食品衛生学雑誌
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報文
  • 尾崎 麻子, 岸 映里, 大嶋 智子, 角谷 直哉, 阿部 裕, 六鹿 元雄, 山野 哲夫
    2019 年 60 巻 4 号 p. 73-81
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2019/08/30
    ジャーナル 認証あり

    ラミネートフィルムは,接着剤や印刷用インキなどに由来する有機溶剤を含有することがある.そこで,ヘッドスペース-GC/MSを用いて,これらの溶剤として使用される可能性のあるトルエン,キシレン,アセトン,メチルエチルケトン,酢酸エチル,酢酸ブチル,メタノール,エタノールなど30物質の有機溶剤の一斉分析法を確立した.本法は,試料に内標準物質を含むN,N-ジメチルホルムアミド溶液を加えて室温で一晩静置後,気相をGC/MSにより測定する方法であり,さまざまな材質からなるラミネートフィルムに適用が可能であった.本法を用いて,市販のラミネートフィルム製の食品包装袋42試料について測定した結果,6試料からトルエン,酢酸エチルやヘプタンなどが検出された.

  • 河村 葉子, 和田 岳成, 山口 未来, 六鹿 元雄
    2019 年 60 巻 4 号 p. 82-87
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2019/08/30
    ジャーナル 認証あり

    食品衛生法では,油脂および脂肪性食品に使用される合成樹脂製器具・容器包装に,溶出試験として蒸発残留物を規定している.合成樹脂製品について,蒸発残留物試験と欧州標準規格EN1186-2によるオリブ油への総溶出物試験を実施し,両者の比較から蒸発残留物試験の溶出条件と規格値について考察した.食品衛生法に従い,ヘプタンを用いて25℃ 1時間溶出後の蒸発残留物量を測定したところ,多くの試料で規格値の30 μg/mL以下であった.また,耐衝撃性ポリスチレン,ポリメチルペンテン,ポリ塩化ビニル(PVC)では30 μg/mLを超えていたが,いずれも緩和された規格値(240, 120, 150 μg/mL)以下であった.一方,オリブ油への総溶出物量を測定したところ,60℃ 30分間ではPVCを除いていずれも定量限界以下であった.しかし,95および121℃ 30分間ではポリエチレン,ポリプロピレン,PVCにおいて30 μg/mLを超える溶出が見られ,蒸発残留物量より高かった.すなわち,一般の使用では現行の溶出条件で対応できているが,高温使用の場合は溶出条件や規格値の緩和が適切ではない可能性が示唆された.

  • 藤川 浩, 椿 広計
    2019 年 60 巻 4 号 p. 88-95
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2019/08/30
    ジャーナル 認証あり

    食品中の対象微生物数は微生物学試験において非常に重要な項目の一つである.寒天平板当りの微生物コロニー数の分布は食品乳剤中の微生物細胞の分布を反映していると考えられる.しかし,食品試料について,(1)計数する希釈液中での寒天平板当たりのコロニー数の確率分布および(2)平板枚数と平板当たりのコロニー数の関連はこれまで詳しく検討されていなかった.そこで本研究では生の食品試料(ウシ,ブタの挽き肉および乳)と微生物培養液(大腸菌,黄色ブドウ球菌および酵母)を使ってこれらを検討した.結果として,4種類の主要な確率分布の中で,食品試料の平板当たりの生菌数は負の2項分布,ポアッソン分布および正規分布でよく表すことができた.培養液は2項分布,ポアッソン分布および正規分布でよく表すことができた.次に,これらの実験データから繰り返しを許してランダムに取り出した多数のデータを用いて,平板当りのコロニー数の平均値に対する平板数の影響を調べた.その結果,平板数が多いほどコロニー数の平均は変動が少なく,変動係数も減少した.これらの結果は中心極限定理からの推測値と一致した.本研究の結果は,日常検査されている食品の平板当たりのコロニー数の持つ特性について有用な情報となるであろう.

  • 坂本 美穂, 蓑輪 佳子, 岸本 清子, 中嶋 順一, 鈴木 仁, 守安 貴子, 深谷 晴彦, 斉藤 貢一
    2019 年 60 巻 4 号 p. 96-107
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2019/08/30
    ジャーナル 認証あり

    LC/Tribrid Orbitrapを用いて強壮系健康食品中のphosphodiesterase-5 (PDE-5)阻害薬および構造類似体を迅速かつ確実に同定できる分析法を開発した.液体クロマトグラフの移動相に5 mmol/Lギ酸アンモニウム含有0.1%ギ酸溶液(pH 3)および0.1%ギ酸含有アセトニトリル溶液を使用し,C18カラムでPDE-5阻害薬および構造類似体を分離した後,higher-energy collisional dissociationおよびcollision-induced dissociationの2種類の解離法を用いて複数のMS/MSおよびMS3スペクトルを同時に取得した.本分析法を市販強壮系健康食品および個人輸入医薬品105検体に適用したところ,いずれの検体からもPDE-5阻害薬および構造類似体を検出することができた.さらに,検体から検出された3種類のPDE-5阻害薬の構造類似体と15種類のPDE-5阻害薬および構造類似体の不純物について,本分析法を用いて構造を推定した.本法は強壮系健康食品中に含まれるPDE-5阻害薬および構造類似体の迅速かつ確実な同定および構造推定に有用な方法である.

ノート
  • 大石 晃史, 永富 康司, 鈴木 康司
    2019 年 60 巻 4 号 p. 108-112
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2019/08/30
    ジャーナル 認証あり

    飲料中への意図的な植物毒の混入を想定し,LC-MS/MSを用いた植物毒一斉分析法を開発した.分析対象には日本で中毒事例の多い,もしくは過去に事件に用いられた植物毒18成分を,分析試料にはビール,焼酎,ブレンド茶,缶コーヒー,乳性飲料を選択した.分析成分の抽出および精製にはQuEChERS法を用いた.バリデーション試験の結果,日内精度,真度,回収率について良好な結果が得られた.いずれの成分も5~200 ng/mLの範囲で良好な直線性を示し(r>0.990),低濃度での検出が可能となった.

  • 桑原 香織, 平尾 千波, 平野 晃
    2019 年 60 巻 4 号 p. 113-118
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2019/08/30
    ジャーナル 認証あり

    食物アレルゲンELISA検査(卵および乳)における,管理試料を用いた試験所内不確かさ評価と,得られた不確かさを指標とした内部精度管理手法について検討した.食物アレルゲンELISA検査の不確かさの主な要因を,検査キットのロットの違いによる不確かさ,測定日(回)の違いによる不確かさ,併行条件での繰り返しによる不確かさの3点とし,枝分かれ実験によって得られたそれぞれの要因の標準不確かさから合成標準不確かさを算出し,これに包含係数(k=2)を乗ずることによって当該検査の拡張不確かさを求めた.この結果,卵総タンパク質濃度13.4 μg/gの試料および牛乳総たんぱく質濃度13.5 μg/gの試料を測定した場合の拡張不確かさ(包含係数k=2)は,それぞれ1.9 μg/g, 1.8 μg/gと評価された.次に,内部精度管理として,管理試料を用いた検査の有効性の判断手法と,検査精度を継続的にモニタリングする手法を検討した.前者においては,測定サンプルと併行して管理試料を測定し,その測定値が,得られた不確かさを指標として設定した管理基準内であるか否かを判定することで,検査そのものに問題がなかったか否かを簡便に確認することが可能となった.後者においては,管理試料の測定結果を記録してグラフ化し継続的にモニタリングすることで,試験所内検査精度が維持されているか否かを簡便に確認することが可能となった.卵も乳も経時的な数値の上昇や低減は見られず,測定値のばらつきは許容範囲内であり検査精度は維持されていると判断された.

調査・資料
  • 小林 悦子, 西島 千陽, 佐藤 陽子, 千葉 剛
    2019 年 60 巻 4 号 p. 119-125
    発行日: 2019/08/25
    公開日: 2019/08/30
    ジャーナル 認証あり

    機能性表示食品制度では,製品の届出事業者による安全性・有効性情報の評価をもとにした消費者への情報提供が行われる.届出数の多い機能性関与成分について「健康食品」の安全性・有効性情報データベースに収載した有害事象の特性を把握し,製品の容器包装において十分な安全性情報が提供されているかを検討した.対象成分における有害事象として,大豆イソフラボンにおける女性ホルモン様作用,イチョウ葉エキス,DHA/EPAにおける抗凝固薬との相互作用などが見られたが,届出られている機能性表示食品の容器包装において,過剰摂取や医薬品との併用に関する注意喚起が不十分な製品が見受けられた.機能性表示食品が安全に利用され,国民の健康増進に役立てられるためには,製品表示において被害情報を基にした注意喚起情報の提供が重要である.

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