食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
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50 巻 , 5 号
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総説
報文
  • 北川 陽子, 起橋 雅浩, 高取 聡, 岡本 葉, 福井 直樹, 村田 弘, 住本 建夫, 尾花 裕孝
    2009 年 50 巻 5 号 p. 198-207
    発行日: 2009/10/25
    公開日: 2009/11/07
    ジャーナル フリー
    GC/MSを用いた加工食品中の残留農薬一斉分析法の検討を行った.試料に添加した農薬を酢酸エチルで抽出し,アセトニトリル/ヘキサン分配により脱脂を行った.さらにグラファイトカーボンブラック/PSA積層カラムにて精製を行い,GC/MSにより測定を行った.222農薬を測定項目とし,5種類の加工食品(餃子,レトルトカレー,フライドポテト,鶏唐揚げ,白身魚フライ)を対象に添加回収試験(添加濃度0.02および0.1 μg/g)を行った.2濃度の添加回収試験において,良好な結果(平均回収率70~120%,相対標準偏差 20% 以下)を示した農薬数は100農薬であった.さらに,これらの前処理方法を用いて,市販の加工食品75検体について残留農薬の実態調査を行ったところ,フライドポテト1検体からクロルプロファム(0.04 ppm)が検出された.
  • 渡邉 敬浩, 松田 りえ子
    2009 年 50 巻 5 号 p. 208-215
    発行日: 2009/10/25
    公開日: 2009/11/07
    ジャーナル フリー
    リアルタイムPCRの一義的な測定量である蛍光データを,高い自由度をもって解析するためのアプリケーション(GiMlet)を開発した.またこれを用いて,併行条件下でTaqMan Chemistry® に基づくリアルタイムPCRにより得られるCt値の変動要因について,複数の異なる機種 (ABI PRISM7500,7700,7900HT) を対象に検討した.また,ベースラインの補正方法の分析結果への影響について検討した.その結果,1)機種により測定値およびPCR効率のウェルおよび繰り返し測定間での変動が異なること,2)ベースラインの補正方法が測定値の変動に影響を及ぼす要因になりうること,の2点が示された.
  • 吉田 絵美子, 渋谷 孝博, 黒川 千恵子, 井上 豊, 山本 善彦, 宮崎 元伸
    2009 年 50 巻 5 号 p. 216-222
    発行日: 2009/10/25
    公開日: 2009/11/07
    ジャーナル フリー
    テトラサイクリン系抗生物質はカルシウムなど2価の金属イオンとキレートを形成するため,厚生労働省通知の動物用医薬品一斉試験法を適用して定量することは困難であった.本研究では,エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA-2Na)を用い,カルシウム除去を行うことによって,一斉分析法においてテトラサイクリン系抗生物質を同時に定量する方法の検討を行った.試料からの抽出時にEDTA-2Naを加えることで,テトラサイクリン系抗生物質が一斉分析で測定可能となり,乳で65成分,ヨーグルトで70成分,生クリームで59成分,チーズで67成分,アイスクリームで60成分の動物用医薬品が回収率70~120%,変動係数 25% 未満,定量下限値は0.01 μg/g (S/N≧10) で定量可能だった.
  • 岩越 景子, 高野 伊知郎, 小林 麻紀, 大塚 健治, 田村 康宏, 富澤 早苗, 上條 恭子, 影山 百合子, 永山 敏廣
    2009 年 50 巻 5 号 p. 223-229
    発行日: 2009/10/25
    公開日: 2009/11/07
    ジャーナル フリー
    農産物の流通過程において再利用されるダンボール箱に,農産物に残留した農薬の移行が認められた.このダンボール箱を介して農薬が他の農産物へ移行する可能性を調査するため,モデル実験を行った.かんきつ類の箱に野菜を入れた場合を想定し,こすり付けるなどの過酷な条件下,表面ふき取りによる測定で検討を加えたところ,検討した3農薬の平均値は,グレープフルーツで添加量の6.2%,みかんで 0.57% がほうれんそうに移行したと算出された.今回の結果は,最大に移行した場合に相当すると考えられ,実際の農薬移行量は,より低いと思われるが,農薬がダンボール箱を介して他の農産物に移行する可能性は否定できない.流通過程で非意図的に農薬の移染が起こることが示唆され,このような農薬移染を防止する対策が必要である.
  • 大野 浩之, 鈴木 昌子, 六鹿 元雄, 河村 葉子
    2009 年 50 巻 5 号 p. 230-236
    発行日: 2009/10/25
    公開日: 2009/11/07
    ジャーナル フリー
    合成樹脂製器具・容器包装および乳幼児用玩具から溶出する有機物総量の指標として過マンガン酸カリウム消費量と全有機炭素(TOC)を検討した.定量限界はいずれも0.5 μg/mLであった.器具・容器包装97検体のうち,ポリ塩化ビニル(PVC)製急須口とナイロン製器具で過マンガン酸カリウム消費量およびTOCの値は0.5~10.9 μg/mLおよびND~18.9 μg/mLであった.また,玩具32検体のうち,PVC製玩具とエチレン・酢酸ビニル樹脂製ブロック玩具で0.8~45.5 μg/mLおよび0.5~8.9 μg/mLであった.一方,その他の試料ではいずれもほとんど検出されなかった.過マンガン酸カリウム消費量とTOCの値を比較すると,いくつかのPVC製品とナイロン製器具で両者は大きく食い違い,その原因は溶出する有機物の種類によって過マンガン酸カリウムの酸化分解率が大きく異なることによるものと推測された.
  • 相良 剛史, 谷山 茂人, 高谷 智裕, 西堀 尚良, 西尾 幸郎, 野口 玉雄, 荒川 修
    2009 年 50 巻 5 号 p. 237-242
    発行日: 2009/10/25
    公開日: 2009/11/07
    ジャーナル フリー
    2000年5月と6月に鹿児島県トカラ列島中之島で採集したオウギガニ科カニ類5種計36個体につき,公定法にて毒性を調べたところ,供試したウモレオウギガニZosimus aeneus 16個体中9個体およびムラサキヒメオウギガニXanthias lividus 4個体すべてから2.0 MU/g以上のマウス毒性が検出された.毒力はいずれも低く,前者は2.1~11 MU/g,後者は2.8~8.6 MU/gであった.LC/MS分析により,ウモレオウギガニでは総毒力の約4割が tetrodotoxin (TTX) であることが判明し,加えて残余毒力の相当部分を11-oxoTTXが占めることが示唆された.一方,ムラサキヒメオウギガニの場合,TTXや既知の麻痺性貝毒成分は検出されず,毒本体の特定には至らなかった.
ノート
  • 北川 陽子, 起橋 雅浩, 高取 聡, 岡本 葉, 福井 直樹, 村田 弘, 住本 建夫, 尾花 裕孝
    2009 年 50 巻 5 号 p. 243-252
    発行日: 2009/10/25
    公開日: 2009/11/07
    ジャーナル フリー
    GC/MS/MSを用いた加工食品中の残留農薬一斉分析法の検討を行った.試料に添加した農薬を酢酸エチルで抽出し,アセトニトリル/ヘキサン分配により脱脂を行った.さらにグラファイトカーボンブラック/PSA積層カラムにて精製を行い,GC/MS/MSにより測定を行った.258農薬について,5種類の加工食品(餃子,レトルトカレー,フライドポテト,鶏唐揚げ,白身魚フライ)を対象に添加回収試験(添加濃度0.02および0.1 μg/g)を行った.2濃度の添加回収試験において,両濃度で良好な結果(平均回収率70~120%,相対標準偏差 20% 以下)を示した農薬数は258農薬中184農薬であった.GC/MS/MSにおいては,試料由来の妨害成分の影響を受けにくく,低濃度においても精度の高い定量が可能であった.以上のことから,本分析方法は加工食品中の残留農薬を分析するうえで有用な方法であると考えられた.
  • 野村 千枝, 尾花 裕孝, 織田 肇
    2009 年 50 巻 5 号 p. 253-255
    発行日: 2009/10/25
    公開日: 2009/11/07
    ジャーナル フリー
    中毒時における食品中重金属の迅速分析法について検討を行った.食品試料に硫酸を加えホモジナイズ抽出後希釈し,誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)を用いて測定した.12食品について10元素(ヒ素,カドミウム,クロム,水銀,マンガン,鉛,アンチモン,セレン,スズ,タリウム)の添加回収試験を行った結果,セレンを除く9元素について平均回収率は71~107%,相対標準偏差は1~13%であった.試料の秤量から10元素の分析値を得るまでの時間は約2時間であり,既存の分析法に比べ操作時間が大幅に短縮された.本分析法は簡便で多様な食品にも対応可能であり,中毒発生時の迅速分析法として利用可能であると考えられた.
調査・資料
  • 荻本 真美, 植松 洋子, 鈴木 公美, 樺島 順一郎, 中里 光男
    2009 年 50 巻 5 号 p. 256-260
    発行日: 2009/10/25
    公開日: 2009/11/07
    ジャーナル フリー
    着色を目的とした既存添加物中の有害重金属である鉛,カドミウム,水銀およびヒ素の汚染実態を調査したところ,15品目40試料中8試料から何らかの有害元素が検出された.その内訳は,鉛が1試料(2.8 μg/g),水銀が8試料(0.1~3.4 μg/g),ヒ素が2試料(1.7,2.6 μg/g)であった.EUやJECFAの規格と比較したところ,ラック色素1試料からJECFAで食品添加物一般の提案値である2 μg/gを超える2.8 μg/gの鉛が,カカオ色素3試料からEUの規格値である1 μg/gを超える1.2~3.4 μg/gの水銀が検出された.
  • 小林 麻紀, 大塚 健治, 田村 康宏, 富澤 早苗, 酒井 奈穂子, 上條 恭子, 影山 百合子, 高野 伊知郎, 永山 敏廣
    2009 年 50 巻 5 号 p. 261-269
    発行日: 2009/10/25
    公開日: 2009/11/07
    ジャーナル フリー
    1994年4月から2006年3月にかけて東京都内で市販されていた輸入果実加工品600検体について農薬の残留調査を行った.その結果,75検体から30種類の有機リン系農薬,有機塩素系農薬,ピレスロイド系農薬およびカルバメート系農薬,有機窒素系農薬およびその他の農薬が痕跡値(0.01 ppm未満)~0.37 ppmの範囲で検出された.農薬が検出された果実加工品は,果実を乾燥した乾燥果実や搾汁したジュース,また,農薬の検出頻度の高い果皮や全果を原材料に使用しているものであった.農薬を検出した果実加工品について,食品群別平均摂取量から算出したそれら農薬の推定摂取量をおのおののADIと比較したところ,各ADI値の0.1未満~3.9% であった.このことから通常の喫食状況で特に問題はないと考えられた.
  • 谷山 茂人, 相良 剛史, 西尾 幸郎, 黒木 亮一, 浅川 学, 野口 玉雄, 山崎 脩平, 高谷 智裕, 荒川 修
    2009 年 50 巻 5 号 p. 270-277
    発行日: 2009/10/25
    公開日: 2009/11/07
    ジャーナル フリー
    1990年~2008年に,長崎県,宮崎県,三重県および鹿児島県でハコフグ類の喫食による食中毒が9件発生し,13 名が中毒, うち 1 名が死亡した. このうち 2 件の原因魚種は,中毒検体の形態からハコフグOstracion immaculatus と断定された.患者は共通して横紋筋融解症を呈するなど,本中毒の症状や発症/回復/致死時間はアオブダイ中毒に酷似していた.一方,西日本沿岸で採取したハコフグ129個体とウミスズメLactoria diaphana 18個体につき,マウス試験で毒性を調べたところ,いずれも約4割の個体が急性もしくは遅延性の致死活性(0.5~2.0 MU/g)を示した.有毒個体の出現率は,両種ともに肝臓を除く内臓で最も高く,次いで筋肉,肝臓の順であった.
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