食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
Print ISSN : 0015-6426
ISSN-L : 0015-6426
48 巻, 6 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
報文
  • 氏家 愛子, 長谷部 洋, 千葉 美子, 柳田 則明
    2007 年 48 巻 6 号 p. 163-169
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    食品中のサッカリン(SA),ソルビン酸(SOA),安息香酸(BA),パラオキシ安息香酸エチル(PHBA-Et),同イソプロピル(PHBA-isoPr),同プロピル(PHBA-Pr),同イソブチル(PHBA-isoBu)および同ブチル(PHBA-Bu)について,超音波および振とう抽出を前処理に用いたHPLC-PDAによる一斉分析法を検討した.抽出溶媒に,アセトニトリル-水(1 : 1)を使用した添加回収率は 78∼120% であり,従前の方法で回収率の低い傾向が見られた魚介類乾製品のSAは96%,高タンパク質食品のPHBA-Esは86∼89%,高油脂含有食品のPHBA-Esは 80∼92% と大幅に改善できた.本法の定量下限値は10 μg/gであった.また,これらの同定法として,LC/ESI-MS/MS-MRM分析について検討を行い,ネガティブモードでのプリカーサーイオン>プロダクトイオンを用いて同定できた.HPLC分析での保持時間が近接する異性体のPHBA-isoPrとPHBA-Pr, PHBA-isoBuとPHBA-Buも分別して同定可能であった.
  • 渡邉 敬浩, 白政 優子, 古井 聡, 橘田 和美, 峯岸 恭孝, 穐山 浩, 米谷 民雄
    2007 年 48 巻 6 号 p. 170-178
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    安全性未審査遺伝子組換えコメ(LLRice601系統)の流通を監視するためには,信頼性のある分析法が必要とされる.そこで本研究では,コメを対象としたDNA抽出法および解析方法を含む検知技術を開発し,その妥当性について検証した.その結果,安定した量のDNAを抽出可能な抽出法および測定結果を安定して得ることが可能な real-time PCR 法が開発された.共同試験の結果,LLRice601系統由来のDNAを 0.1% 含有した試料の陽性率は 100% であった.また,全試料を通じて得られた内在性遺伝子の測定値(Ct 値)および,0.1% 試料について得られたLLRiceコンストラクト特異的DNA配列の測定値(Ct 値)を統計的に解析した結果,有意差は認められず,本方法の妥当性が確認された.0.1% 未満の試料については検出率がばらついたため,検出下限は 0.1% 付近であると考えられた.また,測定結果の判定については,一義的には40未満のCt値が得られるか否かをもって行うことが妥当であることが蛍光強度の解析により示唆された.
調査・資料
  • 多田 敦子, 増田 愛乃, 杉本 直樹, 山形 一雄, 山崎 壮, 棚元 憲一
    2007 年 48 巻 6 号 p. 179-185
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    天然由来のエステル系ガムベース10品目(ウルシロウ,カルナウバロウ,カンデリラロウ,コメヌカロウ,シェラックロウ,ホホバロウ,ミツロウ,モクロウ,モンタンロウおよびラノリン)の成分分析を行い,含有成分組成の差異を比較検討した.TLC分析の結果,含有脂質成分組成の概要が把握でき,いくつかの品目では,その特徴的なTLCパターンにより,他品目との区別が可能であった.しかし,TLCパターンの類似した品目間では相互の区別ができなかったため,さらに,GC/MSにより構成脂肪酸およびアルコールを分析した.その結果,構成脂肪酸およびアルコールの種類やピーク強度比が品目ごとに特徴的であり,TLCパターンが似ている品目同士も,脂肪酸組成分析とアルコール組成分析を組み合わせることで,相互に区別できることが示唆された.今回得られた結果は,エステル系ガムベース製品の種類の推定・判別を行う上で有用な情報であると考えられる.
  • 小林 麻紀, 高野 伊知郎, 田村 康宏, 富澤 早苗, 立石 恭也, 酒井 奈穂子, 上條 恭子, 井部 明広, 永山 敏廣
    2007 年 48 巻 6 号 p. 186-193
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    1999年4月から2005年6月にかけて東京都内で市販されていたベビーフード316検体について農薬の残留調査を行った.その結果,28検体から有機リン系農薬,有機塩素系農薬,カルバメート系農薬,ピレスロイド系農薬など15種類の農薬が痕跡値(0.01 ppm未満)∼0.55 ppmの範囲で検出された.農薬が検出されたベビーフードは,原材料で農薬の検出頻度の高い小麦粉,葉菜類(ほうれんそう)および果実(りんご,ももなど)を用い,うらごし製品や清涼飲料のように比較的加工工程の少ないものであった.農薬を検出したベビーフードについて,各製品に記載されている1回の使用量で1日に3回喫食した場合における各農薬の推定摂取量を算出したところ,各ADI値の 0.06∼16.6% であった.このことから通常の喫食状況で乳幼児に対して特に問題となるものではないと考えられた.
  • 廣田 雅光, 澤田 千尋, 鈴木 剛, 上田 千尋, 古山 睦子, 西條 陽子, 内藤 万祐子, 広瀬 桂, 佐藤 真理, 豊田 正武
    2007 年 48 巻 6 号 p. 194-202
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    輸入加工食品52検体について2種類のイムノクロマトキットを用いて,卵,牛乳,小麦,落花生の4項目の特定原材料の検出を行った.39検体については,ELISA法による検出も併せて行った.1種類のイムノクロマトキットによる23検体92データ中,ELISA法では検出されなかったが,イムノクロマト法で検知されたものは9データであった.2種類のイムノクロマトキットによる29検体116データ中,ELISA法で検出され,1種類のイムノクロマトキットで検知されなかったものが6データ見られたが,別のイムノクロマトキットでは検知された.したがって,ELISA法で特定原材料の検知可能な食品は,2種類のイムノクロマトキットのいずれかにより検知可能であり,2種類のイムノクロマトキットを用いる検知方法は,スクリーニング法として有用であることが示された.
  • 尾花 裕孝, 古田 雅一, 田中 之雄
    2007 年 48 巻 6 号 p. 203-206
    発行日: 2007/12/25
    公開日: 2008/03/10
    ジャーナル フリー
    放射線照射された食肉・魚肉類が流通市場に混入した場合でも確認できるかを検証することを目的に,一定期間冷凍保存した照射食肉・魚肉や加熱調理済み食品に含まれる材料の照射履歴の検知を試みた.照射履歴の指標には2-アルキルシクロブタノン類を選びGC/MSを用いて分析した.放射線照射された生試料を1年間冷凍保存したとき2-アルキルシクロブタノン類の大幅な減少はなく,照射履歴検出は可能であった.照射試料を加熱調理冷凍保存した場合は時間の経過とともに明らかな減少を示したが,1年間冷凍保存後の照射履歴検出は可能であった.
feedback
Top