食品衛生学雑誌
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44 巻, 3 号
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ノート
  • 守山 智章, 進藤 久美子, 田口 陽嗣, 渡邊 久芳, 安井 明美, 條 照雄
    2003 年 44 巻 3 号 p. 145-149
    発行日: 2003/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    流通している精白米の搗精工程におけるカドミウム(Cd)の動態を解明するため,小売店レベルの中規模精米機を使用して,原料玄米から精白米および糠を調製し,Cd濃度の変化を調べた.試料溶液は,硝酸-フッ化水素酸によりマイクロ波分解して調製し,ICP-MSにより測定した.Cd濃度は相対濃度で,原料玄米100に対し,精白米は97を示し,搗精工程による濃度の減少はわずかであった.また,その減少の程度は,従来の報告よりも小さかった.さらに,精白米を無洗米処理した試料についても調べたが,相対濃度で,精白米100に対し,無洗米は98を示し,無洗米工程においても濃度の減少はわずかであった.
  • 堀江 正一, 竹上 晴美, 戸谷 和男, 菊池 好則, 中澤 裕之
    2003 年 44 巻 3 号 p. 150-154
    発行日: 2003/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    LC/MSを用いた畜水産食品中のスピラマイシン(SPM)およびチルミコシン(TLM)の定量法を検討した.試料の前処理には,抽出に 0.2% メタリン酸-メタノール(6 : 4)混液を,クリーンアップにはOasis HLBカートリッジを採用した.SPMの主成分SPM-I, その主代謝物NSPM-IおよびTLMは,エレクトロスプレーイオン化ポジティブモードによりそれぞれ2価イオン[M+2H]2+が感度良く観測された.LC条件は,カラムにCapcell Pak MG-C18 (150×2 mm i.d.), 移動相には 0.02% ギ酸–アセトニトリル系を用い,グラジエント溶出法を用いた.本法における添加回収率は0.2 μg/gの添加で 73.2~89.2%, 検出限界は0.01 μg/gであった.
  • 藤川 浩, 甲斐 明美, 諸角 聖
    2003 年 44 巻 3 号 p. 155-160
    発行日: 2003/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    生物の増殖モデルとして知られているロジスティックモデルを基に,細菌増殖を予測する新しいモデルを開発した.このモデルはラグタイムにおける増殖速度の抑制を表す項を元のモデルに加えたものである.新モデルは各種初期条件下での大腸菌およびサルモネラのS字型増殖曲線を高い精度で表した.しかも,予測微生物学モデルとして一般に使われている改変ゴンペルツモデルよりも実測値に近い予測ができた.さらに,このモデルを用いて,サルモネラの定常温度下での増殖データから,ある仮想の変動温度における増殖が予測できた.以上の結果から,新モデルは各種の温度条件下における細菌増殖を予測する有効な手段となりうると考えられる.
調査・資料
  • 近藤 治美, 天川 映子, 佐藤 寛, 青柳 陽子, 安田 和男
    2003 年 44 巻 3 号 p. 161-167
    発行日: 2003/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    農産物中の有機塩素系,ピレスロイド系および含窒素系農薬計53成分について,アセトニトリルで抽出後,Sep-Pak C18およびENVI-Carb/LC-NH2で精製し,GC/MSおよびGC-ECD, GC-FTDにより測定する多成分分析法の検討を行った.こまつな,きゅうりなど9作物の添加回収試験を行ったところ,すべての作物で回収率 70~120% の範囲内であった成分は,GCでは47成分(89%)あったがGC/MSでは27成分(51%)であった.本法は,従来の方法に比べて短時間で簡便に少量の溶媒量で行うことができ,GC-FPDおよびHPLCを用いた前報と合わせて99成分の残留農薬の多成分分析法として有用であると考えられる.平成13年度に国内産農産物81試料の残留農薬実態調査を行った.21試料から延べ31農薬が検出された.
  • 阿部 有希子, 杉田 たき子, 和久井 千世子, 新野 竜大, 四方田 千佳子, 石綿 肇, 棚元 憲一, 米谷 民雄
    2003 年 44 巻 3 号 p. 168-174
    発行日: 2003/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    軟質玩具の表示および可塑剤について調査を行った.2000年度および2001年度に購入した96製品の素材表示について調査を行ったところ,2000年度購入分の 43%, 2001年度購入分の 68% に表示が施されていた.軟質ポリ塩化ビニル(PVC)製73製品については,可塑剤の種類および含有量の調査を行った.検出された可塑剤は,フタル酸エステル3種類とその他6種類であり,これらのうちフタル酸ジイソノニル,フタル酸ジ(2-エチルヘキシル),アジピン酸ジイソノニルおよびクエン酸O-アセチルトリブチルは検出率が高く,含有量も多かった.可塑剤総含有量の平均値は2000年度280 mg/g, 2001年度227 mg/gであった.また,2001年度は酸化防止剤,4-ノニルフェノールおよびビスフェノールAについても調査を行った.
  • 吉田 精作, 田口 修三, 田中 之雄, 堀 伸二郎
    2003 年 44 巻 3 号 p. 175-179
    発行日: 2003/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    家庭用殺虫剤スプレーやシロアリ防除剤に使用されている有機塩素系共力剤S-421の魚介類中濃度を調査した.S-421は魚介類からアセトン・ヘキサンで抽出し,シリカゲル40で精製後,ECD-GCで定量した.国産魚介類44検体からは,検出率 82%, 濃度範囲<0.2∼2.3 ng/g, 中央値0.5 ng/g, 平均値0.6 ng/gで検出された.15か国から輸入された魚介類43検体からは,検出率 63%, 濃度範囲<0.2∼1.0 ng/g, 中央値0.2 ng/g, 平均値0.2 ng/gで検出され,地球規模の汚染が進行していることが示唆された.魚介類中S-421濃度はHCHs濃度と同レベルで,DDTs濃度より1桁低かった.変異原性を有し,環境中で安定で蓄積性のあるS-421の汚染状況調査がさらに必要である.
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