ナガズカの卵巣の粗抽出毒について脂質化学的ならびに2, 3の理化学的処理に対する抵抗性を検討しつぎのごとき結果を得た.
1) 粗抽出毒の脂質化学的一般分析およびシリカ・セライトカラムクロマトで細分画した試料のペーパークロマトによる検討を行なった結果, 本魚卵巣に含まれる毒性物質はコリンおよびリンを含み, 糖を含まぬ複合脂質, すなわち一種のリン脂質であることが判断された.
2) 本魚卵巣の抽出毒は, マウスおよびウサギ血球に対する態度がリゾレシチンおよびヘビ毒などと明らかに異なり, リン脂質中のリゾ化合物のごとき溶血毒とは異なるものと推察された.
3) 本魚卵巣毒はその分析結果から, 不飽和度のかなり高い脂肪酸を含むことが推定されたが, 10KC. (100W) の音波処理によりかなりの過酸化物が生成されたと考え得られる試料においてかえって毒性が消失し, いわゆる“魚油毒”すなわち高度不飽和脂肪酸の過酸化物による毒性とは異なることが推察された.
4) 本魚卵巣毒は100°, 30分間の加熱に抵抗するが, 121°, 30分間の加熱あるいは37°に長時間放置することによりその毒性を消失する.
5) 本魚卵巣毒は10KC. (100W), 60分間の音波処理によりその毒性はほとんど消失する.
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