食品衛生学雑誌
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54 巻 , 6 号
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報文
  • 與儀 健太郎, 大城 直雅, 松田 聖子, 佐久川 さつき, 松尾 敏明, 安元 健
    原稿種別: 報文
    2013 年 54 巻 6 号 p. 385-391
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2013/12/28
    ジャーナル フリー
    2008年に鹿児島県奄美群島で発生した魚類摂食に起因する食中毒シガテラの3事例について,原因魚3試料および同時に漁獲された近海魚5種7試料のLC-MS/MSによるシガトキシン類(CTXs)一斉分析の検討を行った.食中毒の原因となったイッテンフエダイ2試料およびバラハタ1試料のすべてからCTX1B,54-deoxyCTX1B,52-epi-54-deoxyCTX1Bが検出されたが,CTX3C類縁体は認められなかった.これら2魚種のCTXs組成比は,それぞれ沖縄海域の両種における組成と共通していた.一方,宮崎県での食中毒原因試料はCTX3C類縁体が主要毒であり,毒組成の違いが示された.また,LC-MS/MSで測定した毒量はマウス毒性試験(MBA)結果(0.1~0.8 MU/g)と同程度であったが,比毒性が明確でない54-deoxyCTX1Bによる総毒力への影響も推察された.一方,MBAで陰性(<0.025 MU/g)を示した近海魚1試料からも微量のCTXsが検出された.
  • 福井 直樹, 高取 聡, 北川 陽子, 起橋 雅浩, 梶村 計志, 尾花 裕孝
    原稿種別: 報文
    2013 年 54 巻 6 号 p. 392-396
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2013/12/28
    ジャーナル フリー
    加工食品から一律基準値を超えて残留農薬が検出された場合,その基準適合性を判断するために,製品を構成する原材料の残留基準への適合性を検証する必要がある.しかし,製品に使用された原材料を入手することが困難であることが多い.本研究では実際にパクロブトラゾールが検出された2種類の高菜漬けを用いて,原材料である加工前の高菜中のパクロブトラゾール濃度の推定を試みた.当該高菜漬けは製品重量の99.8%以上を占める高菜および漬け汁と,ごまの種子または唐辛子が混在していた.高菜漬けを原材料ごとに分別し,高菜および漬け汁中のパクロブトラゾールを分析した.漬け汁中には,高菜中の約1/10倍濃度のパクロブトラゾールが検出された.また,高菜漬け中の高菜は,加工により水分が減少している.その割合を加工係数として,日本食品成分表から算出した.分析により得られた高菜漬け中の高菜のパクロブトラゾール濃度から,加工係数を考慮して,加工前の高菜に含まれていた濃度を推定した.
  • 篠崎 貴史, 渡邊 龍一, 川津 健太郎, 櫻田 清成, 高日 新也, 上野 健一, 松嶋 良次, 鈴木 敏之
    原稿種別: 報文
    2013 年 54 巻 6 号 p. 397-401
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2013/12/28
    ジャーナル フリー
    麻痺性貝毒の規制値である4 MU/gに相当する毒力を持つマガキ(Crassostrea gigas)の抽出液を代替標準品として大阪府立公衆衛生研究所が開発した麻痺性貝毒簡易測定キット(PSP-ELISA)を使ったスクリーニング検査の有効性を検証した.2007~2010年に熊本県海域で採取したマガキ試料をPSP-ELISAで測定したところ,PSP-ELISAと公定法の結果は高い相関性を示し,規制値の半量であるマウス毒力2 MU/g以下でも十分検出できるため,マガキの毒化予察に十分役立つことが分かった.また,マガキ抽出液を蛍光化HPLCで分析したところ,監視期間中のマガキの毒組成は一定であった.以上の結果から,スクリーニング基準値を2 MU/g(PSP-ELISA)と設定した.熊本県海域ではこの基準値であれば,規制値以上のマウス毒力を持つマガキを確実に検出できることから,本モニタリング法の有効性が明らかになった.
  • 早川 亮太, 小林 直樹, 加藤 登, 工藤 由起子, 荒木 惠美子
    原稿種別: 報文
    2013 年 54 巻 6 号 p. 402-409
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2013/12/28
    ジャーナル フリー
    日本で流通する日本産海産魚におけるヒスタミン生成を明らかにするために,市販の73魚種について筋肉および腸管を混合したヒスタミン生成モデル試料を作製した.25℃で12時間保存した結果,35魚種において50 mg/kg以上のヒスタミン生成が認められ,これらの魚種がヒスタミン食中毒の原因となる可能性が示唆された.また,1か月の-45℃凍結によるヒスタミン生成の低減の検討では,一部魚種についてヒスタミンが生成され,ヒスタミン生成菌としてPhotobacterium damselaeおよびPhotobacterium iliopiscariumが分離されたが,全魚種について,ヒスタミン生成が低減したことから,この方法が有効なヒスタミン生成の制御方法であることが明らかになった.
ノート
  • 三橋 亮太, 水野 壮, 佐伯 真二郎, 内山 昭一, 吉田 誠, 高松 裕希, 食用昆虫科学研究会 , 普後 一
    原稿種別: ノート
    2013 年 54 巻 6 号 p. 410-414
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2013/12/28
    ジャーナル フリー
    福島県では福島第一原子力発電所事故が発生してから,イナゴの放射線汚染を懸念してイナゴ食(イナゴを採集し,調理して食べること)を楽しむ人が減少した.そこで2011年,2012年に福島県各地で採取したイナゴに含まれる放射性セシウムを測定したところ,134Csと137Csの合計放射能濃度は,最高で60.6 Bq/kgであり,2012年に設定された食品中の放射性物質の新たな基準値である100 Bq/kgを下回ることが示された.さらに,イナゴは一般的な調理過程を経ることによって,放射能濃度が15.8 Bq/kg以下,未処理時の1/4程度まで低下することが示された.
  • 鍋師 裕美, 菊地 博之, 堤 智昭, 蜂須 賀暁子, 松田 りえ子
    原稿種別: ノート
    2013 年 54 巻 6 号 p. 415-418
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2013/12/28
    ジャーナル フリー
    平成23年3月の福島第一原子力発電所事故後,牛肉から高濃度の放射性セシウムが検出されたことから,暫定規制値を上回る牛肉が市場に流通しないよう全頭検査が実施された.しかし,検査の過程で同一個体の部位間で放射性セシウム濃度が異なる例が明らかとなり,検査結果の信頼性に疑問が生じる事態となった.そこでわれわれは放射性セシウムを含む同一個体由来の5部位の肉を用いて測定部位間の放射性セシウム濃度の違いについて原因の解明を試みた.その結果,検討した3個体すべてにおいて,脂肪含量が高い部位ほど放射性セシウム濃度が低下することが判明し,部位間の放射性セシウムの濃度差が脂肪含量に起因することが明らかとなった.さらに,筋肉組織は平均して脂肪組織の7倍以上の放射性セシウムを含んでいたことから,ウシの個体検査で放射性セシウム濃度を測定する場合には,脂肪の少ない筋肉部を用いた検査が適当であると考えられた.
調査・資料
  • 数馬 恒平, 佐竹 元吉, 紺野 勝弘
    原稿種別: 調査・資料
    2013 年 54 巻 6 号 p. 419-425
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2013/12/28
    ジャーナル フリー
    2012年4月7日北海道函館市で発生したトリカブト食中毒では,ゆでたトリカブトを食べた3名中2名が死亡した.現地調査により,典型的なニリンソウとの誤採集かつ誤摂取であると分かった.収集した植物試料の化学分析によると,死亡理由は致死量のアコニチン系アルカロイドの摂取と考えられる.死亡した採取者に誤採集を許した背景は,採集者がニリンソウとトリカブトの植物学的相違を知らなかったことである.しかし,採集者は山菜図鑑を所持しており,山菜図鑑にも誤採集を許さないための表現をさらに工夫する余地はある.また,採集者の判断を客観的に評価できる他者がいなかったことも大きい.花やつぼみは植物学的素養の有無を問わず誰でも分かる指標であることを考慮すると,食品衛生学的にはニリンソウ採取の解禁は花柄が出現してつぼみが観察されてからにすべきである.
  • 福井 直樹, 高取 聡, 北川 陽子, 起橋 雅浩, 梶村 計志, 尾花 裕孝
    原稿種別: 調査・資料
    2013 年 54 巻 6 号 p. 426-433
    発行日: 2013/12/25
    公開日: 2013/12/28
    ジャーナル フリー
    農産物を主原料とした加工食品を対象として,迅速な農薬の一斉分析法を検討した.均一化した試料5 gに水5 mLを加えて室温で30分間放置後,アセトニトリル20 mLを加えてホモジナイズ抽出した.塩化ナトリウム1 gおよび無水硫酸マグネシウム4 gを加えて塩析・脱水した.分離した有機層をグラファイトカーボン/PSAカートリッジを用いて精製し,LC-MS/MSで測定した.93農薬について,白菜キムチ,マーマレード,レーズン,梅干しおよびウスターソースで添加回収試験(0.02および0.1 μg/g添加,5試行)を実施した.その結果,すべての食品において平均回収率70~120%(併行精度20%以下)を満たした農薬数は,61農薬であった.本法により市販の加工食品74品目について実態調査を行ったところ,2品目で食品衛生法の一律基準値を超過した.
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