学校保健安全法では,音声言語障害は耳鼻咽喉科疾患の中に位置づけられている。しかし,静岡県の音声言語障害検診は,充分に行われていない。
今回我々は,この検診の普及,充実を図る活動を開始するに当たり,現状把握や学校医の意識調査が必要と考え,県下の日本耳鼻医咽喉科学会会員261名に対しアンケート調査を行い,105名から回答を得た。
その結果,音声障害検診(嗄声・開鼻声等)を行っているのは60%,言語障害検診(構音障害・吃音等)を行っているのは37%にとどまっていた。一方で71%が,耳鼻咽喉科医が音声言語障害に取り組む必要性があると回答したが,時間の制約や検診方法および事後措置の周知不足のために,現実には検診は行われていない結果であった。
今後,この問題を解決するためには,具体的な検診方法の周知や,教育委員会や事後措置に当たる専門機関との理解や連携を図るなど,実際的な活動が必要と考える。
学校健診における耳鼻科健診の重要性を高めるためにも,耳鼻咽喉科医がコミュニケーション障害に関わることは大切である。
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