小児耳鼻咽喉科
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35 巻 , 1 号
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原著
  • 大原 卓哉, 牧 敦子, 正来 隆, 木村 朱里, 岡本 牧人
    原稿種別: 原著論文
    35 巻 (2014) 1 号 p. 1-11
    公開日: 2014/06/01
    ジャーナル フリー
      小児異物は耳鼻咽喉科診療において頻繁に遭遇する疾患の 1 つである。今回我々は当院を受診した小児異物症例の検討を行ったので報告する。対象は2006年 1 月~2011年12月に当科を受診し外耳道,鼻腔,咽頭,喉頭,気管,食道のいずれかに異物を認めた16歳未満の患者276例である。外耳道異物は 8 歳以下に多く,BB 弾,ビーズ,石の 3 種で62%を占めた。有生異物 7%,無生異物93%であった。鼻腔異物は 6 歳以下に多く,ビーズ,玩具,BB 弾の 3 種で55%を占めた。鼻腔異物の種類は多岐にわたった。咽頭異物は10歳以下が93.8%であり,特に 2 歳に最も多くみられた。魚骨異物が95%でありアジ,ウナギ,サケの順で多くみられた。気管・気管支異物は 2 歳以下が80%であった。ピーナッツ症例は減少傾向であったが,やはり異物の大半を豆類が占める結果であった。異物症は予防することが可能な病気(事故)であり,保護者への啓発を今後も続けていくことが大切であると思われる。
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  • 星野 直, 有本 友季子, 仲野 敦子
    原稿種別: 原著論文
    35 巻 (2014) 1 号 p. 12-16
    公開日: 2014/06/01
    ジャーナル フリー
      2 歳 3 か月の男児。結合型 7 価肺炎球菌ワクチン(PCV7)4 回接種済み。いびき,無呼吸に対し,全身麻酔下にアデノイド切除,口蓋扁桃摘出術を施行した。周術期抗菌薬は ampicillin を静注で使用(当日は術直前および10時間後に静注)。POD1 に40℃の発熱を,POD2 に痙攣を認めた。血液,髄液より肺炎球菌が分離され,同菌による細菌性髄膜炎と診断。急性期に集中治療を要したが,後遺症なく治癒した。髄液由来肺炎球菌は,血清型35B(PCV7, 13非含有血清型)の gPRSP であった。本手術後の髄膜炎は極めて稀だが,菌血症は高頻度に認められる。菌血症から髄膜炎への進展を予防するために,術前に PCV 接種を完了しておくことが望ましい。また,本症例のようなワクチン非含有血清型肺炎球菌や,その他の細菌による術後髄膜炎発症の可能性もあり,菌血症を想定した用法・用量による周術期抗菌薬の投与が必要である。
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  • 工藤 典代, 澤井 明香, 黒柳 令子
    原稿種別: 原著論文
    35 巻 (2014) 1 号 p. 17-20
    公開日: 2014/06/01
    ジャーナル フリー
      幼稚園児と小学生,中学生の安静時唾液分泌量を測定し,学年別と男女別で検討したので報告する。測定は午後の時間帯を使用し,集団の場で,コップに 5 分間唾液を採る吐唾法にて実施した。対象者は 4 校で,幼稚園年長児96名,小学 2 年生72名,3 年生143名,4 年生61名,6 年生114名,中学 2 年生80名である。
      結果は,平均値で幼稚園年長児0.43 ml/分,小学 2 年生0.74 ml/分,小学 3 年生0.72 ml/分,4 年生0.71 ml/分,6 年生0.70 ml/分,中学 2 年生0.66 ml/分であった。正確な測定結果が得られなかったと思われる幼稚園を除くと,学年が上がるにつれて安静時唾液分泌量が減少する傾向にあった。年長児では集団の場では正確な測定ができていない可能性が示唆された。また,幼稚園児を除き,男女別に検討すると,男児の平均が0.797 ml/分,女児の平均が0.620 ml/分となり,p<0.001で統計学的有意差がみられた。この研究結果から,小児の唾液分泌量は成人の安静時唾液分泌量と比較すると,2 倍以上と考えられた。
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  • 洲崎 勲夫, 小林 一女, 阿部 祥英, 田中 義人, 鈴木 貴裕, 工藤 睦男, 洲崎 春海
    原稿種別: 原著論文
    35 巻 (2014) 1 号 p. 21-26
    公開日: 2014/06/01
    ジャーナル フリー
      ベーチェット病は全身諸臓器に発作性の急性炎症を繰り返し,慢性に経過する原因不明の難治性疾患であり,小児での発症は非常にまれである。今回我々は,頸部リンパ節炎を反復後にベーチェット病不全型の診断へと至った症例を経験したので,若干の文献的考察を行い報告する。症例は 5 歳,10歳時に入院加療を要する頸部リンパ節炎を認め,13歳時には頸部リンパ節炎,口腔内潰瘍,陰部潰瘍,消化器症状を呈し,ベーチェット病不全型の診断へ至った。反復する感染症の背景に隠れた疾患がある可能性を念頭に置き,小児科医など他科との連携が重要と考えられた。
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  • 大塚 雄一郎, 岡本 美孝
    原稿種別: 原著論文
    35 巻 (2014) 1 号 p. 27-32
    公開日: 2014/06/01
    ジャーナル フリー
      先天性奇形である先天性後鼻孔閉鎖の手術には経口蓋,経鼻中隔,経鼻,経上顎洞など様々なアプローチ法が報告されている。内視鏡導入以前には経鼻的アプローチの手術は視野と手術操作が制限されるため再狭窄が多いという欠点があった。しかし内視鏡が導入されてから経鼻的アプローチは先天性後鼻孔閉鎖の手術において第一選択となった。
      内視鏡により視野と術野が拡大され,後鼻孔を大きく開放することが可能となった。しかし依然として,再発を認めることがある。多くの術者が鋤骨の不十分な除去が再発の原因になると報告している。
      われわれは鋤骨を除去したことで経過が良好であった先天性後鼻孔閉鎖の 1 例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。症例は 8 歳女児である。乳児期から左側の鼻汁と鼻閉と,時々いびきと睡眠時無呼吸を認めると訴えた。CT と内視鏡検査で左後鼻孔の膜性閉鎖を認めた。
      全身麻酔下に後鼻孔開放術を行った。まず内視鏡下に閉鎖板を除去し,次の鋤骨を除去して後鼻孔を拡大した。手術後 1 カ月左鼻内にステントとしてエアウエイを留置した。
      手術後に鼻閉などの症状は消失した。1 年間経過を観察したが再発はなかった。鋤骨の除去が再狭窄の防止に有効であった。
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  • 三塚 沙希, 水足 邦雄, 守本 倫子, 泰地 秀信
    原稿種別: 原著論文
    35 巻 (2014) 1 号 p. 33-39
    公開日: 2014/06/01
    ジャーナル フリー
      アデノイドや口蓋扁桃肥大は乳幼児の上気道閉塞の原因となるが,1 歳未満では手術が行なわれないことも多い。我々は,睡眠時無呼吸がある 1 歳未満の乳児に対してアデノイド切除あるいは口蓋扁桃摘出術を施行した12例を検討した。アデノイドの程度はアデノイドの厚みと咽頭内腔の比(AN ratio),睡眠時無呼吸症候群の重症度は desaturation index(DI)と desaturation time(%DT90)で評価した。両者に相関を認めなかった。術前の臨床症状として喘鳴を最も多く認め,次いで陥没呼吸,哺乳障害を認めた。術後は全例において,DI と%DT90と臨床症状の改善を認めた。乳幼児の睡眠時無呼吸症候群の場合,明確な手術適応は定まっていないが,臨床症状と検査結果から総合的に判断し,手術適応があれば 1 歳未満でも早期に手術を行うことが有意義であると考えられた。
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  • 益田 慎, 長嶺 尚代, 福島 典之
    原稿種別: 原著論文
    35 巻 (2014) 1 号 p. 40-45
    公開日: 2014/06/01
    ジャーナル フリー
      発達性ゲルストマン症候群は発達障碍の 1 つで,書字困難と計算困難から重篤な学習障碍に進展する可能性がある。今回,4 歳から10歳までの間経過を追うことができた発達性ゲルストマン症候群の男児を経験したので症例報告する。当科初診時には本例の語彙は少なく,人物画が描けないことが特徴的であった。就学前の 1 年間に言語聴覚療法を実施したところ,語彙は増え読字は可能となったが,書字は困難であり自分の名前すら平仮名で表記することはできなかった。また就学時に 5 つのものを数えることができなかった。就学後すぐに学習に支障をきたしたが,学校現場が学習困難を発達性ゲルストマン症候群と結びつけて認識したのは 9 歳のときであった。本例の経験上,発達性ゲルストマン症候群を早期に診断し,学校現場に障碍特性を理解してもらう上で,人物画検査は有用であった。
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  • 呉 晃一, 松井 和夫, 大田 隆之, 久保田 亘, 江洲 欣彦
    原稿種別: 原著論文
    35 巻 (2014) 1 号 p. 46-50
    公開日: 2014/06/01
    ジャーナル フリー
      先天性中耳真珠腫は,鼓膜所見において本邦では後上象限(以下 PSQ)に多いとされている。我々の施設で経験した 3 歳未満の先天性中耳真珠腫10症例において 8 例が前上象限(以下 ASQ)に限局した症例であり多い傾向であった。また,ASQ に限局した 8 例のうち概ね 3 mm 大の症例が 5 例と半数を占めていた。手術方法は,原則完全摘出を目的とし鼓室形成術を行うべきであると考えるが,ASQ に局在した概ね 3 mm 大の真珠腫に対しては,鼓膜切開で経鼓膜的に摘出を行っている。局在した先天性中耳真珠腫は比較的低侵襲で摘出できることを考えると,早期発見,早期治療が重要であると考える。
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  • 笹村 佳美, 前田 貢作, 市村 恵一
    原稿種別: 原著論文
    35 巻 (2014) 1 号 p. 51-56
    公開日: 2014/06/01
    ジャーナル フリー
      当院で気管カニューレを抜去し,気管孔閉鎖が可能であった12例について検討を行った。
      原因疾患は 6 例が新生児呼吸窮迫症候群であり,6 例中 5 例が1000 g 未満の超低出生体重児,1 例が1500 g 未満の極低出生体重児であった。他は,先天性声門下狭窄症が 1 例,後天性声門下狭窄症が 1 例,特発性間質性肺炎が 1 例,交通外傷による意識障害が 2 例,頭蓋顔面骨早期癒合症が 1 例であった。
      小児の気道は狭いため,気管支鏡検査による声門下の評価後,気管カニューレのサイズをさらに細いものに変更し,呼吸状態が問題ないことを確認してから気管カニューレを抜去した。経過観察中の気管支鏡検査で12例中 7 例は声門下腔の狭窄を認め,直ちに気管孔閉鎖を行うことができなかったが,そのうち 2 例は気管孔直上の肉芽による狭窄であり,5 例が声門下狭窄症であった。声門下狭窄症と診断した 5 例のうち,手術を行った症例は 4 例であった。
      気管切開術後から気管カニューレ抜去までの期間については,特に喉頭の操作を行った手術症例で長くなる傾向があった。
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  • 田中 学, 浅沼 聡, 安達 のどか, 坂田 英明, 加我 君孝
    原稿種別: 原著論文
    35 巻 (2014) 1 号 p. 57-62
    公開日: 2014/06/01
    ジャーナル フリー
      先天性大脳白質形成不全症は大脳白質を主とする髄鞘形成の遺伝的障害であり,髄鞘構成成分や髄鞘化に必要な因子の異常により起こる。著者らの施設を受診した 3 例について,それぞれ頭部 MRI 画像,原因となる病態および ABR 所見を比較した。
      症例 1 は Pelizaeus-Merzbacher 病の男児。PLP1 遺伝子の重複が認められ,ABR では両側ともにIII波以降の波形が認められなかった。症例 2 は18q 欠失症候群の女児。MBP 遺伝子を含む染色体の部分欠失が認められ,低 IgA 血症に伴う両側滲出性中耳炎を繰り返していた。ABR では両側とも伝音難聴を示唆する所見に加え,中枢成分の潜時延長が認められた。症例 3 は 4H 症候群の女性。大脳,小脳および脳幹の進行性萎縮が認められ,運動機能の退行という経過を辿った。ABR ではIII波以降の波形分離は不良で,潜時は延長していた。
      3 病型でそれぞれ異なる病態を反映していることが明瞭になった。
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