食品衛生学雑誌
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報文
  • 鍋師 裕美, 堤 智昭, 松田 りえ子, 蜂須賀 暁子, 穐山 浩
    2019 年 60 巻 2 号 p. 7-15
    発行日: 2019/04/25
    公開日: 2019/04/25
    ジャーナル 認証あり

    原子力災害のような緊急時における食品の安全性確保のために,実用性の高いストロンチウム90(Sr-90)の迅速分析法を確立した.市販のストロンチウム(Sr)抽出カラムを使用することで食品からSrを精製する工程を簡素化し,またSr-90と子孫核種であるイットリウム90(Y-90)の放射平衡を待つ時間を短縮することによって,従来法の1/4の期間(約1週間)で食品中のSr-90分析が可能となった.確立した迅速分析法における安定Srの回収率は85%以上であった.また,Sr-90の推奨値が付与された標準試料を用いた性能評価において真度が109~115%,検出下限値が0.07 Bq/kg生と推定されたことから,緊急時に必要な分析感度と迅速性を両立した分析法であることを確認した.さらに食品試料への適用性の検討により,確立した迅速分析法で得られた分析値が,従来法で得られた分析値と良好な相関性を示し,かつ近似した値となることを確認した.

  • 藤川 浩
    2019 年 60 巻 2 号 p. 16-21
    発行日: 2019/04/25
    公開日: 2019/04/25
    ジャーナル 認証あり

    加熱加工された市販食品において微生物の汚染は一般に低い.最近,筆者は定性的微生物試験によって得られた全サンプル中の対象病原菌陽性数から,その製品中の対象微生物濃度を推定する確率的な方法を最確数法を基に開発した.しかし,この方法で推定した濃度の信用区間はまだ示されず,また実際の食品中の微生物についてこの方法の検証はまだ検討されていなかった.そこで,本研究では第一にこの方法による推定濃度の95%信用区間を確率論的に明らかにした.第二に,この推定法を用いて低濃度のSalmonellaを接種した乳幼児用粉ミルクおよび液体試料中の本菌濃度を推定した結果,その有用性を確認できた.この方法によって乳幼児用粉ミルクで7 cells/1,000 g,液体試料で2 cells/1,000 mLのような低いSalmonella濃度を推定できた.次に,この方法を適用して生食用食肉中の腸内細菌科群の推定濃度とその95%信用区間を各試験陽性数に対して示した.さらに,この方法の持つサンプルサイズ,サンプル分取量についての特性を明らかにした.この方法は今後,食品中の対象微生物濃度を推定する方法として適用できる可能性が示された.

ノート
  • 大西 貴弘, 古屋 晶美, 新井 沙倉, 吉成 知也, 後藤 慶一, 工藤 由起子
    2019 年 60 巻 2 号 p. 22-25
    発行日: 2019/04/25
    公開日: 2019/04/25
    ジャーナル 認証あり

    緑茶抽出液,紅茶抽出液およびコーヒー抽出液のKudoa septempunctata(以下クドア)不活化効果について検討した.一般的に飲用する条件で抽出した緑茶抽出液,紅茶抽出液またはコーヒー抽出液と104個のクドア胞子を混合すると,4時間でクドアの生残率が0%になった.これらの飲料に含まれているカフェインとカテキンの効果を検討したところ,一般的にコーヒー抽出液に含まれていると考えられている2 mM ,緑茶抽出液に含まれていると考えられている1 mMのカフェインでは生残率はそれぞれ68.2,93.3%になった.また緑茶抽出液,紅茶抽出液には1 mM以上のカテキンが含まれているが,0.1 mM以上のカテキンでクドアの生残率は0%になった.緑茶抽出液の100倍希釈液に相当する0.01 mMのカテキンと混合すると生残率は20%になった.以上の結果から,緑茶抽出液,紅茶抽出液およびコーヒー抽出液には強力なクドア不活化効果があることが明らかになった.また,少なくとも緑茶抽出液,紅茶抽出液に関しては不活化効果の主体はカテキンであることが示唆された.

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