小児耳鼻咽喉科
Online ISSN : 2186-5957
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32 巻 , 1 号
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第6回 日本小児耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会
原著
  • 増田 佐和子, 臼井 智子
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 1-6
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
      スギ花粉症患者がしばしば咳嗽を訴えることは以前から報告されており,近年その原因として喉頭アレルギーなどが知られてきた。しかし小児の花粉症に伴う咳嗽や咽喉頭症状の実態はほとんどわかっていない。そこでスギ花粉症患者84名(小児42名,成人42名)に対し花粉飛散期にアンケート調査を行い,小児と成人の咳嗽,咽喉頭および鼻症状について比較検討した。例年の花粉飛散期の咳嗽有症率は小児と成人で有意差はなかったが,咽喉頭症状は成人で有意に高率であった。受診時には小児で31.0%,成人で43.6%に咳嗽がみられ有意差はなかったが,咽喉頭症状は成人で有意に多くみられた。鼻症状の程度は小児と成人で有意差はなかった。成人では咳嗽の有無には鼻閉,後鼻漏が関連していた。小児ではスギ花粉症に伴う咽喉頭症状は少なく,成人に比べて喉頭アレルギーは少ない可能性があると考えられた。
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  • 熊本 真優子, 迫 真矢子, 稲光 まゆみ, 小宗 静男
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 7-10
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
      FloydII型気管無形成の 1 例を経験した。症例は在胎39週 6 日3,146 g で出生した男児。出生時啼泣はなく,重篤な呼吸障害を呈した。バッグマスク換気は可能であったが,気管内挿管は不能だった。喉頭ファイバースコープ所見で声門下気管は閉鎖しており,頸部気管を触知しなかった。食道挿管で呼吸は確立し,日齢 0 に食道絞扼術・胃瘻造設術が施行された。術後の内視鏡検査で中部食道内に径1.5 mm の瘻孔を認め,CT 検査で頸部気管の完全欠損と,正常な気管支・分岐部の存在,瘻孔を介した分岐部と食道の交通を確認し,気管無形成(Floyd 分類II型)と診断した。呼吸不全が進行し日齢38に死亡した。
      他の先天性上気道閉塞疾患(喉頭閉鎖症,喉頭気管食道裂)で気管切開が有効なのに対し,本症では施行不能で,食道挿管による呼吸管理が唯一の救命となる。緊急気管切開術を行う機会の多い耳鼻咽喉科医も念頭に置くべき疾患である。
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  • 本村 朋子, 守本 倫子, 大原 卓哉, 泰地 秀信
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 11-16
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
      乳児筋線維腫症(infantile myofibromatosis)は比較的まれな病気で,孤発もしくは多発性の間葉系の腫瘍である。患者の88%が 2 歳以下で診断され,頭頸部に好発し,病変が多発もしくは内臓型であると予後が不良とされている。今回われわれは舌腫瘤を主訴とした乳児筋線維腫症の一例を経験した。症例は 2 カ月の女児で,出生後 3 週間頃より哺乳低下,体重増加不良を認めていた。初診時左舌根部に10ミリ×4 ミリ大の硬い腫瘤を触知し,腫瘤生検および全身精査の結果,大脳,小脳,頸部皮軟部組織,両肺,骨に多発する転移巣を有する乳児筋線維腫症と診断し,ビンプラスチン(VBL)とメソトレキセート(MTX)による化学療法を施行したところ,治療効果は良好で既存病変はほぼ消失し,新たな病変の出現を認めていない。
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  • 大塚 雄一郎
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 17-22
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
      副咽頭間隙には大血管や脳神経などが存在し,膿瘍を形成すると致命的となる可能性がある。解剖学的位置からアプローチが困難であり,小児の場合は保存的治療か外科的処置を選択するか判断に迷うことも多い。当院では2例の副咽頭間隙の感染症を経験し,いずれも CT では膿瘍を疑った。しかし1例では扁桃摘出の上,副咽頭間隙の穿刺を行うも膿汁を確認できず,もう1例は扁桃周囲を穿刺するも膿汁は吸引されなかった。いずれも抗生剤投与にて治癒した。培養検査では常在菌しか検出されなかったが血液検査や迅速抗原検査の結果より2例とも溶連菌感染と判断した。1例では経過中に川崎病を疑う症状が出現した。副咽頭間隙膿瘍はすみやかな切開排膿を推奨する意見がある一方,抗生剤の発達により保存的治療で治癒したとの報告も多い。また川崎病との鑑別も必要であり,小児の副咽頭間隙の感染症は診断,治療とも病状に応じた慎重な判断が求められる。
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  • 宮部 淳二, 宮口 衛, 西村 将彦, 福嶋 宗久, 佐々木 崇博
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 23-27
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
      脂肪芽腫は胎児性の脂肪組織から発生する良性腫瘍で,3歳以下の乳幼児に好発する比較的まれな疾患である。今回,2歳男児の後頸部に発生し,急速に増大した症例を経験したので報告する。
      症例は 2歳男児,母親が後頸部腫瘤に気づき当院受診。初診時,後頸部に35 mm 大の弾性硬な腫瘤を認めた。FNA で悪性所見認めず脂肪腫の診断で外来経過観察となった。1年後に65 mm 大と増大認め,MRI を施行したところ,後頸部に68×38×36 mm 大,辺縁整な腫瘍性病変を認めた。腫瘍が急速に増大しており悪性疾患も否定できないため,2009年12月 8 日全身麻酔下に腫瘍摘出術を施行した。腫瘍は白色を呈し,背部筋肉直下に存在した。周囲組織との癒着はなく一塊として完全に摘出し得た。病理診断は脂肪芽腫であった。単純摘出が原則であるが局所再発も報告されており経過観察が必要であると考える。
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  • 任 智美, 奥中 美恵子, 北條 和歌, 阪上 雅史
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 28-33
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
      近年,ASSR が普及され,乳幼児の聴力評価,補聴器の調整の正確性が向上してきた。しかし,時に本来の聴力より ASSR 閾値が高くなってしまうことが経験される。今回 ASSR で軽中等度の聴力低下を示した81例(116耳)について検討したので報告する。
      初回 ASSR にて軽中等度難聴を示した81例116耳を対象とした。全例に ASSR,それとほぼ同時に ABR, OAE,行動聴力検査を施行して総合評価を行った。
      軽中等度聴力低下を認めた116耳中の原因で,中耳炎が50耳,奇形が 5 耳,重複障害に起因が 3 例,原因不明が31耳であった。ASSRで軽中等度難聴を認めたが,後に正常と判断された18例27耳では,重複障害児が 8 例13耳(48.1%),ASSR施行月齢が生後 6 カ月未満だった児が 7 例11耳(40.7%)であった。
      ASSR で軽中等度難聴を示したが,後に正常と評価された例では重複障害児や低出生体重児,施行年齢が 6 カ月未満の児が多く,中枢の未発達が予想される児では多種類の検査における総合評価の重要性が再確認された。
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  • 今吉 正一郎, 笹村 佳美, 川田 和己, 長友 孝文, 菊池 恒, 市村 恵一
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 34-37
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
      甲状舌管癌はほとんどが成人にみられる疾患であり,小児の報告例はこれまで23例に過ぎない。今回我々は小児での甲状舌管癌が疑われる症例を経験したので報告する。症例は12歳男子。右顎下部に径 3 cm の腫瘤を認め,CT では石灰化と低吸収領域を伴う腫瘤病変を認めた。細胞診から甲状腺乳頭癌を疑い,手術を行った。腫瘍は舌骨に接しており,病理では腫瘍は乳頭癌に類似し,甲状腺には腫瘍は見られなかったことなどから本症例では甲状舌管癌を疑った。
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  • 加藤 俊徳
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 38-46
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
      難治化・重症化したといわれている小児中耳炎の実態を明らかにするために,2005年 9 月から2008年 3 月までに当院を受診した,0 歳から14歳までの小児中耳炎2000例が,2010年 9 月までにどういう経過をたどったか,臨床経過・発症年齢・罹患側・鼓膜所見の特徴・罹患最終年齢・罹患最終回数について検討した。主な結果は,次のとおりであった。脱落例,紹介例をのぞいた,経過観察可能例については,①30%は単発性中耳炎であった。②30%は難治性中耳炎になった。③98%は治癒していた。④ 0 歳児に発症した場合,その50%は難治性になった。⑤ 1 歳児に発症した場合,その40%は難治性になった。⑥難治性中耳炎に多く見られた鼓膜所見の特徴としては,鼓室内に 1 カ月以上貯留液が充満している症例が最も多く,次いで,鼓膜上の水疱形成,耳漏,痂皮形成,鼓膜裏面の斑点,鼓膜の拍動性の動きの順であった。
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  • 上出 洋介
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 47-52
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
    【目的】 小児中耳炎に対して病的胃食道逆流がどの程度関与しているかを調査する。
    【調査方法】 種々の病態の小児中耳炎の中耳貯留液の pH 値測定と液中に含まれるペプシノゲン1(PG1)定量をおこなう。pH 値は HORIBA compact pH meter(B–211)を用いる。PG1 測定はヒト PG1 特異的モノクローナル抗体を用いた ELAISA キットを使用して吸光度450 nm で測定する。
    【対象】 2009年 6 月から2010年 1 月までに鼓膜切開を行なった 0 歳から13歳までの39例(中央値:2 歳 5 カ月)である。
    【結果】 pH 測定の結果,平均 pH 値7.86(SD±0.56)であった。中耳貯留液中の PG1 値100 μg/L 未満(陰性群)をカットオフ値とした結果,100 μg/L 以上の陽性所見が41%(16/39例)に得られた。陰性群の平均 pH 値が8.04(SD±0.43),陽性群の平均 pH 値が7.54(SD±0.50)で,両群の pH 値に有意な差が認められた。陽性群は 2 歳を越えると著明に増加した。
    【結論】 対象となった小児中耳炎の41%に病的胃食道逆流の存在が疑われた。貯留液 pH 値を測定する事で病的胃食道逆流が予想できるひとつの機会にかもしれない。
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  • 中山 明峰, 栗山 真一, 濱島 有喜, 服部 寛一, 村上 信五
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 53-57
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
      小児の睡眠時無呼吸症候群の主病因は扁桃肥大やアデノイド増殖である。扁桃摘出術やアデノイド切除術が治療の第一選択であり,治療効果は高い。しかしながらハイリスク患児の場合,手術適応に戸惑う場合がある。心,呼吸器系疾患,神経疾患などの合併症を有する症例や,2 歳以下の乳幼児症例などをハイリスク症例と考え,当院の手術適応について検討した。
      ハイリスク症例を手術するにあたり,終夜ポリグラフの検査結果のみならず,全身状況を総合的に考慮する,保護者とインフォームド・コンセントを確実に行う,熟練した麻酔科医と小児科医との連携をとる,手術は可能な限り無血に行う,術後24時間は ICU にて経過観察をする,ということを適応条件としている。
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  • 北條 和歌, 奥中 美恵子, 任 智美, 西口 道子, 阪上 雅史
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 58-63
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
      人工内耳施術年齢は早いほど術後の音声言語発達は良好とされている。今回我々は当科における小児人工内耳施術年齢が比較的遅い 3 歳以上の男児 7 例,女児 5 例での人工内耳埋め込み術後の聴能活用を,5 歳未満には IT-MAIS(infant-toddler meaningful auditory integration scale),5 歳以上には MAIS を用いて評価した。また,聴能活用を左右する要因について検討した。良好な人工内耳活用状況は養育者の積極的な取り組みが鍵であり,さらには発語能力や明瞭度の向上につながることがわかった。
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  • 横田 進, 榎本 英雄, 安達 のどか, 浅沼 聡, 坂田 英明
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 64-69
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
      気導 ASSR(聴性定常反応)検査の効率的な運用を目指し,睡眠導入剤投与からの睡眠導入時間と検査時間および検査時間と難聴程度との関係を検討した。対象は睡眠導入時間,検査時間等の把握ができ,左右搬送周波数250 Hz, 500 Hz, 1 kHz, 2 kHz, 4 kHz すべてを測定できた患児144例,平均年齢4.1±3.4歳とした。ASSR 検査は Navigator Pro®を用い,睡眠導入剤は 2 回投与を限度とした。
      睡眠導入剤 1 回投与で検査が完了した割合は60.7%であり,平均睡眠導入時間は40分前後であった。睡眠導入剤ごとの内訳は,トリクロリールが62.8%,ラボナが41.7%,エスクレが63.6%であった。検査時間は,1 時間24分±26分であった。我々が規定した閾値を合計した難聴指標と検査時間には正の相関が認められた。検査時間の短縮には,他の聴覚検査や前回値を考慮して,開始刺激音圧を決定する必要がある。
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  • 有本 友季子, 仲野 敦子, 工藤 典代
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 70-73
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
      感冒様症状での小児科受診が契機となり,診断に到った先天性サイトメガロウイルス(以下 CMV と略す)感染症による両側高度難聴の 3 歳男児を経験した。発語が少なく当初言語発達遅滞が疑われ,精査の結果,先天性 CMV 感染症による両側高度難聴と診断された。実際には言語発達遅滞ではなく,先天性 CMV 感染症に起因した遅発性,進行性難聴に伴って生じた音声言語の退行であった。先天性 CMV 感染症による難聴の診療上の重要な問題点は,乳児期以降の診断の困難さである。臨床像も多彩であり,ほとんどは無症候性であること,そして乳児期以降の診断は乾燥臍帯や乾燥濾紙血を用いた PCR 法によるウイルス DNA の検出といった特殊な方法による後方視的診断しかない点が挙げられる。妊婦の抗体保有率の低下に伴う本疾患による難聴児の増加も懸念されており,小児難聴の診療における先天性 CMV 感染症の重要性を改めて認識すべきと思われた。
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  • 牛来 茂樹, 小林 俊光
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 74-79
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
      乳児期の咽頭,喉頭の囊胞性疾患は稀有な疾患である。臨床所見としては,気道が狭いことから,喘鳴や哺乳力低下を呈する。今回,我々は呼吸困難として緊急気管内挿管され,診断が確定するまで 1 カ月間にわたり人工呼吸器管理を要した乳児症例の治療を経験した。全身麻酔下に硬性内視鏡を用いて囊胞開窓術を施行した。硬性内視鏡は視野が良く,手術に非常に有用であった。囊胞は中咽頭右側壁から喉頭蓋に及んでいた。手術治療後 1 年経過するも,喘鳴などの呼吸器症状なく,囊胞の再増大も認めず経過良好である。今回の症例では,手術後に nasal CPAP, head box などを用いた呼吸管理および栄養管理も重要であった。このような症例の治療に当っては,耳鼻咽喉科,麻酔科,小児科の 3 科の協力体制が不可欠である。
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  • 益田 慎, 福島 典之
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 80-85
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
      聴覚過敏を訴えた小児例30例の検査結果を集計し検討した。自閉症スペクトラムを有する例は12例であった。WISC–IIIを実施した17例のうち視覚情報処理が優位であった例が 3 例,逆に聴覚情報処理が優位であった例が 8 例であった。音を聞くとふらつく,あるいはしゃがみこむ11例に ABR を実施し,8 例に60 dBnHL 以下の低音圧で前庭由来筋電位に類似した波形を認めた。この波形が片側に出現した例にはその耳に耳栓をすることで対応した。音を聞くと物が歪んで見えるなど聴覚以外の感覚を感じる13例に機能的 MRI を実施し,10例に特異な所見を認めた。このうち 3 例に聴覚刺激によって視覚が誘発される共感覚の存在が示唆された。これらの検査結果は本人や両親,児に関わる教師等が聴覚過敏を訴える児の状態を理解する上で有益であった。
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  • 小河原 昇, 松島 明美, 南部 多加子
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 86-90
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
      当センターにて1994~2004年に口蓋形成術を受け,術前後で耳鼻咽喉科の診察がなされた口蓋裂児233人(男122人,女111人)を対象とし,初診時と最終診察時の鼓膜所見,鼓膜チューブ留置術の有無を調査した。初診時(平均月齢10.4カ月),466耳中滲出性中耳炎有りが298耳(64.0%),無しが165耳(35.4%),外耳道狭窄 2 耳,閉鎖 1 耳であった。ただ,粘膜下口蓋裂では滲出性中耳炎有りは30耳中 6 耳(20%)であった。鼓膜チューブ留置術は220耳(47.3%)でなされていた。最終診察時(平均月齢80.4カ月)の所見は466耳中滲出性中耳炎無しが365耳(78.3%),有りが38耳(8.2%),鼓膜穿孔が24耳(5.2%),チューブ留置中が38耳(8.2%)であった。最終診察時の滲出性中耳炎無しの割合は鼓膜チューブ留置を行った耳では220耳中138耳(62.7%),行っていない耳では245耳中227耳(92.7%)であり,有意差があった。今回の結果からは口蓋裂児においても口蓋形成術時に全例に鼓膜チューブ留置術を行うのではなく,持続する滲出性中耳炎を認めた場合に鼓膜チューブ留置術を行うのが良いと考えられた。
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  • 田中 学, 安達 のどか, 浅沼 聡, 坂田 英明
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 91-95
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
      両側性高度感音難聴と広汎性発達障害(PDD)の重複例 5 例について後方視的な検討を行った。3 例は新生児聴覚スクリーニング検査で早期に難聴と診断され,残り 2 例は言語発達遅滞として扱われ 2 歳以降で難聴の診断に至った。4 例が 3 歳までの間に集団場面で他者との関わりが乏しいなど,コミュニケーションの不適切な面が周囲に気付かれていた。PDD は決して稀な障害ではなく,難聴と同様に早期の評価と介入を必要とする。難聴のみとは異なる介入方法が求められるため,乳児期から幼児期初期の難聴児の行動的特徴には留意する必要がある。
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  • 西村 洋一, 中田 誠一, 藤澤 利行, 鈴木 賢二
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 96-101
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
      当科において手術加療を行った小児睡眠時無呼吸症候群(小児 obstructive sleep apnea syndrome:以下小児 OSAS)症例のうち,手術前後に終夜 PSG(polysomnograph)検査を行う事が可能であった 7 例について術前後の睡眠構築の変化について検討した。手術治療後の睡眠構築の変化については深睡眠である睡眠段階 3+4 の割合に有意な変化はみられなかったが,浅睡眠である睡眠段階 1 と夜間中途覚醒反応指数については有意に減少をみとめた。小児 OSAS の睡眠構築については脳波所見で覚醒反応を示すことは少なく睡眠構築は保たれ,正常構造を示すことが多いとされているが,本検討では術前後の変化をみとめる結果となった。
      小児 OSAS は AHI(apnea hypopnea index:無呼吸低呼吸指数)の改善のみならず睡眠構築の変化についても注目することが日常診療にとって有用な情報をもたらすと考えた。
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  • 小林 一女, 山田 尚宏, 洲崎 春海
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 102-106
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
      真珠腫が消失,縮小した 2 症例を報告する。症例 1 は鼓膜より白色の腫瘤を透見した。CT 画像にて円形の軟部組織陰影を認め,先天性真珠腫が疑われた。10ヵ月後 CT 画像上軟部組織陰影が増大した為,試験的鼓室開放術を行った。粘稠な滲出液が多量に吸引され,明らかな真珠腫塊や debris などは認められなかった。症例 2 は 1 歳時に鼓膜換気チューブを留置している。7 ヵ月後チューブの上方に白色の腫瘤を透見した。CT 画像上チューブに接した円形の軟部組織陰影を認め,後天性の真珠腫が疑われた。その後画像検査を定期的に行い,2010年 1 月現在軟部組織陰影は縮小している。先天性真珠腫の中に自然消失する症例が報告され,消失する要因としては炎症またはアポトーシスが働くとことによると推察されている。画像上真珠腫が鼓室内に限局している,耳小骨と接していない,耳小骨の破壊がない,合併症がない症例であれば経過観察するのも 1 つの選択肢と考える。
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  • 高橋 秀行, 長井 今日子, 飯田 英基, 登坂 雅彦, 安岡 義人, 古屋 信彦
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 107-112
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
      今回我々は,反復性髄膜炎に 3 回罹患した内耳奇形症例を経験したので報告する。症例は 3 歳女児,側頭骨 CT にて両側の内耳奇形を認め,聴力検査にて両側感音難聴を認めた。右鼓膜穿刺にて糖陽性の液体を認め耳性髄液漏と考えられたため,これを遮断する目的で試験的鼓室開放術を施行した。髄液圧をコントロールするため,手術に先立ち腰椎穿刺による髄液ドレナージを施行した。アブミ骨底板は欠損し膜性組織で閉鎖していた。その他の耳小骨に奇形は認めなかった。アブミ骨上部構造を除去すると大量の髄液噴出(gusher)を認めたため,追加の髄液ドレナージ・マンニトール点滴を行ったうえで,卵円窓へ側頭筋膜を十分に充填しフィブリン糊で補強した。術後12カ月の時点で再発を認めず,経過良好である。
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  • 飯田 英基, 安岡 義人, 二宮 洋, 渡辺 美緒, 古屋 信彦
    原稿種別: 原著論文
    32 巻 (2011) 1 号 p. 113-118
    公開日: 2012/12/28
    ジャーナル フリー
      誤嚥防止手術としての喉頭気管分離術は喉頭と気管を遮断することにより,口腔内分泌物や胃内容物の誤嚥を防ぐため,嚥下性肺炎の予防に有効で,患者・家族の QOL を非常に改善させる。しかし,これまで手術後の QOL に対する詳細な評価の報告は少ない。今回,保護者を対象としたアンケート調査を中心に,我々が喉頭気管分離術を施行した症例に対する臨床的評価を行った。アンケート項目は痰の吸引回数や入院回数がどの程度減少したか,摂食状態に変化がみられたか,発声が不能になったことで不便があるか,手術に対する不満や満足度についてである。喉頭気管分離術は,肺炎罹患の減少など,患児の QOL を改善させるが,介護者である保護者の負担を軽減させることにも大きく寄与している。発声不能で,呼吸困難,嚥下障害があり嚥下性肺炎を繰り返し,改善の見込めない重症心身障害児のような症例には適切な時期に選択すべき手術と考える。
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