小児耳鼻咽喉科
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37 巻 , 3 号
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巻頭言
第11回日本小児耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会
特別講演
  • 小西 行郎
    原稿種別: 特別講演
    37 巻 (2016) 3 号 p. 231-235
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー
     ヒトは46時中リズムのなかで生きている。呼吸も心拍も運動も発声も睡眠もリズムを持っていて,そしてその始まりは胎児から。最近,こうしたリズムの発生と発達の異常に注目が集まっている。それは発達障害とりわけ自閉症スペクトラム障害(以下ASDと略す)といわれる疾患についてである。長い間社会性やコミュニケーションの障害と繰り返される行動の異常とが主体であるされ,行動観察などをもとに診断されてきたASDについて,最近では心拍数が多く,揺らぎが少ないこと,サーカディアンリズムの障害,コルチゾールの分泌など内分泌機能のリズムの障害,さらにはインスリンの分泌リズムの障害などがあることが報告されるようになってきた。つまり,個体内での細胞レベルでの同期現象の異常と個体間のリズム同期の異常などの生体機能リズムの障害がASDの本体ではないかと考えられるのである。こうした立場からASDの原因や症状の発生メカニズムをあきらかにすることは単にASDの診断や療育を変えるだけではなく,その疾患概念そのものを大きく変えることになるであろう。
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シンポジウム 1―学校保健における耳鼻咽喉科医の役割
  • 大島 清史
    原稿種別: シンポジウム1
    37 巻 (2016) 3 号 p. 236-240
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー
     日本耳鼻咽喉科学会(日耳鼻)が平成26年に全国の地方部会学校保健委員長47名を対象に施行した学校健診に関するアンケート調査結果では,重点的健診を余儀なくされている地区が多いこと,耳鼻咽喉科学校医無配置地区が多いことがわかった。また,保健調査票は多くの施設で参考にされ,健診の際の所見名は,日耳鼻選定のものが多く使用されていた。この結果を参考に,耳鼻咽喉科学校健診の取り組むべき課題を検討すると,1 学校医未配置地区の対応,2 重点的健康診断の見直し,3 幼稚園・保育所への対応,4 高等学校健診の見直し,5 音声言語障害検診の充実,6 インクルーシブ教育への対応,7 プライバシーの配慮,があげられる。文部科学省は学校保健における地域との連携を重視している。学校健診は,毎年行われ,また,すべての児童生徒と接することができる貴重な機会であるため,その成果を最大限に活用し,学校や地域に貢献することが期待される。
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  • 沖津 卓二
    原稿種別: シンポジウム1
    37 巻 (2016) 3 号 p. 241-245
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー
     近年,普通学校に学んでいる難聴の児童生徒が増えていると言われている。因みに平成26年度の文部科学省の報告に,聴覚支援学校の在籍者は減少が続いているが,普通学校で通級による指導を受けている小・中学生は平成7年度以降増え続けていることが示されている。最近の仙台市における学校健診の結果から,高度難聴の児童は人工内耳や補聴器による聴覚補償を受け普通学校に在籍し通級指導を受けていること,また軽度・中等度難聴児の一部は発見が遅れ適切に対応されていないことが判明した。補聴器,人工内耳をすでに装用している難聴児および学校健診で発見される難聴の中,学校生活に影響があると考えられている軽度・中等度難聴,一側高度感音難聴,機能性難聴への対応について概要を述べた。文献的考察を踏まえ,難聴の児童生徒が普通学校で不自由なく学校生活を送るために,今後耳鼻咽喉科の学校保健活動として取り組んでいくべき課題を提唱した。
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  • 益田 慎, 長嶺 尚代, 福島 典之
    原稿種別: シンポジウム1
    37 巻 (2016) 3 号 p. 246-249
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー
     県立広島病院小児感覚器科では言語発達障碍を側頭葉型,頭頂葉型,前頭葉型,基本不足型に分類した上で対応している。10年間の統計から小学生になって受診をし,言語発達障碍が疑われた頻度を算出した。「聞こえにくい」「発音がおかしい」「ことばが遅い」を訴える小学生には相当数の言語発達障碍児が潜んでいることが想定され,その検出のためには学校健診が重要な役割を担っていると考えられた。また,養育者や学校に対応を依頼する際に,上記のタイプ分けをすることが有用であると考えられた。本稿の内容は第11回日本小児耳鼻咽喉科学会にてシンポジウム「学校保健における耳鼻咽喉科医の役割」で発表した。
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  • 宇高 二良, 高原 由衣, 佐藤 公美, 島田 亜紀, 武田 憲昭
    原稿種別: シンポジウム1
    37 巻 (2016) 3 号 p. 250-255
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー
     臨床現場においては音声障害を訴えて受診する児童生徒やその指導に当たる教員をしばしば経験する。今回,定期健康診断を手がかりに音声障害の内でも特に嗄声を取り上げ,児童生徒の有所見率を把握するとともにその背景因子について検討した。一方,教員においては発話環境を測定し,嗄声を来す要因について検討した。
     児童生徒の音声障害は11.8%に認められた。学年別では小学校3年まで増加し,その後漸減した。女子に比して男子の方が,またスポーツ活動を行っていない児に比して行っている児の方が有意に高比率であった。スポーツの中でもサッカーや野球などの集団スポーツを行っている児で多く認められた。
     教員の発話環境測定では,他の職種に比して,教員本人の発話時間が長く,発話音圧も高値で,特に音声障害を来した教員では著しかった。また,児童生徒の発話音圧の大きさと教員の発話音圧にも関連が認められた。
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シンポジウム 2―小児の嚥下障害への対応
  • 森 正博
    原稿種別: シンポジウム2
    37 巻 (2016) 3 号 p. 256-262
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー
     嚥下障害で受診する子どもには,哺乳障害で経口摂取経験のない子どもや意思疎通の困難な子どもも含まれる。的確な嚥下機能評価は,子どもの摂食環境や嚥下訓練,さらに誤嚥防止術の選択など適切な医療介入の決定に必要不可欠である。小児の嚥下機能評価で重要なことは,事前の情報収集である。これにより,嚥下造影検査(VF)の環境や条件を適切に準備することができる。キアリII型奇形の双胎姉妹のVFから嚥下障害の病態の違いが確認され,姉妹に違った嚥下訓練が開始された。また子どもの嚥下障害は発達途中の障害のため,身体・精神の発達の遅れによる影響もある。経時的な嚥下機能評価と身体・精神の発達評価を行うことができた,キアリII型奇形2症例とCHAREGE症候群1症例の結果から,経時的な嚥下機能評価と身体・精神の発達評価は,嚥下障害の子どもへの適切な医療介入の決定に重要であった。
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  • 下嶋 哲也
    原稿種別: シンポジウム2
    37 巻 (2016) 3 号 p. 263-267
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー
     福祉施設において言語聴覚士が行う小児の摂食嚥下リハビリテーションでは,食事場面は専門的かつ包括的な発達支援として行われる。食事指導を行う時期は,障害児を育てる親の育児困難感,障害の特性による育児そのものの特殊性(発達の見通しが持ちにくい,障害自体の理解困難)があること,さらに幼児期は前言語期のコミュニケーション構築に重要な時期であることから,個別の支援が必要になる。そのような考えに基づき,9年間で2回以上,最長4年間にわたる指導を行った18例を対象としたので,その経過を報告した。症候群により特徴的な経過が見られ,継続的な支援により問題点も変化していくことを示した。支援において重要なことは,情緒交流(愛情交換)の場面としての食事を専門的見地から助言・実践すること,そして親の,親としての発達を支えることである。支援の核心は,継続的かつ可能な限り長期的に関わっていくという関係性のなかにあると考えられた。
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  • 安岡 義人, 紫野 正人, 二宮 洋, 近松 一朗
    原稿種別: シンポジウム2
    37 巻 (2016) 3 号 p. 268-273
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー
     小児の反復する難治性嚥下性肺炎予防のための誤嚥防止術には種々の術式がある。喉頭気管分離術は気管食道吻合術と共に,小児の誤嚥防止術として最も広く普及し施行されている術式である。筆者らは気管を切断せず,気管前壁のU字気管弁を後方に折り曲げ気管後壁と側壁に縫合して気管閉鎖する喉頭気管分離術(気管弁法)を開発し施行している。
     気管弁法は低侵襲で簡便なため本人・家族が受け入れやすく,術後の管理が容易で気管孔が安定しているなどの利点がある。今回,気管弁法の術式の改良を行い,小児,成人,気管切開後にも適応を拡大し,喉頭気管瘻や気管腕頭動脈瘻のリスクも軽減させることのできる応用範囲の広い術式とした。さらに,誤嚥防止術の枠を超え,嚥下機能改善や,食道–喉頭シャントにより声帯発声が展望できる術式を目指している。
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  • 鹿野 真人
    原稿種別: シンポジウム2
    37 巻 (2016) 3 号 p. 274-280
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー
     重症心身障害児・者に対して輪状軟骨を鉗除する声門閉鎖術を行い,腕頭動脈瘻防止に対する有用性を検討した。対象は14才から27才までの未気管切開例の4症例で,胸郭変形が4例に,側彎症が3例に合併していた。声門閉鎖術は甲状・輪状軟骨を鉗除するが甲状腺や気管には操作を加えず,また,気管を牽引することなく,輪状軟骨レベルに切開孔を形成する術式である。術後の切開孔は狭窄せず,カニューレフリーの管理が4例全例でできている。喉頭は全例が高くその切開孔も高い位置に形成でき,カニューレが留置された場合であってもその先端は胸郭に達することはなく腕頭動脈からも離れていた。声門閉鎖術はカニューレフリーの達成率が高いこと,切開孔が高い位置のためカニューレ先端の腕頭動脈との接近を防止することで,側彎症や胸郭変形を伴う重症児・者の腕頭動脈瘻を防止するための有用な術式となることが推測された。
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教育セミナー 1
  • 仲野 敦子
    原稿種別: 教育セミナー1
    37 巻 (2016) 3 号 p. 281-285
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー
     新生児医療や小児医療の進歩に伴い,小児気管切開例は増加傾向にあり,より低年齢の症例の比率が高くなっている。小児は気管切開後数十年にわたる長期の経過観察が必要となり,その間に成長・発達する点を考慮しなければならない。身体的な発育だけではなく,運動面や精神面の発達もある。定期的にファイバースコープで気管内の観察を行い,肉芽形成の有無,カニューレのサイズ,カニューレの軸と気管の軸の関係などを確認する。成長や病状の変化に合わせて,カニューレのサイズや種類の変更も必要となってくる。長期経過中には,側弯の進行や,気管軟化による気管の閉塞が出現してくる例もあり,またこれらの変化とともに気管腕頭動脈瘻のリスクも高まる。耳鼻咽喉科医は,気管切開の合併症を予防するために,主治医である小児科医や保護者と連携しながら小児気管切開例の経過観察を行う必要がある。
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教育セミナー 2
モーニングセミナー
  • 尾内 一信
    原稿種別: モーニングセミナー
    37 巻 (2016) 3 号 p. 290-294
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー
     近年耐性菌が増加しているが,抗菌薬の開発は進まず世界的に深刻な問題となっている。日本政府は,WHOの要請を受けて薬剤耐性対策アクションプランを閣議決定した。2020年までに抗菌薬の使用を1/3削減する目標を立てている。今後更なる抗菌薬の適性使用が求められる。小児感染症に対する適切な抗菌薬の使用は,適切な病型診断と原因微生物の推定,原因細菌の薬剤感受性動向の把握,薬物動態(PK)と薬力学(PD)の理解,抗菌薬のミキシング,標準的な治療期間を遵守,耐性菌リスクを考慮し不必要な抗菌薬を投与しないなど基本的な事項であるが,数多くて複雑である。小児感染症専門医でもアップデートはなかなか困難である。したがって,これらの基本的な事項に配慮して作成されたガイドラインを使って治療することがより現実的であり,最適治療の近道である。ガイドラインに従って,耐性菌を増やさないように意識して抗菌薬の適性使用に心掛けたい。
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ランチョンセミナー 1
  • 内藤 泰
    原稿種別: ランチョンセミナー1
    37 巻 (2016) 3 号 p. 295-299
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー
     本邦で小児人工内耳医療が開始されて25年が経過し,重度難聴児に対する標準的医療として大いなる成功を収めてきた。今までの成果をもとに,今後も,早期発見,早期診断による低年齢手術が進められると考える。また,両側人工内耳については,逐次手術も有効だが,同時手術によって,さらに高い効果が期待される。機器の進歩もめざましく,より安全で,容易な手術が可能になっている。スピーチプロセッサのデータログ機能は,装用状況の定量的把握を可能にし,適切な療育貢献すると期待される。
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ランチョンセミナー 3
  • 堀井 新
    原稿種別: ランチョンセミナー3
    37 巻 (2016) 3 号 p. 300-304
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー
     症例の少ない小児のめまい診療ではその原因疾患を年齢別,頻度別に理解することが重要である。小児で最多のめまい疾患は良性発作性めまい(BPV)および前庭片頭痛(VM)で,この2疾患で全体の約40%を占める。ともに発作性めまいを繰り返し,BPVは5歳以下の低年齢で見られ,その後片頭痛を発症するとVMと診断される。VMでは変動する蝸牛症状がみられる場合もあり,他の内耳疾患との鑑別が治療上の問題点となる。めまいの予防には片頭痛の予防薬である塩酸ロメリジンを,頭痛に対しては片頭痛治療薬を用いる。乳児期には難聴や運動発達遅滞から内耳奇形や小脳奇形が発見されることがある。幼児期は急性小脳炎やムンプス,ハント症候群などウイルス感染症および小脳腫瘍の好発年齢であり注意する。児童期には成人と同様BPPVやメニエール病も見られ始め,起立性調節障害が増加する。この疾患は治療上,社会心理要因の合併に注意が必要である。
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臨床セミナー
  • 木戸 博
    原稿種別: 臨床セミナー
    37 巻 (2016) 3 号 p. 305-311
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー
     インフルエンザは感染力が強く最も頻度の高い感染症の一つで,乳幼児や高齢者では重症化して死に至ることがある。近年,パンデミックインフルエンザ(H1N1)2009や高病原性鳥インフルエンザの流行が報告され,重症化機序とその対策が注目されている。このような中で,インフルエンザ感染による多臓器不全の原因として,感染が引き起こす代謝破綻と代謝不全になり易い基礎疾患と体質に関する研究が進んでいる。我々は,感染重症化の原因として,「インフルエンザ–サイトカイン–プロテアーゼ」サイクルと「代謝破綻–サイトカイン」サイクルが,サイトカインを接点に共役することで重症化が進むことを明らかにした。さらに代謝破綻機序の解析から,治療標的と治療法の解明が進んだ。さらに坑ウイルス剤による治療は,獲得免疫能を低下させ,翌年の再感染率を増加させる副作用を伴うが,イムノモジュレータ作用を持つマクロライドは,局所と全身の免疫機能を増進して再感染率を低下させた。これらの最新知見の一端を紹介する。
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スイーツセミナー
  • 千田 いづみ
    原稿種別: スイーツセミナー
    37 巻 (2016) 3 号 p. 312-317
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー
     学校の教室には教師と生徒との間の距離や周囲の雑音があるため,難聴児は補聴器や人工内耳だけでは十分な聴取が得られず,補聴援助システムの併用が必要である。以前より普通学校ではFM補聴援助システムが使用されてきたが,チャンネル干渉が生じやすい欠点があった。最近使用されるようになったデジタル無線方式の補聴援助システムは,デジタル変調方式により音質が向上し,受信器と送信器間のペアリングによりチャンネル干渉が防止できる利点がある。
     我々は,「徳島県の難聴児を支える連携」を構築し,地域の教育委員会に働きかけ,難聴児が就学する学校に補聴援助システムを導入してきた。また,一側性難聴児は健聴児と比較して騒音環境での語音聴取能が低下していることを明らかにし,一側性難聴児にも学校の教室に補聴援助システムを導入している。徳島県での補聴援助システム導入の現状と実績について報告した。
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原著
  • 石野 岳志, 園山 徹, 竹野 幸夫, 平川 勝洋
    原稿種別: 原著論文
    37 巻 (2016) 3 号 p. 318-323
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー
     重度感音難聴による重度感音難聴と診断された患児において,先天性難聴の遺伝子診断(インベーダー法)および難聴遺伝子129遺伝子を網羅した難聴遺伝子パネル(otogenetics deafness gene panel DA3)を用いた次世代シークエンサー(NGS)によるエクソームシークエンス解析を行った結果,SLC26A4遺伝子においてc.919–2A>G(IVS7–2A>G)の単一ヘテロ接合体を認めた。両親の聴力検査を行ったところ,母親に中等度難聴を認め,同領域のエクソンに対してのダイレクトシークエンスの結果,母親にも同様の変異を認めた。今回の家系においては難聴においては優性遺伝型式を呈しているように見えるが,患者と母親の聴力図が大幅に異なっているため,母親のCT検査ができなかったものの,母親と患者では病態が異なっていることが想定された。本遺伝子変異は常染色体劣性遺伝であると一般的に認識されているが,文献的には二遺伝子変異やプロモーター領域の変異との組み合わせで発症したSLC26A4遺伝子単一ヘテロ変異を持つ前庭水管拡張症例も報告されている。このため今回我々はこれら既知の変異や他の遺伝子変異の合併に関しても検討を行ったが,これら変異は同定できなかった。しかしながら,上記のような機序が報告されていることから,これら以外の形でSLC26A4遺伝子単一ヘテロ変異が関与して発症した可能性も否定できなかった。遺伝カウンセリングにおいて,SLC26A4遺伝子変異の場合はその発症可能性について,常染色体劣性遺伝ではあるものの,単一ヘテロ変異であっても他の要因との組み合わせで発症する可能性があることが報告されていることから,臨床遺伝専門医と相談して慎重に遺伝カウンセリングを行う必要があるといえる。
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  • 那須 隆, 鹿野 真人, 欠畑 誠治
    原稿種別: 原著論文
    37 巻 (2016) 3 号 p. 324-329
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー
     喉頭が未成熟な7歳未満の超重障児における輪状軟骨を鉗除する声門閉鎖術の手術適応の妥当性を検討した。当科で声門閉鎖術を施行した7歳未満の超重症児5例を対象とした。同じ術式を施行した7歳以上の超重症児5例を対照群として,背景因子,手術時間,出血量,術後合併症,術後在院日数,退院後管理・転帰,オトガイ・舌骨の位置関係について後方視的に比較検討した。
     対照群と比較し,①有意な手術時間の遅延,合併症の増加がない,②術後在院期間の延長がない,③在宅管理へ移行できる割合が同等である,④カニューレフリーとなる症例の頻度が同等であることから,7歳未満の超重症児における声門閉鎖術の術式選択は妥当性があると判断された。
     声門閉鎖術の手術難易度を推測するパラメータとして,術前CTにおける,オトガイ正中下端と椎前までの垂線距離,オトガイ正中下端と舌骨最前面の距離が有用であると考えられた。
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  • 土橋 奈々, 鈴木 法臣, 原 真理子, 吉浜 圭祐, 小森 学, 守本 倫子
    原稿種別: 原著論文
    37 巻 (2016) 3 号 p. 330-335
    公開日: 2017/03/23
    ジャーナル フリー
     輪状後部静脈叢隆起は成長発達過程の乳幼児の輪状後部に認められ,啼泣時など輪状後部の静脈叢の怒張によって圧依存性に暗赤色の隆起を形成する。時に喉頭を圧排し狭窄させるため,乳幼児の哺乳障害や呼吸障害,喘鳴をきたす原因になることもある。無症状や,乳児血管腫と間違われる症例も少なくないため,頻度や病態も明らかではない。そこで我々は当科で輪状後部静脈叢隆起と診断した7例を検討した。症状は,低月齢であるほど圧迫による喉頭狭窄などを随伴し哺乳障害や呼吸障害が多く,月齢が上がると,ほとんど症状が認められなかった。鎮静下の検査では全く所見が得られず,頸部造影CT・MRIでは腫瘤の描出,造影効果は認められなかった。軟骨無形成症を合併した1例のみ,気管切開が必要となったが,7例中5例は腫瘤縮小を認め,成長と共に改善する例が多く認められたことから,治療方針の検討には留意するべきである。
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