食品衛生学雑誌
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42 巻, 4 号
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報文
  • 村田 美穂子, 石永 正隆
    2001 年 42 巻 4 号 p. 215-219
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    成人男性100名について,陰膳方式により硝酸及び亜硝酸の一日摂取量を調査した.硝酸の各人当たりの一日摂取量は,190.8±128.5 mg であった.また,体重 1 kg 当たりの一日摂取量は 2.87±2.00 mg であり,これはADIの約 78% であった.また,年齢が高いほど,摂取量は増加する傾向を示した.亜硝酸の各人当たりの一日摂取量は,3.837±3.647 mg であった.また,体重 1 kg 当たりの一日摂取量は,0.057±0.050 mg であり,ADIの約 95% に相当していた.また,年代別の摂取量に差は見られなかった.硝酸及び亜硝酸の摂取量においてADIを超えた人の割合は,それぞれ 27% 及び 34% であり,両者ともに超えた人が 10% 存在した.
  • 江越 加州生, 中岡 寛, 岡 輝美, 安保 康治
    2001 年 42 巻 4 号 p. 220-225
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    Wistar系ラットにTrp-P-1を 750, 1,500 及び 2,500 μg 経口投与し,糞便・尿のTrp-P-1をHPLC及びサルモネラを用いたAmes法により,更に排泄物中の代謝物をTLC分画により調べた.糞便からのTrp-P-1抽出にはブルーレーヨンを,尿からの抽出にはクロロホルムを用い,両抽出法による添加回収率は,糞便では 85.9±3.9%, 尿では 91.3±3.7% であった.糞便・尿抽出物のTLC分画物の変異原性を調べたところ,糞便抽出物ではTrp-P-1以外に変異原性を有する画分が2つ認められたが,尿抽出物では認められなかった.Trp-P-1 750 μg 投与群の糞便・尿のTrp-P-1量は,それぞれ 81.6±7.1 μg 及び 28.7±4.9 μg で,投与量の 10.8±0.9% が糞便に,3.8±0.7% が尿中に排泄され,変異原性試験においても類似する結果が得られた.1,500 μg 投与群の糞便・尿中のTrp-P-1量及び変異原性は 750 μg 投与群に比べ有意に高い値を示した.
  • 田口 修三, 吉田 精作, 田中 之雄, 堀 伸二郎
    2001 年 42 巻 4 号 p. 226-230
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    牛の筋肉及び肝臓中のトレンボロン,ゼラノールをC18及びアミノプロピル固相カラムの二段カートリッジ法により精製した.更にカラムスイッチングを用いたオンライン精製HPLCを用いて分析法の検討を行った.トレンボロンは UV 350 nm で検出し,ゼラノールは電気化学検出器を用いて 700 mV で検出した.オンライン精製は3種類のカラム(サイズ排除カラム,内表面疎水性トラップカラム,C18分析カラム)をスイッチングして行った.筋肉の残留基準値 0.002 mg/kg での添加回収率はゼラノール 86.1%,β-トレンボロン 77.0% であった.肝臓の残留基準値 0.010 mg/kg での添加回収率はゼラノール 74.3%,α-トレンボロン73.1% であった.定量限界値はいずれも筋肉で 0.001 mg/kg で,肝臓で 0.002 mg/kg であった.
  • 合田 幸広, 浅野 卓哉, 渋谷 雅明, 日野 明寛, 豊田 正武
    2001 年 42 巻 4 号 p. 231-236
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    日本で安全性審査未終了のGMパパイヤ(55-1系統,Sunup)について,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いた検知法を検討した.Papain遺伝子を検知するプライマー対を陽性対照とした結果,生食用パパイヤでは,シリカゲル膜タイプのキットで,缶詰由来のパパイヤでは,イオン交換樹脂タイプのキットで,パパイヤ由来の遺伝子が良好に抽出精製され,検知されることが明らかとなった.更に,生食用のものでは,GUS遺伝子,NPTII遺伝子のみを検知するプライマー対を含め5種のプライマー対で特異的にGMパパイヤが検知されることが判明した.他方,缶詰由来のパパイヤでは,2種類の生物に由来する連続したDNA領域を増幅するプライマー対を用いた場合,良好な検知結果が得られた.
  • 平野 進, 島 鶴三, 島田 智子
    2001 年 42 巻 4 号 p. 237-242
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    ブラジル,スーダン,インド及び台湾産のアフラトキシン自然汚染ピーナッツから,表面にカビの繁殖した豆及び半割れ豆をそれぞれ選別した.更にブラジル,スーダン及びインド産については残りのピーナッツを軽く焙煎し,渋皮を除去し,ピーナッツ表面に変色などのシミのあるピーナッツとその他に分けた.それらすべてのピーナッツについて一粒一粒又はそれに準じる方法でアフラトキシン汚染について調査した.その結果アフラトキシンは,主に豆の表面にカビの繁殖などがあった豆のほかに,渋皮を除去し表面に変色などのあった豆から検出された.これらアフラトキシン汚染豆の混入割合(%)と試料全体のアフラトキシンB1濃度の間には相関関係が認められた.
ノート
  • 辻 澄子, 天倉 吉章, 海野 有紀子, 西 正敏, 中西 勤, 外海 泰秀
    2001 年 42 巻 4 号 p. 243-248
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    1999年度の製品検査の食用青色1号アルミニウムレーキ8検体中1件がろ紙クロマトグラフィーにより主色素以外の紫色のスポットを認め,不適と判定された.その起源を明らかにするために不適検体から紫色付随色素Sub-Vを単離した.NMR, MS 分析及びイオンクロマトグラフィーの結果,Sub-Vの構造を2-[[4-[N-エチル-N-(3-スルホフェニルメチル)アミノ]フェニル][4-ハイドロキシフェニル]メチリオ]ベンゼンスルホン酸と決定した.また,HPLCによって測定した不適検体中の主色素(m, m体)に対するSub-Vの相対含量は 39.5% であり,他の合格検体は 1.1~3.6% であった.
  • 長南 隆夫
    2001 年 42 巻 4 号 p. 249-251
    発行日: 2001/08/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    タンニンの除去にアルミナカラムを用いる茶中のアゾキシストロビンの残留分析法を検討した.試料に水を加えて膨潤させた後,アセトンで抽出し,抽出液をアルミナカラムへ注入した.流出液をアセトン濃度が約 60% となるように減圧濃縮し,C18カラムへ注入した.流出液に塩化ナトリウム溶液を加え,酢酸エチル-n-ヘキサン(1 : 1)で抽出後,フロリジルカラム及びシリカゲルカラムで精製して試験溶液を調製した.試験溶液を紫外検出器付きHPLCで分析した.試験溶液のクロマトグラム上に妨害ピークは認められず,添加回収率は 90.2% であった.本法は液-液分配時のエマルジョンが認められず,登録保留基準値に対応できることから,茶中のアゾキシストロビンの実用的な残留分析法と考えられた.
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