食品衛生学雑誌
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57 巻 , 2 号
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報文
  • 阿部 裕, 山口 未来, 六鹿 元雄, 穐山 浩, 河村 葉子
    2016 年 57 巻 2 号 p. 23-31
    発行日: 2016/04/25
    公開日: 2016/05/20
    ジャーナル フリー
    国内で流通するポリウレタンおよびナイロン製玩具中の芳香族第一級アミン類(PAAs) 28成分の残存量および溶出量をLC-MS/MSを用いて測定した.また布製玩具のPAAsおよび着色料15成分については,欧州規格EN71を参考にLC-MS/MSもしくはLC-TOF/MSを用いて溶出量および残存量を測定した.ポリウレタン製玩具34検体では,12検体から2,6-ジアミノトルエンおよび2,4-ジアミノトルエンが同時に検出され,残存量はそれぞれ2.1~19.7および7.6~39.6 μg/gであった.また9検体から4,4′-ジアミノジフェニルメタン(4,4′-MDA),1検体からアニリンが検出され,残存量はそれぞれ0.2~8.7および0.4 μg/gであった.ナイロン8検体ではいずれのPAAsも検出されなかった.ポリウレタン製玩具について水を用いた溶出試験を行った結果,3検体から4,4′-MDAの溶出が認められ,溶出量は0.4~2.5 μg/gであった.一方,布製玩具43検体ではいずれのPAAsも溶出は認められなかったが,1検体から着色料のSolvent Yellow 1およびBasic Red 9が検出され,残存量は各0.02 μg/gであった.本研究で残存が認められたPAAsおよび着色料はいずれも欧州連合における濃度限度値よりも低い値であった.
ノート
  • 林 千恵子, 中村 和宏, 本郷 猛, 橋本 博之, 原田 利栄, 中西 希代子, 石井 俊靖
    2016 年 57 巻 2 号 p. 32-36
    発行日: 2016/04/25
    公開日: 2016/05/20
    ジャーナル フリー
    平成24年度から平成26年度にかけて,当研究所では千葉県で捕獲された野生獣肉39検体(イノシシ肉20検体,シカ肉19検体)についてゲルマニウム半導体検出器を用いた放射性セシウム検査を実施した.その結果,平成24, 25年度に捕獲されたイノシシ肉4検体からは,一般食品の基準値である100 Bq/kgを超える放射性セシウムが検出されたが,シカ肉からは基準値を超える放射性セシウムは検出されなかった.100 Bq/kgを超えたイノシシ肉の左半身を用い,スクリーニング検査対象部位であるモモ肉とモモ肉以外の複数の部位について放射性セシウム濃度を比較したところ,検査対象部位としていたモモ肉が,食用部位の中で最も高い値を示した.
調査・資料
  • 菅原 諒太, 山田 さゆみ, 涂 志豪, 菅原 明子, 干場 敏博, 栄坂 貞夫, 山口 昭弘
    2016 年 57 巻 2 号 p. 37-45
    発行日: 2016/04/25
    公開日: 2016/05/20
    ジャーナル フリー
    遺伝子多型を利用した微生物叢解析手法の1つである自動rRNA遺伝子間多型解析(ARISA)について,キノコ種同定への応用可能性を検討した.道央圏で採取した自生キノコ51試料および市販栽培キノコ2試料を温風乾燥後,ビーズ粉砕によりDNAを抽出し,rRNA遺伝子(rDNA)多型領域の塩基配列解析を行い,キノコ種33種を同定した.ARISAについては,ケイ光標識共通プライマーを用いてrDNAの遺伝子間2領域(ITS2およびITS1)についてPCR増幅を行い,シーケンサにより±0.1%の正確さの範囲で,それぞれの固有フラグメント長(bp)を求めた.その結果,全33種のうち27種は種固有のフラグメント長の組み合わせを示したが,残り6種3組は種間に重複を認めた.また同種キノコの種内多型を13種32試料について調べた結果,2種のキノコに1 bpの差を認めた.一方,実際にカキシメジ食中毒が疑われたキノコ種の鑑別において,子実体が完全な原形をとどめず形態判別が不十分であったことに加え,保存中に酵母の増殖を認めた試料に対して,ARISAを適用したところフラグメント長は鑑別対照のカキシメジのものと7 bpの差を示したがキノコ種の同定は不可能であった.このように,子実体が不完全かつほかの真菌類が混在するような試料に対して,ARISAは比較的簡便な操作で迅速な判別結果を与えうる可能性が示唆された.しかしながら,種間多型の重複に加え種内多型も認めるITS領域の解析からは確実なキノコ種の同定には限界があることも併せて明らかとなった.
  • 上田 泰人, 伊藤 光男
    2016 年 57 巻 2 号 p. 46-50
    発行日: 2016/04/25
    公開日: 2016/05/20
    ジャーナル フリー
    健康危機管理のため,351種の農薬および異臭を持つことの多い低沸点の441種の有機化合物を,GC/MSを用いて測定し,これらの物質の保持時間,保持指標,主要なイオン,分子量,分子式,CAS番号などの情報を基にデータベースを作成した.異臭物質としては,アルコール類,アルデヒド類,カルボン酸類,エステル類,エーテル類,炭化水素類などが含まれる.本データベースは異臭を伴う苦情食品や健康危機管理試料の分析などへの活用が期待できる.
  • 仲谷 正, 清水 充, 山野 哲夫
    2016 年 57 巻 2 号 p. 51-56
    発行日: 2016/04/25
    公開日: 2016/05/20
    ジャーナル フリー
    和歌山県紀州灘沿岸部で採取されたキタマクラ2試料を,皮,筋肉,内臓に分割し,各組織におけるテトロドトキシン(TTX),および麻痺性貝毒(PSTs)の含有量について調査した.TTXおよびPSTsが,定量下限以上で検出された部位は,皮のみであり,筋肉および内臓では,検出限界未満(ND)または検出限界以上定量下限界未満(tr)であった.定量下限以上で検出されたPSTsは,サキシトキシン,およびデカルバモイルサキシトキシンの2成分のみであった.両試料における皮中TTXの含有量は11,000および13,000 ng/g (35および41 nmol/g)で,PSTsの含有量は168および460 ng/g (0.63および1.72 nmol/g)であった.また全毒量(TTX+PSTs)に対するTTXおよびPSTsのモル比(mol%)は,TTXで98.2および96.0%あり,PSTsで1.8および4.0%であった.キタマクラの毒の主成分は,TTXであるが,微量のPSTsも含有していることが,今回の調査結果よりわかった.
妥当性評価
  • 油谷 藍子, 岸 映里, 尾崎 麻子, 新矢 将尚, 大嶋 智子, 山野 哲夫
    2016 年 57 巻 2 号 p. 57-65
    発行日: 2016/04/25
    公開日: 2016/05/20
    ジャーナル フリー
    ICP-MSを用いた食品中のミネラルおよび有害元素の一斉分析法を検討した.試料溶液の調製にはマイクロウェーブを用いた.測定条件,内標準元素を測定対象元素ごとに検討したのち,「食品中の金属に関する試験法の妥当性評価ガイドライン」に従い妥当性評価を行った.その結果,使用した3種の標準試料,「日本の食事」(国立環境研究所CRM No. 27),「玄米粉末」(国立環境研究所CRM No. 10-b)および「粉ミルク」(NIST SRM 1849 Infant/Adult Nutritional Formula)に含まれる18元素(Na, Mg, P, Ca, K, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, As, Se, Mo, Cd, SnおよびPb)について,玄米粉末中のNaを除くすべての元素で真度,併行精度および室内再現精度の性能パラメータが目標値を満たしていた.
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