小児耳鼻咽喉科
Online ISSN : 2186-5957
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30 巻 , 1 号
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原著
  • 西川 拓朗, 岡本 康裕, 河野 嘉文, 大堀 純一郎, 福岩 達哉, 西元 謙吾, 黒野 祐一
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 30 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
      症例は 5 歳 2 か月の男児。5 歳 1 か月頃から,誘因なく右頬部の圧痛と腫脹が出現した。近医での MRI 検査で右頬骨体部を破壊し右上顎洞および右眼窩内に浸潤する腫瘤性病変を認め,当院に紹介となった。Ga シンチでは同部位に異常集積を認めたが,他部位に異常集積は認めなかった。生検組織所見により CD1a, S–100蛋白陽性細胞の増殖を認め,ランゲルハンス細胞組織球症(LCH),Single-system, Single-site と診断した。腫瘤は眼窩内に進展していることから全身化学療法を行った。開始 1 週目で右頬部の圧痛・熱感・腫脹は消失し,治療終了後12か月後の現在も再燃なく寛解を維持している。LCH の限局性病変の治療については自然軽快する例も多く,一定のコンセンサスが得られていない。本例では,眼窩内に進展しているため,中枢神経浸潤や後遺症が残る可能性を懸念し化学療法を選択した。LCH は頭頸部に症状が出るものが多く,小児耳鼻咽喉科疾患として注意を要する。
  • 岩﨑 智憲, 早﨑 治明, 嘉ノ海 龍三, 齊藤 一誠, 山﨑 要一
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 30 巻 1 号 p. 5-9
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
      歯列咬合治療を目的として来院した骨格性上顎前突児の CT データから,上気道の通気状態を調べるため,流体シミュレーションを行なった。
      その結果,小児の骨格性上顎前突には上気道に通気障害を示す場合があることがわかった。また,上気道流体シミュレーションは通気障害の程度や障害の部位の特定など,実際の上気道の通気状態の評価に有効である可能性が明らかとなった。
      このことは骨格性上顎前突の原因のひとつとして上気道通気障害が考えられる場合,耳鼻咽喉科医と連携し,上気道流体シミュレーションを用いて通気障害の有無の確認と同時に障害の部位を特定し,通気障害の改善を図ることが成長期の歯列咬合治療を行う上で有用であると考えられた。
  • 大迫 茂人, 佐野 光仁, 愛場 庸雅, 近藤 千雅, 北尻 雅則, 坂下 啓史, 東川 雅彦, 村本 大輔, 奥村 隆司, 坂本 平守, ...
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 30 巻 1 号 p. 10-15
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
      大阪府における新生児聴覚スクリーニング後の精密聴力検査結果を過去 5 年間にわたり検討し,本事業の評価を試みた。
      対象児は聴覚スクリーニング後に要検査児として大阪府下の36精密聴力検査施行病院耳鼻咽喉科に紹介された新生児達である。
      調査項目は10項目であるが,今回は上記の目的に関係の深い 3 項目について検討した。
      精密聴力検査医療機関を受診した児数は平成14年度159名より年々増加し,平成18年度は372名と順調にのびていた。また,精密聴力検査を受けた児数も平成14年134名から増加し平成18年度は318名であった。
      その受診児に対する精密聴力検査の結果の中,難聴児の検出数とその率は平成14年度では63名47%であったがその後,年々増加し平成18年度では194名61%であった。他方,両側性高度難聴児の検出は平成18年度でも受診児中精密検査を受けた318例中29例であった。
      スクリーニング検査結果と精密聴力検査結果を比較して両検査結果が一致している割合は平成14年度の35.4%から年々上昇し平成18年度には63.5%と高まっていた。この事実から両検査施行者の検査技術の向上などがうかがわれる。
      上述調査の結果は耳鼻咽喉科の観点からみると大阪府における本事業は順調に歩んでいることを示す一面と考えられる。
  • 増田 佐和子, 臼井 智子
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 30 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
      低年齢の花粉症児は自らの訴えに乏しく,その症状を把握して医療機関を受診したりセルフケアを行うのは保護者である。そこでスギ花粉症患児40名(男児23名・女児17名,年齢 2–12歳・中央値 8 歳)の保護者を対象として症状や対策に関するアンケート調査を行った。花粉症の発症と診断のピークは 3 歳であった。幼児では鼻閉の重症例が多く,くしゃみは全例中等症以下であった。また眼症状,鼻すすり,鼻出血の頻度が高く,皮膚症状や咳を伴うものも多く,多彩な症状がみられた。花粉症を悪化させる要因としては多くが外出や天候を挙げた。生活への影響として約半数が睡眠障害を訴え,特に学童では学習への影響などさまざまな支障を訴えた。対策として,花粉情報の収集は 8 割,マスク着用は 6 割が実行していたが外出制限の実施率は低かった。小児の花粉症では的確な情報収集と正確な診断に基づいて,保護者に生活の実態に即した指導を行う必要があると考える。
  • 田中 学, 浜野 晋一郎, 安達 のどか, 坂田 英明, 加我 君孝
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 30 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
      先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症では,新生児期にスクリーニング検査で難聴が発見されるほかに,生後数年の間に遅発性の聴力低下を呈する例が知られている.筆者らの施設の小児神経科を受診した先天性 CMV 感染症13症例に ABR 検査を施行し,難聴の危険因子を検討した.これらの症例は,小頭症,てんかんや発達遅滞といった中枢神経系の症状を主訴に受診し,後方視的に先天性 CMV 感染症の診断が確定したものが含まれている.難聴は10例であり,難聴の発生時期は生後 1 年未満が少なくとも 5 例,遅発性は少なくとも 3 例であった.難聴発症の危険率が高かったのは,早期産,脳内石灰化および大脳皮質形成異常であった.発達遅滞を呈する先天性 CMV 感染症では,早期には聴力の異常には気付かれにくいことから,原疾患の積極的な検索とともに聴力のフォローが必要である.
  • 斎藤 弘恵, 守本 倫子, 松田 明史, 泰地 秀信
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 30 巻 1 号 p. 26-30
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
      目的 乳児の気管切開では,気切孔周囲に発赤,潰瘍形成,出血などの問題が生じやすい。一度皮膚トラブルが発生すると,Y ガーゼを頻回に交換したり,軟膏の塗布や抗生剤内服など治療に難渋することも少なくない。このような皮膚トラブルを簡便な方法で軽減することができる方法として吸収力の弱い不織布の Y ガーゼの変わりに医薬部外品である女性用尿吸収ライナーを細工して使用する方法を考案し,検討した。
      方法 1 歳未満で気管切開を受け,術後より気切孔周囲に何らかの皮膚トラブルが生じ始めた 8 例に対し,女性用尿吸収ライナーで作成した Y ガーゼを装用させた。その時の使用感,皮膚トラブルへの治療効果について,8 例の児の看護に関わった看護師47名にアンケート調査を行った。
      結果 皮膚状態を良好に保つには効果があるとするプラスの評価の一方,見た目,交換しにくい,という点ではマイナスの評価がえられた。
  • 益田 慎, 新妻 由希枝, 山田 朝美, 勝田 祐子, 村上 友則, 沖本 智昭, 福島 典之
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 30 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
      拡散テンソル法による tractography(以下,テンソル画像)は,MRI の画像データから大脳白質の神経繊維の走行を描出するソフトウェアにより作成される。我々は幼児や学童を対象にテンソル画像を作成した。症例は 1)片耳難聴の 5 歳児,2)発達性ゲルストマン症候群が疑われた10歳児,3)平仮名の読字習得が困難であった 3 例(9 歳,5 歳,5 歳)である。今回の検討ではいずれも神経心理学的な所見とテンソル画像が一致していた。脳活動をとらえる画像検査としては fMRI や PET があるが,幼児や学童を対象としたときに課題負荷もなく鎮静をかけても結果が変わらないテンソル画像には有利な点も多い。一方で,画像を作成するさいの設定を少し変えるだけでテンソル画像は大きく変化することは問題点として挙げなければならない。したがって,テンソル画像単独で難聴や言語発達障害の病態を説明することはできない。
  • 中橋 美紀, 澤田 亜也子, 前山 啓充, 髙井 優子, 森 靖子, 西村 洋, 宇野 敦彦
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 30 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
      2005年 4 月から2007年12月までの間に当科小児難聴外来へ言語発達遅滞を主訴に受診した小児のうち聴力検査,発達検査,構音検査を行った13例を対象として,当科での経過およびその後の対応を検討した。13例中 2 例は両側難聴で補聴器装用を要し,5 例に滲出性中耳炎を,3 例に機能性構音障害を認めた。構音指導を行い,7 例は構音,言語発達ともに正常に改善した。発達障害が疑われた 6 例は専門機関での精密検査や療育が必要と判断した。言語発達遅滞の原因は単一ではないため,聴力,構音だけでなく,小児の行動観察を含め精神運動発達を総合的に評価し,早期療育につなげていく必要があると考えられた。
  • 森田 真理, 濱島 有喜, 渡邉 暢浩, 村上 信五
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 30 巻 1 号 p. 42-46
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
      小児気管支異物は,1–4 歳に多く,穀類がその原因として最も多い。その的確な診断には,詳細な問診と,受傷当時の状況判断が必要である。また外科的摘出により,時に気管支損傷などの重篤な合併症を引き起こす可能性がある。従来,摘出には硬性気管支鏡を使用することが中心であったが,医療機器の進歩,麻酔法の工夫により,軟性ファイバーを使用し摘出することも可能になっている。
      当施設において,硬性気管支鏡で異物を確認できず,軟性ファイバーにて異物を確認し,摘出できた症例を経験した。それ以降,軟性ファイバーを併用した異物摘出を施行している。軟性ファイバーを併用することで,気管支損傷などの合併症を軽減できるだけでなく,手術時間の短縮,マンパワーが節約できる等のメリットも大きい。今回,経験した症例を提示し,現在名古屋市立大学で施行している気管支異物摘出の方針と手技について報告する。
  • 泰地 秀信, 守本 倫子, 南 修司郎
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 30 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
      平成15年 4 月~平成18年 3 月に国立成育医療センター耳鼻咽喉科を受診した月齢 6 カ月以内の新生児・乳児について,先天性難聴であって聴覚スクリーニングを pass した16症例について検討した。NICU 児やダウン症で髄鞘化不全のため ABR の潜時延長や閾値上昇が起こり,後に正常化するような例は除外した。DP スクリーナーで pass となり,ABR または ASSR で聴力障害が確認された症例は13例で,うち 9 例が auditory neuropathy, 2 例が cochlear nerve deficiency, 1 例が脳幹障害,1 例が中等度難聴であった。Auditory neuropathy のうち 7 例に基礎疾患が認められた。自動 ABR で pass となり聴力障害が認められた症例は 3 例あり,いずれも一側性であった。1 例は自動 ABR で患側は35 dB refer, 40 dB pass であったが,ABR 閾値は90 dBnHL と乖離がみられた。両側の蝸牛低形成があるのに自動 ABR で pass となった症例が 2 例あった。NICU 児では聴覚スクリーニングのプロトコルを必ず ABR を行うように変えることや,一側 refer であっても pass 側も精密検査を行うことが勧められる。
  • 後藤 友佳子, 越智 尚樹, 香山 智佳子, 長谷川 信吾, 藤田 岳, 小嶋 康隆
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 30 巻 1 号 p. 54-60
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
      平成 8 年から19年に当科で初回手術を施行した小児真珠腫31例(男23例,女 8 例,2 歳~12歳,平均年齢7.0歳)のうちで,癒着型真珠腫は 7 例(男 6 例,女 1 例,6 歳~12歳,平均年齢7.4歳)であった。術式は原則として経外耳道的上鼓室開放術(transcanal atticotomy : TCA)を選択したが,乳突蜂巣の発育が不良の 2 例では最終的に外耳道後壁削除型鼓室形成術となった。再発を防ぐために 4 例で術後鼓膜チューブ留置を必要とした。そのうち 3 例では対側も鼓膜のアテレクターシスが強く,鼓膜チューブ留置術を施行した。早期に脱落する症例では頻回の留置を必要とした。乳突蜂巣の発育の悪いもの,鼻すすりのあるものは特に再発に注意が必要と考えられた。小児滲出性中耳炎の中でアテレクターシスの強い症例は,癒着型真珠腫への進展も常に念頭において適切な治療を行う必要があると思われた。
  • 及川 敬太, 藤田 香, 砂田 哲, 宮 卓也
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 30 巻 1 号 p. 61-68
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
      過去 5 年 9 カ月間に当院で入院治療を行った 0 歳から 3 歳の深頸部膿瘍 7 例ついて検討を行った。最も多い症状は頸部腫脹と38°C以上の発熱であった。咽後膿瘍を呈した 4 例ではいずれも経口摂取低下を認めた。全例で造影 CT 検査を施行し,膿瘍はいずれも周囲がリング状に増強され,内部に低吸収域をもつ腫瘤陰影として描出された。3 例で MRI 検査を施行し,膿瘍は T2 強調像で内部高信号の腫瘤陰影として描出された。後頸間隙(4 例)及び咽頭後間隙(4 例)から傍咽頭間隙(3 例)に最も多く膿瘍を認めた。膿瘍から最も多く検出された細菌は黄色ブドウ球菌(3 例)と A 群 β 溶連菌(2 例)であった。全例とも抗菌薬の静注を施行した。さらに 2 例は頸部より膿汁の穿刺吸引を施行し,5 例は切開排膿術を施行した。この 5 例のうち 1 例は頸部外切開での排膿,2 例は経口的切開排膿,残りの 2 例は経口及び外切開で排膿した。
  • 倉内 宏一郎, 山﨑 雄一, 田中 主美, 上村 隆雄
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 30 巻 1 号 p. 69-72
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
      化膿性髄膜炎を発症し意識レベルが改善したが発語がみられず,頭部 MRI により Broca 失語と診断し得た症例を報告する。
      症例は 4 歳男児。発熱,嘔吐,痙攣で発症した。検査で髄液細胞数,白血球数,CRP 上昇を認め,髄液培養で肺炎球菌による化膿性髄膜炎と診断し抗菌薬,デキサメタゾン静注療法,痙攣に対しジアゼパム静注,フェノバルビタール筋注で経過を観察し意識レベルは改善し解熱したが発語がみられず,頭部 MRI では拡散強調画像で両側前頭葉から側頭葉にかけての高信号域を認めた。中耳炎は認めず,症状,MRI の所見からは Broca 失語と診断した。聴性脳幹反応(ABR)でも正常だった。
      化膿性髄膜炎から Broca 失語をきたした症例は報告も少なく,貴重な症例だったと考えられる。
  • 勝見 さち代, 小山 新一郎, 村上 信五
    原稿種別: 原著論文
    2009 年 30 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
      気管・気管支損傷は胸部鈍的外傷により生じることが多く頻度の低い病態である。時に致命的となりうるため迅速な診断,治療を要する。我々は鈍的頸部外傷により胸部気管損傷をきたした一例を経験したので報告する。4 歳男児,前頸部打撲後より血痰,嗄声,頸部痛が生じ受傷 4 時間後受診。頸部軟線,CT で深頸部気腫,縦隔気腫を認め,胸部気管損傷が疑われた。その後急激な皮下気腫の悪化を認め,気管内挿管し気道を確保し救命しえた。気管分岐部直上膜様部に損傷部位を認めた。前頸部への直接的な外力,急激な頸部後屈,声門閉鎖による気道内圧の上昇により脆弱な分岐部膜様部が裂けたと考えられた。気管・気管支は外力による胸郭内臓器の振盪,気道内圧上昇により,必ずしも外力の及んだ部位に損傷が生じるわけではない。頸部外傷の場合,我々耳鼻咽喉科医がまず診る可能性が高いため,頸部外傷に併発する胸部外傷に関しても知識を深めることが重要である。
診療メモ
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