食品衛生学雑誌
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54 巻 , 1 号
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報文
  • 高橋 邦彦, 石井 里枝, 根本 了, 松田 りえ子
    原稿種別: 報文
    2013 年 54 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/03/08
    ジャーナル フリー
    LC-MS/MSを用いた農産物と畜水産物中のジノセブおよびジノテルブの分析法を開発した.農産物はアセトンで抽出し,得られた抽出液にヘキサンと飽和塩化ナトリウム溶液を加えて振とうした後,その上層をPSAミニカラムによる精製に供した.一方,畜水産物はアセトン–ヘキサン–水–塩化ナトリウムで抽出し,得られた抽出液をPSAミニカラム精製に供した.測定条件として分析カラムにC18を,移動相に 0.005% 酢酸含有メタノール–水混液(19 : 1)のアイソクラティックモードで,イオン化はESIのネガティブモードを用いた.検量線は0.0005~0.04μg/mLの範囲で直線性(r2>0.997)を示した.農産物および畜水産物の計20種に基準値濃度で添加して操作したときのジノセブおよびジノテルブの平均回収率(n=5)は77~111%,相対標準偏差は2~15%,定量限界値は両成分ともに0.001μg/gであった.
  • 堤 智昭, 鍋師 裕美, 五十嵐 敦子, 蜂須賀 暁子, 松田 りえ子
    原稿種別: 報文
    2013 年 54 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/03/08
    ジャーナル フリー
    東日本大震災に伴い発生した東京電力福島第一原子力発電所事故により,食品が放射性セシウムをはじめとする人工放射性物質に汚染される事態が生じている.そこで,食品中の放射性物質による健康影響を評価するために,東京都,宮城県,および福島県でマーケットバスケット方式によるトータルダイエット試料を作製し,セシウム-134およびセシウム-137(放射性セシウム)および,天然放射性核種であるカリウム-40(放射性カリウム)濃度を測定し,1年当たりの預託実効線量を推定した.放射性セシウムの預託実効線量は,検出限界以下の濃度をゼロ(検出下限の1/2)とした場合,東京都が0.0021(0.0024)mSv/year,宮城県が0.017(0.018)mSv/year,および福島県が0.019(0.019)mSv/yearであった.宮城県および福島県の値は東京都の8倍以上であったが,いずれも厚生労働省より示された許容線量1 mSv/yearを大きく下回っていた.一方,放射性カリウムの預託実効線量は,0.17~0.20(0.18~0.20)mSv/yearであり,地域間で大きな差は見られなかった.
  • 渡邉 美奈恵, 上野 英二, 井上 知美, 大野 春香, 猪飼 誉友, 森下 智雄, 大島 晴美, 林 留美子
    原稿種別: 報文
    2013 年 54 巻 1 号 p. 14-24
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/03/08
    ジャーナル フリー
    LC-MS/MSによる農産物中残留農薬の一斉分析法を検討した.試料からアセトニトリルで抽出したのち,GPC/グラファイトカーボンSPEで精製し,さらに,シリカゲル/PSA連結SPEにより精製してScheduled MRMモードのLC-MS/MSにより測定した.ほうれんそう,玄米,大豆,オレンジおよびトマトに124種類の農薬成分を0.1 μg/g添加して回収率を求めたところ,回収率70~120%(相対標準偏差≤15%)に収まった農薬成分は121種類であった.本法を適用して農産物239検体について実態調査を行ったところ,98検体から49種類の農薬成分が検出された.
  • 真野 潤一, 増渕 友子, 波田野 修子, 布藤 聡, 小岩 智宏, 峯岸 恭孝, 野口 秋雄, 近藤 一成, 穐山 浩, 手島 玲子, 倉 ...
    原稿種別: 報文
    2013 年 54 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/03/08
    ジャーナル フリー
    遺伝子組換えトウモロコシLY038系統に対するリアルタイムPCRを用いた新規定量検知法について報告する.まず,LY038系統およびトウモロコシ内在性のスターチシンターゼIIb遺伝子に対するリアルタイムPCRを設計した.つづいて,LY038系統特異的DNAおよび内在性DNAのコピー数比から重量比によるGMトウモロコシ混入率を算出するために必要となる内標比を決定した.最後に,分析法の妥当性を確認するため,LY038系統を0,0.5,1.0,5.0,10.0% 含むDNA溶液をブラインド試料として,国際的にハーモナイズされたガイドラインに従って試験室間共同試験を実施した.開発した分析法の室間再現精度は,ブラインド試料のすべての混入レベルにおいて25%を下回り,分析法の定量検知下限はISO 24276の定義に基づいて0.5%と評価された.以上の結果から,開発した分析法が実際の定量検査に利用可能であることが確認された.
  • 渡邉 敬浩, 石川 智子, 松田 りえ子
    原稿種別: 報文
    2013 年 54 巻 1 号 p. 31-48
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/03/08
    ジャーナル フリー
    GC-FIDを用いたトランス脂肪酸分析法の性能評価手法ならびに性能基準値を検討した.測定法は,The American Oil Chemists' Society(AOCS)の公認法(Ce1h-05)を原法とした.一般食品からの脂質抽出法は,衛新第13号に記載の方法およびAOAC 996.06を原法とした.分散推定時の自由度が4以上になる実験計画に従い添加試料を分析し,得られた一群の定量値から真度および精度を推定することを性能評価手法とした.添加試料の調製には,食品に含まれる蓋然性の低いトランス脂肪酸分子種を用いた.実際に推定した真度および精度の解析結果に基づき,90~110%を真度の基準値,相対標準偏差として10%を室内精度の基準値とすることが提案される.
  • 谷山 茂人, 高谷 智裕, 反町 太樹, 相良 剛史, 久保 弘文, 大城 直雅, 小野 要, 肖 寧, 橘 勝康, 荒川 修
    原稿種別: 報文
    2013 年 54 巻 1 号 p. 49-55
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/03/08
    ジャーナル フリー
    2009年1~6月に沖縄県沿岸で採集した小型巻貝8科15種計64個体のうち,5種にマウス毒性が認められた.このうち,キンシバイの毒力は総じて高く,筋肉で最高461 MU/gに達した.その他の4種(サツマビナ,ヘコミマクラ,イボヨフバイ,カゲロウヨフバイ)の毒力はおおむね10 MU/g前後であった.LC-MS分析により,有毒個体の毒の主体はいずれもTTXで,キンシバイではこれに加えて4,9-anhydroTTX,4-epiTTX,11-oxoTTXを含むことが示された.また,アワムシロの可食部からもTTX(5.08 MU/g)が検出された.一方,残りの9種には,マウス毒性もTTXも全く認められなかった.
  • 横谷 馨倫, 千葉 剛, 佐藤 陽子, 中西 朋子, 村田 容常, 梅垣 敬三
    原稿種別: 報文
    2013 年 54 巻 1 号 p. 56-64
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/03/08
    ジャーナル フリー
    3種類のハーブエキス(セイヨウカノコソウ,サラシア,ブラックコホシュ)の肝シトクロムP450(CYP)に対する影響をマウスのin vivo実験ならびに肝ミクロソームを用いたin vitro実験で検討した.セイヨウカノコソウでは肝CYPに対する影響は認められなかった.ブラックコホシュでは4.5%まで投与量に依存した肝臓重量の増加,総CYP含量とCYP(2B,3A)活性の上昇が認められた.サラシアではin vitroにおいてCYP1A2活性の阻害,in vivoの4.5% の投与条件における体重増加の抑制と総CYP含量の低下,CYP(1A1,2B,2C)活性の上昇が認められた.以上より,ブラックコホシュとサラシアの過剰摂取条件では肝CYPを介した医薬品との相互作用の可能性が考えられた.
ノート
  • 鍋師 裕美, 堤 智昭, 蜂須賀 暁子, 松田 りえ子
    原稿種別: ノート
    2013 年 54 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/03/08
    ジャーナル フリー
    食品摂取による内部被ばく状況の推定・把握,さらに食品中放射性セシウムの低減法の提案に有用となる,食品中の放射性物質量の調理変化に関する科学的データを集積することを目的に,乾しいたけおよび牛肉を用いて放射性セシウム量の調理変化を検討した.その結果,乾しいたけ中の放射性セシウム量は,水戻しにより約50% 減少した.牛肉中の放射性セシウム量は,焼くことで約10%,揚げることで約12%,ゆでることで60~65%,煮ることで約80% 減少した.牛肉においては加熱方法により減少率が大きく異なり,“焼く,揚げる” よりも “ゆでる,煮る” のほうが,放射性セシウムの減少率を8倍程度高められるという結果が得られた.
調査・資料
  • 秋山 卓美, 関口 若菜, 山崎 壮, 穐山 浩
    原稿種別: 調査・資料
    2013 年 54 巻 1 号 p. 71-74
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2013/03/08
    ジャーナル フリー
    既存添加物グァーガム酵素分解物(EHGG)はガラクトマンナンであるグァーガムを酵素的に部分分解したものである.本研究では,ガラクトマンナンや多糖類の性質を利用した3つの試験法をEHGGと糖類の識別法に応用し,適用性を評価した.水酸基を多く持つ高分子多糖同士がホウ酸イオンを介して架橋されることでゲル化する性質を利用した方法により,ゲル化が見られたEHGGを,水溶性の低い多糖類ともゲル化しない水溶性多糖類とも識別することができた.ガラクトマンナンとグルクロン酸含有多糖であるキサンタンガムを混合するとゲル化することを利用した方法ではEHGGの粘性の増加は顕著でなかった.試料の10%水溶液に2-プロパノールを加えて沈殿を生成させる方法により,EHGGなどの水溶性多糖類を水溶性の低い多糖類とも沈殿しない単糖とも識別することが可能であった.
妥当性評価
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