食品衛生学雑誌
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52 巻, 1 号
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総説
報文
  • 六鹿 元雄, 四柳 道代, 河村 葉子
    2011 年52 巻1 号 p. 10-17
    発行日: 2011/02/25
    公開日: 2011/03/04
    ジャーナル フリー
    金属製品の材質中鉛試験法を確立した.測定法としてフレーム-原子吸光分析(AAS)法,フレームレス-原子吸光分析(GFAA)法,誘導結合プラズマ発光分析(ICP)法および蛍光X線分析(XRF)法の比較を行い,試験溶液の調製法についても検討を行った.試料 100 mg を精秤し,塩酸・硝酸(3 : 1)混酸(チタンは塩酸)を 2.5 mL 加えて溶解した.これに水を加えて 50 mL としたものを試験原液とし,0.1 mol/L 硝酸で適宜希釈して試験溶液とした.鉛を0.1% 添加したときの回収率は90~118% と良好であった.鉛を0.0098~0.11% 含有する標準物質を測定したところ,各定量値は認証値とほぼ近い値を示した.本法はアルミニウム,鉄,ステンレス鋼,銅,スズ,チタン製品に適用でき,AAS法,GFAA法,ICP法ともに鉛試験法として適用可能であった.また,XRF法はスクリーニング法または簡易定量法として有用であった.ICP法を用いて市販金属製器具22検体の鉛含有量を測定したところ,6検体から0.011~0.040% の鉛が検出された.
  • 坂部 寛, 森 良種, 齊藤 希巳江, 等々力 節子
    2011 年52 巻1 号 p. 18-23
    発行日: 2011/02/25
    公開日: 2011/03/04
    ジャーナル フリー
    標準照射にX線を利用した熱ルミネッセンス(TL)法による照射食品検知法を検討し,その検知法の単一試験室における妥当性確認を行った.照射食品の検知に使用できる小型のX線照射装置を開発し,コバルト60ガンマ線による標準照射の代替となるX線の照射条件を明らかにした.妥当性確認には,ガンマ線照射した香辛料を試料として用いた.検出限界値および発光量の下限値を測定し,香辛料からの鉱物質の分離を確認した.新たに開発したX線照射装置を含む2台の装置を用いて得られた香辛料のTL比に有意差がないことを明らかにした.また,測定者,X線照射装置,測定日を異にしたTL比の室内再現精度および併行精度は,有意差が認められなかった.
  • 篠田 直樹, 橋本 仁康, 高木 昌美, 小嶋 二三夫, 小野寺 節, 杉浦 勝明
    2011 年52 巻1 号 p. 24-27
    発行日: 2011/02/25
    公開日: 2011/03/04
    ジャーナル フリー
    わが国では,BSEの拡散防止のために,動物由来タンパク質の飼料への使用を規制している.この規制の実効性を確保するために,飼料関係業者への立入検査が行われ,それに伴って収去された試料が分析されている.分析法の1つとしてPCR法が用いられており,種特異的プライマーによって規制動物種由来原料の有無を検出している.しかし,このPCR法は増幅断片の長さのみから検出の有無を判断するため,陽性となった場合は配列確認などにより非特異反応でないことの確認が望まれる.配列確認にはシークエンシングが最も確実な方法であるが,時間や費用の点からルーチン検査に適していない.そこで本研究では,短時間で簡便に同定確認を行うために,PCR-RFLPによる確認法を開発した.
  • 甲斐 茂美, 赤星 猛, 脇 ますみ, 藤巻 照久, 金澤 秀子
    2011 年52 巻1 号 p. 28-33
    発行日: 2011/02/25
    公開日: 2011/03/04
    ジャーナル フリー
    LC-MS/MSによる畜水産物中のメトリブジン(MET)および代謝物の脱アミノ体(DA),メチルチオ基脱離酸化体(DK),メチルチオ基脱離酸化物脱アミノ体(DADK)の同時分析法を検討した.試料をアセトニトリルで抽出後,InertSep C18 および BondElutSAX で精製し LC-MS/MS を用いて測定した.LCはC18カラムを用い,移動相は 0.01 mol/L ギ酸アンモニウム-アセトニトリル-メタノール(70 : 21 : 9)のアイソクラティックで分析した.MSの分析はイオン源にはESIを用い,ポジティブおよびネガティブの両イオン化モードで行った.METおよび代謝物を畜水産物10種類に添加し添加回収試験を行ったところ,各化合物はおおむね回収率60% 以上,変動係数20% 以内であった.
ノート
  • 石井 里枝, 高橋 邦彦, 松本 隆二
    2011 年52 巻1 号 p. 34-39
    発行日: 2011/02/25
    公開日: 2011/03/04
    ジャーナル フリー
    高速液体クロマトグラフ-タンデム質量分析計(LC-MS/MS)を用いた10種の畜水産食品中の抗原虫剤イミドカルブの簡便な分析法を検討した.カラムに TSK VMpak-25 を,移動相に酢酸アンモニウム-アセトニトリルを用い,ESI,ポジティブモードで測定した.分析に供する試験溶液は,試料を塩基性条件下,アセトニトリルで抽出し,調製した.はちみつ以外の試料には脂質などの除去のため,ヘキサンとの分配抽出を適用し,はちみつについては試料に添加した水と抽出有機溶媒との分離を改善するため,食塩による塩析操作を加えた.本法による定量下限値は食品中の濃度で0.005μg/gであり,回収率も76~109% と良好であった.また,併行精度および室内精度においても良好な結果が得られた.
  • 秋山 卓美, 山崎 壮, 棚元 憲一
    2011 年52 巻1 号 p. 40-46
    発行日: 2011/02/25
    公開日: 2011/03/04
    ジャーナル フリー
    ウロン酸含有増粘多糖類の構成糖組成比をGC分析する方法を検討した.単糖にジエチルジチオアセタール化とTMS化を施してGC/MSで分析する既報の方法の反応スケールを5倍にし,さらに溶媒抽出を用いた調製法に変更し,操作性と再現性を向上させた.多糖類7品目を加水分解し,改良操作法により誘導体化してGC/FIDで分析した.構成糖の誘導体をクロマトグラム上でいずれも単一のピークとして検出し,互いに分離することができ,同定と定量が可能であった.構成糖の種類と含量比から7品目を区別することができた.さらに加水分解反応の最適化を試みたところ,グルクロン酸は中性糖よりも加水分解に時間がかかることが示された.品目間の識別は6時間の加水分解で十分であるが,構成糖組成比の精密な比較を行う場合には,構成糖ごとに加水分解時間の最適化を行う必要があると考えられた.
  • 高橋 邦彦, 松本 隆二, 根本 了, 松田 りえ子
    2011 年52 巻1 号 p. 47-50
    発行日: 2011/02/25
    公開日: 2011/03/04
    ジャーナル フリー
    高速液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析計(LC-MS/MS)を用いた農産物中のヒドラメチルノンの分析法を検討した.試料にリン酸を添加してホモジナイズ後,アセトンで抽出した.この抽出液に飽和塩化ナトリウム溶液を加えてヘキサンで転溶した.茶ではヘキサン転溶操作の前に凝固液による処理を行った.精製はシリカゲルミニカラム(500 mg)を用いた.測定条件として分析カラムにC18,移動相は10 mM酢酸アンモニウム含有-メタノール-水(8 : 2),イオン化モードはESIのポジティブモードを用いた.検量線は0.002~0.2 μg/mLの範囲で直線性を示した.パイナップルなど10種の農産物からの回収率(n=5)は約82~110% であり,相対標準偏差は2~12% であった.
  • 坂本 美穂, 竹葉 和江, 笹本 剛生, 草野 友子, 林 洋, 金井 節子, 神田 真軌, 永山 敏廣
    2011 年52 巻1 号 p. 51-58
    発行日: 2011/02/25
    公開日: 2011/03/04
    ジャーナル フリー
    LC-MS/MSを用いて,鮭および蜂蜜中のジメトリダゾール,メトロニダゾールおよびロニダゾールの分析法を検討した.各薬剤を酢酸エチルで抽出した後,シリカゲルカートリッジカラムを用いて精製を行った.測定は各薬剤の安定同位体標識標準品を用いて,SRMモードで行った.鮭および蜂蜜に0.4~2 μg/kgとなるように各薬剤を添加して,添加回収試験を実施したところ, 回収率91.2~107.0%,併行精度1.7~17.1%,室内精度20% 未満であった.鮭および蜂蜜中の各薬剤の検出限界は0.05~0.2 μg/kgであった.本法を鮭3試料,蜂蜜20試料に適用したところ,食品衛生法上,違反になる検体は認められなかった.
  • 吉田 絵美子, 渋谷 孝博, 黒川 千恵子, 井上 豊, 山本 善彦, 宮崎 元伸
    2011 年52 巻1 号 p. 59-65
    発行日: 2011/02/25
    公開日: 2011/03/04
    ジャーナル フリー
    動物用医薬品は,その使用が省令により厳密に規制されているにもかかわらず,さまざまな食品における検出事例が報告されており,迅速で精度の高い検査法の開発と規制強化が強く望まれている.本研究では,ガラスビーズを用いた前処理およびバッチ精製を基にした加工食品中の動物用医薬品の一斉分析法を検討した.EDTA-2Na存在下でガラスビーズを用いて試料から動物用医薬品を抽出し,抽出液に固相充填剤を加えて精製することにより,多数の試料を迅速かつ簡便に前処理することが可能となった.また,抽出溶媒を検討し,テトラサイクリン系抗生物質を含む動物用医薬品一斉分析法を確立した.添加回収試験を実施したところ,検討した69成分中60成分以上が,回収率70~120%,変動係数25% 未満,定量下限値は0.01μg/g (S/N≥10)で定量可能だった.以上より,本法は迅速な動物用医薬品一斉試験法として有用であると考えられた.
  • 大野 浩之, 鈴木 昌子, 河村 葉子
    2011 年52 巻1 号 p. 66-70
    発行日: 2011/02/25
    公開日: 2011/03/04
    ジャーナル フリー
    4種擬似溶媒(水,4% 酢酸,20% エタノールおよびヘプタン)を用い,合成樹脂製食品用器具12樹脂71検体の蒸発残留物量を調査した.測定は規格試験法に準じて行った.定量限界は5 μg/mLであった.ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレン,アクリロニトリル・スチレン樹脂,アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリメチルペンテン,ポリメタクリル酸メチルおよびポリエチレンテレフタレート製品では,蒸発残留物量はヘプタンの場合が最も高く,その他の溶媒は非常に低かった.一方,メラミン樹脂およびナイロン製品では,4% 酢酸または20% エタノールの場合が最も高く,ヘプタンが最も低かった.この結果,合成樹脂の種類別に最適な溶出溶媒の選択が可能となり,迅速かつ効率良く試験を行うことができるようになると考えられた.
調査・資料
  • 渡邊 裕子, 赤星 千絵, 濟田 清隆, 関戸 晴子, 橋口 成喜, 渡部 健二朗, 田中 幸生
    2011 年52 巻1 号 p. 71-77
    発行日: 2011/02/25
    公開日: 2011/03/04
    ジャーナル フリー
    平成15から19年の県内アレルギー物質(卵・乳)調査・検査の結果,ELISA法変更前の卵の検出率は約20%,乳は約30% となり,変更後の平成17年では卵の検出率は約10% 上がり,乳では約半分となった.10 μg/g以上の陽性検体は卵4検体,乳4検体であり,これらは製造所のコンタミネーションと原材料表示の欠落が原因であった.一方,平成21年の注意喚起表示の調査ではコンタミネーションのレベルは低かった.同一サンプルを用いた新・旧検査方法の検出率の比較では,新検査法の卵の検出率は向上した.乳ではELISA法の検出率は低下したが,ウエスタンブロット法との整合性は向上した.一方,オボムコイドとカゼインの定性検査ではタンパク質量が5 μg/g以下で判定不能となる場合が見られた.
  • 高附 巧, 渡邉 敬浩, 松田 りえ子
    2011 年52 巻1 号 p. 78-85
    発行日: 2011/02/25
    公開日: 2011/03/04
    ジャーナル フリー
    過塩素酸塩は,天然および人工物が存在し,甲状腺へのヨウ素の取り込み阻害および甲状腺機能を抑制する.わが国における食品中の過塩素酸塩濃度の実態を調査するため,ワイン28試料,魚介類20試料,精米10試料,乳(牛乳,成分調整牛乳,低脂肪牛乳,加工乳,乳飲料)30試料,粉乳10試料およびヨーグルト10試料中の過塩素酸塩濃度を測定した.ワイン,乳,粉乳およびヨーグルトはすべての試料から過塩素酸が検出され,濃度範囲はワイン0.2~103 ng/g,乳2~11 ng/g,粉乳3~35 ng/gおよびヨーグルト2~11 ng/gであった.魚介類試料中8試料は定量限界(0.8 ng/g)未満であり,12試料から0.8~72 ng/gの過塩素酸塩が検出された.精米は全試料が定量限界(1.0 ng/g)未満であった.
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