食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
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62 巻, 5 号
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報文
  • 鈴木 知華, 野村 昌代, 奥富 幸
    2021 年62 巻5 号 p. 139-147
    発行日: 2021/10/25
    公開日: 2021/11/02
    ジャーナル フリー

    愛玩動物用飼料中の無機砒素の濃度測定について,液体クロマトグラフ-誘導結合プラズマ質量分析計(LC-ICPMS)を用いた定量法を開発した.2 w/v%TMAH溶液を試料に添加後,加熱抽出し,試料溶液をpH調整しLCICP-MSに注入した.共同試験は,5種類の愛玩動物用飼料を用い9試験室で実施した.ドライ製品及び素材乾燥ジャーキーに2 mg/kg相当量を,ウェット製品に0.5 mg/kg相当量を,成型ジャーキーに1 mg/kg相当量を,ビスケットに0.2 mg/kg相当量のAs (III)を添加した.その結果,平均回収率,繰返し精度及び室間再現精度の相対標準偏差(RSDr及びRSDR)並びにHorRatは,それぞれ95.4%から98.3%,2.9%以下及び9.1%以下並びに0.51以下であった.

  • 大仲 賢二, 小林 直樹, 内山 陽介, 本田 三緒子, 三宅 司郎, 小西 良子
    2021 年62 巻5 号 p. 148-156
    発行日: 2021/10/25
    公開日: 2021/11/02
    ジャーナル フリー

    漬物に使用される伝統的な4種類の生野菜(キュウリ,白菜,大根,ナス)から分離した乳酸菌(LAB)によるアフラトキシン(AFs)に対する暴露低減効果を調査した.最初に,AFM1との結合能を調べ,各野菜から最も結合率が高いLABを1株ずつ計4株選んだ.選んだ4菌株とAFB1,AFB2,AFG1,AFG2およびAFM1との結合率は,キュウリ由来LABで57.5%~87.9%,白菜由来LABで18.9%~43.9%,大根由来LABで26.4%~41.7%,ナス由来LABで15.0%~42.6%であった.また,キュウリ,白菜,大根およびナスから分離されたLABは,それぞれLactococcus lactis subsp. lactisWeissella cibariaLeuconostoc mesenteroidesLeu. mesenteroidesと同定された.さらに胃の中を模した酸性条件下で4菌株とAFM1との結合能を測定したところLABの生菌数は減少したが結合能はいくつかの菌株で増加し,これらの菌株はAFsとの結合能を保持していた.動物実験においてキュウリ由来L. lactis subsp. lactisが血清へのAFB1の吸収を有意に阻害することが明らかになった.以上の結果から漬物(浅漬けとぬか漬け)に使用される野菜に生息するLABがAFsと結合能を持ち,AFsに対する暴露低減効果を有すことが示唆された.

調査・資料
  • 長沢 寛弥, 國吉 杏子, 谷川 敏明, 小林 直樹, 小西 良子, 朝倉 宏, 大城 直雅
    2021 年62 巻5 号 p. 157-161
    発行日: 2021/10/25
    公開日: 2021/11/02
    ジャーナル フリー
    電子付録

    小笠原群島(聟島列島,父島列島および母島列島)におけるシガテラの実態を調査するために,周辺海域で漁獲されたバラハタVariola louti 65個体の筋肉を試料としてLC-MS/MSによるシガトキシン類(CTXs)分析を実施した.すべての試料からCTX1Bに近接するピークが検出されたが,CTX1Bの前駆体である52-epi-54-deoxyCTX1B,54-deoxyCTX1Bや,他のCTX類縁体は検出されなかった.バラハタ試料では通常,この3物質が同時に検出されることから夾雑物による影響を考え分析カラムを変更して分析した結果,全試料においてCTX1Bとは保持時間が異なったため夾雑物由来であると判断した.本研究に供したバラハタは体重2,170~7,000 gと大型の個体であったにも関わらず,65個体のいずれからもCTXsは検出されなかった.そのため,小笠原群島周辺海域のバラハタによるシガテラのリスクは低く,CTXs産生性渦鞭毛藻の分布密度は沖縄・奄美海域に比較して極めて低いことが示唆された.

  • 森 葉子, 植田 康次, 櫻井 有紀, 青木 明, 岡本 誉士典, 神野 透人
    2021 年62 巻5 号 p. 162-165
    発行日: 2021/10/25
    公開日: 2021/11/02
    ジャーナル フリー

    食品中のシアン化合物の簡便,迅速な測定法を確立する目的で,日本産業規格(JIS)工場排水試験法で採用されている通気法を参考に,小型インピンジャーを用いる前処理について検討を行った.その結果,シアン化物イオンとして10 ppmに相当するアミグダリンをビワ種子粉末に添加して実施した分析法の性能評価では,真度83.9%,併行精度1.18%,室内精度4.67%の良好な結果が得られた.本法を用いて,市販されている食品中のシアン化合物を調査した結果,10食品中のビワ種子粉末3食品において10 ppmを超えるシアン化合物が検出された.

妥当性評価
  • 大門 拓実, 田村 彩, 髙橋 邦彦
    2021 年62 巻5 号 p. 166-167
    発行日: 2021/10/25
    公開日: 2021/11/02
    ジャーナル フリー
    電子付録

    著者らは,農産物中の残留農薬をQuEChERS (EN 15662:2008)の原理で抽出後,希釈のみ行い,LC-MS/MSで測定を行うという,迅速性,簡便性,汎用性の高い分析方法について,全21種の農産物を対象にその妥当性確認を実施した.その結果,全210成分中194~210成分において妥当性評価ガイドライン(厚生労働省通知)の目標値を満たしたことから,本法は迅速的かつ効果的な分析法として適用可能であることが考えられた.

  • 福光 徹, 脇 ますみ, 萩尾 真人, 林 孝子, 桑原 千雅子
    2021 年62 巻5 号 p. 168-174
    発行日: 2021/10/25
    公開日: 2021/11/02
    ジャーナル フリー
    電子付録

    畜水産物中のキノロン系およびテトラサイクリン系薬剤18成分を対象としたLC-MS/MSによる高精度な一斉分析法を確立した.n-ヘキサン存在下,EDTA含有クエン酸緩衝液–メタノール–アセトニトリル(3 : 1 : 1, v/v/v)混液で試料から対象薬剤を抽出し,Oasis PRiME HLBミニカラムで精製した.本分析法は,n-ヘキサンを用いることで,脂肪を含む固体試料中の対象薬剤も抽出可能であることが示唆された.また,ミニカラムからの溶出液に0.1 vol%ギ酸含有・メタノール–アセトニトリル(3 : 7, v/v)混液を用いることで,回収率の低下を最小限にしつつ精製効果を向上させることができた.6種類の食品試料を用いて妥当性評価を実施した結果,選択性および添加濃度におけるS/N比は良好であり,真度70.6~113.8%,併行精度9.0%以下,室内精度15.5%以下とガイドラインの目標値を満たした.

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