食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
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49 巻, 2 号
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報文
  • 大森 清美, 土屋 久世, 渡邉 敬浩, 穐山 浩, 米谷 民雄, 山田 利治, 平山 クニ, 佐藤 修二
    2008 年49 巻2 号 p. 63-69
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2008/05/26
    ジャーナル フリー
    遺伝子組換え(GM)パパイヤ検知のためのDNA抽出精製法として,新たにPromega Wizard DNA Clean-Up Resin Systemを用いたパパイヤ生試料およびパパイヤ凍結乾燥試料からのDNA抽出精製法 (WCR法) を検討した.WCR法は迅速であり,抽出操作も簡便である.また,WCR法は,シリカゲル膜タイプキット法およびCTAB法よりもDNA収量が著しく高く,さまざまな熟し度合いのパパイヤから,定性PCR用として十分な濃度のDNA試料液を得ることが可能であった.よって,パパイヤからの有用なDNA抽出精製法として,WCR法を提案する.
  • 占部 友理恵, 薬袋 裕二, 芳賀 実, 小西 良子, 石黒 厚, 工藤 由起子
    2008 年49 巻2 号 p. 70-75
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2008/05/26
    ジャーナル フリー
    本研究では,香辛料におけるサルモネラ汚染があった場合,汚染品の使用が食中毒発生につながる可能性があるかを検討するために,香辛料中でのサルモネラの生残性およびそれらを添加した調理食品中での増殖性について調べた.ブラックペッパーおよびレッドペッパーにおいて,それら香辛料由来のS. WeltevredenおよびS. SenftenbergはS. Enteritidis よりも生残性が高かった.タマゴサラダおよびナムル中で,サルモネラは10℃保存では増殖しなかったが,30℃保存では24時間で著しく増殖した.今回の結果から,加熱調理後の食材を和える際に香辛料を添加する調理食品の保存は,温度や時間に注意が必要であることが明らかになった.
  • 笠原 義正, 伊藤 健
    2008 年49 巻2 号 p. 76-81
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2008/05/26
    ジャーナル フリー
    LC/MS/MSを用いてトリカブトおよびその中毒原因食品に含まれる4種のアコニチン類 (AC類) を一斉定量する方法を開発した.AC類を1 mmol/Lの塩酸で抽出し,Oasis HLBを用いて精製し,LCのカラムにはDevelosil ODS-HG-5を使用した.移動相は酢酸と酢酸アンモニウムおよびアセトニトリル-THF (1 : 3)によるグラジエントを行った.MS/MSの条件はESIポジティブモード,測定はMRMモードで行った.本法ではトリカブトからのAC類の回収率は93~99%で,検出限界は0.3~0.5 ng/gであった.食中毒原因食品からはジェサコニチンを除く3種のAC類が2.6~29.7 μg/g検出された.本法はトリカブトおよび食中毒原因食品のアコニチン類の分析に有用な方法である.
  • 渡辺 麻衣子, 加藤 裕子, 戸上 敬子, 山中 実喜子, 若林 佳子, 小川 裕由, 稙田 裕子, 後藤 慶一, 工藤 由起子, 天野 典 ...
    2008 年49 巻2 号 p. 82-87
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2008/05/26
    ジャーナル フリー
    Byssochlamys spp. について,簡便,迅速かつ正確に種を同定するために有効な遺伝子指標を評価する目的で,26株のByssochlamys spp. および関連菌種の18S rDNA, 26/28S rRNA遺伝子D2領域およびlys2 の塩基配列を決定し,分子系統解析および相同性解析を行った.その結果,いずれの遺伝子を用いても,その塩基配列の相同性を指標として,それぞれの菌種あるいはグループを識別することができた.3種類の遺伝子のうち,最も優れた解像度を有するのはlys2 であったが,最も簡便に結果を得ることができたのは26/28S rDNA D2領域であった.また,分子系統解析の結果,Byssochlamys spp. とその関連菌種は再分類の必要性があることが示唆された.
  • 長岡(浜野) 恵, 花岡 研一, 臼井 将勝, 西村 勉, 米谷 民雄
    2008 年49 巻2 号 p. 88-94
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2008/05/26
    ジャーナル フリー
    ひじき中の無機ヒ素を正確に抽出・定量するために,硝酸を用いた酸部分分解法を検討し,ひじきからヒ素をほぼ100%抽出し,かつ有機ヒ素が無機ヒ素にまで分解されない加熱条件などを確立した.ヒ素の化学形態別分析にはHPLC/ICP-MSを用いた.確立した方法についての評価を実施した後,その方法を用いて調理過程における無機ヒ素量の減衰を検討した結果,水戻し+水煮操作(和式調理法)は単なる水戻し操作よりもヒ素量を減少させるのに有効であること,また,総ヒ素量よりも無機ヒ素量を有効に減少させる手段であることが示された.
  • 長岡(浜野) 恵, 西村 勉, 松田 りえ子, 米谷 民雄
    2008 年49 巻2 号 p. 95-99
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2008/05/26
    ジャーナル フリー
    米中の無機ヒ素を選択的に定量するために,抽出法として硝酸による酸部分分解法を,分別定量法としてHPLC/ICP-MSを用いる方法を検討した.無機ヒ素の検出下限および定量下限はそれぞれ0.0024, 0.0079 mg/kg乾重量であった.確立できた方法を用いて国内で市販されている短粒玄米10検体を分析したところ,無機ヒ素濃度は0.108~0.227 mg/kg乾重量,総ヒ素濃度は0.118~0.260 mg/kg乾重量であった.ほとんどの検体からジメチルヒ素体も検出されが,無機ヒ素は総ヒ素の62.2~96.3%を占めていた.このように,分析した短粒米ではヒ素の多くが無機ヒ素であった.
ノート
  • 田端 節子, 飯田 憲司, 木村 圭介, 岩崎 由美子, 中里 光男, 鎌田 国広, 広門 雅子
    2008 年49 巻2 号 p. 100-105
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2008/05/26
    ジャーナル フリー
    高速液体クロマトグラフ-蛍光検出器(HPLC-FL)と液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計(LC/MS/MS)を用いて,穀類,果実,カカオおよびコーヒー加工品中のオクラトキシンA (OTA),オクラトキシンB (OTB)およびシトリニン(CIT)を同時に分析する方法を開発した.MS/MSの測定は,ポジティブモード,MRMで行った.両検出器の感度は,ほぼ同等であった.回収率は,OTAおよびOTBで87~111%,CITで70~88%であり,定量下限(S/N ≥10)は3種のカビ毒とも0.1 μg/kg以下であった.本法は低濃度(0.1 μg/kg)までの3種カビ毒の同時分析法として有用であると考えられた.
  • 相川 勝弘, 浅井 良夫, 高橋 孝則
    2008 年49 巻2 号 p. 106-110
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2008/05/26
    ジャーナル フリー
    市販のイチゴ10パック(211粒),チェリー18パック(441粒)について,25℃保存した場合に果実表面に発育してくるカビを分離,同定してカビの発育状況を調査した.イチゴ211粒中208粒(98.6%),チェリー441粒中193粒(43.8%)にカビの発育を認めた.イチゴから最も多く分離されたカビは,Botrytis cinerea (81.0%)で,次いで,Cladosporium, Alternaria alternata の発生率が高かった.チェリーから最も多く分離されたカビは,Alternaria (28.7%)で,次いで,Penicillium, Botrytis, Cladosporium 発生率が高かった.パック単位のカビ発生率では,チェリーでは,パックによりカビの発生率に差が認められた.果実上のカビ発生部位は,果実同士の接触があるような部位に発生しやすい傾向が認められた.
調査・資料
  • 田端 節子, 飯田 憲司, 木村 圭介, 岩崎 由美子, 中里 光男, 鎌田 国広, 広門 雅子
    2008 年49 巻2 号 p. 111-115
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2008/05/26
    ジャーナル フリー
    HPLCおよびLC/MS/MSを使用した同時分析法により,市販食品中のオクラトキシン(OT) A, Bおよびシトリニン(CIT)の低濃度(0.1 μg/kg)までの汚染実態調査を行った.また,一部の試料についてはアフラトキシン(AF)などのカビ毒についても調査を行った.その結果,157試料中,国産表示の2試料を含む44試料から0.11~4.0 μg/kgのOTAが検出され,カカオパウダー,インスタントコーヒーなどで検出率が高かった.OTBは,OTA含量が比較的高い試料から0.10~1.8 μg/kg検出された.また,穀類でOTAとCITおよびデオキシニバレノール,カカオでOTAとAFとの複合汚染が認められた.コーヒー豆中のOTAは約30%が抽出液に移行した.
  • 青山 顕司, 高橋 千登勢, 山内 吉彦, 酒井 史彦, 五十嵐 英夫, 柳平 修一, 小西 寛昭
    2008 年49 巻2 号 p. 116-123
    発行日: 2008/04/30
    公開日: 2008/05/26
    ジャーナル フリー
    国産チーズの製造工程において,黄色ブドウ球菌増殖を制御することを目的に,同菌の接種試験を実施した.全工程より黄色ブドウ球菌の増殖可能な温度帯にある工程を抽出した後,工程内と同条件の乳,カードおよびホエイ中で増殖およびエンテロトキシン産生を調べた.その結果,多くのチーズでは顕著な増殖は認められなかった.また,フレッシュ系のナチュラルチーズでは,黄色ブドウ球菌の増殖が認められたが,エンテロトキシンは産生しなかった.これらの結果から,スターター乳酸菌の酸生成による黄色ブドウ球菌の増殖抑制が示唆され,原料乳殺菌後の二次汚染防止と酸度の管理が重要と考えられた.
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