食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
Print ISSN : 0015-6426
ISSN-L : 0015-6426
47 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
報文
  • 菅野 慎二, 河村 葉子, 六鹿 元雄, 棚元 憲一
    2006 年47 巻3 号 p. 89-94
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2008/08/04
    ジャーナル フリー
    可塑剤または安定剤として使用されるエポキシ化大豆油(ESBO)およびエポキシ化亜麻仁油(ELO)について,ラップフィルムおよびキャップシーリング中の分析法を検討した.Castleらの報告を改良し,アセトン-ヘキサン(3 : 7)で抽出してアルカリ分解およびメチル化後,ジオキソラン誘導体としてGC/MSにより測定した.本法の回収率は92.6∼104.4%と良好であり,定量限界はラップフィルムでESBO 0.01 mg/gおよびELO 0.02 mg/g,キャップシーリングで0.04 mg/gおよび0.08 mg/gであった.我が国の市場に流通する製品を調査したところ,PVC製ラップフィルムではESBOまたはELOが34.7∼82.8 mg/g, PVDC製ラップフィルムではELOが8.60および11.4 mg/g, PVC製キャップシーリングではESBOが5.47∼399 mg/gとすべての製品から検出された.含有量の少ないものは安定剤,多いものは可塑剤として添加されたと推定された.
  • 藤川 浩, 矢野 一好, 諸角 聖
    2006 年47 巻3 号 p. 95-98
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2008/08/04
    ジャーナル フリー
    一般に食品内部はその表面に比べ,外気と接触する機会が非常に少ないと考えられる.今回,非常に少量の限られた空気しか含まない密封パウチ食品(マッシュポテト)内部での大腸菌増殖を調べ,私たちの開発した増殖モデルを用いて解析した.その結果,定常温度下におけるパウチ内での増殖曲線はS字状となり,その速度定数およびラグタイムの温度依存性を明らかにした.パウチ内での増殖挙動は,多量の空気が存在するガラスビン内での増殖,さらにこれまで報告した同一温度下の液体培地中および寒天平板上での増殖とも一致した.以上の結果から,本菌の増殖挙動は栄養が豊富であれば各種環境条件下でほぼ一致することが明らかとなった.
  • 尾崎 麻子, 川崎 智恵, 河村 葉子, 棚元 憲一
    2006 年47 巻3 号 p. 99-104
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2008/08/04
    ジャーナル フリー
    食品用板紙製品15検体およびバージンパルプ紙製品6検体について,ビスフェノールA,ベンゾフェノン,4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン,ミヒラーズケトンおよび4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンの食品擬似溶媒への溶出を検討した.バージンパルプ紙製品では一部でビスフェノールAとベンゾフェノンを含有していたが,いずれの化合物も溶出は認められなかった.一方,食品用板紙製品はいずれも再生紙を用いており,すべての製品でビスフェノールAやベンゾフェノン類の含有が認められた.ビスフェノールAは 20% エタノール,ベンゾフェノン類は 95% エタノールで最も溶出する傾向が見られたが,その溶出量は最高でも27.2 ng/mL,大部分は10 ng/mL以下であり,紙製品の使用状況,接触食品の摂取量,各化合物のTDIやNOAELなどを考慮すれば安全性に懸念がないと判断された.
  • 田中 康夫, 高橋 京子, 桐ケ谷 忠司, 細井 志郎, 日高 利夫, 神田 宏, 中澤 裕之
    2006 年47 巻3 号 p. 105-110
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2008/08/04
    ジャーナル フリー
    野菜のチンゲンサイ試験溶液をGC-FPDで分析した結果,ジスルホトン(P=S・S)の代謝物ジスルホトンスルホキシド(P=S・SO)と考えられるピークを検出した.GC/MSで同定を試みたが,P=S・SO標準品と保持時間およびマススペクトルが一致したもののマススペクトルはライブラリーと一致せず,P=S・SOが注入口で熱分解したものを分析したと考えられた.そこでPTV注入口を用いたパルスドスプリットレス注入法により,注入口の温度を低くし,注入時に高圧をかけてP=S・SOの熱分解をできるだけ抑えるように検討した.その結果,P=S・SO本来のマススペクトルを得ることができた.この条件でチンゲンサイ中のピークを同定した結果,P=S・SOであると確認された.P=S・SOはチンゲンサイ25検体中2検体から検出され,その残留濃度は0.66 μg/gおよび0.14 μg/gであった.
ノート
  • 穐山 浩, 渡邉 敬浩, 菊地 博之, 坂田 こずえ, 時下 祥子, 林 芳樹, 日野 明寛, 手島 玲子, 澤田 純一, 米谷 民雄
    2006 年47 巻3 号 p. 111-114
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2008/08/04
    ジャーナル フリー
    日本で安全性審査未終了である遺伝子組換え(GM)米の検知を目的に,GMコットン用に市販されているラテラルフロ-法を組換えCryIAcタンパク質を添加した玄米と精米に適用した.GM米は昆虫に抵抗性を示すBtトキシンであるCryIAcタンパク質を発現する.標準品として用いた組換えCryIAcタンパク質は,CryIAcをコードする遺伝子を挿入された大腸菌株から,ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて調製した.調製された組換えCryIAcタンパク質を玄米と精米に添加し,GMコットンの検知に市販されているラテラルフロ-法で適用を試みた.その結果,玄米および精米ともCryIAcタンパク質を0.012 μg/gのレベルで明確に検出できた,0.012 μg/gのレベルでCryIAcタンパク質を明瞭に検出するためには,試料抽出液をストリップ上に浸した後60分放置させることが必要であることが判明した.CryIAcタンパク質の検出限界は,米1 g当たり約12 ngと判断された.これらの結果から,GMコットンの検知にも用いられているラテラルフロ-法は,GM米で発現されるCryIAcタンパク質の検出にも可能であることが示唆された.
  • 藤川 浩, 矢野 一好, 諸角 聖
    2006 年47 巻3 号 p. 115-118
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2008/08/04
    ジャーナル フリー
    前回,パウチ食品(マッシュポテト)内での大腸菌増殖を調べ,私たちの開発した新ロジスティックモデルを用いて解析した.今回はこの増殖挙動を,本モデルと国際的によく使われているバラニーモデルおよび改変ゴンペルツモデルが,高い精度で表せるかを比較した.その結果,定常温度下では3モデルとも,特に本モデルとバラニーモデルは実測値とよく一致した.変動温度では本モデルが高い精度で予測できたのに対し,バラニーモデルでは大きく実測値を逸脱した.しかも,このモデルは解析方法によって得られた増殖曲線が異なった.今回の結果から,新ロジスティックモデルがパウチ食品中の細菌増殖予測に有効な手段となりうることが示された.
調査・資料
feedback
Top