小児耳鼻咽喉科
Online ISSN : 2186-5957
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36 巻 , 1 号
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モーニングセミナー
  • 高木 明
    原稿種別: モーニングセミナー
    2015 年 36 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
      静岡県では平成11年から「静岡県聴覚障害児を考える医療と保健福祉と教育の会」を立ち上げ,行政,教育関係者と共に難聴児の早期発見,環境整備に取り組み,静岡市では平成12年から 1 歳半聴覚健診をはじめた。また,新生児聴覚スクリーニングの普及に対応するため,平成22年に乳幼児聴覚支援センターが開設され,関係機関の調整,データ収集,母子の支援を行っている。その結果,新生児スクリーニングの受検率は80%程度であるが,検出された難聴児に対するケアの体制は整いつつある。また,中等度難聴の早期発見が可能となり,早期介入がその後の音声言語発達に重要であることを述べた。最後に人工内耳装用児に対する療育体制の未整備であることの問題提起し,保護者の児への関わりがその後の音声言語獲得に重要であることを強調した。
原著
  • 波多野 都, 伊藤 真人, 杉本 寿史, 吉崎 智一
    原稿種別: 原著論文
    2015 年 36 巻 1 号 p. 8-14
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
      真珠腫性中耳炎に病変の進展範囲に応じて外耳道を拡げるように乳突削開した後(Retrograde mastoidectomy on demand),側頭筋膜片を用いた軟組織にて鼓膜・外耳道を再建する術式を当科では用いている。削開範囲は外耳道を拡大し鼓室の開放にとどまるものから外耳道後壁骨を削除するものまで真珠腫の進展範囲に応じ決定される。長期経過後の術後聴力,真珠腫再発率,最終的な外耳道形態,聴力改善不良例について検討をおこなった。過去の報告と比較し,本術式では聴力経過は全体に良好であり,真珠腫再発率は外耳道を保存する場合より低く,外耳道を削除した場合と同程度であった。外耳道鼓膜の形態は様々であり,個々の中耳換気能により最終的な形態に落ち着くものと考える。また,聴力改善不良例は乳突部と耳管鼓室口への進展を多くみとめ,耳管機能不全が疑われた。聴力改善には中耳換気能が重要であると考える。
  • 岩﨑 涼太, 杉山 剛, 石井 裕貴, 五十嵐 賢, 増山 敬祐, 杉田 完爾
    原稿種別: 原著論文
    2015 年 36 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
      【背景】年少の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者には成長障害の合併が多いが,アデノイド口蓋扁桃摘出術(AT)前後の身体発育に関して 7 歳以下の報告は少ない。【目的】7 歳以下の OSAS 患者に対する AT の身体発育への影響を明らかにする。【方法】対象は19名(男女比13:6)。Type 3 簡易 PSG で無呼吸低呼吸指数(AHI)≧5 でアデノイド増殖・口蓋扁桃肥大を有する小児を OSAS と診断し,AT 後 3,6,12ケ月の身体発育を検討した。【結果】AT 後に AHI は有意に低下した(18.9±15.3 vs 3.4±1.6)。BMI パーセンタイルは AT 後 3 ケ月で有意に増加し(43.9±26.1 vs 55.6±22.5),身長 SD スコアは AT 後12ケ月で有意に増加した(−0.26±0.94 vs 0.006±0.63)。【結論】7 歳以下の OSAS 患者では AT 後,体重増加が先行し,身長は遅れて増加した。
  • 伊藤 卓, 山本 敦子, 川島 慶之, 福屋 吉史, 岸根 有美, 竹田 貴策, 長澤 正之
    原稿種別: 原著論文
    2015 年 36 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
      小児深頸部膿瘍は縦隔進展や気道閉塞などの重篤な経過を有する例はあまり多くなく,成人に比して経過および予後は良好だと言われている。しかし,基礎疾患として免疫不全症を合併しているような場合は感染を反復し,その診療に苦慮することも少なくない。今回われわれは 1 年の間に深頸部膿瘍を反復し,蚊アレルギーと著明な高 IgE 血症を合併していたことから何らかの免疫学的異常の関与が疑われた小児例を経験した。症例は13歳男児,左顎下間隙の膿瘍にて入院加療するも,保存的加療で改善せず切開排膿を行った。1 年後咽頭後間隙の膿瘍にて再び入院加療,同じく保存的加療で改善せず全身麻酔下での切開排膿を要した。両経過ともに起因菌は黄色ブドウ球菌であった。経過中,血清 IgE 値は最大 60,450 IU/ml を示したが,高 IgE 症候群の診断基準には合致しなかった。今後も反復する可能性があるため,厳重な経過観察を要すると考えられた。
  • 赤木 祐介, 丸中 秀格, 折田 頼尚
    原稿種別: 原著論文
    2015 年 36 巻 1 号 p. 27-30
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
      尾翼腫脹・反復性鼻出血が主訴の 3 カ月男児の鼻腔乳児血管腫に β–blocker の一種であるプロプラノロールを使用し縮小効果が得られた症例を経験したので報告する。本症例は生後 2 カ月頃より鼻出血を反復し,3 カ月になった頃から右鼻翼が膨隆してきたため当科紹介となった。右鼻前庭部に乳児血管腫を認めたため,プロプラノロールを 1 mg/kg/日で開始し,治療開始後 7 日目で 2 mg/kg/日まで増量した。内服開始後 1 カ月頃より血管腫の縮小傾向を認め,鼻出血の回数も減少傾向になった。以後,現在 1 年内服を続けているが血管腫は縮小したままであり,再増大の傾向無い。今までの治療であるステロイド治療,硬化療法,レーザー焼灼術,外科的切除術などよりも低侵襲であり,整容面も考慮するとプロプラノロールは小児血管腫治療の第一選択の一つとなりうると考えられた。
  • 冨山 道夫
    原稿種別: 原著論文
    2015 年 36 巻 1 号 p. 31-39
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
      小児急性鼻副鼻腔炎に対する適確な抗菌薬選択を行うために,薬剤耐性菌の分離頻度の推移を常に把握しておく必要がある。今回2012年 1 月より2013年12月までに当院を受診した小児急性鼻副鼻腔炎症例のうち,膿性鼻汁の細菌検査にて Streptcoccus pneumoniae もしくは Haemophilus influenzae が検出された1347名を対象として細菌学的検討を行い,2009–2010年の調査結果と比較した。その結果2009–2010年の調査と比較し,drug-resistant S. pneumoniae(DRSP)は2012年,2013年に有意に減少したが,ampicillin 耐性 H. influenzae は差がみられなかった。今後の DRSP の分離頻度を経時的に調査していく必要がある。
  • 今井 篤志, 鬼塚 哲郎, 飯田 善幸, 上條 朋之, 須田 稔士, 石田 裕二, 百合草 健圭志
    原稿種別: 原著論文
    2015 年 36 巻 1 号 p. 40-44
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
      口腔細菌は齲歯や歯周病だけではなく,誤嚥性肺炎や感染性心内膜炎など他部位で感染症を引き起こすことがある。今回,智歯周囲炎が原因と考えられた反復性髄膜炎例を経験したので報告する。症例は16歳男児。繰り返す発熱と意識障害で近医総合病院に緊急入院となり,ペニシリン感受性肺炎球菌による細菌性髄膜炎と診断された。CT/MRI で翼口蓋窩から側頭下窩を中心に境界不明瞭な病変,周囲の下顎骨関節突起の菲薄化や蝶形骨洞大翼の骨破壊などを認め,腫瘍性疾患を疑い当院に紹介された。ナビゲーションを用いて翼口蓋窩組織生検をしたが悪性所見は認めなかった。その後経過観察中に G 群レンサ球菌による 3 回目の細菌性髄膜炎をきたした。多職種カンファレンスで反復性髄膜炎と左上埋伏智歯の関連が指摘され,無愁訴の智歯周囲炎を認めたので抜歯を施行した。解熱と CRP の陰性化を認め,髄膜炎の再燃は 4 年以上認めていない。
  • 江原 幸茂, 鈴木 雅明, 中村 こずえ, 笹島 ゆう子, 村松 さやか, 武茂 高至, 安井 拓也, 伊藤 健
    原稿種別: 原著論文
    2015 年 36 巻 1 号 p. 45-51
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
      ランゲルハンス組織球症(langerhans cell histiocytosis; LCH)は,小児に好発する稀な全身性疾患であり診断に苦慮することが多い。今回我々は,耳鼻科受診に至る 1 年間にわたり確定診断を得ることができなかったが,外耳道病変の生検が LCH 診断の決め手となった側頭骨,皮膚,瞼結膜,および肺に病変を認めた 2 歳女児の多臓器型 LCH 例を経験した。日本 LCH 研究グループのプロトコールに従ってステロイド・多剤併用化学療法が施行され全身の LCH 病変は早期に寛解した。側頭骨内骨脱灰像は再石灰化となるも,キヌタ骨は溶解したままであった。治療開始から 4 年を経た 7 歳児時点でも伝音性難聴が残存した。小児においては耳漏・外耳道肉芽腫様病変は比較的早期に出現することが多いため,耳鼻科医が全身性小児疾患の中で早期診断・治療に寄与できる疾患の一つと言える。また,治療により側頭骨内病変は寛解に至っても伝音性難聴が残存する場合があるため,長期的な聴力フォローが必要である。
  • 金子 由佳, 有本 友季子, 仲野 敦子, 工藤 典代
    原稿種別: 原著論文
    2015 年 36 巻 1 号 p. 52-57
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
      乳児血管腫は乳幼児の 1%に発生する,最も頻度が高い腫瘍である。90%以上が 5–7 歳までに自然消褪するが,血管腫の大きさ・存在部位により患児の生命が危険な状態に曝される場合や,Kasabach-Merritt 症候群を合併し,血小板減少・線溶系亢進・凝固異常をきたす場合は早期の治療開始が望まれる。従来の乳児血管腫に対する治療法はいずれも一長一短あるが,近年では非選択的 β 阻害薬であるプロプラノロールが有効との報告例が急増している。当院でも巨大な頸部血管腫の乳児に対してプロプラノロールの内服投与が著効した症例を経験した。症例は出生後より左頸部の腫脹を指摘されていたが,徐々に増大。頸部皮下から喉頭蓋にかけての腫脹をきたしたため,プロプラノロールの内服投与を開始したところ,投与開始後数日で腫瘍の縮小を認めた。その後も腫瘍の著明な縮小を認め,治療開始後 6 カ月で内服を終了したが,1 年経過し再発所見は認めていない。
  • 追川 陽子, 大上 麻由里, 塚原 桃子, 関口 美也子, 大上 研二
    原稿種別: 原著論文
    2015 年 36 巻 1 号 p. 58-64
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
      Cornelia de Lange 症候群は,小児科医 Cornelia de Lange が初めて報告し,特異的顔貌や四肢の小奇形,精神発達遅滞,成長障害などを呈する先天性の多発奇形症候群である。耳鼻咽喉科領域としては難聴を合併することが知られているがその報告例はまだ少ない。今回我々は生後 1 カ月で当科を受診し,後に本症候群の診断が確定した男児の経時的な聴力の評価を行うことができたので報告する。本症例は月齢を重ねるごとに聴力の改善を認め ABR は 4 歳 1 カ月時に閾値,潜時ともに正常化していた。本症候群の難聴は伝音難聴ならびに感音難聴をきたす複数の要因を伴うため,適切な聴力の評価と難聴の原因精査を行うことが診療方針の決定や聴力の予後の推定に重要であると考えられた。
  • 長場 章, 大滝 一, 廣川 剛夫, 髙橋 姿
    原稿種別: 原著論文
    2015 年 36 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
      新潟県において音声言語異常の検診に対して関心を高め,健診時の実施を普及することを目的に,検診の現状と方法,教育機関について調査し検討を加えた。学校保健委員20名にアンケート調査を行ったところ65%が音声言語検診を行い,その中の15%が絵図版を使用していた。また委員の一人が「学校保健での音声言語障害の検診法」を使用して耳鼻咽喉科健診を行った結果,「名前+です」の発声に,絵図版を使用して健診を行うと絵図版を使用しない場合に比べて約10秒の健診時間の延長が見られた。この方法による言語障害の有所見率は1.3%であり,それまでの新潟市での有所見率よりも高かった。
      健診後の事後処置について新潟県では言語障害が指摘された場合,必要があれば通級指導教室での指導が行われている。中には高次医療機関での精査を要する場合もある。今後も学校保健委員会を中心に,音声言語異常についての知識を高め,新潟県における音声言語検診の確立と普及に向けさらに力を入れていきたいと考えている。
  • 鳥居 智子, 足立 昌彦
    原稿種別: 原著論文
    2015 年 36 巻 1 号 p. 71-77
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
      学校保健安全法では,音声言語障害は耳鼻咽喉科疾患の中に位置づけられている。しかし,静岡県の音声言語障害検診は,充分に行われていない。
      今回我々は,この検診の普及,充実を図る活動を開始するに当たり,現状把握や学校医の意識調査が必要と考え,県下の日本耳鼻医咽喉科学会会員261名に対しアンケート調査を行い,105名から回答を得た。
      その結果,音声障害検診(嗄声・開鼻声等)を行っているのは60%,言語障害検診(構音障害・吃音等)を行っているのは37%にとどまっていた。一方で71%が,耳鼻咽喉科医が音声言語障害に取り組む必要性があると回答したが,時間の制約や検診方法および事後措置の周知不足のために,現実には検診は行われていない結果であった。
      今後,この問題を解決するためには,具体的な検診方法の周知や,教育委員会や事後措置に当たる専門機関との理解や連携を図るなど,実際的な活動が必要と考える。
      学校健診における耳鼻科健診の重要性を高めるためにも,耳鼻咽喉科医がコミュニケーション障害に関わることは大切である。
  • 山﨑 一春, 石川 和夫
    原稿種別: 原著論文
    2015 年 36 巻 1 号 p. 78-82
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/06/20
    ジャーナル フリー
      先天性頸部遺残軟骨の 1 例を経験した。症例は 1 歳 1 か月の男児。生下時より左頸部に小結節があり徐々に増大してきた。外科的摘出を施行し良好な経過を得た。頸部の異所性遺残軟骨については1858年に最初に報告されている。その後さまざまな病名が付けられてきたが,近年‘cervical chondrocutaneous branchial remnants’という用語が定着してきている。和名も統一を図ることが必要であり,「先天性頸部遺残軟骨」がふさわしいと思われる。特徴として①男児に多く,②先天性,③頸部の中央または下 1/3 で胸鎖乳突筋の前方に存在する,④痛みはなく,紅斑や滲出液はないことがあげられている。また他の奇形と合併する率が高いことも報告されているため注意が必要であるが,本症例では明らかな他の奇形はみられなかった。
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