食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
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65 巻, 5 号
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報文
  • 池内 隼佑, 佐々木 貴正, 奥村 水門, 仁和 岳史, 工藤 由起子, 林谷 秀樹
    2024 年65 巻5 号 p. 101-106
    発行日: 2024/10/25
    公開日: 2024/12/17
    ジャーナル フリー

    2020年10月~2021年2月に東京都ならびに神奈川県のスーパーマーケットや小売店,計39軒で購入した国産鶏肉を原材料とした鶏肉加工品95検体を供試検体とした.Salmonella分離・同定はSalmonella属菌標準試験法に則って行った.定性試験においてSalmonella陽性となった供試検体について,最確数法(most probable number method: MPN法)を用いて定量を行った.分離されたSalmonella菌株は,市販抗血清を用いて血清型を同定するとともに,薬剤感受性試験を実施した.供試検体95検体中30検体(31.6%)からSalmonellaが分離され,高度に汚染されていた.Salmonellaの汚染菌量は,Salmonella陽性検体30検体中19検体(63.3%)が,<0.3 MPN/gで低いものが多かったが,中には高い菌量(2.3および4.3 MPN/g)のものもみられた.分離されたSalmonella 33株は,4血清型に型別され,S. Schwarzengrund (60.6%)が最も多く,次いでS. Infantis (24.2%),S. Agona (12.1%)ならびにS. Manhattan (3.0%)の順であった.分離されたSalmonella 33株中26株(78.8%)は,2薬剤以上に耐性を示す多剤耐性菌株であった.日本における鶏肉加工品のSalmonella汚染は,市販鶏肉を汚染しているSalmonellaの血清型とその割合が近似していることから,原材料の鶏肉が汚染源と思われ,鶏肉加工品はヒトへのサルモネラ感染源として重要であることが示唆された.

ノート
  • 阿部 裕, 山口 未来, 藤原 恒司, 片岡 洋平, 六鹿 元雄, 杉本 直樹
    2024 年65 巻5 号 p. 107-112
    発行日: 2024/10/25
    公開日: 2024/12/17
    ジャーナル フリー
    電子付録

    ポリアミド製食品用器具・容器包装のカプロラクタム(CPL)試験へHPLCが適用可能か検討した.カラムには親水性相互作用クロマトグラフィー(Hydrophilic Interaction Chromatography)の原理による,いわゆるHILICカラムとして無修飾シリカ,カルバモイル系及びアミノプロピル系カラムを用いた.移動相は水及びアセトニトリルとし,分析条件を最適化した.HILICカラムで分析するため,試験溶液はアセトニトリルで10倍希釈し,標準溶液は98%アセトニトリルで調製することとした.本法について限度試験および定量試験としての性能を評価した結果,いずれも真度,併行精度および再現精度(室内精度)のパラメーターは目標値を満たしており,いずれにおいても規格試験として適用可能な性能を有していると判断された.

調査・資料
  • 藤川 浩
    2024 年65 巻5 号 p. 113-117
    発行日: 2024/10/25
    公開日: 2024/12/17
    ジャーナル フリー

    食品試料の微生物細胞数の計算をする上で寒天平板上の微生物コロニーカウントの上限および下限値は非常に重要である.本研究では厚生労働省,アメリカ食品医薬品局FDA,および日本産業規格JISによるこれらの値を確率論的に検討した.ここで平板上のコロニーカウントは著者らの過去の研究からポアッソン分布に従うと仮定した.1組のコロニーカウントが各基準によって菌数計算に採用される確率PAをポアッソン分布の様々な平均値について理論的及び乱数を使ったシミュレーションによって求めた.各基準の上限および下限値でのPAは低く,例えばFDAの下限値25では0.278であった.広い範囲の平均コロニーカウントについて3基準によるPAの値を示した.PAが0.5を超える平均コロニーカウントの範囲は3基準の中でJISが最大であった.また,不採用となるリスクを組み入れた新しい上限および下限値の設定方法を開発した.本研究で得られた知見は菌数計算のために上限および下限値を確率論的に考える際に役立つであろう.

  • 中島 崇行, 富澤 早苗, 上條 恭子, 山本 和興, 髙田 朋美, 小鍛治 好恵, 志良堂 裕子, 大澤 佳浩, 小山 彩音, 野口 舞子 ...
    2024 年65 巻5 号 p. 118-125
    発行日: 2024/10/25
    公開日: 2024/12/17
    ジャーナル フリー

    ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChRs)は,ヒトを含む様々な生物の神経系に存在する神経伝達物質受容体である.従来のネオニコチノイド系農薬は,このnAChRsに作用することで殺虫効果を示すが,ヒトおよび環境への毒性などが課題となっている.しかし近年,新たなnAChRsのモジュレーター(nAChRM)が開発され,使用量が増加しているものの,その分析法や残留実態は把握されていない.そこで本研究では,これらnAChRMが最もよく使用される農産物である玄米を対象に,新規ニコチン性アセチルコリン受容体モジュレーター4剤(スルホキサフロル,フルピラジフロン,フルピリミン,トリフルメゾピリム)をLC-MS/MSにより精確に分析する方法を確立し,分析法の妥当性評価および都内に流通する玄米について残留実態調査を行った.試験溶液は,アセトニトリルによる抽出,GC/PSAによる精製の後,精製液の再溶解液をMonoSpin PBAを用いてさらに精製して調製した.妥当性評価ガイドラインに従い,分析法の妥当性確認を行った結果,10 ng/gおよび100 ng/gの添加回収試験の真度は86.3~98.2%,併行精度RSDは6.5%以下,室内精度RSDは6.5%以下であり,絶対検量線による精確な定量が担保された.また,定量下限値はいずれも2 ng/gと推定された.本試験法を用い,都内に流通する玄米53検体の残留実態調査を行った結果,2検体からスルホキサフロルを検出し,その濃度は3.7 ng/gおよび21.9 ng/gであった.この調査・資料は,国内流通食品において初めてスルホキサフロルの残留を報告した論文である.

妥当性評価
  • 大澤 佳浩, 富澤 早苗, 上條 恭子, 中島 崇行, 山本 和興, 髙田 朋美, 小鍛治 好恵, 志良堂 裕子, 小山 彩音, 野口 舞子 ...
    2024 年65 巻5 号 p. 124-128
    発行日: 2024/10/25
    公開日: 2024/12/17
    ジャーナル フリー

    農産物中の有機塩素系易分解性農薬5剤(キャプタン,クロロタロニル,ジクロフルアニド,ホルペットおよびトリルフルアニド)のGC-MS/MSによる分析法を開発した.サンプリング時における農薬の分解を抑制するため,試料を-20℃で冷凍した後に粉砕し,抽出開始まで-20℃で保存した.前処理は,試料にアセトニトリルを加えホモジナイズした後,無水硫酸マグネシウム,塩化ナトリウムおよびクエン酸塩を加えて農薬を抽出後,グラファイトカーボンおよびC18固相抽出カラムで精製した.農産物5作物を用いて,2濃度(0.01および0.1 μg/g)で2併行5日間の妥当性評価を実施した結果,真度86.7~96.1%,併行精度15.2%および8.8%以下,室内精度19.9%および12.7%以下となり,妥当性評価ガイドラインの目標値を満たした.

  • 沼野 聡, 渡邊 龍一, 小澤 眞由, 内田 肇, 松嶋 良次, 鈴木 敏之
    2024 年65 巻5 号 p. 129-135
    発行日: 2024/10/25
    公開日: 2024/12/17
    ジャーナル フリー
    電子付録

    ホタテガイ中の麻痺性貝毒11成分の妥当性評価試験を実施し,Codexの定める検査法の性能規準を満たしているかを確認した.加えて,近年国内外の二枚貝中よりフグ毒テトロドトキシン(TTX)の含有が報告されていることから,本試験の対象成分とした.Turnerらの方法に従って試験を実施し,溶媒検量線およびマトリックス検量線(ホタテガイ)で定量を行った.妥当性評価の結果は,麻痺性貝毒11成分で目標値(真度,併行精度,室内精度)を満たしたが,TTXを溶媒検量線で定量した場合に低回収率となった.一方で,TTXをマトリックス検量線(ホタテガイ)で定量した場合に,回収率が改善した.以上の結果から,本法はLC-MS/MSを用いた麻痺性貝毒およびTTXの分析について有用な分析法であると考えられるが,適切な検量線の選択が必要であることが示唆された.

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