食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
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42 巻, 5 号
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総説
報文
  • ガン エン, 松藤 寛, 千野 誠, 合田 幸広, 豊田 正武, 武田 明治
    2001 年 42 巻 5 号 p. 298-303
    発行日: 2001/10/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    市販食用緑色3号(主色素:HSBA-(m-EBASA) (m-EBASA), m,m-G-3)に含まれる付随色素について,高速液体クロマトグラフを用いて分析したところ,8つの付随色素の存在が確認された.それらの中で,4つの付随色素(付随色素 C, F, G, H)を精製単離し,質量分析計並びに核磁気共鳴分光計を用いて構造決定した.付随色素Cはm,p-G-3, 付随色素FはHSBA-(ethylaniline: EA)(m-EBASA), 付随色素Gは HSBA-(di-EA) (m-EBASA), 付随色素Hは HSBA-(ethylbenzylaniline: EBA)(m-EBASA)であった.付随色素Gは,これまでに報告例のない新規な付随色素であった.
  • 高橋 邦彦, 堀江 正一, 青羽 信次
    2001 年 42 巻 5 号 p. 304-308
    発行日: 2001/10/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    HPLCによる農産物中のグリホサート(GLY)及び代謝物アミノメチルホスホン酸(AMPA)の分析法を検討した.試料を水抽出後(大豆の場合はアセトン処理),Sep-Pak Plus C18 と Bond Elut SCX を連結したミニカートリッジカラムでクリーンアップし,GLYは9-フルオレニルメチルクロロホルマートで蛍光誘導体化した.AMPAはo-フタルアルデヒドによるポストカラム蛍光誘導体化HPLCで測定した.試料にGLY及びAMPAを 0.2 μg/g(大豆は 1.0 μg/g)添加したときの本法による回収率はともに 65% 以上であり,検出限界値は 0.04 μg/g(大豆は 0.08 μg/g)であった.
  • 杉本 直樹, 福田 純子, 高鳥 浩介, 山田 隆, 米谷 民雄
    2001 年 42 巻 5 号 p. 309-315
    発行日: 2001/10/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    天然保存料酵素分解ハトムギ抽出物の有効成分及び主成分について検討した.本抽出物中の主構成成分を明らかとするため,本抽出物をアセチル化後,分画を行い,5つのアセチル化体を単離精製した.単離精製した各化合物の構造決定は各種傾斜磁場NMR測定法により行い,glucose, maltose, maltotriose, maltotetraose, maltopentaose のアセチル化体と同定した.更に,本抽出物をRIを検出器としたHPLCに供し,主構成成分が1~7個のグルコースがα-(1→4)結合したオリゴ糖の混合物であることを確認した.また,本抽出物の抗菌活性をペーパーディスク法により検討したが,活性は観察されなかったことから,本抽出物の保存効果は,食品の表面をコーティングなどすることにより現れるものと考えられた.
  • 河村 葉子, 中島 明子, 六鹿 元雄, 山田 隆, 米谷 民雄
    2001 年 42 巻 5 号 p. 316-321
    発行日: 2001/10/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    ゴム製品のうち食品用に最も広範に使用されているシリコーンゴム製のほ乳器用乳首,密閉容器や魔法瓶などのパッキング,調理用ヘラの合計23検体について残存化学物質を検討した.材質中には酸化防止剤のBHT, 可塑剤のフタル酸ジブチル及びフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)が検出されたが,検出頻度,検出量ともにそれほど高くはなく,乳首からはいずれも検出されなかった.一方,全検体からシロキサンが6~25個程度結合した環状ポリジメチルシロキサン群が検出された.残存量の合計は 3,310~14,690 μg/g と概算され,主に未反応原料又は副生成物由来と推定された.溶出試験において,20% エタノールではいずれの溶出も認められなかったが,n-ヘプタンではDEHP及び環状ポリジメチルシロキサンの溶出が見られた.
ノート
  • 和久井 千世子, 河村 葉子, 米谷 民雄
    2001 年 42 巻 5 号 p. 322-328
    発行日: 2001/10/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    各種素材の使い捨て手袋について,蒸発残留物,溶出金属など,溶出化学物質及び材質中のアクリロニトリルを測定した.フタル酸エステル含有及び非含有のポリ塩化ビニル製手袋では,蒸発残留物がn-ヘプタン溶出で 870~1,300 ppm と極めて高く,未知化合物を含む可塑剤由来と考えられた.ポリエチレン製手袋では溶出物は少なかったが,抗菌表示手袋から銅及び亜鉛の溶出が見られた.一方,天然ゴム及びニトリルゴム製手袋は,製品ごとに溶出物の種類や量に大きな差異が見られた.約半数で 4% 酢酸溶出の蒸発残留物,亜鉛やカルシウムが高く,n-ヘプタン溶出でジチオカーバメイト系加硫促進剤が 1.68~8.03 ppm 検出された.一方,ニトリルゴム手袋のアクリロニトリル残存量は 0.40~0.94 μg/g であった.
  • 松本 ひろ子, 小川 仁志, 鈴木 敬子, 鈴木 仁, 斉藤 和夫
    2001 年 42 巻 5 号 p. 329-334
    発行日: 2001/10/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    通気蒸留装置を用いて捕集した亜硫酸イオンを,UV検出検出器付HPLCにより測定する食品中の残留亜硫酸の分析法を作成した.電気バーナーによる通気蒸留を15分行い,1% トリエタノールアミン溶液に捕集した亜硫酸イオンを,カラムに陰イオン交換カラムの IonPac AS9-SC,移動相に 1.8 mmol/L 炭酸ナトリウム-1.7 mmol/L 炭酸水素ナトリウム水溶液を用いたHPLCにより,測定波長 240 nm で定量した.食品中に亜硫酸を二酸化硫黄として 30~4,000 μg/g 添加した場合の回収率は 98~102% であった.また,本法による定量限界は 0.001 g/kg であった.各種食品について本法とアルカリ滴定法,比色法の定量値を比較検討したところ,ほぼ類似の結果が得られた.
調査・資料
  • 阿部 則雄, 渕野 清彦
    2001 年 42 巻 5 号 p. 335-338
    発行日: 2001/10/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    食品衛生法改正により魚介類にオキシテトラサイクリン(OTC)などの残留基準値が定められた.そこで,築地市場に流通している養殖魚介類23魚種240検体を対象に抗菌性物質の残留について調査した.その結果,14検体からOTCが検出された.合成抗菌剤は検出されなかった.OTCが検出された魚について部位別の残留を調べたところ,ヒラメでは筋肉<肝臓<皮の順に検出率が高くなる傾向を示した.カンパチ,ハマチ,ウナギは肝臓が最も高い濃度を示したが筋肉及び皮に有意差は認められなかった.また,個体別では,ヒラメの皮からすべてOTCが検出され,カンパチ,ハマチ,ウナギでは,肝臓からOTCがすべて検出された.
  • 堀 就英, 中川 礼子, 飛石 和大, 飯田 隆雄, 堤 智昭, 佐々木 久美子, 豊田 正武
    2001 年 42 巻 5 号 p. 339-342
    発行日: 2001/10/25
    公開日: 2009/03/25
    ジャーナル フリー
    小松菜中のダイオキシン類濃度における日常の調理の効果を調べた.生産者より直接購入した小松菜を用いて水洗いと煮沸操作を行い,調理前後のダイオキシン類29異性体の濃度を比較した.小松菜に含まれるダイオキシン類の 2,3,7,8-tetraCDD 毒性当量(TEQ)は,水洗いにより平均 0.058 pgTEQ/g から平均 0.026 pgTEQ/g へ,引き続く煮沸操作により平均 0.019 pgTEQ/g へ減少した.調理によりPCDDs及びPCDFs濃度は顕著に減少したが,コプラナーPCBsでは顕著な濃度減少は認められなかった.日常の調理操作は緑色野菜中のダイオキシン含有量の低減に有効と考えられた.
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