食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
Print ISSN : 0015-6426
ISSN-L : 0015-6426
54 巻, 4 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
総説
報文
  • 近藤 貴英, 渡邊 綾香, 設樂 紘史, 蕪木 康郎, 柴田 雅久, 神田 典子, 黒川 千恵子, 井上 豊, 宮崎 元伸, 外側 正之, ...
    原稿種別: 報文
    2013 年54 巻4 号 p. 259-265
    発行日: 2013/08/25
    公開日: 2013/09/12
    ジャーナル フリー
    3種の殺虫剤クロルフェナピル,ピリミホスメチルおよびクロチアニジンをチャに散布して被覆下で栽培し,摘採後の茶の加工工程および熱湯浸出時における農薬の消長を調査した.生茶葉に加熱や発酵などの加工工程が入ることで,加工茶における農薬残存率は減少したが,加熱時間や発酵時間が長く,熱が茶葉へ伝わりやすいほど減少した.また,普通煎茶において3農薬の農薬残存率に有意差は認められなかったが,ネオニコチノイド系のクロチアニジンのように,オクタノール/水分配係数が低く水溶性の高い農薬ほど,茶浸出液への移行率が高くなる傾向が見られた.一方,粒度による農薬移行率に有意な差は認められなかった.
  • 吉成 知也, 田中 敏嗣, 石黒 瑛一, 堀江 正一, 永山 敏廣, 中島 正博, 内藤 成弘, 大西 貴弘, 小西 良子
    原稿種別: 報文
    2013 年54 巻4 号 p. 266-276
    発行日: 2013/08/25
    公開日: 2013/09/12
    ジャーナル フリー
    トウモロコシに含まれるフモニシンB1(FB1),フモニシンB2(FB2)およびフモニシンB3(FB3)のLC-MS/MSを用いた同時分析法を評価するために,9機関の共同試験を実施した.試験には添加試料3種,自然汚染試料2種と陰性試料1種を用いた.FB1,FB2およびFB3の回収率はそれぞれ79~87%,79~103%および80~93%であり,室内再現性および室間再現性の相対標準偏差は3種のフモニシンいずれについてもそれぞれ20%および30%以下であり,HorRat値は0.2~0.9の範囲であった.本分析法を用いて,国内で入手したコーングリッツ中に含まれるフモニシンを分析した.以上の結果より,本法はトウモロコシにおけるフモニシンの汚染実態調査に有用であることが示された.
  • 谷口 香織, 高尾 秀樹, 新名 真也, 山中 祐二, 岡田 幸長, 中島 梨花, 王 俊杰, 辰野 竜平, 阪倉 良孝, 高谷 智裕, 荒 ...
    原稿種別: 報文
    2013 年54 巻4 号 p. 277-281
    発行日: 2013/08/25
    公開日: 2013/09/12
    ジャーナル フリー
    トラフグ肝臓につき,滑らかな面を表側,肝門脈との結合部を上部として10分割し,マウス毒性試験で各部位の毒力を測定したところ,生肝臓58個体中16個体と凍結肝臓13個体中9個体ですべての部位が毒性を示した.毒の主体はテトロドトキシンであった.これらにつき,個体の平均毒力に対する各部位の相対毒力を求めて二元配置分散分析を行ったところ,凍結肝臓では毒の分布に有意な偏りは見られなかったが,生肝臓では右側中央下寄りの毒性が有意に高いことが分かった.肝臓の毒性評価に際しては,本部位を用いた個別検査の実施が望ましいと判断した.
  • 梅垣 敬三, 山田 浩, 千葉 剛, 中西 朋子, 佐藤 陽子, 福山 哲
    原稿種別: 報文
    2013 年54 巻4 号 p. 282-289
    発行日: 2013/08/25
    公開日: 2013/09/12
    ジャーナル フリー
    健康食品による健康被害の因果関係評価を視点に,3つの情報源(保健所情報,PIO-NET情報,企業情報)で収集された事例の実態を調べた.保健所情報は約20件/年が収集されており,約40%が医療関係者からの通報で医学的データが含まれていた.PIO-NET情報は約370件/年が収集されており,8割程度が利用者からの通報で,製品名や利用状況などの具体的内容が少なかった.企業情報は利用者からの通報が9割以上で,大部分が苦情に相当する内容であった.保健所情報とPIO-NET情報を,2つの因果関係評価法に試行的に適用したところ,因果関係が確からしいと判断できた事例は少なかった.収集されている被害事例を安全性確保に効果的に活用するためには,健康被害の症状に関して共通の考え方を持ち,収集事例の質と件数を高める取り組みが必要である.
ノート
  • 山口 貴弘, 柿本 健作, 永吉 晴奈, 山口 瑞香, 起橋 雅浩, 梶村 計志, 山本 容正
    原稿種別: ノート
    2013 年54 巻4 号 p. 290-297
    発行日: 2013/08/25
    公開日: 2013/09/12
    ジャーナル フリー
    分散固相および固相カートリッジカラムを用いたLC-MS/MSによる食肉中の動物用医薬品一斉分析法を開発した.試料に85%アセトニトリル水溶液を加えて分析対象成分を抽出し,ODS分散固相およびポリマー系固相カートリッジカラムを用いて精製を行った.牛肉,豚肉,鶏肉を用いて添加濃度(0.002 μg/g,0.01 μg/g)での妥当性評価を実施した.その結果,動物用医薬品妥当性評価対象70成分に対し,牛肉が64成分,豚肉が58成分,鶏肉が49成分で妥当性ガイドラインの目標値を満した.各動物用医薬品の定量下限は0.001 μg/gまたは0.005 μg/g であった.本法により牛肉,豚肉および鶏肉の各残留基準値を満たし,かつ妥当性ガイドラインの目標値を満たした動物用医薬品は40成分であった.
  • 鍋師 裕美, 堤 智昭, 蜂須賀 暁子, 松田 りえ子
    原稿種別: ノート
    2013 年54 巻4 号 p. 298-302
    発行日: 2013/08/25
    公開日: 2013/09/12
    ジャーナル フリー
    食品中の放射性物質を低減させる調理・加工に関する情報の収集は,放射性物質の内部被ばく量を低減させ,より安全で安心な食品摂取を実現するために重要である.そこで,本研究では牛肉を用いて調味液への浸漬の際に生じる放射性セシウム(Cs)量の変化を検討した.その結果,牛肉中の放射性Csは,塩分濃度8~10%の調味液中に24時間浸漬することで浸漬前の約20%が,塩分濃度約9%の味噌調味液に7日間浸漬することで浸漬前の約55%が除去された.また,10%食塩水を交換しながら7日後まで浸漬することにより,牛肉中の放射性Csを約75%除去することが可能であった.浸漬後の調味液は廃棄されることが多く,調味液への浸漬は牛肉中の放射性Csの除去に有効であるといえる.
  • 鍋師 裕美, 堤 智昭, 蜂須賀 暁子, 松田 りえ子
    原稿種別: ノート
    2013 年54 巻4 号 p. 303-308
    発行日: 2013/08/25
    公開日: 2013/09/12
    ジャーナル フリー
    わが国は海に囲まれ,魚介類が豊富な食環境にあるため,さまざまな魚介類を多種多様な調理法によって調理し,日常的に摂取している.平成23年3月の原発事故以降,放射性物質による魚介類の汚染が懸念されるため,魚介類の汚染状況を把握するとともに魚介類を介した放射性物質の内部被ばくを回避することが必要不可欠となった.そこで,本研究ではわかさぎを4種類の方法(素焼き,甘露煮,から揚げ,南蛮漬け)で調理し,わかさぎ中の放射性セシウム量の調理前後の変化を検討した.その結果,素焼き,甘露煮,から揚げでは,放射性セシウムの除去率は10%以下であり,除去効果は少なかった.一方で南蛮漬けは,今回の検討の中で最も高い約30%の除去率を示し,加熱後に調味液へ浸漬する調理法でも放射性セシウムの除去に効果があることが明らかとなった.
調査・資料
  • 高畠 令王奈, 則武 寛通, 野口 秋雄, 中村 公亮, 近藤 一成, 穐山 浩, 手島 玲子, 真野 潤一, 橘田 和美
    原稿種別: 調査・資料
    2013 年54 巻4 号 p. 309-315
    発行日: 2013/08/25
    公開日: 2013/09/12
    ジャーナル フリー
    スイートコーン種子および複数の加工試料(冷凍,缶詰,ドライパック,ベビーコーン)を対象に,CTAB法,DNeasy Plant Maxi kit,GM Quicker 3,Genomic tip-20/Gの4種類のDNA抽出法を検討した.未加工種子およびベビーコーンでは,すべての抽出法でDNAが抽出された.その他の加工品では,CTAB法以外は十分な量のDNAが抽出されたが,Genomic tip-20/Gを用いた場合に最も収量が多かった.電気泳動パターンおよびリアルタイムPCR解析から,抽出DNAは,未加工種子,冷凍品,缶詰,ドライパック,ベビーコーンの順で分解が進んでいることが観察された.抽出DNAの質をさまざまな方法で比較したところ,4種類のDNA抽出法のうち,加工品からの抽出に関しては,GM Quicker 3が最も適していることが示唆された.
  • 小林 麻紀, 大塚 健治, 田村 康宏, 富澤 早苗, 木下 輝昭, 上條 恭子, 岩越 景子, 佐藤 千鶴子, 永山 敏廣, 高野 伊知郎
    原稿種別: 調査・資料
    2013 年54 巻4 号 p. 316-325
    発行日: 2013/08/25
    公開日: 2013/09/12
    ジャーナル フリー
    1997年4月から2011年3月にかけて東京都内で市販されていた輸入スパイスおよびハーブ313検体について農薬の残留調査を行った.その結果,64検体から37種類の有機リン系農薬,有機塩素系農薬,ピレスロイド系農薬,カーバメート系農薬などが痕跡値(0.01 ppm未満)~3.3 ppmの範囲で検出された.検出率は,果皮(100%),茎(66.7%),果実(34.5%),樹皮(33.3%),花(31.3%),葉(14.7%)の順に高かった.根,種子および全草からは検出されなかった.検出されたいずれの植物部位からも有機塩素系農薬が,いずれの原産地域からも殺虫剤が検出され,使用頻度の高いことが示唆された.農薬が検出された輸入スパイスおよびハーブを喫食した場合の農薬の推定摂取量を算出し,ADIと比較したところ,いずれも各農薬のADIの1%未満であり,通常の喫食による健康影響はないものと考えられた.
  • 片岡 裕美, 金岡 未来, 山村 紗代, 峯 孝則, 西川 淳一, 扇間 昌規
    原稿種別: 調査・資料
    2013 年54 巻4 号 p. 326-330
    発行日: 2013/08/25
    公開日: 2013/09/12
    ジャーナル フリー
    防災のための水道水の備蓄,および災害時の応急給水の保管における水質変化について,種々の保存条件を設定し経時的に調査した.その結果,保管水の水質変化は,保存開始時の残留塩素の有無に依存するより保存期間に大きく影響されること,さらに,ボトリング過程において十分に殺菌された水,および容器・キャップの使用が重要であることが確認された.一方,少量の熱水による容器の洗浄は微生物の増殖阻止に必ずしも有効でないことが示唆された.
  • 吉田 緑, 鈴木 大節, 松本 清司, 代田 眞理子, 井上 薫, 高橋 美和, 森田 健, 小野 敦
    原稿種別: 調査・資料
    2013 年54 巻4 号 p. 331-334
    発行日: 2013/08/25
    公開日: 2013/09/12
    ジャーナル フリー
    ヒトが農薬等を24時間以内に経口摂取した場合の急性暴露による悪影響の指標として急性参照用量(Acute Reference Dose; ARfD)を設定する基本的考え方をSolecki et al.(2005)の指針を基にまとめた.ARfDの評価はすべての農薬を対象とし,急性影響とは単回投与で発現する毒性を指す.カットオフ値以上であればARfD設定の必要はないと判定すべきである.基本的にはすべての人を対象として,得られるすべての試験のデータから,ARfDの設定根拠となる試験のうち,最も低い無毒性量に基づきARfDを設定すべきである.特に発達期における臨界期に留意すべきである.安全係数は慢性暴露影響指標である一日摂取許容量と同様とする.ヒトのデータがある場合にはそのデータを重視すべきである.
妥当性評価
  • 中島 崇行, 永野 智恵子, 神田 真軌, 林 洋, 橋本 常生, 金井 節子, 松島 陽子, 立石 恭也, 笹本 剛生, 高野 伊知郎
    原稿種別: 妥当性評価
    2013 年54 巻4 号 p. 335-344
    発行日: 2013/08/25
    公開日: 2013/09/12
    ジャーナル フリー
    畜水産食品中動物用医薬品の迅速一斉分析法の妥当性評価を行った.測定はLC-MS/MSを用い,性状の異なる43種類の動物用医薬品を同時に分析した.前処理は,試料5.0 gに対し,1%ギ酸含有アセトニトリルもしくはアセトニトリル15 mLで抽出し,硫酸マグネシウム,クエン酸三ナトリウム,塩化ナトリウムで脱水,塩析した後,20 mLに定容し試験溶液とした.市販牛乳および4種類の生鮮養殖食品試料(さけ,ブラックタイガー,まだい,ひらめ)について,10および100 μg/kgの2濃度,2併行5日間での添加回収実験を行った結果,農薬等に関する試験法の妥当性評価ガイドラインで定める目標値に適合した薬剤は,普通牛乳では40剤,さけでは37剤,ブラックタイガーでは42剤,まだいでは41剤,ひらめでは39剤であった.
  • 堤 智昭, 石井 利華, 松田 りえ子
    原稿種別: 妥当性評価
    2013 年54 巻4 号 p. 345-350
    発行日: 2013/08/25
    公開日: 2013/09/12
    ジャーナル フリー
    生あん中のシアン化合物の規格への適合を判定する試験法として,水蒸気蒸留—ピリジンカルボン酸・ピラゾロン法を検討した.生あんでは豆に含まれていたシアン配糖体分解酵素が失活している恐れがあるため,本法ではリナマラーゼによるシアン配糖体分解操作を加えた.シアン化物イオンとして5 mg/kgおよび10 mg/kgに相当するシアン配糖体(リナマリン)を生あん2種に添加した分析結果から推定された真度は86~90%,併行精度は1.0~2.4%,室内精度は2.6~4.9%であった.本法は5~10 mg/kgのシアン化合物を分析する方法として妥当であることが確認された.評価した分析法を用いて,国内で製造された生あん28試料中のシアン化合物量を測定した.27試料については5 mg/kg未満であったが,1試料において15 mg/kgのシアン化合物が認められた.
feedback
Top