食品衛生学雑誌
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報文
  • 尾崎 麻子, 六鹿 元雄, 岸 映里, 阿部 智之, 阿部 裕, 安藤 景子, 石原 絹代, 牛山 温子, 内田 晋作, 大坂 郁恵, 大野 ...
    2022 年 63 巻 2 号 p. 51-61
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/06/01
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    電子付録

    溶出試験は器具・容器包装の規格適合性や安全性を確認するうえで重要な試験法であるが,溶出操作から定量までを含めた溶出試験全体の試験室間共同試験はほとんど実施されていない.そこで,22機関が参加し,広範なオクタノール/水分配係数を有する10物質を添加した8種類の合成樹脂製モデル試料を用いて試験室間共同試験を行い溶出試験全体の精度を検証した.その結果,HorRat (r)は大部分が基準を満たしたが,HorRat (R)は基準を超過したものが多かった.そのため,単一試験室で行うには精度は概ね確保されるが,試験室間の精度には問題があった.この主な原因としては,試験機関間における溶出操作時の温度や時間管理等の試験溶液の調製操作の差異によるものと考えられた.

  • 曳埜 忍, 矢島 智成, 逆井 美智子, 冨山 成人, 飯島 和昭, 大山 和俊
    2022 年 63 巻 2 号 p. 62-69
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    国内3圃場で16種農薬を散布してビワを収穫し,果肉,果皮および種子を分位別に分析した.果皮では全農薬について全例で検出値(n=144)を得たが,果肉および種子での検出割合は,それぞれ42%(n=61)および36%(n=52)に減少した.ビワ果実中の残留農薬は,主に果皮に分布し,可食部である果肉への分布は少なく,種子への分布は果肉よりも少なかった.部位別の分析値を用いて,果肉での不検出値(<0.01 mg/kg)と種子での実残留値の取り扱いが異なる3つの計算方法により全果実中の残留農薬濃度を算出した.全ての不検出値を定量限界とし,種子中の実残留値を用いた場合(H),種子中の残留値を全て0 mg/kgとし,果肉中の不検出値を定量限界値とした場合(C),全種子中残留値と果肉中の不検出値を0 mg/kgとした場合(L)で算出した.これら算出値の比率は,74%(L/C)~106%(H/C)の範囲であった.比率が90%未満の7例は,全果実中の残留濃度が0.06 mg/kg以下の場合であり,両算出値の差は最小単位0.01 mg/kg以下であった.ビワ果実中の残留データでは圃場間変動などが認められたが,果肉中の不検出値や種子中の実残留値の取り扱いが,ビワ全果実中の残留農薬濃度の算出結果に与える影響は小さいことを確認した.

  • 橋本 博行, 池田 達哉, 吉光 真人, 清田 恭平
    2022 年 63 巻 2 号 p. 70-78
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    バッター液を調製した調理器具の洗浄後,スポンジたわしに小麦粉が残留することがある.このようなスポンジたわしを洗浄に使用すれば,調理器具間で小麦アレルゲンの二次汚染が懸念される.そこで本研究では,バッター液調理後の洗浄方法として,スポンジたわしによるボウルの洗剤洗浄の条件設定を行って調査を行った.繰り返し試行の結果,バッター液10 gを塗布したボウルから,小麦アレルゲンがスポンジたわしを介して別の未使用ボウルへ陽性率約80%で二次汚染した.洗浄・すすぎ操作後のスポンジたわしにはバッター液由来の残留物が認められ,残留率は20%程度であった.残留状態を詳細に観察したところ,グルテン等のタンパク質がスポンジたわしのセル骨格や骨格間に付着し,そのタンパク質にデンプン粒が付着していた.この状態のスポンジたわしに対してすすぎ条件を追加したが,小麦アレルゲンの完全除去は困難であった.このことから,アレルゲン混入リスクを回避すべきアレルギー対応食等の調理施設では,スポンジたわしは小麦を使用した食品調理器具の洗浄用に専用化することが望ましいと考えられる.

ノート
  • 石田 恵崇, 大内 仁志, 菅 敏幸, 篠原 秀幸, 中島 克則, 長岡 由香
    2022 年 63 巻 2 号 p. 79-84
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル 認証あり

    ドクササコの有毒成分であるアクロメリン酸A, Bおよびクリチジンの3成分について,それぞれキノコ子実体から単離精製する手法について検討を行った.シリカゲル,ODS,イオン交換樹脂を固定相としたカラムクロマトグラフィーおよび分取TLCを組み合わせることにより各成分を高純度で得ることに成功した.続けて,得られた精製物を用いてLC-MS/MSの測定条件を最適化し,多成分同時分析法を新規開発した.本分析法の精度を確認するため,添加回収試験を実施したところ,回収率が80.8–112.4%,併行精度が1.4–3.8%と良好な結果が得られ,定量限界はいずれの成分も0.25 µg/gと推定された.以上を踏まえ,ドクササコ中毒発生時,本分析法により原因キノコを迅速かつ高精度に特定可能であると判断した.

調査・資料
  • 油谷 藍子, 仲谷 正, 尾崎 麻子, 山口 之彦, 山野 哲夫
    2022 年 63 巻 2 号 p. 85-91
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    2013年から2018年に大阪市内で購入した魚介加工品112検体について,加熱気化水銀計を用いて総水銀を測定した.その結果,マグロ加工品の総水銀濃度は平均0.115 µg/g(中央値0.070 µg/g)であった.中でもビンナガマグロを原材料とした加工品の総水銀濃度は高く,平均0.301 µg/g(中央値0.296 µg/g)であった.今回調査した魚介加工品の総水銀濃度はマグロ類を原材料とした加工品および混合削り節(サバ,イワシおよびアジの削り節)を除いて概ね低く,0.1 µg/g未満であった.今回の調査結果と日本人の平均的な食生活での魚介加工品摂取量から推定した体重50 kgの人の総水銀摂取量は0.13 µg/kg体重/週であり, FAO/WHO合同食品添加物専門家会議が評価した総水銀の暫定的耐容週間摂取量4.0 µg/kg体重/週の3.3%に相当する量であった.以上より魚介加工品の摂取は通常の摂食では問題ないが,妊婦が総水銀濃度の比較的高いビンナガマグロを原材料としたツナ缶を日常的に摂食した場合には食品安全委員会が評価した妊婦に対するメチル水銀の耐容週間摂取量(2 µg/kg体重/週)を超過する可能性が示唆された.

  • 大場 由実, 中島 崇行, 神田 真軌, 林 洋, 永野 智恵子, 吉川 聡一, 松島 陽子, 小池 裕, 林 もも香, 大塚 健治, 笹本 ...
    2022 年 63 巻 2 号 p. 92-96
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    筆者らが開発したLC-MS/MSによるはちみつ中殺ダニ剤一斉分析法を用いて,2015年4月から2021年3月までに都内に流通していたはちみつについて,残留実態調査を実施した.127検体中,85検体からアミトラズが1.1~34.1 µg/kgの範囲で検出され,3検体からプロパルギットが2.4~3.8 µg/kgの範囲で検出された.いずれの検出事例も食品衛生法における残留基準値または一律基準値未満であった.6年間にわたる本調査の検出結果を解析したところ,アミトラズは毎年高い検出率で推移している.しかし,検出濃度は基準値を上回ることなく変動も小さかったことから,養蜂の現場で適正に使用されていることが示唆された.一方で,プロパルギットは2020年の国産はちみつから初めて定量下限値を超えて検出されており,新しい薬剤として養蜂分野で使用されている可能性が考えられた.

妥当性評価
  • 阿部 裕, 阿部 智之, 大野 浩之, 大橋 公泰, 尾崎 麻子, 風間 貴充, 片岡 洋平, 鈴木 公美, 永井 慎一郎, 花澤 耕太郎, ...
    2022 年 63 巻 2 号 p. 97-103
    発行日: 2022/04/25
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル 認証あり
    電子付録

    台所用洗浄剤中のメタノール(MeOH)分析法について,汎用性の高いキャピラリーカラムを用いた改良分析法を考案し,10試験所が参加する室間共同実験を行った.濃度非明示で2濃度の試料を配付し,プロトコールに従い試料中のMeOHを定量した.得られた試験所の分析結果を基に,国際的なハーモナイズドガイドラインに沿って統計的に解析した.共同実験の結果として推定された室間再現相対標準偏差(RSDR)とHorwitz/Thompson式を用いて計算した予測室間相対標準偏差(PRSDR)からHorRat値を算出した.その結果,2試料のHorRat値は0.8および1.8となり,Codex委員会が分析法承認のために設定している性能規準の指標である2未満を満たした.したがって,本分析法は規格の判定を行う分析法として期待できる性能を有していると判断した.

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