食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
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58 巻, 1 号
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総説
ノート
  • 小川 麻萌, 新藤 哲也, 京小 ひと美, 貞升 友紀, 坂牧 成恵, 植松 洋子, 門間 公夫
    2017 年58 巻1 号 p. 26-31
    発行日: 2017/02/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー

    食用黄色4号(Y4)使用表示のあるきゅうりのしょうゆ漬けからY4以外に検出された2種の黄色色素について構造の解明を試みた. LCによる分析の結果,黄色色素はY4と異なる保持時間,極大吸収波長を示し,さらにマススペクトルよりY4からスルホン酸基が1つ脱離したものと考えられた.Y4の付随色素としてスルホン酸基が1つ少ない2種の色素が報告されており,各種スペクトルデータの比較から黄色色素はこれら2種の色素であることが示唆された.そこで,これら2種の色素を合成し,LCおよびLC-MSを用いて試料由来の黄色色素と比較したところ,保持時間,極大吸収波長,マススペクトルにおける主なフラグメントイオンが完全に一致した.この結果,試料由来の黄色色素はY4の低スルホン化色素であることが確認された.

調査・資料
  • 萩野 賀世, 中野 久子, 清水 本武, 寺井 朗子, 大貝 真実, 荒金 眞佐子, 阿部 朋弘, 笹本 剛生
    2017 年58 巻1 号 p. 32-35
    発行日: 2017/02/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー

    クワズイモ(Alocasia odora)およびシマクワズイモ(Alocasia cucullata)は,東アジア原産の常緑性多年草である.食用のサトイモと外観が類似しているが,有毒のため,誤認による摂食が食中毒の原因となる.食中毒が発生し,その原因であると疑われる食品残量が少ない場合には,形態観察や成分の検出が困難なことがある.少量の試料からでも,クワズイモおよびシマクワズイモであることを同定する方法の開発を目的として,PCR法に用いる新規プライマー対の作製を行った.プライマー対作製には,クワズイモのリボソームDNA中のinternal transcribed spacer (ITS)領域の塩基配列を基にした.本プライマー対を用いたPCR法により,クワズイモとして購入したすべての試料から,目的とするPCR産物が得られ,塩基配列解析の結果,シマクワズイモと同定された.17種類の農作物から抽出したDNAを鋳型に用い,今回作製したプライマー対を検討した結果,本PCR法は,クワズイモおよびシマクワズイモに特異性が高く,その同定に有用であることが確認された.

  • 平川 幸子, 義澤 宣明, 村上 加菜, 河合 理城, 滝澤 真理, 佐藤 理, 高木 俊治, 鈴木 元
    2017 年58 巻1 号 p. 36-42
    発行日: 2017/02/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー
    電子付録

    2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う原子力発電所事故直後から環境中および露地野菜,原乳,水道水等から,ヨウ素131が検出された.事故時の福島県民の内部被ばく線量の把握は健康管理上重要であるが,その後,国際機関等においてさまざまな仮定に基づく内部被ばく線量評価が行われた.例えば事故後に福島県において食品の出荷制限等が行われた点などを考慮せずに,従来どおりの食品の経口摂取が行われた仮定で推計が行われた.このため本研究では,住民の内部被ばく線量の推計において保守的な仮定が採用された従来の事故直後の推計値に含まれる不確実性をできるだけ排除するため,避難地域での実際の食品摂取量の正確性を高めることを目的とした.具体的には,より精度の高い食品からの内部被ばく線量推計を行う基礎資料として,福島県内で平成23年3月11日の事故直後から3月末までに避難した13市町村の住民の避難のパターンや,当時の食生活のパターンを明確にした.調査結果からは,事故直後に避難者が摂取した食品等の多くは事故前からの備蓄品または被災地外からの支援物資であったことが確認された.さらに,対象野菜の出荷制限,水道水の摂取制限のほか,流通施設の被災,小売店舗の閉鎖,等の状況からヨウ素131で汚染された食品等が大量に消費される状況ではなく,一般に広く流通した可能性は低いことが示唆された.一方,水については,内部被ばくの要因となりうる水道水等の摂取状況が確認されたことから,その摂取状況等について検討を行った.

  • 粟津 薫, 高取 聡, 柿本 幸子, 野村 千枝, 昌山 敦, 山口 瑞香, 柿本 葉, 梶村 計志
    2017 年58 巻1 号 p. 43-48
    発行日: 2017/02/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー

    平成27年度に当研究所で実施したヒスタミン検査事例を報告する.本年度は,食中毒対策を目的とした実態調査として市場流通品の検査と,有症事例の原因究明や再発防止を目的とした原因食品の検査を実施した.いずれの検査も固相抽出カートリッジカラムを用いた精製後,HPLC-FLによる誘導体化ヒスタミンの定量分析を実施した.その結果,市場流通品の一部および有症事例の検体からヒスタミンを検出した.ヒスタミンを検出した検体は,うるめいわし丸干し,さば,いわしのつみれであり,いずれも厚生労働省が公表する食中毒統計において,ヒスタミンによる食中毒の原因食品の上位に挙げられるものであった.

  • 岡 優香, 平山 いずみ, 吉川 光英, 横山 知子, 飯田 憲司, 岩越 一之, 鈴木 綾菜, 柳原 碧, 瀬川 雪乃, 久木元 園美, ...
    2017 年58 巻1 号 p. 49-58
    発行日: 2017/02/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー

    植物工場で栽培された野菜に含まれる硝酸イオンの実態調査を行った.植物工場で栽培された国産の生食用葉茎菜類など,21品目344試料について調査を行ったところ,植物工場で栽培された葉茎菜類の硝酸イオン含有量は検出下限値未満6,800 mg/kgであった.また,品目ごとに平均値は異なっており,植物工場で栽培された葉茎菜類は,露地栽培のものや日本食品標準成分表2015年版(七訂)の収載値などに比べて高い傾向があった.さらに,サラダホウレンソウなどの一部の葉茎菜類では,平均値はEUの基準値を上回っていたが,植物工場栽培の野菜を日常的に摂食しても,ADIを超過することはないと考えられた.

妥当性評価
  • 片岡 洋平, 渡邉 敬浩, 松田 りえ子, 林 智子, 穐山 浩, 手島 玲子
    2017 年58 巻1 号 p. 59-64
    発行日: 2017/02/25
    公開日: 2017/03/03
    ジャーナル フリー
    電子付録

    ミネラルウォーター中の元素(B, Cr, Mn, Cu, Zn, As, Se, Cd, Ba, Pb)をICP-MSを用いて同時に分析する公定法の妥当性確認を行った.すべての分析対象元素において本法の真度は95~106%,併行精度は0.2~1.4%,室内精度は0.4~4.2%の範囲にあると推定され,本分析法は厚生労働省が示すガイドラインの目標値を満たす性能を有することが確認された.また,2013(平成25)年度と2014(平成26)年度に日本の市場に流通するミネラルウォーター類を買い上げ,それらに含まれる各種元素濃度を調査した.調査の結果,すべての試料における分析値は基準値より低い値であった.また,各種元素濃度には入手年や生産国との明らかな関係は見られなかった.

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