食品衛生学雑誌
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40 巻, 3 号
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  • 板倉 裕子, 上野 英二, 伊藤 裕子, 岡 尚男, 尾関 尚子, 林 智子, 山田 貞二, 加賀美 忠明, 宮崎 豊, 大辻 泰子, 羽田 ...
    1999 年 40 巻 3 号 p. 183-188_1
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    食品中のラック色素及びコチニール色素の逆相TLC/スキャニングデンシトメトリーによる分析法を検討した. TLCプレートは逆相C18を用い, 展開溶媒としてメタノール-0.5mol/Lシュウ酸=5.5:4.5を使用することにより, ラック色素及びコチニール色素を良好に分離することができた. TLC上のスポットにスキャニングデンシトメータを用いて, 可視部吸収スペクトルを測定したところ, 良好なスペクトルが得られた. 本法を市販122食品中のラック色素及びコチニール色素の分析に応用し, その有用性を確認した.
  • 河村 葉子, 互井 千恵子, 前原 玉枝, 山田 隆
    1999 年 40 巻 3 号 p. 189-197_1
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    既報のポリエチレン製品中の添加剤一斉分析法の, ポリ塩化ビニルへの適用を検討した. 試料はシクロヘキサン-2-プロパノール混液に37℃で一晩浸漬して抽出し, 濃縮によりオリゴマーを除去し, HPLC及びGC/MSにより測定した. これまで対象としていた酸化防止剤, 紫外線吸収剤, 滑剤50種類のほか, フタル酸エステル類, アジピン酸エステル類などの可塑剤やノニルフェノール, ビスフェノールAを含む39種類の添加剤も分析可能であった. 複数のピークをもつ化合物については, ピークの形状に応じて定量した. 添加回収率は, 酸化防止剤などで53.2~118.0%, 可塑剤で69.3~119.5%とほぼ良好であった. また, 定量限界はGC/MSで確認可能な50~500μg/gとした.
  • 下田 博司, 藤村 高志, 牧野 浩平, 吉島 賢一, 内藤 一嘉, 井保田 尋美, 三輪 芳久
    1999 年 40 巻 3 号 p. 198-205_1
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    サラシア幹抽出エキス (SE) の安全性を単回経口投与試験及び染色体異常試験により評価を行った. SE 5,000mg/kg投与ラットにおいて, 死亡例や臓器の肉眼的異状は観察されなかった. 一般状態の変化では, SEを投与したラットにその薬理特性に基づく下痢症状が数日間認められた. また体重に関しては, 投与翌日に対照群に対して体重増加抑制がみられた. CHL/IU細胞を用いた染色体異常試験の結果, 異常細胞の出現は確認されなかった. 以上の成績よりSEは重篤な急性毒性や変異原性をもたないと考えられる.
  • 呉 友欽, 木村 凡, 藤井 建夫
    1999 年 40 巻 3 号 p. 206-210_1
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    黄色ブドウ球菌, 腸炎ビブリオ, E型ボッリヌス菌を塩辛に105~106CFU/g程度に植菌し, その熟成中の消長を調べた. その結果, 腸炎ビブリオ及びE型ボッリヌス菌の栄養細胞が急速に死滅し, 腸炎ビブリオでは12日後, E型ボツリヌス菌の栄養細胞では2日後, すでに検出できなかった. 一方, 黄色ブドウ球菌は生残したが, 熟成期間中増殖できず, エンテロトキシンA~D型は検出されなかった. 以上のことより, イカ塩辛は上記細菌による食中毒の危険性は少ないことが確認できたが, 黄色ブドウ球菌に関しては生残する可能性があるため, 製造工程中における本菌の二次汚染を防ぐことが重要であると考えられる.
  • 近藤 一成, 堀江 正一, 村山 三徳, 鈴木 隆, 豊田 正武
    1999 年 40 巻 3 号 p. 211-217_1
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    前処理カラムを用いない牛組織及び乳中からのイソメタミジウム (IMD) のHPLC分析法を確立した. 各試料をアセトニトリル/ギ酸アンモニウムメタノール溶液で抽出, 濃縮後酢酸エチル/水分配し, 水相をNaCl存在下アセトニトリルで抽出した. IMDの回収率は72.8% (肝臓) から84.7% (乳) と良好な結果を得た. 本法を市販の牛組織及び乳の各10検体に適用した結果, いずれの検体からもIMDは検出されなかった. 更に, IMDの同定のためLC/MSによる検討を行った. LC/MSはHPLCより選択的な検出が可能であることが分かった.
  • 村上 りつ子, 山本 和則, 野口 玉雄
    1999 年 40 巻 3 号 p. 218-222_1
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    ウバガイ及びチョウセンハマグリから得た麻痺性貝毒 (PSP) の粗抽出液につき, 種々の酸性pHにおいて120℃, 120分間のオートクレーブ加熱に付し, 毒性及びPSP組成の変化を追跡した. いずれの貝でも, pH5, 6において, 15分間の加熱で毒はほぼ検出されなくなったのに対し, pH3では終始毒性に変化がみられないなど, オートクレーブ加熱時におけるPSPの安定性がpHに大きく支配されることを示した. 次にHPLCによる組成分析の結果, pHによらず, 加熱15分まではGTX1-4成分の相互比率に変化がみられたが, それ以降は毒性が減少する場合でも, 大きな変化はみられず, これら成分が平衡関係にあることが伺われた. 以上の諸結果は, GTX標品を用いた場合でもほぼ同様であった.
  • 中家 陽子, 与儀 達也, 筧 浩一, 井上 大作, 廣瀬 英昭, 橋本 智, 外海 泰秀
    1999 年 40 巻 3 号 p. 223-229_1
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    食品中のサッカリン及びアセスルファムKについてGC-NPDによる分析法を作成した. 食品から強酸性下で酢酸エチル抽出し, 1%炭酸水素ナトリウム溶液に転溶した. 強酸性下で塩化ナトリウム飽和後再度酢酸エチルに転溶し, 溶媒層を乾固した後残さをジアゾメタンでメチル化した. 反応液を酸性アルミナカラムで精製し, GC-NPDで定量した. 定量下限は5ppm, 試料に各甘味料10ppmを添加したときの回収率は88~111%であった. 本法を各種輸入食品の実態調査に応用したところ試料の種類を選ばず, 短時間で多数の試料を処理することができた.
  • 任 恵峰, 林 哲仁
    1999 年 40 巻 3 号 p. 230-232_1
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    ナホトカ号から流出したC重油による海洋環境汚染の評価指標の一つとして変異原性を選び, 同海域で事故の約百日後に採集した魚介類数種の変異原性を調べた. その内いくつかの試料から, S9 mix 非存在下及び存在下で活性が検出されたが, 既知の変異原性物質のそれと比べれば, 直ちに食用とするのを中止しなければならないほど深刻な状況ではなかった. しかし水産食糧資源の安全性確保のためには, 汚染された地域における魚介類の変異原性がどのように変化していくのかを長期間にわたって定期的に観測する必要があると思われる.
  • 小林 麻紀, 永山 敏廣, 橋本 常生, 羽石 奈穂子, 伊藤 正子, 田村 康宏, 高田 千恵子, 安田 和男
    1999 年 40 巻 3 号 p. 233-240_1
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    紫外部吸収検出器付きHPLCを用い, ダイムロンの分析法について検討した. 農産物中のダイムロンはアセトンで抽出し, 酢酸エチルに転溶した. 酢酸エチルを減圧留去後, Bond Elut® PSA及びSAXカートリッジに負荷し, アセトニトリル-ジエチルエーテル混液で精製した. ダイムロンは, 紫外部吸収検出器 (測定波長243nm) を装着したHPLCにより, 簡便に精度良く測定できた. 種々の農産物にダイムロンを0.10ppm添加したときの回収率は93.3~105.2%, また, 検出限界は0.005ppmであった.
  • 増田 隆広, 姉帯 正樹, 堀 義宏, 高杉 光雄
    1999 年 40 巻 3 号 p. 241-245_1
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    野菜として食されるハマボウフウの若い茎葉の保存が, ストレス化合物であるフロクマリン類 (プソラレン, キサントトキシン及びベルガプテン) の産生に及ぼす影響を調べた. 北海道の3産地から若芽を入手し, 様々な条件で保存した. HPLCを用い, 保存中のフロクマリン類含量の経時変化を調べた結果, これらのストレス化合物は特に切口及びその周辺に蓄積されることが明らかになった. 若芽を刻んだ後, 保存したところ, ストレス化合物の蓄積はより増大した. これらのフロクマリン類は光毒性接触皮膚炎を起こすことが知られているところから, ハマボウフウ若芽を野菜として利用する場合, 着色した切口を切除し, 保存せずに食すべきと考える.
  • 石綿 肇, 杉田 たき子, 川崎 洋子, 武田 由比子, 山田 隆, 西島 基弘, 深澤 喜延
    1999 年 40 巻 3 号 p. 246-258_1
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2009/12/11
    ジャーナル フリー
    1996年度の全国自治体の行政検査結果を基に, 保存料 (安息香酸 ,デヒドロ酢酸, p-ヒドロキシ安息香酸, プロピオン酸, ソルビン酸) の使用実態と摂取量を求めた. 総検査件数は112,131検体であった. 食品中の濃度は, 上記の順に使用基準の7.8, 0.4, 2.9, 1.7, 14.1%, 摂取量は各々11.0, 0.0474, 1.06, 5.43, 26.0mg/日/人で, ADIの4.4%以下, 摂取量に対し関与率の高い食品は上記の順に, 清涼飲料水 (摂取量の82.7%), 菓子 (56.7%), 醤油 (58.9%), 魚介製品 (41.2%), 魚肉練り製品 (30.1%) であった.
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