食品衛生学雑誌
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43 巻, 2 号
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報文
  • 村田 美穂子, 岸田 典子, 石永 正隆
    2002 年 43 巻 2 号 p. 57-61
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    学童100名について,陰膳方式により硝酸塩及び亜硝酸塩の一日摂取量を調査した.硝酸塩の一日摂取量は68.42±77.49 mgであった.体重1 kg当たりの硝酸塩の一日摂取量は,2.06±2.24 mgであり,ADIの約 56% に相当した.亜硝酸塩の一日摂取量は,0.953±0.869 mgであった.体重1 kg当たりの亜硝酸塩の一日摂取量は,0.027±0.021 mgであり,ADIの約 45% に相当した.また,体重1 kg当たりの硝酸塩及び亜硝酸塩の一日摂取量を肥満群及び非肥満群で比較すると,男子での亜硝酸塩において,非肥満群が肥満群より有意に多く摂取していた(p<0.05). 硝酸塩及び亜硝酸塩の摂取量において,ADIを上回った学童は,それぞれ16% 及び7% であった.
  • 宇野 和明
    2002 年 43 巻 2 号 p. 62-67
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    クルマエビにオキシテトラサイクリン(OTC)及びオキソリン酸(OA)を経口投与(50 mg/kg)し,それらの残留性について検討した.更に,加熱調理が魚体内の残留薬物に及ぼす影響を検討した.OTCの消失半減期(T1/2)は血リンパでは45時間,筋肉では47時間であった.一方,OAのT1/2は血リンパで55時間及び筋肉で108時間であった.OTCでは,残留基準値以下になるのに要する時間は血リンパ及び筋肉でそれぞれ投薬後8.1日及び7.4日と算出された.OAでは,検出限界値以下になるのに要する時間は血リンパで投薬後21日及び筋肉で29日と算出された.これらは休薬期間以内であった.しかし,殻における両薬物は休薬期間以上に残留すると考えられた.また,加熱調理により両薬物とも残留濃度は減少したが,完全に消失しなかった.
  • 奥貫 晴代, 手島 玲子, 重田 輝子, 佐久嶋 順一郎, 穐山 浩, 合田 幸広, 豊田 正武, 澤田 純一
    2002 年 43 巻 2 号 p. 68-73
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    アレルゲン性試験の一環として,遺伝子組換え食品導入蛋白質として,大豆に組み込まれているCP4-EPSPS,並びにとうもろこしに組み込まれているCry1Abを対象に,それら蛋白質の調製を行い,人工胃腸液(SGF, SIF)によるin vitro での分解性を調べた.更に,通常の食物摂取時を想定して,新規産生蛋白質の加熱処理後の人工胃腸液による分解性の変化について検討した.両蛋白質は,いずれもSGFによる分解が非常に速かった.SIFによる分解は,比較的長時間を要したが,100℃,5分の加熱前処理で,分解時間が極端に短くなった.SGFによる易分解性並びに加熱処理後のSIFによる易分解性から両蛋白質の消化管中で抗原性を示す可能性はほとんどないものと思われる.
  • 合田 幸広, 柿原 芳輝, 穐山 浩, 松岡 猛, 日野 明寛, 豊田 正武
    2002 年 43 巻 2 号 p. 74-79
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    品種(系統)が明確な遺伝子組換えトウモロコシの穀粒及び非組換え穀粒について,PCRを用いた品種(系統)特定型の検知法を利用し,当該穀粒で表示されている品種(系統)と,実際の検知結果の差異について検討した.その結果,Bt11では100粒中11粒で,Event176では,30粒中5粒で表示と異なった組換え品種(系統)の遺伝子が検知された.また,非組換え品種では,30粒中4粒から組換え品種の遺伝子が検知された.したがって,他殖性のトウモロコシでは,穀粒では表示と異なった非意図的組換え遺伝子が検知される可能性があることが明らかとなった.また,定量PCRの結果より,GM遺伝子がホモで存在する粒の遺伝子型はすべて表示の組換え品種(系統)のもので,他の組換え品種(系統)の遺伝子はすべてヘテロな遺伝子型として観察され,これらの遺伝子が風媒により導入された可能性が非常に高いことが示された.
ノート
  • 上野 英二, 大島 晴美, 斎藤 勲, 松本 浩
    2002 年 43 巻 2 号 p. 80-89
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    87種の含窒素及び含硫黄農薬を対象として,農作物からアセトニトリル抽出,メスシリンダーを用いたろ過・塩析及びアセトニトリル層の分取操作,GPCの農薬画分を2画分とし,シリカゲル及びフロリジルミニカラムを組み合わせた精製操作を行い,デュアルカラムGCで測定する多成分残留農薬分析法を検討した.GCのカラム,検出器にDB-5ms,NPDとDB-1701P,FPD(S)を用い,注入口インサート等にSiltekTM及びSilcosteel®を用いたGC条件を確立し,すべての農薬を一斉に感度良くGCで測定することが可能となった.添加回収率は81種の農薬で 70% 以上,相対標準偏差は85種の農薬で 20% 未満,検出限界はNPDで0.3~5 ppb,FPDで2~20 ppbであった.本法を用いて農作物中の農薬残留実態調査を行ったところ33検体中22検体から21種の農薬(延べ43農薬)が検出された.
  • 長谷川 順子, 工藤 由起子, 仁科 徳啓, 小沼 博隆, 熊谷 進
    2002 年 43 巻 2 号 p. 90-94
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    腸炎ビブリオ血清型O3 : K6株とその他の血清型を用いて酢酸,クエン酸,塩酸の存在下で 1% NaCl加リン酸緩衝液中での生残性を調べた.各々の血清型の間には,いずれの酸の存在下においても生残性に顕著な差が認められなかった.有機酸の存在下では腸炎ビブリオの死滅に対して,pH 5.6では酢酸が,pH 4.5ではクエン酸の効果が大きかった.米酢とワイン酢の腸炎ビブリオの生残性に対しては,大きな差異が認められず,pH 4.0ではいずれの醸造酢の存在下でも速やかに死滅した.
  • 後藤 智美, 三上 栄一, 大野 勉, 松本 浩
    2002 年 43 巻 2 号 p. 95-98
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    医薬品の添加が疑われる健康食品分析及び医薬品製剤の品質調査への応用を図る目的で,4種の汎用利尿薬のHPLCを用いた同時分析法について検討した.本法を利尿薬が配合された医薬品製剤の品質調査へ応用したところ,添加剤,賦形剤による妨害もなく,良好な定量結果が得られた.また,この方法を用いて痩身効果を標榜した健康食品中への利尿薬の添加の有無について確認したところ,試験した検体についてはいずれの利尿薬も検出されなかった.しかし,今後更に多くの検体について確認調査を実施していく必要があり,本法はそのスクリーニング法として有効と考えられる.
  • 秋山 由美, 吉岡 直樹, 辻 正彦
    2002 年 43 巻 2 号 p. 99-103
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    玄米中に残留する10種のスルホニル尿素系除草剤(アジムスルフロン,イマゾスルフロン,エトキシスルフロン,クロリムロンエチル,クロルスルフロン,トリベヌロンメチル,ピラゾスルフロンエチル,フラザスルフロン,ベンスルフロンメチル及びメトスルフロンメチル)のスクリーニング分析法をダイオードアレイ検出器付LCで検討した.米抽出液をグラファイトカーボンカートリッジで3分画した後,LC分析を行い,除草剤相互及び妨害成分との分離を良好にした.米試料に0.05及び0.2 μg/g添加した10種の除草剤の回収率は 46.6~119.6%,変動係数は3.1~12.6% であった.定量限界は0.01~0.02 μg/gであった.
  • 大石 充男, 松田 敏晴, 野尻 宗子, 斉藤 和夫
    2002 年 43 巻 2 号 p. 104-109
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    蛍光検出HPLCによる油脂及び食品中の指定酸化防止剤の没食子酸プロピル,ノルジヒドログアヤレチック酸,ブチルヒドロキシアニソール及び指定外酸化防止剤のtert-ブチルヒドロキノン,没食子酸オクチルの同時分析法を検討した.油脂中の酸化防止剤は n-ヘキサン飽和アセトニトリルで抽出した.また,食品中の酸化防止剤は酢酸エチルで油脂を抽出し,更に得られた油脂から酸化防止剤を n-ヘキサン飽和アセトニトリルで抽出した.抽出液を遠心分離後,HPLCで測定した.励起及び蛍光波長はタイムプログラムを設定し測定した.各種食品における添加回収率は 72.1~99.6%,変動係数は 0.7~7.2% であった.酸化防止剤の確認は,ピークの蛍光スペクトルをオンラインで測定し,標準品のスペクトルと比較することにより可能であった.
  • 平田 恵子, 植松 洋子, 鈴木 公美, 飯田 憲司, 鎌田 国広
    2002 年 43 巻 2 号 p. 110-113
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/04/30
    ジャーナル フリー
    動物実験用ラック色素添加飼料及び投与ラットの糞中のラック色素分析法を開発し,含有量を測定した.飼料及び糞から0.05% 炭酸ナトリウム溶液及び0.02% SDSを含む50% エタノール溶液を用いて色素を抽出した後HPLCで分析した.本法による添加回収率は飼料が85.6~93.4% であり,糞では69.5% であった.ラック色素を1.25及び5.00% に調製した飼料中のラック色素含有量はそれぞれ1.1及び5.2% であり,動物への実際の投与量を確認することができた.5% 投与群ラット(12週目)の糞中ラック色素含有量は雄が127.8 mg/gで,雌が138.5 mg/gであった.添加飼料及び投与糞中のラッカイン酸類のHPLCクロマトグラムを比較したところ,両者ともラッカイン酸A, B, C及びEが検出され,それらの含有比率も近似していた.
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