食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
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67 巻, 2 号
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報文
  • 高田 翔平, 日置 冬子, 丸田 知枝, 建部 千絵, 久保田 浩樹, 多田 敦子, 杉本 直樹
    2026 年67 巻2 号 p. 45-52
    発行日: 2026/04/25
    公開日: 2026/06/24
    ジャーナル 認証あり

    「ソルビン酸」(SOA)および「ソルビン酸カリウム」(SOK)は広く使用される食品添加物保存料である.日本の食品添加物公定書におけるこれら添加物の各条規格において,含量測定法として滴定法が規定されており,異性体を含めた定量値で評価されている.一方,化合物としてのソルビン酸は,特定の条件下で異性体に変化することが報告されているが,これらの添加物製品におけるソルビン酸異性体含有量の実態については精確な分析がされていない.本研究では,最近我々が確立したシングルリファレンス-高速液体クロマトグラフィー(SR-HPLC)法によるソルビン酸および3種の異性体の精確な定量法を適用し,日本国内で食品添加物として使用されるSOAおよびSOK製品中のソルビン酸およびその異性体の定量を行った.5ロットのSOA製品および8ロットのSOK製品を分析した結果,検出された異性体は2E,4Z-異性体が主であり,SOAで最大0.011%,SOKで最大0.15%と,いずれも主成分に比して極めて少量であった.食品添加物製品において,SR-HPLC法で得られたソルビン酸またはソルビン酸カリウムと各異性体の合計含量は,公定書に規定された滴定法による含量と同等の値であったことから,SR-HPLC法は滴定法による定量法の代替試験法として適用可能であることが示唆された.また,本法は,ソルビン酸とその異性体の同時定量が可能であることから,食品添加物の品質管理において,従来法を補完または代替し得る有用な分析法であることが示された.

  • 藤原 恒司, 近藤 翠, 岸 映里, 水口(深瀬) 智晴, 尾崎 麻子, 片岡 洋平, 杉本 直樹, 六鹿 元雄
    2026 年67 巻2 号 p. 53-60
    発行日: 2026/04/25
    公開日: 2026/06/24
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    近年急速に普及し始めた紙および竹製ストローから溶出する金属類の調査を実施した.対象とするストローは市場で購入した市販品および日本製紙連合会からの供与品とし,合成樹脂製のストローとの比較も行った.さらに,金属類が多く溶出した市販品について金属類の含有量を調査し,金属類の溶出率を明らかにするとともに,紙製および竹製ストローを使用した際のばく露量を推定した.酸性飲料を想定した4%酢酸と中性飲料を想定した水を用いて室温で30分間の溶出を行ったところ,全ての市販品から4%酢酸中にAl,MnおよびZnが溶出し,市販品の一部の紙および竹製品からは,Ni,Cu,AsおよびPbも溶出した.一方,合成樹脂製品ではAlとZnのみ溶出した.また,紙製品を酸性飲料に使用した場合は含有する金属類が飲料へ移行しやすいことが示唆された.供与品や大部分の市販品からは安全性に懸念のある金属類が溶出しなかったものの,大部分の市販品でAs,Cd,SnおよびPbの含有が確認されたことから,紙製および竹製ストローの酸性飲料への使用に際しては,使用頻度等の使用条件に留意する必要があると考えられた.

調査・資料
  • 池原 強, 辻本 春樹, 大城 直雅
    2026 年67 巻2 号 p. 61-66
    発行日: 2026/04/25
    公開日: 2026/06/24
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    日本近海に分布するサバフグ属魚類7種(L. spadiceus,L. cheesemanii,L. inermis,L. lagocephalus,L. lunaris,L. sceleratus,L. suezensis)の種同定におけるCOI領域(704 bp)の適用可能性をPCR-RFLP法を用いて検証した.RFLP解析には,3種類の制限酵素(DdeI,BanII,NlaIII)を用いた. DNA配列から得られたRFLPの電気泳動バンドパターンの模式図を基に,種同定のためのフローチャートを作成した.このフローチャートに従い市販のサバフグ加工品を種同定した結果,シロサバフグ(4製品,138個体)およびクロサバフグ(1製品,3個体)と同定された.他のサバフグ属魚種の混入はなく,製品に表示されたとおりの結果が得られた.これらの結果は,3種類の制限酵素を用いたCOI遺伝子のPCR-RFLP法が,市販のサバフグ加工品の種の同定に有用なツールであることを示している.

  • 塩澤 優, 鈴木 理央, 渡邊 趣衣, 伊藤 彩子, 1, 馬場@糸子, 中村 理奈, 下井 俊子, 山嶋 裕季子, 坂牧 成恵, 大塚 健 ...
    2026 年67 巻2 号 p. 67-73
    発行日: 2026/04/25
    公開日: 2026/06/24
    ジャーナル 認証あり

    食品に保存料として使用される安息香酸(BA)は天然にも存在する.そのため,行政検査において保存料を検査する際には食品添加物として添加されたものか,天然由来のものかを判別する必要がある.そこで天然由来のBA含有量を把握するために,前報で行った果実加工品のBA含有量調査に続き,今回は加工食品の原料である生鮮の果実,種実類,豆類,野菜類およびきのこ類に対象食品を拡大し,180試料について水蒸気蒸留法(蒸留法)および透析法を用いてBA含有量を調査した.蒸留法の結果,60試料からBAを検出し,特にクランベリーと赤紫蘇から高値のBAを検出した.蒸留法でBAを検出した試料について透析法を行い,結果を比較した.その結果,蒸留法で低濃度のBAを検出した果実類21試料で定量下限値未満となり,その他4試料では透析法での測定値が低くなった.すなわち,蒸留法の工程中にBAが生成されることを明らかにした.本調査結果は,保存料検査において食品添加物としてのBA添加の有無を判別する際に重要なデータとなり行政検査に活用されることが期待できる.

  • 曽我 慶介, 橋本 優, 江木 智宏, 田口 千恵, 吉場 聡子, 柴田 識人, 高畠 令王奈
    2026 年67 巻2 号 p. 74-78
    発行日: 2026/04/25
    公開日: 2026/06/24
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,2021年および2022年におけるブラジル産国内流通ダイズ試料について,17種類の遺伝子組換え(GM)ダイズ系統特異的検出法と2種類のGMダイズスクリーニング法による分析を実施した.検出された品種は,同年の米国およびカナダ由来の輸入GMダイズの結果[Soga et al., GM Crops & Food, 16, 116–125 (2025)]と大きく異なっていた.各年5ロットを分析した結果,RRS,MON89788,MON87701は全ロットで検出されたが,MON87708およびMON87751は4ロットで検出された.RRS,MON89788, MON87701,MON87708およびMON87751は,それぞれ,グリホサート耐性,グリホサート耐性,害虫抵抗性,グリホサートおよびジカンバ耐性および害虫抵抗性GMダイズである.また,粒単位の分析によって,MON89788およびMON87701を含むスタック品種がブラジル産GMダイズの大部分を占めていることが明らかになった.

  • 若山 貴成, 權田 結乃, 藪谷 充孝, 山口 未来, 阿部 裕, 六鹿 元雄
    2026 年67 巻2 号 p. 79-84
    発行日: 2026/04/25
    公開日: 2026/06/24
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    食品を取り扱う際には,手袋が使用されることが多いが,その手袋は食品衛生法に適合していなくてはならない.しかしながら,食品営業許可施設において,必ずしも食品衛生法の規格に適合した手袋が使用されているとは限らない実態が報告されている.本研究では,製品外装などに食品衛生法への適合表示がない市販ゴム製手袋を中心に,計28検体を対象として,ゴム製品の溶出規格(フェノール,ホルムアルデヒド,亜鉛,鉛,蒸発残留物)への適合性に関する実態調査を行った.実態調査に先立って実施した性能評価では,いずれの分析法も設定した目標値を満たし,十分な性能を有することが確認された.実態調査の結果,食品衛生法への適合表示のある9検体はすべて規格を満たしていた一方,適合表示のない19検体中3検体において,亜鉛または蒸発残留物が規格値を超過していた.

  • 篠原 秀幸, 伊東 慧, 青木 洋子
    2026 年67 巻2 号 p. 85-89
    発行日: 2026/04/25
    公開日: 2026/06/24
    ジャーナル 認証あり

    ビーム試薬(5 w/v%水酸化カリウムエタノール溶液)による呈色反応を利用したツキヨタケの簡易鑑別法について,一般に利用可能な代替法を検討した.ビーム試薬に代替可能な試薬として,家庭用洗剤に用いられるセスキ炭酸ナトリウムの5 w/v%水溶液により,直接法,抽出法ともにビーム試薬同等の鑑別が可能であることを明らかにした.また,呈色成分であるテレフォール酸の抽出溶液濃度は,エタノール濃度80%の水溶液において無水エタノールと同等であった.このことから,日本薬局方に規定された消毒用エタノールであれば抽出溶媒として利用可能であることが示唆された.以上のことから,一般に入手が容易なセスキ炭酸ナトリウムおよび日本薬局方規格の消毒用エタノールを用いた場合でも従来の鑑別法と同等の鑑別が可能であると考えられた.

妥当性評価
  • 平田 祥太郎, 吉光 真人
    2026 年67 巻2 号 p. 90-93
    発行日: 2026/04/25
    公開日: 2026/06/24
    ジャーナル 認証あり

    抗生物質とカビ毒はともに微生物由来の物質であり,化学的性状が類似するケースがある.そのため,抗生物質分析に用いる前処理がカビ毒分析にも応用できる可能性がある.本研究では抗生物質オキシテトラサイクリンの分析法を応用して,りんごジュース中パツリン分析法を妥当性確認した.2種類のりんごジュースを対象とした添加回収試験では,十分な真度(91%と86%)および精度(併行精度≦4%,室内精度≦4%)を示した.クロマトグラフを確認したところ,十分な特異性が確認された.また,検出限界は0.01 ppmを満たしていた.これより,抗生物質分析法がカビ毒分析に応用可能な事例が示された.本法はりんごジュース中パツリンの試験検査に有用であると考えられる.

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