食品衛生学雑誌
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46 巻, 3 号
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報文
  • 辻 澄子, 中野 真希, 寺田 久屋, 田村 征男, 外海 泰秀
    2005 年 46 巻 3 号 p. 63-71
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    ジブチルヒドロキシトルエン(BHT),ブチルヒドロキシアニソール(BHA)および没食子酸プロビル(PG),ノルジヒドログアヤレチック酸(NDGA)およびターシャリーブチルヒドロキノン(TBHQ)の5種類のフェノール系酸化防止剤について,LC/MSおよびGC/MSによる定量・確認法を肉まんを用いて開発した.乾燥ガス付LC/MS (ESI)により, Shim-pack FC-ODSカラムを用いて5種類のフェノール系酸化防止剤の疑分子イオン[M-H]-が観察された.GC/MS (EI)では5種のうちBHA, BHT, BHTQの3種についてフラグメントイオンが観察された.分析操作中に分解しやすいTBHQ, NDGA, PGは抽出混合溶媒にアスコルビン酸を加えることにより分解を防止でき,チューインガム以外の油脂はMega-Bond Elut® C18カートリッジで精製することにより,LC/MSおよびGC/MSで良好に分析でき,オリーブ油,パスタソース,ピーナッツバターに適用できた.
  • 小山 政道, 吉田 和郎, 内堀 伸健, 和田 伊知朗, 秋山 和幸, 佐々木 珠美
    2005 年 46 巻 3 号 p. 72-78
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    LC/MSによる食品中の9種甘味料について一斉分析法を検討した.0.08 mol/Lリン酸緩衝液(pH 7.0)-エタノール(1 : 1)を用いて直接抽出し,C18カートリッジで精製を行った.移動相にはイオンペアー試薬酢酸ジブチルアンモニウムおよびアセトニトリル-水(8 : 2)のグラジエント溶出法を用いた.5種類の食品に9種の甘味料を添加したときの回収率はおおむね90%以上,定量限界はアセスルファムカリウム,サッカリン,サイクラミン酸,アスパルテームおよびステビオシドが0.001 g/kg,スクラロース,ズルチン,グリチルリチン酸およびレバウジオシドAが0.005 g/kgであった.本法は9種甘味料を迅速かつ同時に分析でき,日常のモニタリング法として有用であると考える.
  • 門間 公夫, 荒木 理江, 鷺 直樹, 佐藤 正基, 市川 久次, 佐藤 和恵, 戸部 敞, 鎌田 国広, 日野 明寛, 斉藤 和夫
    2005 年 46 巻 3 号 p. 79-85
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    外国製のトウモロコシ加工食品とジャガイモ加工食品を米国または国内で入手してGMOの検査を実施した.トウモロコシ加工食品では32検体中12検体からGMOが検知された.GMO陽性検体についてはGMトウモロコシの系統特異的検知を行った.その結果,安全性審査済みの複数のGMトウモロコシが同時に検知され,なかでもMON810とBt11は多くの検体から検知された.またRRSが1検体から検知された.安全性審査未了のCBH351は検知されなかった.GMトウモロコシが検知された6検体についてはスクリーング定量試験を行った.その結果,GMトウモロコシの混入率は0.1から24.1%であった.ジャガイモ加工食品においてはGMジャガイモが検知されなかったが,RRSが1検体から検知された.
  • 平井 昭彦, 金子 誠二, 仲真 晶子, 石崎 直人, 小田桐 恵, 甲斐 明美, 貞升 健志, 新開 敬行, 矢野 一好, 諸角 聖
    2005 年 46 巻 3 号 p. 86-92
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    PCR法により市販牛乳244検体のCoxiella burnetii 汚染状況調査を行った結果,131検体(53.7%)からC. burnetii 遺伝子が検出された.このうち22検体についてマウスによる菌分離を試みたがすべて陰性であった.次にPCR法による鶏卵中のC. burnetii 検査法の検討を行った.卵黄に1 mol/L NaCl加phosphate bufferを等量加え,ホモジナイズ後遠心することで多量のタンパク質や脂質を除去できC. burnetii を沈渣中へ集菌することができた.SDSで消化後NaI法によりDNAを抽出しPCR法でcom1 遺伝子を確認した.本法のC. burnetii 検出感度は3.2×101個/卵黄1 gであった.本法により市販鶏卵200検体を調べたが,C. burnetii は検出されなかった.
  • 石川 ふさ子, 大石 充男, 新藤 哲也, 堀江 正男, 安井 明子, 上原 眞一, 荻野 周三, 伊藤 弘一
    2005 年 46 巻 3 号 p. 93-98
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    焼き魚などにあしらわれる生姜の酢漬けであるはじかみの着色料検査で,食用赤色105号(R105)とともにTLC上に認められた2種類の不明色素についてPDA-HPLC,LC/MSおよびNMRを用いて構造解析をした.PDA-HPLCでの2色素の吸収スペクトルはR105のそれと類似しており,これらは類似の化学構造を有することが示唆された.またLC/MSの結果から,これら2色素はR105から1ないし2個のヨウ素が脱離した化合物であることが推測された.さらに 1H-NMRおよび 13C-NMR測定の結果から,これら2色素はR105の5'位あるいは4', 5'位のヨウ素が水素に置換した化合物であることが判明した.
  • 阿久津 和彦, 桑原 克義, 小西 良昌, 松本 比佐志, 村上 保行, 田中 之雄, 松田 りえ子, 堀 伸二郎
    2005 年 46 巻 3 号 p. 99-108
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    GC/MSを用いた食品中のポリ塩化ビフェニル(PCBs)の異性体分析法について検討を行った.市販の食用魚16検体についてGC/MS法と従来のGC-ECD数値化法により算出した総PCBs濃度を比較したところ,両者の間には良好な一致が認められた.本法を用いて大阪府で調製されたトータルダイエットスタディー試料10~12群(魚介類,肉・卵類,乳・乳製品類)の分析を行い,食事に由来するPCBsの一日摂取量の経年変化を調べた.総PCBs(3~7塩化物の合計)の一日摂取量は1982年から2001年にかけて0.7~4.4 μg/ヒト/日の範囲で推移し,いずれの年も暫定許容摂取量(250 μg/ヒト/日,体重50 kgの場合)の2%以下であった.最も摂取量の多い異性体は2,2',4,4',5,5'-6塩化ビフェニル(#153)であり,総PCBsの 9~15% を占めていた.また,低塩素化物の比率は全体的に1980年代から2000年代にかけて減少傾向を示し,魚介類を中心に食品中のPCBs異性体組成は徐々に変化していることが示唆された.
  • 大門 由佳, 河村 葉子, 六鹿 元雄, 田村 悦臣, 棚元 憲一
    2005 年 46 巻 3 号 p. 109-115
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンテレフタレート(PET)再生材中の残存金属類をICP-MSにより分析した.その結果,物理的再生材および超洗浄様再生材ではすべての試料でGeおよびSbが同時に検出され,Co, P, Siなども検出された.一方,化学的再生材ではGe, Sbのいずれか一方が検出され,その他Coも検出された.これらの金属は縮重合触媒や添加剤など樹脂に由来すると推定され,食品衛生上問題は見られなかった.さらに,PET製品からGeとSbが同時に検出された場合には再生材使用と判別できることが判明し,それをもとにシート成形品を調査したところ約半数で再生材が使用されていた.
ノート
  • 辻 澄子, 中野 真希, 古川 みづき, 吉井 公彦, 外海 泰秀
    2005 年 46 巻 3 号 p. 116-120
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    CFRおよびJECFAではFD & C Blue No. 2(B2;インジゴカルミン,インジゴチン,食用青色2号)の総色素量85%以上,異性体(B2iso)含量18%以下および副成色素(B2sub) 2% (CFR)または1% (JECFA)以下と規定している.第7版食品添加物公定書では,総色素量85.0%以上およびペーパークロマトグラフィーによる他の色素の不検出という規定となっている.そこで,LC/MSおよびHPLCを用いて,B2中の主色素(B2m),B2isoおよびB2subの測定法について検討し,LC/MSのMSスペクトルにより,それぞれの擬分子イオン(B2mおよびB2iso: [M-2Na+H]-m/z=421; B2sub: [M-Na]-m/z=341)が得られることが明らかになり,LC/MSにより同定し,HPLCによる定量法を開発した.さらに,平成10年度~平成14年度の製品検査合格品B2(14試料)中の各色素の含有量を測定した.その結果,各試料中のB2isoはほとんど10%以下,B2subはすべて1%以下であり,いずれもCFRおよびJECFAの限度規格値内であった.
  • 境 正, 河原 聡
    2005 年 46 巻 3 号 p. 121-123
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    パンの脂質過酸化の程度を明らかにするため,市販の食パン,フランスパンおよびクロワッサン中のマロンジアルデヒド(MA)含量を測定した.さらに,4℃ で保存試験を行い,MA含量の変動を調査した.調べたすべてのパンでMAが検出され,油脂含量が高いクロワッサンでその値が最も高かった.製造直後のそれらの3種類のパンを用いて,保存中のMA含量の変動を経時的に測定した.すべてのパン中のMA含量は4日目まで上昇し,その上昇の割合はフランスパンが最も高かった.
  • 八巻 ゆみこ, 堀井 昭三, 橋本 常生, 笹本 剛生, 牛尾 房雄, 鎌田 国広, 井部 明広
    2005 年 46 巻 3 号 p. 124-126
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    果物および穀物における総臭素分析の公定法は,臭素を3-pentanoneで誘導体化し,GCで分析する方法である.この方法は選択性が高く優れた方法であるが,試料によっては,きょう雑物ピークがクロマトグラム上に検出される.そのため,今回は誘導体化に3-hexanoneを使用し,きょう雑物ピークの軽減を行った.試料はアルカリ処理を行い,電気炉で灰化した後,過マンガン酸カリウム溶液で酸化し,3-hexanoneで誘導体化した.検量線は0.1~5.0 μg/mLの範囲まで良好な直線性を示した.本法の検出限界(S/N=10)は0.1 μg/mL(試料1 g当たり1 μg~5 μg)であった.果物,穀物およびハーブに5~25 μg/g添加したときの平均回収率は84.2~96.9%,相対標準偏差は1.4~6.3%であった.本法は日常検査法として有用であると思われる.
調査・資料
  • 観 公子, 牛山 博文, 新藤 哲也, 斉藤 和夫
    2005 年 46 巻 3 号 p. 127-132
    発行日: 2005/06/25
    公開日: 2009/01/21
    ジャーナル フリー
    東京都において,ヒスタミンを原因とする食中毒などは,ここ20年間においてほぼ毎年発生しており,いわし,さば,あじなどの赤身魚によることが多い.そこで,ヒスタミンをはじめ5種の不揮発性アミンについて市販の魚およびその加工品637検体について調査をした.また,ヒスタミンの生成は細菌が関与することから水分活性などを測定した.その結果,ヒスタミンが66検体から5~340 mg/100 gの範囲で検出され,その大半はいわし類の干物であった.同時にチラミンが5~51 mg/100 の範囲で43検体,プトレシンが5~42 mg/100 の範囲で26検体,カダベリンが5~180 mg/100 の範囲で64検体およびスペルミジンが5~8 mg/100 の範囲で5検体から検出された.また,ヒスタミンが検出された干物試料の水分活性は0.68~0.96であった.
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