食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
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66 巻, 6 号
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ノート
  • 杉野 御祐, 成島 純平, 田口 千恵, 曽我 慶介, 吉場 聡子, 柴田 識人
    2025 年66 巻6 号 p. 125-131
    発行日: 2025/12/25
    公開日: 2025/12/25
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    電子付録

    2023年3月,韓国において安全性未審査の遺伝子組換え(GM)ズッキーニが栽培・流通していたことが確認された.これらは,カナダ及びアメリカ合衆国でのみ食品利用が認められているGMズッキーニ系統ZW20とCZW3であると推定された.ZW20とCZW3は日本でも安全性未審査であるため,これらのGM系統を監視し,意図しない輸入を未然に防止する必要がある.本研究では,リアルタイムPCRによるこれらのGMズッキーニ系統の定性検査法を開発し検証した.本検査法では,ZW20とCZW3の両方に含まれるズッキーニ黄斑モザイクウイルス抵抗性遺伝子(ZYMV-cp)と,CZW3にのみ含まれるキュウリモザイクウイルス抵抗性遺伝子(CMV-cp)の配列をそれぞれ検査対象とすることで,両系統の識別および同定を可能としている.ZYMV-cp及びCMV-cp検査法について,PCR増幅効率,検出限界,特異性,再現性を検証した結果,いずれも良好であった.本研究結果に基づき,GMズッキーニ系統ZW20とCZW3の検査法が公定法として整備された.

  • 片岡 洋平, 六鹿 元雄, 阿部 裕, 近藤 翠, 四柳 道代, 佐藤 恭子, 杉本 直樹
    2025 年66 巻6 号 p. 132-136
    発行日: 2025/12/25
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル 認証あり

    ポリカーボネート製器具・容器包装の材質試験におけるアミン類試験法について,TEAの揮散やTEAおよびTBAの器具類への吸着等の問題点を解消したうえで,さらに高い選択性が得られる質量分析計(MS)やタンデム型質量分析計(MS/MS)を利用した改良分析法を構築し,その性能を評価した.併行精度,室内精度,真度はそれぞれ,LC-MS法では1.0~3.4%,1.5~4.8%,96~98%,LC-MS/MS法では,1.1~3.5%,1.7~7.3%,95~98%の範囲にあった.これらの結果から,改良分析法は規格を適否判定する分析法として有用であると考えられた.

調査・資料
  • 石川 翔子, 仲沢 萌美, 岩本 知子, 児玉 大介, 江崎 僚, 渡邊 天海, 寺田 拓実, 松崎 芽衣, 堀内 浩幸, 有満 和人
    2025 年66 巻6 号 p. 137-140
    発行日: 2025/12/25
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    オボムコイドは卵白中に存在するタンパク質であり,卵アレルギーの主要な要因となる.広島大学とキユーピーでは,アレルギー低減卵として,オボムコイドを含まない鶏卵(ON卵)の研究を行っており,これまでに,凝固性・起泡性・乳化性は通常卵(Ct卵)と比較してほぼ同等であること,調理・製菓適性を有すること等を確認している.一方で,オボムコイドが鶏卵中で静菌性に関与するか否かについては明確な知見がなかった.ON卵とすることで,通常卵と比較して静菌性が低下しないことを確認することを目的として本研究を実施した.菌無添加・Pseudomonas fluorescens,Salmonella Enteritidis,Bacillus cereus菌液を添加した殻付き卵,液全卵,液卵白においてON卵とCt卵での一般生菌数変化を比較したところ,ON卵でCt卵より一般生菌数が増加しやすい傾向はみられなかった.鶏卵においてオボムコイドが静菌に関与する可能性は認められず,ON卵において微生物リスクは高まらないと推察された.

  • 上田 友紀子, 藤井 良昭, 大前 詩穂, 青柳 直樹, 西村 一彦
    2025 年66 巻6 号 p. 141-145
    発行日: 2025/12/25
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル 認証あり

    不揮発性アミン類(NVA)の中でヒスタミン(Him),チラミン(Tyr),プトレシン(Put)およびカダベリン(Cad)は特に公衆衛生学的リスクが指摘されている.今回,国内に流通する農作物64品目102検体に含まれる上記4種類のNVAの含有実態調査を行った.その結果,Himは12品目に含まれ,ナス,ホウレンソウ,トマトは他の農作物と比べ高い濃度で含まれていた.また,Tyrは29品目に含まれ,最大でハナビラタケに132 μg/gの濃度で含まれていた.したがってモノアミンオキシターゼ阻害薬を服用する患者は高濃度のTyrを含む品目を食べる際に注意が必要と考えられた.さらに,Putはナス科野菜を中心に58品目に含まれ,特にシシトウ,ピーマン,スイートコーンでは100 μg/g以上の濃度で含まれていた.Cadは15品目に含まれ,最大でピーマン(緑)に3.2 μg/gの濃度で含まれている程度であった.これらとHimを高濃度に含む食品を共に喫食した場合,アレルギー様症状を助長する可能性が考えられた.

  • 石田 恵崇, 青木 洋子
    2025 年66 巻6 号 p. 146-150
    発行日: 2025/12/25
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル 認証あり

    スイセンに含有される有毒成分,リコリン(塩酸塩)およびガランタミンについて,2013年,2019年,2021年,2025年に購入した各標準物質の純度をHPLC法および定量NMR法の2法で算出,比較した.その結果,いずれの成分もほとんど分解せずに残存していると判明した.しかしながら,リコリン塩酸塩は吸湿(水和)により重量が変化していることが示唆された.この重量変化は,元々水和物になっているリコリン塩酸塩一水和物をストックしておくことで回避できると思われる.

    近年急増しているスイセンによる食中毒に迅速に対応すべく,リコリンやガランタミンの標準物質を常備しておくことが望ましい.購入後,SDSに記載された方法で適切に保管すれば,少なくとも10年間は表示の純度を維持しており,改めて純度測定せずとも分析に供することができると考える.

  • 藤川 浩
    2025 年66 巻6 号 p. 151-156
    発行日: 2025/12/25
    公開日: 2025/12/25
    ジャーナル 認証あり

    食品における加熱中の微生物の生残曲線を表す上での確率論および速度論モデルの特性を検討した.確率論モデルでは細胞の寿命をモデル化するため指数分布とワイブル分布を用い,速度論モデルでは生残数をモデル化するため指数関数とワイブル関数を用いた.データとして,微生物をある温度で加熱したときの寿命と考えられる指数分布およびワイブル分布から生成させた乱数および過去の論文から得た仮想の微生物生残データを用いた.確率論モデルは最尤法,速度論モデルは最小2乗法を使ってデータを解析した.両モデルは指数分布およびワイブル分布から生成させた乱数による生残曲線を表すことができた.すなわち,両モデル共に直線状および上に凹状あるいは肩を持つ非線形の生残曲線を精確に表した.微生物データに関しては,速度論モデルは線形および非線形の曲線を精確に表した一方,確率論モデルは加熱初期の生残は精確であったが,後期では違った.両モデルについて同様な結果がその他のデータでも見られた.本研究のモデル化と評価方法では,生残曲線全体を表すには速度論モデルの方が確率モデルよりもすぐれていた.

妥当性評価
  • 沼野 聡, 新川 集也, 石塚 颯, 内田 肇, 小澤 眞由, 松嶋 良次, 長澤 和夫, 鈴木 敏之, 渡邊 龍一
    2025 年66 巻6 号 p. 157-164
    発行日: 2025/12/25
    公開日: 2025/12/25
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    電子付録

    我が国の麻痺性貝毒の公定法はマウス毒性試験法が採用されているが,諸外国では機器分析法への移行が進められている.しかし,我が国では,サキシトキシン(STX)の製造や使用に経済産業省の許可が必要であり,機器分析法への移行に至っていない.近年,STX鏡像異性体(エナンチオマー,ent-STX)の開発が進み,標準物質としての利用が期待される.

    本研究では,ホタテガイを用いたent-STXの妥当性評価試験を実施し,Codexの定めるSTXの検査法の性能規準を満たしているかを確認した.添加濃度は,Codex規格で定める0.8 mg STX-2HCl当量/kgおよびその半分とした.検量線は,標準液を希釈溶媒もしくはホタテガイ抽出液で希釈し,絶対検量線法で定量を行った.妥当性評価の結果は,目標値(真度,併行精度,室内精度)を満たした.

    また,我が国近海で採取された毒化二枚貝中のSTXをent-STXで定性および定量を行い,実用性を確認した.一方で,毒化二枚貝中には,STXと同一条件で検出される類縁体の存在が明らかとなり,適切な分析条件で測定を行う必要があることが示唆された.

  • 鈴木 知華, 會田 紀雄
    2025 年66 巻6 号 p. 165-171
    発行日: 2025/12/25
    公開日: 2025/12/25
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    飼料作物サイレージ中のゼアラレノンおよびデオキシニバレノールのLC-MS/MSによる定量法を評価するため,8試験室における室間共同試験を実施した.とうもろこしサイレージおよび稲サイレージの2種類各3濃度の試料を用いて,各試験室2点併行分析とした.試験の結果,平均回収率は97.9~111%,繰返し精度および室間再現精度はそれぞれ8.3%以下および19%以下,HorRatは0.32~1.2であり,分析法の妥当性が確認され,本分析法は飼料作物サイレージ中のゼアラレノンおよびデオキシニバレノールを検査するための方法として適用が可能と考えられた.

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