残留するオキシテトラサイクリンに及ぼす影響を調べた. 消失半減期は, ウナギの血清, 筋肉及び肝臓でそれぞれ4日, 6日及び11日, アユではそれぞれ, 5日, 7日及び6日であった. 消失時間 (残留基準値0.1ppm以下になるのに要する時間) は, ウナギの血清及び筋肉で消失半減期より短く, 4日及び5日であった. 一方, 肝臓ではそれらより長く, 25日であった. アユでは血清, 筋肉及び肝臓でそれぞれ10日, 14日及び24日であった. しかし, 両魚種とも骨・皮の硬組織にオキシテトラサイクリンは, 長期間残留した. 加熱調理により残留オキシテトラサイクリンは筋肉及び肝臓で70~80%消失したが, 骨では30~50%の消失にすぎなかった.
  • 高谷 智裕, 赤枝 宏, 荒川 修, 野口 玉雄
    1997 年 38 巻 6 号 p. 430-434_1
    発行日: 1997/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    1995年7月から1996年10月にかけて長崎県福江島において採取した30種の貝類を麻痺性貝毒 (PSP) のスクリーニング試験に供した結果, 6種の二枚貝にPSPが確認された. 中でも2種のイタヤガイ科のイタヤガイ Pecten albicans 及びアズマニシキ Chlamys farreri は長期間にわたり, 中腸腺が著しく毒化しており, 前者で, 最高毒性値133.8MU/gを示した. イタヤガイの毒成分は, 95年はゴニオトキシン (GTX) 群を主成分としたのに対し, 96年にはC (PX) 群などの低毒性成分を主成分とした異なった毒成分パターンを示した. また, アズマニシキの貝殻に付着していたコケムシ類にもGTX群を中心とする毒成分が確認された.
  • 江越 和夫, 中岡 寛, 岡 輝美, 安保 康治
    1997 年 38 巻 6 号 p. 435-440_1
    発行日: 1997/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    重合度125~180, 粒度8~80μm, 水中沈定体積3.2~6.6mL/gの8種類の低分子セルロースを用い, in vitro でのヘテロサイクリックアミン (HAA) (IQ, MeIQ, Trp-P-1, Trp-P-2) の吸着をHPLC及びサルモネラを用いたAmes法により調べた. 4種類のHAAすべてにおいて, 重合度180のセルロースのほうが重合度125及び130と比べ高い吸着を示した. 4種HAAの中で疎水性の高いTrp-P-1及びTrp-P-2は短時間で, 強く, 多量に低分子セルロースに吸着した. HPLC分析の結果, 8種セルロースへのTrp-P-1及びTrp-P-2の吸着率は, それぞれ81~95%及び71~95%で, これらのセルロース処理を行った反応液による復帰変異コロニー数の誘発率は対照の0.7~2.1% (Trp-P-1) 及び0.4~5.0% (Trp-P-2) に減少した.
  • 松岡 麻男, 堤 将和, 渡辺 忠雄
    1997 年 38 巻 6 号 p. 441-445_1
    発行日: 1997/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    黄色ブドウ球菌に対して抗菌 (静菌) 作用を示すヘキサメタリン酸塩 (HP) は, 1.2mol/Lショ糖溶液中において本菌から調製したスフェロプラストからの核酸関連物質, 核酸, タンパク質の漏出を促進した. 更に, HPは本菌から単離した細胞質膜から少量のタンパク質を緩やかに, そして多量のマグネシウムを急速に遊離させた. これらの結果は, HPが本菌の細胞質膜に作用することを示した. 以上のことから, 黄色ブドウ球菌の細胞質膜へのHPの影響は本菌に対する抗菌作用に一つの重要な役割を果すことが示唆される.
  • 北村 和子, 諏訪 芳秀
    1997 年 38 巻 6 号 p. 446-451_1
    発行日: 1997/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    動物実験代替法のひとつとして, ヒト細胞を始めとした各種動物細胞を用いた細胞毒性試験がある. 本稿では, 化学発光法を用いた細胞毒性試験法が, MEIC記載の4種の物質の細胞毒性に関して, ギムザ染色法やMTT還元法に比べ, 感受性及び迅速性において優れていることを示した. また, 本法に適した細胞種についても検討した.
  • 植松 洋子, 貞升 友紀, 平田 恵子, 広門 雅子, 安田 和男, 鈴木 助治
    1997 年 38 巻 6 号 p. 452-459_1
    発行日: 1997/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    食品香料製剤中のエタノール, プロピレングリコール, グリセリン, トリアセチン, ジエチレングリコールモノエチルエーテル及び1, 3-ブチレングリコールの6種類の希釈用溶剤のキャピラリーGCによる同時定量法を作成した. キャピラリーカラムを用いることにより, 妨害成分除去のための煩雑な前処理を行わずに直接ガスクロマトグラフに注入することができた. 目的成分のピークについてはGC/MSを用いて確認した. 本法を用いて市販の食品香料製剤96検体について分析を行ったが, 我が国で使用が認められていない溶剤は検出されなかった.
  • Chunfai Yu, Peter Hoifu Yu
    1997 年 38 巻 6 号 p. 460-463_1
    発行日: 1997/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    香港近海に普通に見られるフグの毒性を調べるために, 6種のこの地方のフグ, Takifugu niphobles (クサフグ), Takifugu albolumbeus (コモンダマシ), Chelonodon patoca (オキナワフグ), Lagocephalus spadiceus (サバフグ), Takifugu ocellatus (メガネフグ), Diodon holocathus (ハリセンボン) を採取し同定した. 最初の3種にはマウスによる試験で6~120マウス単位の毒性が認められた. この内の1種, クサフグの内臓 (卵巣, 腸, 肝臓) 200gを細切し, 酸性メタノールで抽出してトキシンを抽出し, この粗抽出物を Sephadex G-50-50によるゲルろ過と Whatman CM-52陽イオン交換クロマトグラフィーにより更に精製した. 得られた2つの未同定のトキシン, 未知分画1及び未知分画2は, TLC上で, UV照射 (366nm) により単独の蛍光スポットを形成し, Rf値は各々0.80及び0.56であった. また, ESI/MSによる分析結果から, 未知分画1はテトロドトキシンであり, 未知分画2はおそらくその代謝産物と思われたが, これらの確定には更に化学分析が必要である.
  • 永山 敏廣, 小林 麻紀, 伊藤 正子, 田村 康宏, 塩田 寛子, 友松 俊夫
    1997 年 38 巻 6 号 p. 464-469_1
    発行日: 1997/12/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    無農薬あるいは減農薬栽培農産物として東京都で市販されていた野菜類23品種114作物及び果実類7品種9作物について, 農薬の残留実態 (1988~1994年度) を調査した. 野菜類では9品種23作物からEPN, プロチオホスなどの有機リン系殺虫剤やTPN, プロシミドンなどの有機塩素系殺菌剤など, 13種類の農薬が検出された. また, 果実類では2種3作物から4種類の農薬が検出された. 食品衛生法の食品規格を超える検出例はなかった. 慣行栽培品に比較し, なす科作物で検出率及び検出量が低い傾向が認あられた. その他の作物では, 検出量はやや低かったが, 特に大きな差異は認められなかった.
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