食品衛生学雑誌
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52 巻 , 6 号
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報文
  • 上井 恵理, 寺田 岳, 秋山 純基, 一色 賢司
    2011 年 52 巻 6 号 p. 315-320
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル フリー
    好塩性ヒスタミン産生菌であるPhotobacterium 属細菌の制御に関する検討を行った.精油成分,食品添加物および界面活性剤のPhotobacterium 属に対する抗菌力を検討したところ,精油成分3種類,食品添加物9種類および界面活性剤6種類が高い抗菌力を示した.NaCl濃度がPhotobacterium属の発育に及ぼす影響を測定したところ,低濃度では発育が抑制されるため,真水による洗浄が制御に対して有効であることが示唆された.素材に付着したPhotobacterium 属が乾燥に対してどのような影響を受けるか検討したところ,Photobacterium 属は乾燥耐性が低いことが明らかとなった.これらの知見を組み合わせた衛生管理がPhotobacterium 属によるヒスタミン食中毒の防止に貢献しうる可能性を持つと考えられた.
  • 堤 智昭, 等々力 節子, 根井 大介, 石井 利華, 渡邉 敬浩, 松田 りえ子
    2011 年 52 巻 6 号 p. 321-329
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル フリー
    放射線照射食品の検知法であるEN1785の検知性能を評価し,牛肉,豚肉,鶏肉およびサーモンへの適用を検証した.本法は照射の有無を判定する定性試験法であるため,陰性および陽性試料を用いた評価方法を定めた.未照射の各食品から抽出した脂肪を陰性試料,陰性試料に2-アルキルシクロブタノン類を 0.05 μg/g lipid 添加(約0.5 kGy照射した際の生成量)した脂肪を陽性試料とした.各食品について4個の陰性試料および16個の陽性試料を分析し,本法の検知性能を評価した.本法は各食品の陰性および陽性試料をすべて正しく判定でき,これらの食品への適用が妥当であると判断できた.次に上記方法で検証したEN1785の検知性能を確認するため,未照射およびガンマ線照射 (0.5~4 kGy) した上記と同種の食品を本法により分析した.その結果,すべての試料について照射の有無を正しく判定できた.さらに,ほかの1試験室において,本法の検知性能を検証した後,照射履歴をブラインドにして上記と同種の食品を分析した.各食品につき10試料(未照射2試料,照射8試料)を分析した結果,正答率は 100% であった.
  • 上野 英二, 大野 春香, 渡邉 美奈恵, 大島 晴美, 三上 栄一, 根本 了, 松田 りえ子
    2011 年 52 巻 6 号 p. 330-335
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル フリー
    畜水産物中のスピノサドの活性成分であるスピノシンAおよびスピノシンDを定量するための分析法を検討した.牛筋肉,うなぎ,はちみつなど11種類の試料(5~20 g)に,1 mol/Lリン酸水素二カリウム水溶液を加えて,アセトン-ヘキサンでホモジナイズ抽出し,多孔性ケイソウ土カラムを用いたオンカラム液-液分配法,次いでSAX/PSA連結ミニカラムクロマトグラフィーにより脱脂・精製したのち,ESIポジティブ-SIMモードLC-MSで測定した.回収率は 0.01 μg/g 添加で 76.1~93.8%(RSD≤8.7%),0.05 μg/g添加で75.1~104.1%(RSD≤8.6%)と良好であった.
ノート
  • 藤崎 浩二, 藤田 治子, 松本 宏志, 箸本 弘一, 鍵 裕明
    2011 年 52 巻 6 号 p. 336-339
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル フリー
    調製粉乳中の主要元素から超微量元素まで,計 19元素のICP-MSを用いた迅速一斉分析の検討を行った.測定検液の調製にはマイクロウェーブ分解装置を用いた.前処理後に残存する炭素の電荷移動 (Carbon Charge Transfer) による増感現象の影響を避けるため,酢酸添加による補正を試みたところ,この問題を克服でき,迅速一斉分析系に組み込むことができた.その結果,対象19元素すべてについて,検量線相関係数(r2>0.9993),定量下限共に良好な値を得ることができた.各元素の回収率は 95.0~108% であり,標準偏差も 0.3~4.2% と良好であった.認証値付き標準試料NIST SRMの分析結果も十分満足できるものであった.調製粉乳中の主要元素から超微量元素に至る19元素の,迅速かつ精確な分析法として本法の有用性が確認できた.
  • 上井 恵理, 寺田 岳, 秋山 純基, 一色 賢司
    2011 年 52 巻 6 号 p. 340-347
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル フリー
    食品添加物および界面活性剤の食品接触素材面に付着したヒスタミン産生菌に対する抗菌効果を検討した.Morganella morganii NBRC3848,Raoultella planticola NBRC3317 および Enterobacter aerogenes NCTC10006に対する食品添加物21種類および界面活性剤9種類のMICを測定し,高い抗菌力を示した食品添加物9種類および界面活性剤4種類を食品接触素材面に付着したヒスタミン産生菌に対する抗菌実験に用いた.実用条件(100 μg/mL)で食品接触素材面に付着した3菌株に対する抗菌力を測定したところ,食品添加物では次亜塩素酸ナトリウム,界面活性剤では塩化ベンザルコニウム,塩化ベンゼトニウム,塩化-n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウムおよび塩化 1-n-ヘキサデシルピリジニウムが抗菌力を示した.低濃度条件(10および50 μg/mL)で検討したところ,次亜塩素酸ナトリウムでは10 μg/mL,ほか4種類では50 μg/mLにおいても高い活性が認められた.これらの物質を食品加工施設の衛生管理へ利用することが,ヒスタミン産生菌の制御に期待できると考えられた.
  • 村上 太郎, 昌山 敦, 紀 雅美, 山野 哲夫, 清水 充
    2011 年 52 巻 6 号 p. 348-353
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル フリー
    本研究では,フグ中毒発生時の原因究明に遺伝子解析による魚種鑑別法が適応可能か検討するため,ミトコンドリアDNAの 16S rRNA,cytochrome b およびcytochrome c遺伝子部分領域について塩基配列の解析を行った.遺伝子解析による魚種鑑別法は未加工の魚だけでなく,乾製品や煮魚などについても適応可能であった.さらにフグ中毒事件についての患者吐物からも魚種の鑑別は可能であった.しかし,トラフグ (Takifugu rubripes) とカラス (T. chinensis) については今回解析した領域に明確な差異は見られず,近縁種間の魚種鑑別を行う必要がある場合には塩基配列の解析以外の鑑別法についても検討していく必要がある.
調査・資料
  • 片岡 裕美, 松村 泰余, 福井 貞夫, 峯 孝則, 西川 淳一, 扇間 昌規
    2011 年 52 巻 6 号 p. 354-362
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル フリー
    海外旅行者より供与されたミネラルウォーター類,および輸入ミネラルウォーター類の外観,細菌数,イオン成分について試験した.その結果,一部のミネラルウォーター類に,微着色,浮遊物,混濁物の混入,多数個の一般細菌,従属栄養細菌が観察されたが,大腸菌群,大腸菌,腸球菌,緑膿菌は,陰性であった.また,ある種のミネラルウォーター類の一般細菌数は,ロットの違いごとに明確な差異が認められた.一方,F-濃度が,ミネラルウォーター類の製造基準を超える製品があり,さらに,表示の必要なF-濃度を超えている大部分の製品に適正な表示がなされていなかった.以上の結果から,本研究は,一部のミネラルウォーター類の製造工程における容器の洗浄不足,キャップの殺菌不良,充填から密封・密栓までの工程での空中落下細菌などの混入の可能性を示唆した.さらに,無殺菌・無除菌,高F-濃度などの適正表示の必要性を示した.
  • 山本 新也, 墨岡 成治, 藤岡 正信, 三上 栄一, 宮本 謙一
    2011 年 52 巻 6 号 p. 363-369
    発行日: 2011/12/25
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル フリー
    健康食品の中には,より確実な効果を期待して医薬品成分が添加された製品もあり,摂取した消費者に健康被害を惹起させることがある.このような無承認無許可医薬品による健康被害事例に迅速かつ正確に対応するため,ダイエット健康食品中のフェンフルラミン(FEN),N-ニトロソフェンフルラミン(NFE),シブトラミン(SIB),マジンドール(MAZ),フェノールフタレイン(PHP)の5種の医薬品成分についてGC-MS/MSを使用した一斉分析法を検討した.添加量1 μg/mg (PHPについては4 μg/mg) での回収率は EI 法で 85.0~110.7%,CI 法においても80.3~102.2%,100 μg/mg (PHPについては200 μg/mg) 添加での回収率は,EI 法で 94.9~102.9%,CI 法で 92.8~103.2% であった.また,本法を市販健康食品分析に適用したところ,すべての成分について検出することが可能であった.
妥当性評価
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