食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
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62 巻 , 1 号
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ノート
  • 小林 麻紀, 酒井 奈穂子, 大町 勇貴, 森田 有香, 根本 了, 大塚 健治
    2021 年 62 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2021/02/25
    公開日: 2021/03/04
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    畜産物中のアシュラム分析法について検討を行った.アシュラムは試料からアセトンで抽出し,アセトニトリル-ヘキサン分配で脱脂後,エチレンジアミン-N-プロピルシリル化シリカゲル(PSA)およびオクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム(C18)で精製し,LC-MS/MSで測定を行い,絶対検量線法で定量した.4品目の畜産物(牛の筋肉,牛の脂肪,牛の肝臓,牛乳)を対象に残留基準値濃度または一律基準値濃度(0.01 ppm)における添加回収試験を行った結果,真度(n=5)は92.7~98.7%,併行精度は3.1~11.6%と良好であり,定量限界は0.01 mg/kgであった.

  • 大城 直雅, 富川 拓海, 國吉 杏子, 木村 圭介, 小島 尚, 安元 健, 朝倉 宏
    2021 年 62 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 2021/02/25
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    世界最大規模の自然毒食中毒シガテラの未然防止のために,地方自治体では可能性のある魚種を指定して販売自粛を指導している.水産卸売市場で販売が自粛された魚類7種18試料についてLC-MS/MSによりシガトキシン類(CTXs)を分析した結果,5試料(バラフエダイ4試料およびバラハタ1試料)からCTXsが検出された.含量の高かった2試料(No. 5: 0.348 μg/kg, No. 8: 0.362 μg/kg)は200 g程度の摂食で発症すると推定され,販売自粛がCFPを未然に防止したことが示唆された.産地不明のバラフエダイ(1試料)からはCTX1B系列(CTX1B, 52-epi-54-deoxyCTX1Bおよび54-deoxyCTX1B)のみが検出され,沖縄・奄美産バラフエダイと組成が類似していることから沖縄・奄美海域で漁獲された可能性が示唆される.一方,和歌山産バラフエダイ(2試料)からはCTX1B系列とCTX3C系列(2,3-dihydroxyCTX3C, 2,3,51-tri­hydroxyCTX3C, 2-hydroxyCTX3C)の両方が検出された.なお,本州沿岸産魚類からCTXsを検出したのは初めての例である.

調査・資料
  • 大久保 祥嗣, 八木 正博
    2021 年 62 巻 1 号 p. 14-19
    発行日: 2021/02/25
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    農産物中に含まれる農薬の分析を,セルフクリーニングイオン源搭載GC-MS/MSにより行うことについて検証を行った.セルフクリーニングイオン源は,測定終了後または測定中常時,イオン源内に水素を一定圧で注入することにより,イオン源の汚染を防ぐ機能を有したイオン源である.セルフクリーニングイオン源搭載GC-MS/MSにより,農産物中の農薬分析を行ったところ,明瞭なイオン源の汚染防止効果がみられた.251種類の農薬成分において良好なピーク感度が得られ,253成分について決定係数(R2) 0.990以上の検量線が得られた.6作物による添加回収試験では180~221成分が,真度70~120%,併行精度25%未満の目標基準に適合した.

  • 西島 千陽, 佐藤 薫, 千葉 剛
    2021 年 62 巻 1 号 p. 20-27
    発行日: 2021/02/25
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    消費者がセルフケアの一環として機能性表示食品を適切に利用するには専門家のサポートが必要であり,管理栄養士・栄養士の役割が重要である.そこで,管理栄養士・栄養士を対象に制度施行1年後と4年後に機能性表示食品の理解と利用状況,指導時の対応についてインターネット調査した.その結果,制度施行4年後において機能性表示食品の利用経験は56.4%であったが,正しく理解していたのは41.7%にとどまった.機能性表示食品の利用相談を受けた者は22.2%あり,その対応は管理栄養士・栄養士自身の利用経験により異なっていた.機能性表示食品の利用を含めた消費者のセルフケアへの支援には,管理栄養士・栄養士が機能性表示食品の特徴を正しく理解し,適切な指導につなげるための教育の場が必要と考えられた.

  • 辰野 竜平, 梅枝 真人, 宮田 祐実, 出口 梨々子, 福田 翼, 古下 学, 井野 靖子, 吉川 廣幸, 髙橋 洋, 長島 裕二
    2021 年 62 巻 1 号 p. 28-32
    発行日: 2021/02/25
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり

    トラフグ属魚類の小型種であるムシフグは,毒性に関する情報が乏しく食用として認められていない.そこでムシフグの毒性を明らかにするため,熊野灘で漁獲した10個体(雄9個体,雌1個体)を試料とし,各個体の皮,筋肉,肝臓,生殖腺(卵巣もしくは精巣)をマウス試験とHPLC蛍光検出法に供した.各部位から試験液を調製し,前述の2つの方法により毒力とテトロドトキシン(TTX)濃度を算出した.マウス試験の結果,皮,肝臓,および卵巣で毒性が認められたが,精巣と筋肉は無毒(<10 MU/g)であった.一方,HPLC蛍光検出法で10個体中2個体の筋肉から1.4~1.5 MU/gのTTXが検出されたことから,ムシフグの食用可否を検討するため,引き続き毒性の調査を行う必要があると考えられた.

妥当性評価
  • 八巻 ゆみこ, 富澤 早苗, 増渕 珠子, 上條 恭子, 中島 崇行, 吉川 聡一, 長谷川 恵美, 小鍛 治好恵, 渡邊 趣衣, 橋本 常 ...
    2021 年 62 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 2021/02/25
    公開日: 2021/03/04
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    ライムのLC-MS/MSを用いた191成分の残留農薬を対象とした一斉分析法を開発し,妥当性評価を行った.試料から農薬をアセトニトリルで抽出し,無水硫酸マグネシウム,炭酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを加え塩析・脱水処理を行った.遠心分離を行い,上層を分取しアセトニトリルで定容した.続いて一定量をC18/GC/PSA固相カラムに負荷して精製を行い,LC-MS/MSにて測定した.従来の農産物対象の検査方法ではライムからの回収率が低かったチアベンダゾールについても回収率が向上した.厚生労働省の妥当性評価ガイドラインに従い2濃度で実施した妥当性評価では191成分中175成分がガイドラインの基準を満たした.また,都内で流通しているライム19試料についても実態調査を行い,18試料から残留農薬を検出した.本法はライムを対象とした残留農薬一斉分析に有用な分析法であると考えられる.

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