食品衛生学雑誌
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42 巻, 3 号
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総説
報文
  • 斉藤 明子, 杉澤 彩子, 梅垣 敬三
    2001 年 42 巻 3 号 p. 174-178
    発行日: 2001/06/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    HPLCを利用したフラボノイドの分析におけるUV,電気化学及びアルミニウムキレート化蛍光検出法の検出感度を10種類のフラボノイドを用いて比較検討した.電気化学検出法はアピゲニンを除く9種のフラボノイドについて適用可能で,その検出限界はUV検出器の200~400倍であった.ポストカラム蛍光検出法はその構造中に3-ヒドロキシル基及び4-ケト体を有するフラボノールに関してのみ適用可能であったが,その検出限界はUV検出器の10~200倍であった.ヒト血清中のフラボノールの分析に関する若干の検討も行った.
  • 河村 葉子, 中島 明子, 山田 隆
    2001 年 42 巻 3 号 p. 179-184
    発行日: 2001/06/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    天然ゴム製の乳首,パッキング,手袋、ハム用ネットなど12検体中の残存化学物質を検索したところ,加硫促進剤のジメチルジチオカルバミン酸亜鉛,ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(EZ),ジ-n-ブチルジチオ力ルバミン酸亜鉛(BZ)及び2-メルカプトベンゾチアゾールが各数千μg/g検出されたほか,酸化防止剤のBHT,Irganox 1076,Yoshinox 2246R,可塑剤のフタル酸ジブチル,フタル酸ジ(2-エチルヘキシル),滑剤のパルミチン酸,ステアリン酸,更に植物ステロールのstigmasterol,β-sitosterolなどが検出された.水,4% 酢酸,20% エタノールではいずれの溶出もみられなかったが,n-ヘプタンではBHT,Yoshinox 2246R,EZ,BZ,ステロール類などの溶出がみられた.
  • 福渡 努, 杉本 悦郎, 横山 和正, 柴田 克己
    2001 年 42 巻 3 号 p. 185-189
    発行日: 2001/06/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    ヒトがドクキノコであるClitocybe acromelalga (和名,ドクササコ)を食べると末端疼痛症が引き起こされる。その症状は1か月も続き,治療にはニコチン酸が有効であるとされる.著者らは,このドクササコの毒性発現機構を解明するためのモデル動物の作成に成功した.ナイアシン欠–トリプトファン制限食を投与してナイアシン欠乏としたラットにドクササコ添加食を24時間投与した.ヒトで見られた末端疼痛症に類似する症状は3日後に現れ始め,四肢の末端が赤く腫れ上がった.これは,ヒトにおけるドクササコの中毒を初めてWistar系ラットを使用して再現することができた報告である.ヒトの中毒症状に似た中毒を今までに齧歯類の研究で報告した例はないので,本実験で使用したナイアシン欠–トリプトファン制限食がこのモデル作成の成功の原因であると思われる.
  • 福渡 努, 杉本 悦郎, 柴田 克己
    2001 年 42 巻 3 号 p. 190-196
    発行日: 2001/06/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    ドクササコにはクリチジンと4-アミノキノリン酸が含まれている.両化合物ともにトリプトファン–ナイアシン代謝経路中間体の構造類似体である.そこで、ドクササコの投与が本代謝にどのような影響を与えるのかを調べた.ドクササコを混餌により24時間投与した(投与日=Day 0).本代謝経路の代謝産物量はDay 0~Day 1,Day 1~Day 2で有意に上昇した,血液中にトリプトファン含量とNAD含量もDay 1で有意に上昇した.したがって,ドクササコの摂取によって本転換経路が阻害されることは認められず,むしろ,代謝産物を増大させる化合物の存在を示唆する結果が得られた.
  • 松岡 猛, 栗原 秀夫, 末藤 晴子, 三浦 裕仁, 日下部 裕子, 穐山 浩, 合田 幸広, 一色 賢司, 豊田 正武, 日野 明寛
    2001 年 42 巻 3 号 p. 197-201
    発行日: 2001/06/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    現在我が国で,食品及び飼料として安全性の確認されていない遺伝子組換えトウモロコシCBH351系統を特異的に検知するプライマーを開発し,PCR条件を設計した.PCR用プライマーは,2又は3生物種由来のDNA配列部分を増幅するように設計し,安全性が確認されている他の遺伝子組換えトウモロコシ,ダイズ,コメ,コムギ,オオムギに対して偽陽性がなく,特異的な検知を行うことができた.検知下限を調べるため,CBH351粉末とnon-GMトウモロコシ粉末の混合試料を調製し,DNAを抽出後,PCRを行った.その結果,CBH351を0.05~0.1%混合したものまで検知可能であった.
ノート
  • 小島 尚, 岸 美智子, 関田 節子, 佐竹 元吉
    2001 年 42 巻 3 号 p. 202-205
    発行日: 2001/06/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    健康茶に含まれるフユアオイの基原植物である Malva verticillata L. にセンナの指標成分であるセンノシドは含まれるか,更に,形態学的にセンナと類似するかを明らかにし,フユアオイを原料と表示された健康茶に含まれるセンノシドの由来を検討した,その結果,Malva verticillata L. にはセンノシドA及びBは含まれないこと,更に,形態学的にもセンナ葉と区別できることが明らかになった.すなわち,フユアオイを原料と表示された健康茶に含まれるセンノシドはフユアオイに由来するものではなく,混入したセンナに由来するものであることが確認された.
  • 田中 康夫, 高橋 京子, 笹尾 忠由, 桐ヶ谷 忠司, 細井 志郎, 臼井 進, 河村 太郎, 中澤 裕之
    2001 年 42 巻 3 号 p. 206-209
    発行日: 2001/06/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    有機リン系農薬のフェントエート(PAP)が,高濃度に検出されたこまつなのマスクロマトグラム上に,O,O,S-トリメチルホスホロジチオエート(OOS)と推定されるピーク(ピークA)が検出された.OOSはマラチオンやPAPなどの原体中に不純物として存在するが,食品から検出された例はなく,OOS標準品は市販されていなかった.そこで,ピークAの確認を行うためにマラチオン乳剤からOOSを分離精製した.このOOSを標準品として,GC/MSでピークAの確認を行った結果,OOSであると確認された.検出値は0.02μg/g(概算値)であった.今回,PAPが高濃度残留していたため,OOSが農作物から検出されたと考えられた.
調査・資料
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