食品衛生学雑誌
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45 巻, 2 号
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報文
  • 田中 健治, 小林 秀誉, 永田 忠博, 真鍋 勝
    2004 年 45 巻 2 号 p. 63-66
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    米はマイコトキシン汚染の少ない穀物である.ところが,1998年には,台風で倒伏し水に浸かったイネがあり,この米は褐色に着色していた.この年は,国内ではムギの赤かび病が大発生した年でもあったので,この米についてトリコテセン系マイコトキシンの抽出を行い,分析した.定性は,GC/MSで,定量はGC-ECDで行った.その結果,デオキシニバレノール (DON),フザレノン-X (Fus.-X),ニバレノール(NIV)のトリコテセン系マイコトキシンが検出された.米でのDONの汚染は報告されているが,現在著者の知る限りでは,Fus.-Xの汚染報告は初めてである.
  • 鵜澤 昌好, 桜井 孝治, 奥山 知子, 朝田 慎也, 坂ノ下 典正, 塚田 陽康, 河原 成元
    2004 年 45 巻 2 号 p. 67-72
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    チューインガム中のテルペン樹脂の分析方法を開発した.チューインガムをヘキサンで抽出し,シリカゲルカラムクロマトグラフにて2回(ヘキサン,酢酸エチル)処理することによりテルペン樹脂を精製し,LC/MSとIRにて分析を行った.テルペン樹脂が分子量136であるピネン,リモネンなどの重合物混合物であることから,LC/MSにおけるトータルイオンクロマトグラム上のテルペン樹脂に該当する成分のMSスペクトル(M+H)+m/z 136おきのピークパターンになり,テルペン樹脂に特徴的なものであった.IRはテルペン樹脂タイプがピネンかリモネンかを判定する際に有効であった.本法により国内販売されている海外生産チューインガムよりテルペン樹脂が検出された.
ノート
  • 山森 邦夫, 河野 迪子, 古川 清, 松居 隆
    2004 年 45 巻 2 号 p. 73-75
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    無毒養殖クサフグ稚魚に結晶TTXを30日間経口投与し,その後170日間無毒飼料で飼育した.この間経時的に5尾ずつ採取し,各組識の毒量を測定した.1尾当たりの総毒量 (各組識の毒量の合計) は飼育日数60日目までは90 μgで投与毒量(180 μg/尾)の約50%であった.80日目には54 μg (30%)に減少したが,その後200日目までほとんど変化しなかった.肝臓の毒量は30日目には40 μgと総毒量の45%を占めていたが,その後減少し200日目には5 μg (10%)程度になった.皮の毒量は50日目に最高値30 μg (30%)に達し,それ以降変化しなかった.精巣には毒はなく,卵巣は未熟ながらその重量の増加とともに毒量は増大した.実験魚は1尾の例外もなく毒化した.
  • 小林 武志, 長島 裕二, 木村 凡, 藤井 建夫
    2004 年 45 巻 2 号 p. 76-80
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    フグ毒テトロドトキシンを滅菌したぬか漬けに添加すると毒性が低下することを見いだし,この原因を明らかとするために,テトロドトキシンを添加した滅菌無機培地を弱酸性下に放置し,経時的にマウス試験を行ったところ,マウス致死活性が消失した.このことから,無機培地中にテトロドトキシンの毒性を低下させる要因があると考え,高速液体クロマトグラフィーと併用して検討したところ,培地成分の無機塩溶液を除去したとき,毒性の減少が抑制された.そこで,無機塩溶液に含まれる各成分の影響を検討したところ,ホウ酸がテトロドトキシンの毒性減少に深く関与していることが判明した.
  • 坂牧 成恵, 松本 ひろ子, 萩野 賀世, 中里 光男, 安田 和男
    2004 年 45 巻 2 号 p. 81-86
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    食品中のステビオシド(Stev),レバウジオシドA (RebA)およびグリチルリチン酸(GA)の一斉分析法について検討した.抽出は魚介乾製品を除く一般食品は,トリス-塩酸緩衝液(pH 9.0)を用いた透析,魚介乾製品は同緩衝液とメタノールの混液(2 : 8)による溶媒抽出によって行った.精製はOasis MAXカートリッジを用い,HPLCで測定した.カラムはC30,移動相は0.02 mol/Lリン酸-アセトニトリル-メタノール(90 : 55 : 5)を用い,検出は210 nm,254 nmの2波長で行った.回収率はStev,RebAで82~100%,GAでは79~95%と良好であり,定量限界は3成分とも0.01g/kgであった.本法を市販食品に適用し,測定結果を食品衛生検査指針による結果と比較したところ,よく一致した.
調査・資料
  • 石川 精一, 苗床 江理, 川村 誠二, 山口 理香, 樋口 雅之, 小嶋 勉, 大和 康博, 高橋 正規
    2004 年 45 巻 2 号 p. 87-94
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    北九州市域に流通している食品116種類715検体について,160種類の農薬の残留実態調査を行った.食品55種類204検体から0.002~22 mg/kgの濃度範囲で60種類の農薬が検出された.食品衛生法による残留基準値が設定されていない農薬の検出割合は,国産品が27.8%,輸入品が33.0%であった.検出率が高かった農薬は,国産品ではイプロジオン>ジコホール>ジエトフェンカルブ>プロシミドン>クロルフェナピルなどで,輸入品では総臭素およびベノミルをはじめ,クロルピリホス>ジコホール>フェンバレレート>シペルメトリン>ジメトエートなどであった.輸入果実類や輸入冷凍食品類,輸入加工食品類から農薬が検出されやすい傾向にあった.
  • 堤内 要, 日比野 真理子, 神戸 真理子, 大石 かおり, 岡田 鉦彦, 三輪 錠司, 谷口 肇
    2004 年 45 巻 2 号 p. 95-99
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    イオントラップ型LC/MS/MSによる加工食品中のアクリルアミド(AA)の定量を検討した.重水素化アクリルアミド(AA- d3)を内部標準に用いたAA標準溶液のMultiple Reaction Monitoring (MRM)測定では,AA濃度が2~20,000 ng/mLの範囲で,各プロダクトイオン(m/z 55, 58)のクロマトグラムにおけるピーク面積の比(AA/AA- d3)とAA濃度との間に良好な直線関係を確認することができた.また,定量限界は2 ng/mLであった.市販食品37検体の実態調査を行った結果,ポテトスナックから最高3,570 ng/gのAAを検出したほか,熱処理した多くの食品からAAを検出した.イオントラップ型LC/MS/MSを用いたAAの定量分析は,多くの食品試料に対して相対標準偏差(RSD) 15%未満の分析値を得ることができた.
  • 田中 之雄, 田口 修三, 吉田 精作, 堀 伸二郎
    2004 年 45 巻 2 号 p. 100-105
    発行日: 2004/04/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    RBL-2H3細胞内の顆粒内酵素β-ヘキソサミニダーゼの遊離を指標とする脱顆粒反応を亢進した4食品添加物,7農薬および2動物用医薬品に対して,脱顆粒反応を抑制する物質として見いだした亜鉛を取り上げ,上記合成化学物質によって亢進される脱顆粒反応を抑制する可能性について検討した.その結果,ブチルヒドロキシアニソール,ジブチルヒドロキシトルエン,オルトフェニルフェノール,パラオキシ安息香酸ブチルの4食品添加物,ビテルタノール,EPN, cis-ペルメトリン,trans-ペルメトリン,プロチオホス,ピリダベン,テルブホスの7農薬および動物用医薬品のサリノマイシンは,それぞれ亜鉛と同時に細胞に作用させたところ,亜鉛がこれら化学物質の脱顆粒反応亢進作用を抑制することが認められた.
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