食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
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53 巻, 5 号
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報文
  • 松岡 靖幸, 荒見 真一郎, 佐藤 恵美, 原口 浩幸, 栗本 洋一, 今井 伸二郎, 田中 啓子, 真野 潤一, 古井 聡, 橘田 和美
    2012 年53 巻5 号 p. 195-202
    発行日: 2012/10/25
    公開日: 2012/11/16
    ジャーナル フリー
    PCRを活用した4および6倍体と6倍体コムギとの識別法を開発した.A,BおよびDゲノムで構成される普通コムギは6倍体コムギに,AおよびBゲノムで構成されるデュラムコムギは4倍体コムギに分類される.SS II遺伝子は各コムギA,BおよびDゲノムにコードされ,それらのDNA塩基配列はわずかに異なる.この差異を識別する2種の異なるプライマー対を設計した.プライマー対SS II ex7-U/LはSS II-A,B,Dに共通の配列を認識し,4および6倍体コムギDNAから114 bpのPCR増幅産物を生じた.一方,プライマー対SS II-D 1769U/1889LはSS II-D上の特異的な配列を認識し,6倍体コムギからのみ121 bpの増幅産物を生じた.コムギと他の穀物からなるコムギ混合物を本PCRに供したところ,4および6倍体コムギと6倍体コムギを効果的に識別することができた.以上のことから,本PCRは食品原料粉中の普通およびデュラムコムギの識別を可能とし,コムギの正確な表示に有用であることが示された.
  • 今井 伸二郎, 田中 啓子, 西辻 泰之, 菊池 洋介, 松岡 靖幸, 荒見 真一郎, 佐藤 恵美, 原口 浩幸, 栗本 洋一, 真野 潤一 ...
    2012 年53 巻5 号 p. 203-210
    発行日: 2012/10/25
    公開日: 2012/11/16
    ジャーナル フリー
    遺伝子組換えコムギ検知法への適用を目指し,コムギの内在性遺伝子候補としてプロリンリッチプロテイン(PRP)遺伝子の評価を行った.リアルタイムPCRにおいて,PRP遺伝子は普通コムギとデュラムコムギでのみ増幅が得られ,他の10作物では増幅産物が得られなかった.コムギの銘柄・品種間の比較では,増幅産物の大きさ,強度,Ct値がほぼ同等で,非特異的な増幅産物も見られなかったことから,コムギ間に反応性の差はないと考えられた.PRP遺伝子のコピー数は,1ハプロイドあたり1もしくは2コピーであり,検出限界は5ハプロイドゲノムコピーであった.以上,PRP遺伝子はPCRを利用した遺伝子組換えコムギ検知に有用な内在性遺伝子として利用可能と判断された.
  • 岡野 清志, 富田 常義, 大図 祐二, 高井 光宏, 小瀬 彩華, 小塚 暁子, 池田 奈緒子, 坂田 淳子, 久米田 裕子, 中村 信也 ...
    2012 年53 巻5 号 p. 211-216
    発行日: 2012/10/25
    公開日: 2012/11/16
    ジャーナル フリー
    アフラトキシンB群(AF-B)に汚染した15試料とアフラトキシンB,G (AF-B,G) 両群により汚染した10試料の輸入インドネシア産ナツメッグについて,AF産生菌を分離し,そのAF産生能と分布を調べた.その結果,総AF汚染濃度が高い試料ではAF産生菌数 (CFU/g) が多く,低い試料ではAF産生菌数 (CFU/g) が少ない傾向があった(r=0.752).ただし,分離菌株のYES液体培地におけるAF産生性をTLCおよびポストカラムフォトケミカル反応によりHPLCで調べたところ,高濃度汚染の試料から分離された菌株が必ずしもAF産生能が高いとは限らなかった.AF-B,G群に汚染した3試料からAF-B,G群産生菌を分離した.これらの菌種は形態学的特徴,37℃と42℃における発育速度の相違,および遺伝学的解析に基づき,A. nomiusとA. bombycisと同定された.農産物のAF-G汚染の原因菌としてはA. parasiticusが注目されてきたが,今回の結果から,輸入インドネシア産ナツメッグにおいてはA. nomiusとその近縁種であるA. bombycisがAF汚染の原因である可能性が示唆された.一方,AF-B群産生菌はすべてA. flavusと同定された.
  • 石井 里枝, 高橋 邦彦, 戸谷 和男, 根本 了, 松田 りえ子
    2012 年53 巻5 号 p. 217-224
    発行日: 2012/10/25
    公開日: 2012/11/16
    ジャーナル フリー
    LC-MS/MSを用いた畜水産食品中のクロメプロップおよびその代謝物であるクロメプロップ酸の分析法を開発した.試料から塩酸酸性下,アセトン–n–ヘキサン混液で抽出し,アセトニトリル–n–ヘキサン分配による脱脂操作後,SAXミニカラムとPSAミニカラムで精製した.10食品(牛の筋肉,牛の脂肪,牛の肝臓,牛乳,ブリ,さけ,うなぎ,しじみ,鶏卵およびはちみつ(そば蜜))を用いて,残留基準値濃度もしくは一律基準値濃度(0.01 ppm)における添加回収試験を行った結果,真度はクロメプロップが81~97%,クロメプロップ酸が93~101%であった.併行精度はクロメプロップが2.1~14%,クロメプロップ酸が1.3~7.2%であった.また,本法による定量下限値はクロメプロップが0.002 mg/kg,クロメプロップ酸が0.00154 mg/kg(クロメプロップに換算すると0.002 mg/kg)であった.
  • 橋本 健志, 橋本 亮, 松崎 学, 関口 好浩, 橋本 仁康, 浅尾 美由起, 高木 昌美
    2012 年53 巻5 号 p. 225-232
    発行日: 2012/10/25
    公開日: 2012/11/16
    ジャーナル フリー
    微量液体希釈法(BMD法)は,臨床・検査標準協会(CLSI)のガイドラインに規定された薬剤感受性試験法の1つである.現在,わが国の家畜衛生分野における薬剤耐性モニタリング体制(JVARM)では,薬剤耐性指標細菌である腸球菌を対象とした試験において,寒天平板希釈培養法(AD法)が採用されているが,本法は甚大な時間と労力を要する試験法であるため,より簡素で効率的な方法であるBMD法への移行が望まれている.そこで,腸球菌薬剤感受性試験へのBMD法の応用性を検討するため,両試験法の2倍希釈法にかかわるMIC値の相関性について比較検討を行った.14薬剤中,ノシヘプタイド(NHT)以外の13薬剤で,両試験法のMIC値の濃度差,MIC50およびMIC90は良好な一致を示し,またMIC値分布に,薬剤濃度依存性が認められたことから,両試験法には良好な相関関係が認められた.
ノート
  • 坂本 勝志, 西澤 秀男, 眞鍋 昇
    2012 年53 巻5 号 p. 233-236
    発行日: 2012/10/25
    公開日: 2012/11/16
    ジャーナル フリー
    コーヒーの残留基準値は生豆に設定されているが,実際には生豆を焙煎し,さらに熱湯で抽出したものを飲料としている.2008年5月にはエチオピア産コーヒー豆でγ-BHCが基準値(0.002 ppm)違反となり,現在も命令検査の状況である.しかし,加工してわれわれの口に入る場合の農薬の消長に関するデータは少ないので,γ-BHC,クロルデン,ヘプタクロル,過去に検出事例のあったアトラジンおよびピペロニルブトシシドの焙煎工程での消長を調べた.コーヒー生豆での残留濃度を2濃度設定し,焙煎前後の濃度を測定して,焙煎工程後の残存率を求めた.γ-BHCおよびアトラジンは,いずれの濃度でも焙煎により消失し,残存しなかった.一方,クロルデンおよびピペロニルブトキシドは2濃度とも焙煎工程後に残存が見られたが,90%以上は焙煎工程中に消失した.ヘプタクロルは高濃度で焙煎後に0.72%残存した.
  • 昌山 敦, 村上 太郎, 佐久間 大輔, 紀 雅美, 山野 哲夫, 清水 充
    2012 年53 巻5 号 p. 237-242
    発行日: 2012/10/25
    公開日: 2012/11/16
    ジャーナル フリー
    従来,キノコは形態学的観察によって分類されるが,見分けるには高度な専門的知識を必要とする.そこで本研究では,キノコの遺伝子解析を利用し,食中毒発生時における原因究明を目的とする形態学的特徴に基づく同定技術がなくても可能なキノコ鑑別法の検討を試みた.キノコの非翻訳領域(internal transcribed spacer; ITS)の塩基配列を解析し,データベースと照合することでキノコの鑑別を試みたところ,本研究で使用した12種すべての試料で鑑別が可能であった.また,調理および調理後の人工胃液消化処理による解析への影響も検討したところ,調理による解析への影響は見られなかったが,胃液消化によるDNAの酸分解は解析を困難にする可能性が示唆された.
  • 中島 崇行, 永野 智恵子, 笹本 剛生, 林 洋, 神田 真軌, 金井 節子, 竹葉 和江, 松島 陽子, 高野 伊知郎
    2012 年53 巻5 号 p. 243-253
    発行日: 2012/10/25
    公開日: 2012/11/16
    ジャーナル フリー
    畜産食品中の動物用医薬品43剤の迅速な一斉分析法を開発し,その妥当性評価を行った.試料5.0 gに対し,1%ギ酸含有アセトニトリルもしくはアセトニトリル15 mLで抽出し,硫酸マグネシウム,クエン酸三ナトリウム,塩化ナトリウムで脱水,塩析した後,20 mLに定容,LC-MS/MSで測定した.4種類の畜産食品試料(牛筋肉,豚筋肉,鶏筋肉,鶏卵)について,2濃度,2併行5日間での添加回収実験を行った結果,農薬等に関する試験法の妥当性評価ガイドラインで定める目標値に適合した薬剤は,牛筋肉および豚筋肉で40剤,鶏筋肉で39剤,鶏卵で37剤であった.また,本試験法における各薬剤の定量限界は,すべての試料でMRL以下であった.
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