食品衛生学雑誌
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44 巻, 2 号
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報文
  • 奥貫 晴代, 穐山 浩, 手島 玲子, 日野 明寛, 合田 幸広, 澤田 純一, 豊田 正武, 米谷 民雄
    2003 年 44 巻 2 号 p. 77-82
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    シキミ酸経路の酵素である 5-enolpyruvylshikimate-3-phosphate synthase (EPSP synthase) の酵素活性を測定するための LC/MS を確立した.EPSP synthase は微生物および植物体において shikimate 3-phosphate (S-3-P) とphosphoenolpyruvate(PEP)から5-enolpyruvyl-shikimate 3-phosphate (EPSP) の形成を触媒する酵素である.遺伝子組換え大豆の Agrobacterium sp. 株CP4グリホサート耐性 EPSP synthase は,3 nmol S-3-P の存在で736 EPSP pmol/min/mg protein のEPSP 活性を示した.対照的に,非遺伝子組換え大豆の酵素活性は 21 EPSP pmol/min/mg protein であった.
  • 藤川 浩, 諸角 聖
    2003 年 44 巻 2 号 p. 83-88
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    以前発表した,試料培養中の細菌由来ATPの増加測定量から試料中の初期細菌数を推定する時間遅れ法とエンドポイント法を,実際の食品について検討した.最初に,大腸菌あるいは黄色ブドウ球菌を接種した洋菓子に本解析法を適用した結果,いずれの試料においても食品成分の影響を受けずに,両解析法が適用できることが示された.次に,両法で市販食品の汚染細菌数を推定した.以前の細菌のデータから求めた平均値を両法のパラメータとして用いた結果,ともに実測値よりもやや低い菌濃度を推定した.次に最少2乗法を用いてパラメータ値を求めると,両法ともにさらに近い推定ができた.以上の結果,適切なパラメータ値を用いることによって,両法ともに食品中の細菌数推定に十分適用が可能であることが明らかとなった.
  • 高附 巧, 根本 了, 佐々木 久美子, 米谷 民雄
    2003 年 44 巻 2 号 p. 89-95
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    LC/MSによる加工,調理食品中のアクリルアミド(AA)分析法を開発した.安定同位体を内標として用い,AAをアセトン-水混液で抽出し,ジクロロメタン洗浄および3種のカートリッジカラムでクリーンアップ後,LC/MSで測定した.測定には4種のカラムをスイッチングして使用し,AAを m/z 72 で定量し,m/z 55 で確認した.本法の回収率は,99.5~101.0% (SD: 0.3~1.6%),検出限界は9 ng/gであった.各種加工食品中のAAを分析した結果,ポテトチップスをはじめとする各種スナック,菓子類,ナッツ類,ほうじ茶,麦茶などから最高3,544 ng/gのAAを検出した.これら植物性食品に比べ,魚,卵,肉製品のAA濃度は低かった.また,低水分食品に比べ,水分含量が高い食品のAA濃度は低かった,
  • 杉田 たき子, 河村 葉子, 谷村 雅子, 松田 りえ子, 新野 竜大, 石橋 亨, 平林 尚之, 松木 容彦, 山田 隆, 米谷 民雄
    2003 年 44 巻 2 号 p. 96-102
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    我が国の乳幼児におけるポリ塩化ビニル製玩具由来のフタル酸エステルの暴露量を,mouthing時間と口腔内溶出試験によるフタル酸ジイソノニル溶出量を基に推定した.方法は点推定法,確率変数の積の誤差法則による方法および Monte Carlo 法によった.1日の総mouthing時間は105.3±72.1分,おしゃぶりを除いた場合は73.9±32.9分であった.口腔内溶出試験による唾液中への溶出量は,平均1時間当たり92.4±56.8 μg/10 cm2であった.Monte Carlo 法におけるフタル酸エステル暴露量の平均値および95パーセンタイル値は,総mouthing時間の場合は21.4 μg/kg/dayおよび65.8 μg/kg/day,おしゃぶりを除いた場合は14.8 μg/kg/dayおよび35.7 μg/kg/dayであった.
  • 六鹿 元雄, 河村 葉子, 和久井 千世子, 米谷 民雄
    2003 年 44 巻 2 号 p. 103-109
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    ニトリルゴム製手袋からの溶出物について同定を行ってきたが,今回新たに可塑剤の 2,2,4-trimethyl-1,3-pen-tanediol diisobutyrate,老化防止剤の 4,4'-butylidene di(6-tert-butyl-m-cresol),および2-(α-methylbenzyl)phe-nol, 4-(α-methylbenzyl)phenol, 2,6-di(α-methylbenzyl)-phenol,2,4-di(α-methylbenzyl)phenol,2,4,6-tri(α-meth-ylbenzyl)phenol からなるスチレン化フェノール,老化防止剤の分解物と推定される2,4-di-tert-butylphenolが確認された.2,4-di-tert-butylphenol,2,2,4-trimethyl-1,3-pen-tanediol diisobutyrateおよび4,4'-butylidenedi(6-tert-butyl-m-cresol)の n-ヘプタン25℃ 60分間への溶出量は1.68~4.22 μg/cm2,スチレン化フェノールの溶出量は46.08 μg/cm2,含有量は6,900 μg/gであった.
ノート
  • 神田 真軌, 牛山 慶子, 井草 京子, 村山 三徳, 堀江 正一, 広門 雅子, 宮崎 奉之
    2003 年 44 巻 2 号 p. 110-113
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    鶏組織(肝臓,筋肉,脂肪)中に残留する抗コクシジウム剤(ジクラズリル(DCZ)およびナイカルバジン(NCZ))の簡昜分析法を開発した.試料をアセトニトリルで抽出し,n-ヘキサンで脱脂した後,この抽出液を減圧乾固して得た残留物にアセトニトリル-メタノール(1 : 1)混液1.4mLを加えて溶解した.その溶液に先の混液で飽和した n-ヘキサン 1.0 mL および水 0.6 mL を順に加えて液-液分配を行った.下層中の DCZ および NCZ をHPLC で測定した.DCZ および NCZ を,肝臓に 3.0, 0.2 μg/g, 筋肉に 0.5, 0.2 μg/g, 脂肪に1.0, 0.2 μg/g となるように添加し,回収実験を行った.DCZおよびNCZの回収率は92.0~95.6%, 87.3~89.4% であった.
  • 浜本 好子, 水野 安晴, 小池 良治, 山岡 良三, 高橋 敏雄, 高橋 美幸
    2003 年 44 巻 2 号 p. 114-118
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    ニワトリおよびブタの筋肉,肝臓,腎臓,脂肪中の残留抗生物質スペクチノマイシン(SPCM)を検出するために,パラニトロフェニルヒドラジンをプレカラム誘導体化試薬として用い,UV検出器で検出するHPLCを検討した.SPCMは,EDTA-2Na飽和10% トリクロロ酢酸溶液で抽出し,Sep-Pak Plus PS-2 カートリッジを2連にした固相に負荷し,精製した.SPCMの検出限界は0.02 μg(力価)/gで,回収率は,ニワトリ組織で77.4~97.4%,ブタ組織で74.5~91.8% であった.この方法を用いて,休薬11日後のニワトリの組織(SPCM混合飲水:500 mg(力価)/L,7 日間)および休薬14日後のブタの組織(SPCM 混合飼料:100 mg(力価)/kg,7 日間)のSPCM濃度を分析した.この結果,すべての組織のSPCM濃度は,残留基準値以下であることが示された.
  • 天倉 吉章, 堤 智昭, 佐々木 久美子, 豊田 正武, 米谷 民雄
    2003 年 44 巻 2 号 p. 119-125
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    各種食品中のダイオキシン類分析における前処理法の検討として,プレパック多層シリカゲルカラムの適用について評価した.まずブランク試験を行った後,認証検体で分析可能であることを確認した上,7種の食品検体(ほうれんそう,こまつな,米,サケ,牛肉,鶏卵,バター)について,ガイドラインに従い処理した.高分解能GC/MSによりダイオキシン類濃度を測定した結果,クリーンアップスパイクの添加回収率はガイドライン規定範囲内(40~120%)であり,測定値は従来法と同様であった.したがって,プレパック多層シリカゲルカラムの食品分析への適用が示唆された.
  • 永山 敏廣, 高野 伊知郎, 小林 麻紀, 田村 康宏, 富澤 早苗, 立石 恭也, 木村 奈穂子, 北山 恭子, 斉藤 和夫
    2003 年 44 巻 2 号 p. 126-131
    発行日: 2003/04/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    平成14年7月に無登録での使用が問題となったカプタホール,シヘキサチン,1-ナフチル酢酸(NAA)およびキントゼン(PCNB)の4農薬について,各種果実試料から同時に抽出して試験する簡昜な分析法を作成した.これら農薬をリン酸酸性下アセトンで抽出し,酢酸エチルに転溶後,カプタホールおよびPCNBはフロリジルミニカラムで,NAAは液-液分配で,またシヘキサチンはエチル化した後,それぞれGC-ECD, 蛍光-HPLCおよびGC-FPDを用いて分析したところ,特に妨害なく測定,確認ができた.本法は,簡昜な操作で比較的精度良く測定でき,これら無登録農薬の使用の有無を判断するための簡昜分析法として有用であると考えられた.
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