食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
Print ISSN : 0015-6426
ISSN-L : 0015-6426
52 巻, 3 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
総説
報文
  • 中村 宗知, 古海 靖子, 渡邊 文子, 水越 一史, 谷口 誠, 根本 了
    2011 年52 巻3 号 p. 148-155
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    農作物中のカルベンダジム,チオファネート,チオファネートメチルおよびベノミルの簡便で精度の良いLC-MS/MS分析法を開発した.農作物中のMBC等をアスコルビン酸ナトリウムを加えて分解を防ぎながらメタノールで抽出した.抽出液に50% 酢酸および酢酸銅を加えて加熱還流を行いチオファネートおよびチオファネートメチルの閉環反応処理を行った.ヘキサン洗浄および酢酸エチル転溶のみの簡便な精製をした後,LC-MS/MSで測定した.検量線作成用標準溶液は閉環反応を行っていないものを用いた.残留基準値濃度および0.02 mg/kgの添加回収試験を行った結果,カルベンダジム等の平均回収率は71.5~100.0%(相対標準偏差1.3~9.2%)の範囲であった.農作物における定量限界はMBCとして0.01 mg/kgであった.
  • 青栁 光敏, 新山 和人, 根本 了
    2011 年52 巻3 号 p. 156-160
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    畜水産物中のクロフェンセットをLC/MSを用いて分析する方法を検討した.試料にヘキサンを加えて脂肪を溶解した後,含水アセトニトリルでクロフェンセットを抽出し,抽出液をC18ミニカラムで精製した.溶出液を濃縮後,1% 炭酸水素ナトリウムを含む10% 塩化ナトリウム溶液を加え,酢酸エチルで洗浄後,塩酸で酸性とし,酢酸エチルに転溶した.溶媒を除去後,残留物を水-メタノール(7 : 3)に溶解してLC/MSで測定した.畜水産物10種類の試料からの回収率は77.8~97.8%(相対標準偏差0.6~5.8%)と良好な結果が得られた.クロフェンセット0.01 mg/kgを添加した各試料のクロマトグラムでは,クロフェンセットのピークはS/N>10であり,また,定量を妨害するピークも認められなかった.
  • 小木曾 基樹, 木村 彩子, 近宗 雅人, 齋藤 真希, 竹本 雅美, 渡井 正俊
    2011 年52 巻3 号 p. 161-166
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    ニジマスの筋肉および肝臓中の6種のアフラトキシン類(アフラトキシン B1,B2,G1,G2,M1,アフラトキシコール)の高感度分析法を確立した.本法ではアフラトキシン類をアセトニトリル-水 (9 : 1) 30 mL により抽出し,イムノアフィニティカラムにより精製後,フォトケミカルリアクターによるポストカラム誘導体化蛍光検出HPLCにより測定を行った.それぞれのアフラトキシン類の濃度が0.05 μg/kgとなるように筋肉および肝臓に添加し,繰り返し試験を行った結果,添加回収率は筋肉で71.4~82.4%,肝臓で80.1~93.0%,併行相対標準偏差は筋肉で0.87~4.6%,肝臓で2.0~6.2% であった.また,これらの繰り返し試験の結果から算出した定量下限および検出限界は,それぞれ0.004~0.029,0.002~0.012 μg/kgであった.
  • 渡邉 敬浩, 米谷 民雄, 松田 りえ子
    2011 年52 巻3 号 p. 167-177
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    わが国におけるトランス脂肪の規制に関する施策決定の科学的根拠の1つとして,日本人のトランス脂肪摂取量を推定することは極めて重要である.そこで本研究では,事前に性能を明らかにした分析法を用い,マーケットバスケット方式により調製した複数群のトータルダイエット試料および一食分の食事として供される食品試料(one-serving試料)に含まれるトランス脂肪濃度を定量し,その結果に基づく摂取量を推定した.その結果,トータルダイエット試料の分析結果から推定される一日摂取量は,米国等で一食当たりの規制値として設定されている500 mgを大幅に超過することはないことが示唆された.またその一方で,一部のone-serving試料中のトランス脂肪濃度は他の試料に比較して高く,このような食事を偏って摂取した場合には,500 mgを超えるトランス脂肪が摂取されることが容易に予測された.
ノート
  • 中島 崇行, 林 洋, 笹本 剛生, 神田 真軌, 草野 友子, 松島 陽子, 金井 節子, 竹葉 和江, 永山 敏廣
    2011 年52 巻3 号 p. 178-182
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    公的な試験法の定められていないネクイネートおよびバクイノレートの分析法を確立した.試料から厚生労働省通知の一斉試験法Iに準じて抽出した後,20%メタノールでHLBカートリッジに負荷し,アセトニトリル-メタノール(1 : 1)混液で溶出,10 mLに定容しLC-MS/MSにより定量した.本法のネクイネートおよびバクイノレートの定量限界は0.001 μg/gであった.8種類の試料(鶏筋肉,鶏肝臓,鶏心臓,豚筋肉,豚心臓,牛筋肉,羊筋肉,鶏卵)について2濃度における各々の添加回収率は,89.5~108.6%,相対標準偏差は20% 未満(n=10)であった.本法を用いて市販の食肉10検体について実態調査を行ったところ,いずれの検体からもネクイネートおよびバクイノレートは検出されなかった.
  • 飯尾 久美子, 岡田 裕実春, 石倉 正治
    2011 年52 巻3 号 p. 183-189
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    微細藻類キートセロス由来フコキサンチンオイルの摂取による毒性変化を調べるため,ラットにおける単回経口投与毒性試験および13週間反復経口投与毒性試験を実施した.フコキサンチンオイルを2,000 mg/kg体重,単回経口投与した結果,雌雄とも死亡例,毒性変化は認められず,フコキサンチンオイルの最小致死量は2,000 mg/kg体重を上回ると考えられた.また,フコキサンチンオイルを0,20,200 mg/kg体重,13週間投与した結果,フコキサンチンオイル投与による毒性変化は認められなかった.本条件下では微細藻類由来フコキサンチンオイルの無毒性量は1日当たり200 mg/kg体重であると考えられた.
  • 飯尾 久美子, 岡田 裕実春, 石倉 正治
    2011 年52 巻3 号 p. 190-193
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    微細藻類キートセロス由来フコキサンチンオイルの遺伝毒性を調べるため,細菌を用いる復帰突然変異試験およびマウスを用いる小核試験を実施した.細菌を用いる復帰突然変異試験において,試験したすべての菌株のフコキサンチンオイル群の復帰変異コロニー数は代謝活性化の有無にかかわらず,陰性対照群の2倍を超えず,復帰突然変異誘発性は陰性と判断された.マウスを用いる小核試験では,フコキサンチンオイルを500,1,000,2,000 mg/kg体重単回経口投与したところ,骨髄細胞における小核出現頻度はいずれの用量においても陰性対照群との間に有意な増加は認められず,小核誘発性は陰性と判断された.以上より,フコキサンチンオイルは遺伝毒性を有さないことが示唆された.
  • 橋本 諭, 西村 一彦, 高橋 健一, 板橋 豊
    2011 年52 巻3 号 p. 194-198
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    多量の遊離脂肪酸は下痢性貝毒マウス毒性試験において偽陽性を起こす.脂質含量が多い試料として,配偶子形成期にあるホタテガイの肥大中腸腺の脂質加水分解脂肪酸量および遊離脂肪酸量について測定し,偽陽性の発生評価を行った.脂肪酸は 9-アンスリルジアゾメタンを用い蛍光ラベル化した後,蛍光検出高速液体クロマトグラフィーで測定した.肥大中腸腺は総脂質脂肪酸の47~49 wt% を比毒性の高い20 : 5が占めており,偽陽性を起こす可能性を有していた.しかし,検出された遊離脂肪酸量は総脂質の3.3~4.2 wt% であり,マウス毒性が報告されているものは総脂質の1.3~1.8 wt% であった.いずれも致死量相当量を下回ることから,生きた貝を用い,ホモジナイズ後速やかに抽出を行えば,ホタテガイ肥大中腸腺試料であっても,貝毒下痢性検査において偽陽性が発生する可能性は低いと考えられる.
  • 粟津 薫, 野村 千枝, 山口 瑞香, 尾花 裕孝
    2011 年52 巻3 号 p. 199-204
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    魚肉中のヒスタミンの分析を目的として,2種類の固相抽出カートリッジカラムを直列に連結した精製法を検討した.魚肉中のヒスタミンを,トリクロロ酢酸溶液を添加し,ホモジナイズして抽出した.その上清を中和後,中性リン酸緩衝液で希釈し,ODSの下部にSCXを連結したカラムで精製した.試験溶液をフルオレスカミンで蛍光誘導体化し,蛍光検出器付きHPLCによる測定の結果,クロマトグラム上に妨害ピークがほとんど見られなかった.6種類の鮮魚および水産加工品における添加回収試験の結果,平均回収率は83~92%,相対標準偏差は5% 以下であった.本法は,魚肉中のヒスタミン分析法として有用であった.
調査・資料
  • 荒見 真一郎, 佐藤 恵美, 布藤 聡
    2011 年52 巻3 号 p. 205-210
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2011/07/01
    ジャーナル フリー
    DNAバーコーディングは,特定の遺伝子領域の短い塩基配列(DNAバーコード)を指標として簡便な操作で生物種の同定を行う手法である.哺乳類や魚類といった各種生物では,ミトコンドリア上の cytochrome c oxidase subunit I 遺伝子の 5' 側約650塩基の配列が標準的なバーコード領域として設定されている.本報告では,日本人が一般的に食する魚類の生鮮および加工食品を対象として,DNAバーコーディングの有効性を検討した.市場より入手した31の魚試料のうち29は適切な魚種と同定された.しかしながら,日本近海に生息しかつ国内消費される2魚種では同定不可能であった.DNAバーコーディングで同定できなかったこれらの魚種は,16S rDNA の塩基配列の相同性検索ならびに農林水産消費安全技術センター(FAMIC)より公開されているPCR-RFLPを使用した魚種判別法で同定が可能であった.以上の結果は,DNAバーコーディングが市場流通魚の種判別に一定の有効性を持っていることを示した.
feedback
Top