食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
Print ISSN : 0015-6426
ISSN-L : 0015-6426
50 巻 , 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
報文
  • 荻原 博和, 露木 朝子, 古川 壮一, 森永 康, 五十君 靜信
    2009 年 50 巻 3 号 p. 109-116
    発行日: 2009/06/25
    公開日: 2009/07/15
    ジャーナル フリー
    E. sakazakii における感染リスクの低減対策として,PIFの調乳湯温による殺菌効果とその保存温度に対するE. sakazakii の消長を検討した.加熱の指標とされているD 値は,ATCC 29004株が60℃で3.6分,HT 022株が1.9分で,HT 028 株については52℃において1.6分であった.PIFの調乳湯温におけるE. sakazakii の殺菌効果については,湯温60℃では1 log CFU/mL以下,湯温70℃では1~2 log CFU/mL,湯温80℃では5 log CFU/mL以上の殺菌効果が得られた。室温ならびに低温下でのE. sakazakii の増殖は,5℃ではすべての供試菌株の発育が抑制され,10℃ではHT 028株のみ増加する傾向が認められた。25℃では保存4時間後には供試3菌株とも増殖し,保存16時間後には8 log CFU/mLに増加した.以上のことから,調乳に使用する湯温は70℃以上で調製することが E. sakazakii の死滅に有効と考えられた.さらに調乳後は5℃以下での保存が好ましく,2時間以上の保存は避けることが E. sakazakii の感染リスク低減に有効と考えられた.
  • 小口 太一, 大西 真理, 峯岸 恭孝, 黒澤 康紀, 笠原 正輝, 穐山 浩, 手島 玲子, 布藤 聡, 古井 聡, 日野 明寛, 橘田 ...
    2009 年 50 巻 3 号 p. 117-125
    発行日: 2009/06/25
    公開日: 2009/07/15
    ジャーナル フリー
    遺伝子組換え(GM)トウモロコシの新たな定量的スクリーニング分析法として,二重リアルタイムPCR法を開発した.開発した方法は,現在別々に実施されているCaMV35Sプロモーター配列(P35S)とこれを含まないGA21系統特異的配列の検出を1回の反応で同時に実施することができる.また,本二重PCR法での使用に最適化した新設計のキャリブレータプラスミドも同時に開発した.室内試験によって本法の精度を検証した結果,本法は従来の単リアルタイムPCRによるGMトウモロコシの標準分析法とほぼ同程度の精度を示した.本法は,個別に実施していた2種類のリアルタイムPCR反応を1回のリアルタイムPCR反応で同時に分析可能なため,検査にかかるコストおよび時間をこれまでの半分程度にすることが可能である.われわれは,本法をGMトウモロコシの新たな定量スクリーニング分析法として提案したい.
  • 右井 淳子, 近藤 和雄, 澤田 拓士, 工藤 由起子
    2009 年 50 巻 3 号 p. 126-130
    発行日: 2009/06/25
    公開日: 2009/07/15
    ジャーナル フリー
    穀類加工品中の食中毒細菌の生残について検討した.Salmonella Enteritidis と Staphylococcus aureus は穀類フレーク中で3週間以上生残した.S. Enteritidis は穀類フレーク中で7または14日保存後に102 CFU/g以下に減少したが,生残した菌は牛乳中で急速に増殖し25時間後には109 CFU/gに至った.また,カテキン溶液に浸漬後の穀物フレークでは,S. Enteritidis およびS. aureus の菌数の減少が認められた.さらに,カテキンの穀類調理品への添加によって S. Enteritidis,S. aureus およびBacillus cereus の生残または増殖が抑制された.以上のように,本研究では S. Enteritidis,S. aureus およびB. cereus は穀類加工中で長期に生残が可能であり,カテキンがそれら食中毒細菌の生残と増殖を抑制することが明らかになった.
ノート
  • 藤田 瑞香, 柿本 健作, 永吉 晴奈, 小西 良昌, 内田 耕太郎, 小阪田 正和, 起橋 雅浩, 尾花 裕孝
    2009 年 50 巻 3 号 p. 131-134
    発行日: 2009/06/25
    公開日: 2009/07/15
    ジャーナル フリー
    加工食品中のメラミンを高速液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析計(LC/MS/MS)により分析する方法を検討した.50%アセトニトリル抽出液をPSAとSCXの2種類の固相抽出カラムで精製することにより,低濃度での定性,定量が可能となった.2種類の食品への添加回収試験の結果,平均回収率は103および115%,相対標準偏差は5%以下と良好であった.また,定量下限(LOQ)は0.5 μg/gであった.これらの結果より,加工食品中のメラミンの高精度な試験法を確立することができたと考えられる.また,6種類の加工食品を分析した結果,乳製品含量の高い4種類から0.8~37 μg/gのメラミンを検出した.
  • 井原 義治, 加藤 美穂子, 小平 司, 伊藤 新次, 寺川 美加, 堀江 正一, 斉藤 貢一, 中澤 裕之
    2009 年 50 巻 3 号 p. 135-139
    発行日: 2009/06/25
    公開日: 2009/07/15
    ジャーナル フリー
    ハチミツに残留するキノロン剤の分析を目的としたイムノアフィニティー法による試料調製法を検討した.まず,抗キノロン抗体をアガロース系担体に固定化したイムノアフィニティー担体を作製した.ハチミツは,リン酸緩衝液で均一化し,イムノアフィニティー担体と反応させ,上清除去,担体洗浄後,グリシン塩酸塩で溶出して試験溶液を調製した.本法により調製した試験溶液は,蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフィーによる測定において,測定妨害物質がほとんど認められず,4種類のキノロン剤(ノルフロキサシン,シプロフロキサシン,エンロフロキサシン各20 ng/g,ダノフロキサシン10 ng/g)の添加回収率は70%以上であった.また,定量下限は2 ng/gであった.本法はハチミツ中の残留キノロン剤分析における試料調製法として有用であると考えられる.
調査・資料
  • 扇谷 陽子, 酒井 昌昭, 宮下 妙子, 矢野 公一
    2009 年 50 巻 3 号 p. 140-145
    発行日: 2009/06/25
    公開日: 2009/07/15
    ジャーナル フリー
    米国で商業栽培されている,平成14年に安全性審査が終了した鞘翅目害虫抵抗性トウモロコシMON863系統(以下,MON863と略.厚生労働省が通知した遺伝子組換えトウモロコシの含有率を調べるための検査方法の対象となっていない.)の加工食品における混入状況について,定性検査により調査した.この結果,39製品中少なくとも7製品(18%,粉類)から検出されることが判明した.今後,MON863の含有率を調べる検査方法について検討し,粉類などを対象として,含有状況のさらなる把握に努めたい.
  • 上條 恭子, 小林 麻紀, 大塚 健治, 田村 康宏, 富澤 早苗, 酒井 奈穂子, 影山 百合子, 高野 伊知郎, 永山 敏廣
    2009 年 50 巻 3 号 p. 146-152
    発行日: 2009/06/25
    公開日: 2009/07/15
    ジャーナル フリー
    1992年4月から2006年3月にかけて東京都内で市販されていた輸入野菜加工品165検体について農薬の残留調査を行った結果,16検体から7種類の農薬が痕跡(0.01 ppm未満)~1.0 ppm検出された.ギリシャ産ぶどうの葉塩漬けから検出されたクロルピリホスおよびキナルホスはポジティブリスト制度施行後の残留基準値を超える可能性があったが,それ以外に検出された農薬では基準値を超えたものはなかった.漬物や乾燥品からは農薬の検出率が高かったが,水煮やピューレ等の水や熱を加えた加工品からは検出されなかった.検出事例はアジアおよび北米地域産が多かった.農薬を検出した野菜加工品について,各農薬の推定摂取量を算出したところ,各ADI値の0.006~20.3%であった.このことから通常の喫食状況で特に問題はないと考えられた.
feedback
Top