食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
Print ISSN : 0015-6426
ISSN-L : 0015-6426
53 巻 , 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
報文
  • 近藤 貴英, 蕪木 康郎, 柴田 雅久, 黒川 千恵子, 井上 豊, 山本 善彦, 宮崎 元伸
    2012 年 53 巻 2 号 p. 75-84
    発行日: 2012/04/25
    公開日: 2012/05/19
    ジャーナル フリー
    厚生労働省通知の畜水産物中残留農薬一斉試験法では,精製にゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いている.本研究では,より簡便な試験溶液調製法を検討した.抽出溶媒にアセトニトリル–エタノール(1 : 1)混液を用い,冷却遠心分離と分散固相抽出および多機能カラムを組み合わせた精製を行うことで,脂肪を含む夾雑物質のクリーンアップを効率良く行うことができた.これにより,GPCを用いずに,試験溶液の調製を簡便かつ迅速に行うことができた.本法による添加回収試験では,検討した131成分のうち115成分以上の農薬が回収率70~120%,相対標準偏差15%未満であった.定量下限値は,0.001~0.01 μg/gの範囲で設定可能であった.
  • 長島 裕二, 松本 拓也, 門山 敬介, 石崎 松一郎, 谷山 茂人, 高谷 智裕, 荒川 修, 寺山 誠人
    2012 年 53 巻 2 号 p. 85-90
    発行日: 2012/04/25
    公開日: 2012/05/19
    ジャーナル フリー
    2008年10月に長崎県でフグ中毒が発生した.中毒残品の筋肉からDNAを抽出精製し,PCR増幅したミトコンドリアDNA 16S rRNAおよびシトクロムb部分領域の塩基配列はカナフグのそれと一致した.中毒残品の肝臓試料から1,230 MU/gの毒性とテトロドトキシン(TTX)が検出されたことから,本中毒はカナフグによるTTX中毒と判断した.中毒原因個体の肝臓試料からこれまでの報告を上回る猛毒レベル(≧1,000 MU/g)の毒性が検出されたため,九州沿岸で漁獲されたカナフグ13検体の毒性を調べた.12検体が有毒で,これまで無毒とされていた腸や卵巣も毒性を示し,毒性が不明だった腎臓,胆のう,脾臓からは弱毒レベルの毒性が高頻度で検出され,日本産カナフグの毒性の見直しが必要と考えられた.
ノート
  • 中島 崇行, 笹本 剛生, 林 洋, 神田 真軌, 竹葉 和江, 金井 節子, 草野 友子, 松島 陽子, 高野 伊知郎
    2012 年 53 巻 2 号 p. 91-97
    発行日: 2012/04/25
    公開日: 2012/05/19
    ジャーナル フリー
    簡便で高精度な畜産食品中の抗生物質19剤のスクリーニング法を開発した.試料5.0 gに対し,0.5%ギ酸含有アセトニトリル–メタノール(8 : 2) 15 mLで抽出し,硫酸マグネシウム,クエン酸三ナトリウム,塩化ナトリウムで脱水,塩析した後,20 mLに定容,LC-MS/MSで測定した.5種類の畜産食品試料(牛筋肉,豚筋肉,鶏筋肉,鶏卵,牛乳)について,2濃度,n=5での添加回収実験を行った結果,回収率は45.5~121.6%,相対標準偏差は18%未満であった.本法の定量下限値は10 μg/kg以下であり,一部の薬剤を除き,残留基準値を検出することが可能であった.本法は,畜産食品中残留抗生物質の簡便な試験法であり,日常のスクリーニング検査に有用であると考える.
調査・資料
  • 渡邊 裕子, 赤星 千絵, 関戸 晴子, 田中 幸生, 田中 和子, 下条 直樹
    2012 年 53 巻 2 号 p. 98-104
    発行日: 2012/04/25
    公開日: 2012/05/19
    ジャーナル フリー
    全卵・卵白・卵黄を用いた菓子・肉団子・パスタ・プリンモデル食品を作製し,調理による卵タンパク質の検出値の変化を,抽出液にトリス塩酸緩衝液を用いたELISAキットにより測定した.菓子,肉団子では揚調理が最も低下し,肉団子はレトルト処理によりオボアルブミン(OVA)は検出限界以下(<1 μg/g)となり,オボムコイド(OVM)も最も低下した.ゆえに,調理温度とともに均一な加熱処理が加わる調理方法が卵タンパク質の検出に影響した.また,卵黄使用の肉団子レトルト処理とパスタでは,いずれの卵タンパク質も6 μg/g以下となり,さらに患者血清中のIgE抗体によるウエスタンブロット法では,OVA,OVMは検出されなかった.一方,抽出液に可溶化剤を用いたELISAキットでは,前述のキットに比べ定量値が上がり,加熱処理したタンパク質が検出された.
  • 登田 美桜, 畝山 智香子, 豊福 肇, 森川 馨
    2012 年 53 巻 2 号 p. 105-120
    発行日: 2012/04/25
    公開日: 2012/05/19
    ジャーナル フリー
    自然毒による食中毒発生リスクを効率的に低減させるためには,過去の発生状況およびリスク因子等に基づく重点的なリスク管理が必要である.本研究では,厚生労働省監修の全国食中毒事件録(平成元年~22年版)の自然毒食中毒事例を基に,わが国における中毒発生の傾向を検討した.平成元年以降の22年間を通じて自然毒食中毒の発生件数に経年的な減少傾向は見られず,発生を低減するために予防のための継続的な取り組みが必要であると考えられた.動物性および植物性いずれの自然毒においても主な原因施設は「家庭」であり,食中毒の発生状況および予防策,対応等について消費者向けの広い啓蒙・広報が重要である.また,食品の国際的な流通拡大や地球温暖化による海水温の上昇に伴い,これまで国内で食中毒が発生していない自然毒への対策も重要である.
妥当性評価
  • 菊地 博之, 堤 智昭, 松田 りえ子
    2012 年 53 巻 2 号 p. 121-127
    発行日: 2012/04/25
    公開日: 2012/05/19
    ジャーナル フリー
    わが国では,ヒスタミンを原因とする食中毒事例が毎年報告されているが,食品に含まれるヒスタミンの規格基準および公定分析法は示されていない.そこで,食品中のヒスタミンの規格試験法を開発することを目的として,既報のタンデム固相抽出を用いたヒスタミン分析法を一部改良するとともに,改良した分析法の性能を評価した.本法の妥当性を確認するために,25,50 μg/gの濃度になるようにヒスタミンを添加したマグロ試料,および50,100 μg/gの濃度となるようにヒスタミンを添加した魚醤およびいわし丸干しなどの水産加工品試料を作製し,食品中の金属に関する分析法の妥当性評価ガイドラインに従った実験計画により分析を行った.その結果,すべての検討試料および濃度において,真度は88.8~99.6%,併行精度は1.3~2.1%,室内精度は2.1~4.7%と良好な結果が得られた.さらに,本法の適用可能な食品の範囲を検証するために,一般にヒスタミン汚染が懸念される7種の切り身および水産加工品について,上記と同様の添加濃度において添加回収試験を実施したところ,すべての検討試料において,83.4~102.0%の回収率が得られた.以上の結果から,本法はヒスタミンの規格試験法として十分な性能を有しており,切り身や干物,缶詰等の多様な形態の試料についても適用することが可能な方法であると考えられる.また,本法を用いて市場流通している切り身および加工品(32検体)のヒスタミン含有濃度の実態調査を実施したところ,一部の加工品から高濃度のヒスタミンが検出された.
訂正
feedback
Top