食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
Print ISSN : 0015-6426
ISSN-L : 0015-6426
50 巻, 2 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
報文
  • 青山 幸二, 石黒 瑛一, 西脇 真理子, 一戸 正勝
    2009 年50 巻2 号 p. 47-51
    発行日: 2009/04/25
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    ソルガム(マイロ)におけるゼアラレノン汚染実態とその原因菌について検討した.2001年から2006年に飼料用として日本に輸入されたソルガム160検体についてゼアラレノン濃度を調査したところ,その 52.5% から60~7260 μg/kgのゼアラレノンが検出された.ゼアラレノンに汚染されたソルガムからは主に Fusarium semitectumF. verticillioides および F. oxysporum が検出された.これらの菌について,その検出量とソルガムのゼアラレノン濃度との関係,ソルガム上でのゼアラレノン産生性を調査したところ,ソルガムにおけるゼアラレノン汚染の主な原因菌はF. semitectumであることが示唆された.
  • 藤田 和弘, 仲西 亜希子, 石原 三知代, 伊藤 裕信, 中村 宗知, 渡井 正俊, 谷口 誠, 村山 三徳
    2009 年50 巻2 号 p. 52-57
    発行日: 2009/04/25
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    LC-MS/MSによる畜水産食品中のビコザマイシン(BZM)の分析法を開発した.試料中からアセトニトリル-水(4 : 1)でBZMを抽出し,2段階の固相抽出カートリッジにより,濃縮,精製を行った.第一段階ではスチレン-ジビニルベンゼン共重合体カートリッジ(GL-Pak PLS-2)を,第二段階ではジビニルベンゼン-N-ビニルピロリドン共重合体カートリッジ(Oasis HLB)を用いた.測定は,0.01% ギ酸-メタノール(8 : 2)を移動相とし,ODS系カラムを用いた液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法(LC-MS/MS)のネガティブイオンモードで行った.豚筋肉・肝臓,ブリおよび牛乳について,残留基準値濃度および0.01 μg/gの添加回収実験を行った結果,いずれに試料とも 70% 以上の平均回収率が得られ,併行再現精度は 10% 未満,室内再現精度は 20% 未満であった.また,定量下限値は,0.002~0.005 μg/gであった.
  • 青柳 光敏, 新山 和人, 高附 巧, 根本 了, 佐々木 久美子, 米谷 民雄
    2009 年50 巻2 号 p. 58-63
    発行日: 2009/04/25
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    農産物中のドジンをLC/MSを用いて分析する方法を検討した.試料からアセトニトリルおよび含水アセトニトリルで抽出した後,酢酸エチルに転溶し,PSAミニカラムで精製し,LC/MSのESIポジティブモードで測定する方法を開発した.種実類には,転溶操作の前に塩酸添加アセトニトリル/ヘキサン分配による脱脂を,ほうれんそうなどにはグラファイトカーボンミニカラムによる精製を追加した.農産物16種類の試料からの回収率は80.3~100.0%(相対標準偏差0.3~6.4%),検出限界は0.0006mg/kg (S/N=3)であった.開発した方法は操作が簡便であり,また,一律基準値レベルの分析に対して十分な検出感度を有しており,農産物中のドジンの残留分析に有用と考えられた.
  • 上野 英二, 椛島 由佳, 大島 晴美, 大野 勉, 根本 了, 米谷 民雄
    2009 年50 巻2 号 p. 64-69
    発行日: 2009/04/25
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    農産物中のデメトン-S-メチル,オキシデメトンメチル,およびこれらの酸化生成物であるデメトン-S-メチルスルホンを定量するための同時分析法を検討した.抗酸化剤として L-アスコルビン酸およびブチルヒドロキシトルエンを添加した試料から,アセトンで抽出し,多孔性ケイソウ土カラムを用いて酢酸エチルに転溶後,脂質の多い玄米,大豆はヘキサン/アセトニトリル分配により脱脂,次いで色素の少ない玄米,大豆,ばれいしょはPSAカラム,それ以外はグラファイトカーボン/PSA連結カラムを用いて精製し,ESI-SIMモードLC-MSで測定した.玄米など10種類の試料からの平均回収率は73.8~102.5%(相対標準偏差 ≤5.7%)と良好であった.
ノート
  • 福渡 努, 葛谷 真子, 佐藤 志織, 柴田 克己
    2009 年50 巻2 号 p. 70-74
    発行日: 2009/04/25
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    ビタミンB1とビタミンB2の上限量を策定する際の基礎データを得ることを目的として,チアミン塩酸塩あるいはリボフラビンの継続的な大量摂取が幼若ラットに及ぼす影響について調べた.幼若ラットにチアミン塩酸塩を飼料中に終濃度で0.0006%(対照食),0.006%,0.03%,0.18%,1.0% 添加した食餌を30日間,あるいはリボフラビンを0.0006%(対照食),0.1%,0.5%,1.0% 添加した食餌を22日間自由摂取させた.1.0% チアミン塩酸塩食を摂取したラットには軽度の下痢および盲腸の膨潤が認められたものの,いずれの食餌に対しても,飼料摂取量,体重増加量,各臓器重量には影響は認められなかった.また,尿中水溶性ビタミン排泄量にも影響は認められなかった.以上の結果から,1.0% チアミン塩酸塩食および1.0% リボフラビン食では悪影響は認められず,ラットにおけるチアミン塩酸塩およびリボフラビンの健康障害非発現量(NOAEL)は 1.0% 混餌食,すなわち 900 mg/kg 体重/日とした.
  • 福渡 努, 伊東 景子, 柴田 克己
    2009 年50 巻2 号 p. 75-79
    発行日: 2009/04/25
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    ピリドキシン塩酸塩の上限量を策定する際に必要な基礎データを得るために,ピリドキシン塩酸塩の継続的な大量摂取が幼若ラットに及ぼす影響について調べた.幼若ラットにピリドキシン塩酸塩濃度が0.0007%(対照食),0.1%,0.5%,0.8%,1.0% である食餌を30日間自由摂取させた.対照食摂取ラットと比べ,0.8% および 1.0% 添加食摂取ラットの体重増加量,および 1.0% 添加食摂取ラットの総飼料摂取量は低値を示した.尿中パントテン酸排泄量は 0.1% 以上のピリドキシン塩酸塩食によって増加したが,他の尿中B群ビタミン排泄量には影響は認められなかった.これらの結果から,ラットにおけるピリドキシン塩酸塩の健康障害非発現量(NOAEL)は 0.1% 食,すなわち 90 mg/kg 体重/日,健康障害最低発現量(LOAEL)は 0.5% 食,すなわち 450 mg/kg 体重/日とした.
  • 福渡 努, 倉田 華織, 柴田 克己
    2009 年50 巻2 号 p. 80-84
    発行日: 2009/04/25
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    ニコチン酸の上限量を策定する際の基礎データを得ることを目的として,ニコチン酸の継続的な大量摂取が幼若ラットに及ぼす影響について調べた.幼若ラットにナイアシン欠-20% カゼイン食,あるいはニコチン酸を 0.1%,0.3%,0.5% 添加した食餌を23日間自由摂取させた.体重増加量,飼料摂取量,ナイアシン以外の尿中B群ビタミン排泄量および脳・胃・小腸中のセロトニン含量には,ニコチン酸大量摂取による影響は認められなかった.しかし,トリプトファン-ナイアシン転換経路の鍵物質キノリン酸の尿中排泄量は 0.5% のニコチン酸摂取によって増加した.また,0.3% 以上のニコチン酸摂取によって,対照群と 0.1% 群ではほとんど認められなかった尿中ニコチン酸排泄量の増大が顕著に認められた.体重増加量と飼料摂取量を明らかな健康障害の指標とすると,ラットにおけるニコチン酸の健康障害非発現量(NOAEL)は 450 mg/kg 体重/日,ニコチン酸およびキノリン酸代謝変動を指標とすれば,最低健康障害発現量(LOAEL)は 270 mg/kg 体重/日,健康障害非発現量(NOAEL)は 90 mg/kg 体重/日であった.
  • 野田 裕之, 千須和 美母衣, 金子 通治, 尾上 洋一, 高鳥 浩介, 工藤 由起子
    2009 年50 巻2 号 p. 85-88
    発行日: 2009/04/25
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    冷凍流通している輸入エビのサルモネラ汚染が判明したことから,冷凍保存下のエビにおけるサルモネラの生残性を検討した.ブラックタイガーに血清型WeltevredenおよびSenftenbergを体表および体内の2方法で接種した.冷凍保存温度は -10℃,-20℃ および -30℃ の3温度で,保存期間は12週間とした.その結果,冷凍保存温度が低下するほど,また,体表接種より体内接種の方がサルモネラの生残性が高かった.さらに,S. SenftenbergはS. Weltevreden より高い生残性を示した.サルモネラはエビで冷凍保存された場合,特に -30℃ ではその接種菌数が長期間維持されることが確認できたことから,エビを解凍するときにはサルモネラの存在も考慮に入れ,衛生的な取扱いが必要である.
  • 吉田 知太郎, 野村 哲也, 篠田 直樹, 草間 豊子, 門脇 光一, 杉浦 勝明
    2009 年50 巻2 号 p. 89-92
    発行日: 2009/04/25
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    我が国では,BSE発生防止の観点から反すう動物用飼料への肉骨粉の使用は禁止されている.一方,反すう動物を除く肉骨粉は,鶏,豚および養魚用飼料へ使用することができる.このような使用規制の実行性を確保するために,各動物由来タンパク質の混入や交差汚染の有無を確認する必要がある.そこで今回,豚DNAの特異検出法の開発を行った.肉骨粉の製造工程には,熱処理や圧搾処理があり,DNAに損傷を及ぼす可能性があることから,製造工程中の影響を受けにくく,また遺伝的に保存性の高い,ミトコンドリアDNA塩基配列の中で豚に特異性が高い領域(mtATP6 およびmtATP8 )において,2つのプライマー対(PPA6およびPPA8)の構築を行った.これらのプライマー対は,豚DNAを特異的に増幅することが確認された.また,牛用配合飼料における検出感度は,豚肉骨粉含有量 0.01~0.001% だった.2つのプライマー対の感度を比較したところ,PPA6は断片化したDNAでも高感度に増幅することが明らかになった.
  • 河村 葉子, 六鹿 元雄, 山内 朋子, 植田 新二, 棚元 憲一
    2009 年50 巻2 号 p. 93-96
    発行日: 2009/04/25
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    玩具塗膜中のカドミウム(Cd)および鉛(Pb)の規格設定のため,食品衛生法と ISO 8124-3 の溶出試験法および規格値について比較検討した.塩化ビニル樹脂塗料とアクリル樹脂塗料にCdおよびPbを1,000 mg/kg添加し,ガラス板に塗布乾燥して塗膜を調製した.食品衛生法に従い塗膜1 cm2あたり2 mLの水を用い40℃ 30分間静置したところ,いずれも溶出は認められなかった(定量限界各0.1 μg/mL).また容媒を 4% 酢酸や0.07 mol/L塩酸に変更したところ,アクリル樹脂塗料では0.3~2.3 μg/mLの溶出が見られたが,塩化ビニル樹脂塗料では認められなかった.一方,ISO規格に従い塗膜を削り取って粉砕し,その50倍量の0.07 mol/L塩酸を加えて 37℃で1時間静置したところ,すべての試料で規格値を3.5~12倍超過する溶出が認められた.ISO規格の試験法は塗膜を粉砕したのち酸性溶媒で溶出するため溶出力が強く,規格値が高いにもかかわらずより厳しい規格であることが確認された.
調査・資料
  • 松岡 智郁, 秋山 由美, 三橋 隆夫
    2009 年50 巻2 号 p. 97-107
    発行日: 2009/04/25
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    食肉中に残留する農薬202成分(代謝物を含む)のGC/MSおよびLC/MSを用いたスクリーニング法を検討した.脂質含有量の高い食肉から幅広い極性の農薬を抽出するために,抽出溶媒に酢酸エチル-シクロヘキサン(1:1)溶液を用いた.同時に抽出されてくるコレステロールや脂肪酸,グリセリンモノ脂肪酸エステルなどの夾雑成分を除去するために,ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)と固相抽出用ミニカラム2種(PSAミニカラムとシリカゲルミニカラム)により精製を行った.これよりGC/MSおよびLC/MSのSCAN分析において,夾雑成分の影響を受けることなく,測定することができた.本法による添加回収実験(0.1 μg/g添加)を行った結果,回収率が 50~140% のものは202成分のうち185成分であった.これらの定量限界値は0.01 μg/g以下(3成分を除く)であった.以上のことより,本法は食肉中残留農薬の多成分スクリーニング法として十分に適用できると考えられた.
feedback
Top