食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
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41 巻, 2 号
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総説
報文
  • 東 幸雅, 信原 陽一, 伊達 勝廣, 大野 克利, 田中 和永, 平野 哲, 小林 和浩, 櫻井 敬展, 千葉 勝, 山田 敏広
    2000 年 41 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 2000/04/25
    公開日: 2008/01/11
    ジャーナル フリー
    スチレンオリゴマーの内分泌撹乱作用の有無を検証することを目的として, スチレンモノマー (SM), ダイマー (SD) 3検体及びトリマー (ST) 2検体に, 新たに構造決定がなされたST1検体を加え, エストロゲン受容体結合試験, アンドロゲン受容体結合試験, 甲状腺ホルモン受容体結合試験, 去勢雄ラット反応試験及びラット血清プロラクチン濃度試験を行った. その結果, これらのSM, SD及びSTはいずれの試験項目において有意な作用を示さず, 内分泌撹乱作用を有さないものと推察された.
  • 観 公子, 牛山 博文, 新藤 哲也, 上原 真一, 安田 和男
    2000 年 41 巻 2 号 p. 116-121
    発行日: 2000/04/25
    公開日: 2008/01/11
    ジャーナル フリー
    東京都内においてヒスタミン様の食中毒が発生し, 原因と思われる食品など18検体について検査し, 10検体からヒスタミンを0.4~7.3mg/g検出した. ヒスタミン等不揮発性腐敗アミン類の前駆体アミノ酸を検査したところ, ヒスタミンを検出した検体では遊離ヒスチジンが0.05~6.5mg/gであり, ヒスタミンが検出されなかった検体では8.0~11mg/gと明らかな差が見られた. 検体は外形からアブラソコムツの疑いがあったため, 脂質及びワックスを検査し, アブラソコムツであることが判明した. 本事例の食中毒はアブラソコムツ中のヒスタミンによるものであった.
  • 佐藤 恭子, 坂元 史歩, 米谷 民雄, 山田 隆
    2000 年 41 巻 2 号 p. 122-125
    発行日: 2000/04/25
    公開日: 2008/01/11
    ジャーナル フリー
    既存添加物のコウジ酸が甲状腺腫瘍を引き起こすことが報告されている. そこで, コウジ酸製剤を食品に使用した場合の残存量に寄与すると考えられる種々の要因, 浸漬時間, 洗浄, 保存, 煮沸等の影響について, 殻付きの甘エビを用いて検討した. その結果, 冷凍, 解凍の操作により, 殻及び身中のコウジ酸は減少し解凍時の水分の流出とともに溶出するものと考えられた. また, 殻ごと洗浄した場合は, 身中のコウジ酸含量は洗浄しない場合と変わらず, 洗浄では溶出しないと考えられた. 冷蔵では, 冷凍に比べ, 身中の残存量が多かった. 更に, 煮沸により, 殻及び身中のコウジ酸の8~9割が溶出すると考えられた.
  • 島田 つゆじ, 一戸 正勝
    2000 年 41 巻 2 号 p. 126-132
    発行日: 2000/04/25
    公開日: 2008/01/11
    ジャーナル フリー
    輸入及び国産ナチュラルチーズより分離したPenicillium roqueforti は, 2%酵母エキス-50%ショ糖液体培地 (YES) にて供試37菌株中16菌株にマイコフェノール酸の生産性を認めた. 供試37菌株のうち, 14℃培養でロックフォール由来5菌株 (14.7~55.0μg/mL) 及びダナブルー由来2菌株 (5.3, 17.7μg/mL) にマイコフェノール生産能を認め, 培養温度14℃の方が25℃より高生産量であった. 国産青かびチーズ由来菌では10菌株中9菌株に4.1~12.2μg/mLのマイコフェノール酸生産能があった. 一方, P. camemberti はYES培地25℃培養で供試20菌株中すべての菌株に痕跡量~6.09μg/mLのサイクロピアゾン酸の生産能がみられ, 培養温度14℃の方が25℃よりも低生産量であった.
  • 増田 宏之, 岩間 昌彦, 岩崎 昌江, 菅家 祐輔, 碓井 之雄
    2000 年 41 巻 2 号 p. 133-136
    発行日: 2000/04/25
    公開日: 2008/01/11
    ジャーナル フリー
    被験動物をカゼイン又はグルテンを20%含む飼料で2週間飼育した後, 大腸菌由来のエンドトキシンであるリポ多糖 (LPS) を投与し, 24時間後に屠殺して肝臓の生体異物代謝酵素 (XME) 系と抗酸化酵素系の変動を調べた. カゼイン食下でのLPS投与は, XME系のP450量の著しい低下とともにグルタチオン-S転移酵素活性とUDP-グルクロン酸転移酵素活性の低下も招いたが, 抗酸化酵素系のグルタチオン還元酵素活性に対しては上昇作用を示した. 一方, グルテン食下でのLPS投与は, P450量にのみ影響を及ぼし, カゼイン食群よりもすでに49%も低値を示したグルテン食群のP450量を更に60%も低下させた. 以上の結果は, タンパク質栄養の劣悪な状態で感染症に罹患した場合には, 生体異物の解毒能の著しい低下など生体機能に甚大な影響きたす恐れのあることを示唆している.
  • 松岡 猛, 川島 よしみ, 穐山 浩, 三浦 裕仁, 合田 幸広, 日下部 裕子, 一色 賢司, 豊田 正武, 日野 明寛
    2000 年 41 巻 2 号 p. 137-143
    発行日: 2000/04/25
    公開日: 2008/01/11
    ジャーナル フリー
    PCR法を用いて, 日本で安全性の確認されている遺伝子組換えトウモロコシ4品種から組換え遺伝子の検知を行った. DNA溶液の調製は, CTABを用いる方法で行った. プライマーは, 組換えトウモロコシに導入されている複数の生物種由来のDNA配列にまたがる部分を増幅するように設計した. そのため, 各組換え体に対してfalse positiveがなく, 特異的かつ確実に組換え品種を特定できた. 検知感度は, 非組換え体に, 組換え体Bt11品種を混合した場合では0.01%, 組換え体Event 176, MON810又は, LIBERTY品種を混合した場合では, 0.05%程度まで可能であった. 非組換え体に害虫抵抗性トウモロコシ3品種を混合し, Multiplex PCRを行うと, 各組換え体品種の特定ができた.
ノート
  • 平田 恵子, 伊藤 弘一, 広門 雅子, 植松 洋子, 鈴木 公美, 鈴木 助治, 斉藤 和夫
    2000 年 41 巻 2 号 p. 144-148
    発行日: 2000/04/25
    公開日: 2008/01/11
    ジャーナル フリー
    食品添加物のブドウ果皮色素及びエルダベリー色素に残留する亜硫酸由来の二酸化硫黄 (SO2) を簡易で迅速性のあるキャピラリー電気泳動を用いて測定する方法を検討した. 改良ランキン装置を用いた22分間の通気蒸留 (窒素ガス) により得たSO2を, 0.6%過酸化水素水に硫酸として捕集した. 硫酸イオンは80.5cmのカラムで, pH 5.6の泳動液を用い, 240nmで測定した. 色素にSO2として25~1,000μg/g添加したときの回収率は86~104%で, 定量限界は15μg/gであった. 本法を市販色素に適用した. ブドウ果皮色素5試料からSO2として38.4~944μg/g検出され, エルダベリー色素5試料ではすべて定量限界以下であった. 本法と比色法との値もよく一致した.
  • 藤田 和弘, 山口 嘉奈子, 松岡 慎, 高山 正彦, 渡井 正俊, 丹野 憲二, 丸山 賀子, 村山 三徳, 豊田 正武
    2000 年 41 巻 2 号 p. 149-153
    発行日: 2000/04/25
    公開日: 2008/01/11
    ジャーナル フリー
    畜産食品中のベンジルペニシリン (PCG) の微生物学的試験法について検討した. 水で抽出し, タングステン酸により除タンパクした後, Bond Elut C18で精製を行った. 定量は円筒平板法を用い, 同定はマイクロバイオオートグラフィーにより実施した. 本法によるCodex規格の残留基準値レベルでの平均回収率は, 80.7%であり, 定量下限は肉, 肝臓, 腎臓で5ppb, 牛乳で1ppbであった.
  • 河村 葉子, 米澤 里香, 前原 玉枝, 山田 隆
    2000 年 41 巻 2 号 p. 154-161
    発行日: 2000/04/25
    公開日: 2008/01/11
    ジャーナル フリー
    既報のポリエチレン及びポリ塩化ビニル中の添加剤一斉分析法について, ポリプロピレンへの適用を検討した. 84種類の添加剤を分析対象とし, そのうち29種類の添加回収試験を行ったところ, 回収率は63.1~114.1%とほぼ良好であった. 食品用ポリプロピレン製器具・容器包装39検体中の残存添加剤を測定したところ, 酸化防止剤のIrganox 1010が最も高頻度に検出され, 次いでIrgafos 168であった. その他, 酸化防止剤のBHT, 滑剤のオレアミド, ステアミド, エルカミド, ステアリン酸などが検出された. 更に, 界面活性剤のモノパルミチン, モノステアリンや可塑剤のDEHP, BBP, DINP等も検出された. また, 滑剤として添加されたと思われる3種類の脂肪族炭化水素群も見いだされた.
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