食品衛生学雑誌
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44 巻, 1 号
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報文
  • 畑野 和広
    2003 年44 巻1 号 p. 1-6
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    LC/MS/MSによる食肉中のペニシリン系抗生物質(アンピシリン,ペニシリンG, ペニシリンV, オキサシリンおよびクロキサシリン)の迅速同時定量法について検討した.イオン化はエレクトロスプレーイオン化法を用いネガティブモードで行った.試料を蒸留水で抽出しC18カートリッジによるクリーンアップ後フェネチシリンを内部標準として添加した.牛,豚および鶏の筋肉,肝臓および腎臓に各薬剤を 10~250 ng/g 添加した場合の回収率は 77.3~99.8% であった.各薬剤の検出限界は筋肉および腎臓でアンピシリンが 6 ng/g, ペニシリンGおよびペニシリンVが 2 ng/g, オキサシリンおよびクロキサシリンが 4 ng/g, 肝臓でそれぞれ 15, 5 および 10 ng/g であった.本法を用いて筋肉23検体,肝臓14検体および腎臓22検体について分析したが,いずれの薬剤も検出されなかった.
  • 佐藤 元昭, 坂口 将進, 小畑 雅一, 坂口 陽子, 谷澤 春奈, 三浦 由里, 佐々野 僚一, 中西 豊
    2003 年44 巻1 号 p. 7-12
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    栽培中にフルトラニル,フェノブカルブ,シラフルオフェンおよびブプロフェジンの4農薬を撒布した後に収穫した米,もみ中の残留農薬を分析したところ,残留濃度は表層で高く米の内部にいくに従って減少し,精米工程により,1/3~1/5に減少した.減少率はオクタノール/水分配係数(log Pow)の大きいシラフルオフェン,ブプロフェジンで高く,log Pow値の小さいフェノブカルブやフルトラニルでは米の内部に浸透する傾向が認められた.農薬がぬかに多く分布することから,白米と表面の微細ぬかを除去した無洗米とでは,無洗米の方が低い残留濃度を示し,炊飯による濃度の減衰は,玄米飯に比べて白米飯の方が同等もしくは大きい傾向を示した.
  • 新野 竜大, 朝倉 敬行, 石橋 亨, 伊藤 武, 坂井 千三, 石綿 肇, 山田 隆, 小野寺 祐夫
    2003 年44 巻1 号 p. 13-18
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    回転振とう溶出機を用いたポリ塩化ビニル(PVC)製品から人工唾液へのフタル酸ジエステル(PAE)の簡易溶出試験を行った.PVC製品の試験片(表面積 15 cm2)と人工唾液(30 mL, pH 7 および 35℃)を 50 mL 容の蓋付ガラス管に加え,回転振とう溶出機で 300 rpm, 15分間振とうし,人工唾液に溶出したPAE量をUV検出器付HPLCにて測定した.フタル酸ジイソノニル(DINP), フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)およびフタル酸ジn-ブチル(DBP)をそれぞれ約 45% 含むよう作製したPVCプレートからのそれぞれのPAE溶出量はほぼ同等であった.しかしながら,それらの化合物をそれぞれ約 13% 含むよう作製したPVCプレートでは,DBP溶出量がDEHPまたはDINPの2倍であった.さらに,15分間の回転振とう溶出によるPAEのin vitro 溶出量は,60分間のヒトのチューイングによる in vivo 溶出量と同等であった.本法を市販品の11玩具に応用したところ,PAEの溶出量は 15.6~85.2 μg/cm2/hrであり,相対標準偏差は 3~12% であった.
  • 松本 ひろ子, 小川 仁志, 鈴木 敬子, 鈴木 仁, 安田 和男
    2003 年44 巻1 号 p. 19-25
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    グリセリン,ショ糖,ソルビタン,プロピレングリコールの各親水基と長鎖脂肪酸とのモノエステルであり,食品用乳化剤の主成分である長鎖脂肪酸モノエステルタイプの乳化剤4種の一斉分析法について検討した.試料からTHF-酢酸エチル混液を用いて抽出し,シリカゲル,C8の2種の固相抽出カートリッジにより分離精製を行い,アセチル誘導体化しGC/MSで測定した.乳化剤を分解することなく,そのままアセチル誘導体化することで,4種の乳化剤を構成脂肪酸別に確認することができた.本法を乳化剤表示のある清涼飲料水に適用したところ,構成脂肪酸の異なる複数のグリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステルが検出され,複数の乳化剤が併用されている実態を明らかにすることができた.
  • 六鹿 元雄, 河村 葉子, 渡辺 悠二, 米谷 民雄
    2003 年44 巻1 号 p. 26-31
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    食品衛生法で定めるクレゾールリン酸エステル(TCP)の規格試験は四塩化炭素を用いており,しかも操作が煩雑で長時間を要し,回収率や再現性がよくないことが指摘されている.そこでHPLCによるポリ塩化ビニル中のTCPの分析法について検討した.試料をアセトニトリルで抽出後,Sep-Pak C18 に負荷してアセトニトリル-水(2 : 1)混液で溶出し,HPLCにより測定した.カラムおよび移動相は Inertsil Ph-3 および 65% アセトニトリル/水を用い,すべてのTCP異性体を1本のピークとして定量した.TCPを規格値である 1,000 μg/g となるように添加したときの回収率は 84.7~98.6% と良好であり,定量限界は 50 μg/g であった.さらにTCP含有量が明らかなPVCシートに適用したところ含有量の 85% 以上に相当する測定値が得られた.
  • 植松 洋子, 平田 恵子, 鈴木 公美, 飯田 憲司, 金子 令子, 鎌田 国広, 宮村 茜
    2003 年44 巻1 号 p. 32-38
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    食品用金属缶内面コーティングからモデル食品(缶詰水および缶詰油)中への溶出について,HPLC(蛍光検出およびELSD)による主要な溶出物の分析,蒸発残留物および過マンガン酸カリウム消費量測定を行い,食品衛生法に規定された条件およびその他の食品疑似溶媒による溶出と比較した.缶詰油中への溶出は食品衛生法規定の溶出条件(n-ヘプタン,25℃, 60分間)よりかなり多く,また缶詰水中への溶出も食品疑似溶媒として水を用いた溶出(水,95℃, 30分間)より多いことが分かった.
  • 尾崎 麻子, 山口 之彦, 藤田 忠雄
    2003 年44 巻1 号 p. 39-43
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    労働安全衛生法などで規制のあるジクロロメタンを使用せずに,ポリカーボネート製品中に残存するビスフェノールA (BPA) などを分析する方法を検討した.その結果,試料を粉砕もしくは細切し,アセトニトリルで40℃, 24時間抽出した後HPLCで定量することにより,規格試験法と同等の分析が可能であった.ポリカーボネート14試料を本法で分析したところ,規格試験法と比べたときの BPA, PH, PTBP およびDPCの抽出比はそれぞれ 0.89~1.19, 0.89~1.14, 0.94~1.30, 1.08~1.11 であった.従来の方法は,1試料につき約 120 mL の有機溶媒を使用するのに対して,本法はアセトニトリル 5 mL だけでよく,使用する有機溶媒の量を大きく減らすことができた.
  • 丸山 卓郎, 代田 修, 川原 信夫, 横山 和正, 牧野 由紀子, 合田 幸広
    2003 年44 巻1 号 p. 44-48
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    マジックマッシュルームは,幻覚性物質であるサイロシンおよびサイロシビンを含有するキノコである.最近,これらのキノコ類は日本において麻薬原料植物として規制対象となった.他方,同キノコ類は多種にわたる上,粉末状態で流通する場合もあり,形態学的な手法では同定が難しい場合が多い.本研究では,遺伝子情報を基にした同キノコ類の同定法開発を目的として,国内流通品のrRNA遺伝子の内部転写スペーサー (internal transcribed spacer, ITS) 領域を解析し,その結果を基に国内流通品を6種に分類した.次いで,解析結果を標品およびデータベース中の塩基配列と比較することにより,流通品の基原種を明らかにした.さらに,LCを用いサイロシン含量を調べた結果,Panaeolus cyanescens が最も高い数値を示し,Amanita 属の2種では検出されなかった.
  • 黄 登福, 呂 雅〓, 野口 玉雄
    2003 年44 巻1 号 p. 49-53
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    渦鞭毛藻 Alexandrium minutum T1 の生長,毒力ならびに毒成分に及ぼす外因性ポリアミンの影響について試験した.Cadaverineは0.1~2.0 μmol/L濃度で,A.minutum T1 の生長を改善した.Putrescineおよびnorspermidineも 0.1 μmol/L 添加時にのみ成長を促進させた.Spermidineの添加では,このT1の生長を抑制した.しかしながら,cadaverine, putrescine, norspermidine およびspermidineの添加に関係なく,T1細胞の毒力はほとんど変わらなかった.T1の毒成分はGTX-4のみで,GTX1とGTX4が全体の 74.6±7.1% であった.他方,spermidineは細胞の毒力やGTX2とGTX3の合計の比率を減少させたが,T1の生長には影響を与えなかった.
ノート
  • 角田 光淳, 牧島 満利子, 猪居 理恵子, 佐野 暁男, 井上 典子, 齊藤 麻美
    2003 年44 巻1 号 p. 54-58
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    食品などの大腸菌群検査や糞便性大腸菌群検査(EC試験)では,ガス生産が重要な判定基準の1つになっている.その判定法は発酵管としてダーラム管を用いて,管内に貯留したガスを観察する方法が一般的である.しかし,その方法は微量ガスや管内の沈殿物などによる白濁により判定が困難な場合もある.そこで,繊維が水中で気泡を良く付着させることに着眼して,簡便で精度良くガスを検知することができる発酵管として,繊維束管(Tsunoda式発酵管)を考案した.本発酵管は培地調製時の脱気が容易で,微量な産生ガスをも明瞭にとらえることができた.その結果,本発酵管はダーラム管に代わる高感度で,判定も容易な産生ガス検知法であることを確認した.
  • 尹 永淑, 中島 裕希, 伊勢田 悦子, 功刀 彰
    2003 年44 巻1 号 p. 59-62
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    カレーやカレー粉を構成している32種類のハーブの水抽出物についてO2·-の消去活性を調べた.活性はHPX-XOD反応により発生させたO2·-をESRを用い測定した結果,クローブ,オールスパイスおよびバジルが 0.25 mg/mL の濃度で 50% 以上のO2·-消去活性を示した.さらに,Linewever-Burk plot によるK m値を比べた結果,クローブとバジルはSODと同様に直接O2·-を消去する反面,オールスパイスはHPX-XOD反応系を抑制することによりO2·-を消去することが分かった.
  • 木村 奈穂子, 永山 敏廣, 高野 伊知郎, 小林 麻紀, 田村 康宏, 立石 恭也, 北山 恭子, 斉藤 和夫
    2003 年44 巻1 号 p. 63-68
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    GC-FTDを用いてかんきつ類中のイマザリル(IZ)およびその主代謝物であるα-(2,4-dichlorophenyl)-1H-imidazole-1-ethanol (IZM) の簡便な同時分析法について検討した.試料からアルカリ性下,酢酸エチルで抽出し,液-液分配およびEnvi-CarbTMミニカラムで精製して,GC用試験溶液とした.ミニカラムによる精製を加えたことにより,IZおよびIZMをGC-FTDで直接測定することができた.グレープフルーツおよびレモンにおける回収率は,IZが 90.0, 100.4%, IZMが 108.7, 93.0%, 検出限界はいずれも試料中 0.01 μg/g であった.本法を用いて市販かんきつ類中のIZおよびIZMについて調査したところ,IZが検出された市販かんきつ類中にIZMも残留していることが示された.
  • 門田 実, 今中 雅章, 日野 誠二, 難波 順子, 武 志保, 中澤 裕之
    2003 年44 巻1 号 p. 69-72
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    鶏肉中アボパルシン(AVP)のUV吸収および電気化学検出 (AMD) HPLC による定量法を開発した.HPLC分析は COSMOSIL 5C18 AR カラムを用い,A液 : 2.5% 酢酸,0.01 mol/L ヘプタンスルホン酸ナトリウム-アセトニトリル (88.5 : 11.5) (pH 4.0) とB液 : 2.5% 酢酸-アセトニトリル (10 : 90) (pH 4.0) によるグラジエントで,UV (280 nm)およびAMD (+900 mV)により行った.既報に従い,鶏肉を処理してAVP試験液を作製した.添加回収率は,2~10 μg/g 添加で 73.1~88.1%, 検出限界は UV, AMD それぞれ0.5および 0.2 μg/g であった.
  • 佐藤 恭子, 米谷 民雄
    2003 年44 巻1 号 p. 73-76
    発行日: 2003/02/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    クチナシ赤色素(GR)およびクチナシ青色素(GB)は,製造工程中のメタノールの生成が懸念される.規格設定の際にメタノールについての検討が必要になるため,標準添加法を用いたヘッドスペース-GC (HS-GC) による定量法を検討した.HS-GCのためには粉末試料を水に溶解するが,水溶液ではGBからメタノールが生成することが知られているため,HS-GCにおけるバイアル加熱条件の違いによるメタノール定量値の比較を行った.バイアルを加熱しない (A), 50℃で20分間保持(B)あるいは 80℃で20分間保持(C)の3条件のうち,条件AとBではメタノール含量は変わらなかったが,条件Cで1.2倍となった.条件Bで GR2検体およびGB3検体について分析を行ったところ,メタノール含量は,GRで8および9μg/g, GBで25~34μg/g であった.
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