小児耳鼻咽喉科
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38 巻 , 3 号
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巻頭言
第12 回日本小児耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会
臨床セミナー
  • 鈴村 宏
    2017 年 38 巻 3 号 p. 231-235
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    先天性の気道疾患を合併しやすい先天性・遺伝性疾患として代表的な6疾患を挙げて概説する。疾患名と合併気道疾患は以下である;CHARGE症候群(後鼻孔閉鎖・狭窄,喉頭軟弱症),13トリソミー(喉頭軟弱症,喉頭狭窄,舌根沈下),軟骨無形成症(閉塞性睡眠時無呼吸),症候性頭蓋縫合早期癒合(閉塞性睡眠時無呼吸,後鼻孔閉鎖・狭窄,気管軟骨異常),22q11.2欠失症候群(喉頭軟弱症,気管軟化症,声門下狭窄),Pierre-Robinシークエンス(舌根沈下)。これらは気道異常の他に種々の特徴的な臨床症状を呈し,全体として1つの症候群を形成している。

    外来または病棟で先天性の気道疾患と診断した場合,その背後に先天性・遺伝性疾患が存在する可能性を考える必要がある。また逆に,先天性・遺伝性疾患と診断したら気道疾患の有無を検索しなければならない。小児科・耳鼻科が連携して診療にあたる体制が望まれる。

  • 石川 浩太郎
    2017 年 38 巻 3 号 p. 236-240
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    新生児聴覚スクリーニングなどにより難聴が早期に多数発見されるようになり,その原因診断として難聴の遺伝学的検査の重要性が注目されている。日本人に頻度の高い13遺伝子46変異の解析が可能なインベーダー法が2012年から健康保険の対象となり,さらに2015年から次世代シークセンサー法を併用して19遺伝子154変異の解析が可能となった。原因遺伝子変異が同定されることで,難聴の予後予測や介入方法の選択などで有益な情報が得られる。遺伝学的検査を実施する際は十分な知識と責任を持って取り組む必要がある。遺伝学的診断は難聴を診療する上で非常に有用なツールであり,今後の原因別個別化医療の発展のためにも,さらなる進歩と普及が期待される。

  • 濵田 昌史, 塚原 桃子, 小田桐 恭子, 飯田 政弘
    2017 年 38 巻 3 号 p. 241-244
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    小児の顔面神経麻痺診療においては,診察協力が得られにくいため重症度の判断が難しく,麻痺の原因検索にも困難が伴う。そのため治療法が確立しておらず,施設によって診療方針が大きく異なる現状がある。今回,これらの問題の解決を目指して,8年間に東海大学医学部を初診した小児顔面神経麻痺患者59例を後方視的に調査した。結果,麻痺原因についてはウイルス抗体価検査をEIA法にてペア血清を用いて行ったところ,臨床的Bell麻痺例に無疱疹性帯状疱疹(ZSH)症例が多く確認された。治療法としては,ステロイド投与を基本としてHunt症候群ではもちろん,最近の症例ではZSHの存在を念頭に臨床的Bell麻痺でも抗ウイルス薬が併用されていた。一部の症例では電気生理学的検査に基づき減荷術が選択された。ZSH症例はHunt症候群とともに麻痺重症例が多く,治療後の麻痺転帰についてもBell麻痺に比して不完全治癒例が多かった。

  • 竹内 万彦
    2017 年 38 巻 3 号 p. 245-252
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    原発性線毛運動不全症(primary ciliary dyskinesia, PCD)は線毛に関連する遺伝子の変異によって起こる先天性疾患である。30以上の原因遺伝子が明らかになっているが,本邦におけるPCD症例の報告は少ない。診断に要する検査はどれも特殊であり,臨床家が簡単に行えるものではない。臨床家がどのような時にPCDを疑い,精査を行う患者を選ぶかについて,本症を疑うための7つのヒントとして述べた。それらは,①慢性湿性咳嗽がPCDに最もよくみられる症状である。②PCDは早産の原因にはならない。③新生児期に多呼吸,咳嗽,肺炎を起こしてNICU(neonatal intensive care unit:新生児特定集中治療室)管理になることが多い。④内臓逆位やさまざまな臓器の位置異常がみられることがある。⑤種々の先天性心疾患を合併しうる。⑥様々な程度の鼻副鼻腔炎を認める。⑦中耳病変は多様であるが,基本的に滲出性中耳炎である,の7つである。本稿により本症の認知度が上がり,本症の理解が深まることを願う。

  • 田中 康雄
    2017 年 38 巻 3 号 p. 253-259
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    発達障害に対する小児耳鼻咽喉科臨床と発達障害臨床を対比した。さらに発達障害という存在について考察し,治療対象とすべき障害は生活障害であると主張した。そのうえで,親・家族が抱える思いを想像し,親・家族への応援のあり方,説明方法,さらに本人への応援や生活支援者への応援について検討した。

    発達障害臨床とは相手の思いに思いを馳せつつも,決して完全には重ならないという,当たり前のことを述べ,それでも相手が主体的に生きていくよう応援するため,相手のためにこちらが悩み,いろいろと心配し,そしてなによりも苦しさに耐えて投げ出さないという覚悟が大切であると説いた。見返りの少ない活動であり孤軍奮闘と寂しさのなか,応援する者もまた,応援を必要としていることを強調した。

    生活障害を応援することは畢竟,気負うことなく,奢ることなく,恥じることなく,「素人の相談者と評される」ことであろう。

  • 後藤 一貴
    2017 年 38 巻 3 号 p. 260-261
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    異物とは,「体外からもたらされ,また体内に発生した,体組織とは馴染まない物質」と定義される。エネルギーを外界に依存する生物は創成以来異物症に悩まされる宿命にあるが,前人の啓蒙活動や近年の情報技術発達により減少している。異物症患者は青年期には少なく,若年者(小児)と高齢者の2峰性に分かれている。今回は小児異物症の治療,耳,鼻,消化管系(咽頭,食道),気道系(喉頭,気管,気管支)異物について述べる。

  • 加我 君孝, 朝戸 裕貴
    2017 年 38 巻 3 号 p. 262-266
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    両側小耳症外耳道閉鎖症の術前の両耳骨導補聴器装用下および両耳外耳道形成術後の両耳気導補聴下の方向感がどの程度成立するかこれまで明らかではない。

    われわれは両側小耳症外耳道閉鎖症例に対して,10歳前後に耳介形成術と外耳道形成術の合同手術を過去20年にわたって実施している。方向感検査を術前に両耳骨導補聴下と術後の両耳カナル型気導補聴器の装用下に実施した。その結果両耳時間差も両耳音圧差も両耳骨導補聴下でもカナル型補聴下でも閾値の上昇を認めはするが成立することがわかった。

  • 益田 慎
    2017 年 38 巻 3 号 p. 267-271
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    言語性学習障碍は言語発達障碍から進展する発達障碍で,発達障害者支援法の中で規定されている。当事者へのサポートは欠かせないが,自閉スペクトラム障碍や注意欠陥多動性障碍と比較して,社会的認知が広まっているとは言えず,家庭でも学校でも適切な支援を受けることができている例は限られている。

    筆者は言語性学習障碍をまず側頭葉型,前頭葉型,頭頂葉型,基本OS型の4つに大別して,その病態や具体的な支援策を保護者や教育関係者に説明するように心がけている。本稿では,側頭葉型,前頭葉型,頭頂葉型について,それぞれの実例を挙げ,当事者が何に困り,どのような支援を求めているかについて報告する。

シンポジウム1―遷延性咳嗽治療における上下気道からのアプローチ
  • 増田 佐和子
    2017 年 38 巻 3 号 p. 272-276
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    小児の長びく咳嗽の原因はさまざまで,単一とは限らない。4週間以上咳嗽が遷延する小児32名を小児科と耳鼻咽喉科の医師が同日に評価したところ,耳鼻咽喉科では50%に鼻副鼻腔炎を,小児科では41%に喘息または咳喘息を認め,気管支炎,心因性咳嗽,百日咳なども認められた。また44%に複数の疾患が認められ,両科からのアプローチの重要性が示された。耳鼻咽喉科領域においては特に鼻副鼻腔炎が湿性咳嗽の原因疾患として重要である。鼻副鼻腔炎の多くは治療により改善するが,時に原発性線毛運動不全症などの基礎疾患を持つ患者が存在するため,遷延する例では注意が必要である。アレルギー性鼻炎では気管支喘息や喉頭アレルギーの合併に留意する。胃食道逆流症,気道異物や心因性咳嗽,感染症の鑑別も必要である。持続する咳嗽は原因疾患に対する治療により改善が期待できる。小児科と耳鼻咽喉科が協力して診断に努めることが大切である。

  • 松原 茂規
    2017 年 38 巻 3 号 p. 277-281
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    遷延性咳嗽の原因となる上気道疾患にはアレルギー性鼻炎,鼻副鼻腔炎が代表的であるが,上咽頭炎による可能性もある。

    アレルギー性鼻炎による遷延性咳嗽の治療は薬物療法などのアレルギー性鼻炎の治療が基本であるが,気管支喘息の合併や感冒,鼻副鼻腔炎との鑑別が重要である。

    鼻副鼻腔炎による遷延性咳嗽の治療はマクロライド系抗菌薬の投与が基本であるが,急性期の治療が十分に行われたかが重要である。内視鏡検査による鼻腔の観察は必須である。症例によっては病変が上気道と下気道の両者にまたがっていることがあり,小児科医との連携が大切である。

シンポジウム 2―小児喉頭・声門下・気管狭窄の診断と治療
  • 長谷川 久弥
    2017 年 38 巻 3 号 p. 282-290
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    喉頭軟化症(喉頭軟弱症)は乳児期の吸気性喘鳴の原因として最も多い疾患であり,吸気時に喉頭の閉塞,狭窄をきたし,吸気性喘鳴,閉塞性無呼吸などをおこす。喉頭軟化症は特別な治療を必要とせず,1年くらいの経過で自然に治癒する場合が多い。しかし,一部の重症例では,保存的管理が困難で,積極的介入が必要となる場合もある。積極的治療として,喉頭形成術,喉頭蓋吊り上げ術などが行われる。気管・気管支軟化症は,主に気道の膜性部/軟骨部の比率の増加により,気道の脆弱性が増し,dying spellなどの重篤な症状を呈することもある気道病変である。気管・気管支軟化症は従来まれな疾患と考えられていたが,気管支鏡検査などによる検索で診断される機会が増加している。治療は,high PEEP療法などによる保存的療法に加え,外ステント術を中心とした有効率の高い外科治療も施行されるようになり,救命率の向上に貢献している。

  • 紫野 正人, 安岡 義人, 近松 一朗
    2017 年 38 巻 3 号 p. 291-296
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    小児の上気道で喉頭(声帯周辺)は最も狭く,器質的病変,炎症,挿管チューブの慢性刺激による肉芽・瘢痕などにより容易に狭窄を生じる。本稿では喉頭軟弱症を除く比較的まれな喉頭疾患を5症例提示して,診断と治療について概説した。症例1は偶発的に発見された喉頭嚢胞で手術により全摘した。症例2は嚥下性肺炎を契機に直達喉頭鏡検査で診断した喉頭裂で,軽度の裂であったが肺炎を反復したため閉鎖手術を施行した。症例3,4は長期挿管による声門下狭窄症と声門後部癒着症である。低侵襲な手術を念頭におき,喉頭内腔からのアプローチのみでカニューレ抜去に至った症例である。症例5は吸気性喘鳴を伴う喉頭の乳児血管腫で,ファイバーとMRIにて診断し,βブロッカー投与にて経過観察中である。小児の喉頭疾患に際しては,成長を考慮して可能な限り保存的に,喉頭の枠組みを壊さない手術を第一に検討すべきである。

  • 前田 貢作
    2017 年 38 巻 3 号 p. 297-301
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    小児の気道疾患のうち,呼吸障害を来し外科治療の対象となるものは主に狭窄や閉塞症状を来す疾患群である。このうち,代表的な声門下狭窄症,先天性気管狭窄症,気管・気管支軟化症に対して外科治療の適応と治療法の現況を報告した。いずれも生命を脅かす危険を伴う重症疾患であるため,通常の小児科的治療に抵抗する場合にはすみやかに内視鏡検査で確定診断をつけ,外科的治療に移行する必要がある。最近の小児気道外科の進歩により治療成績は向上がみられている。

小児手術セミナー
  • 深美 悟
    2017 年 38 巻 3 号 p. 302-307
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    小児に対する中耳手術は,術式的には成人と何ら代わりはない。しかし,成長途中の小児であるために,疾患や年齢に即した手術手技や,手術時期,術後処置にも配慮する必要がある。著者が施行している小児における中耳手術について述べる。真珠腫性中耳炎では,極力外耳道後壁を温存し,同部位が破壊されていれば大きな軟骨板で再建すること,乳突洞内への進展例では蜂巣内への遺残率が高く段階的鼓室形成術を選択する。鼓膜穿孔では,より低侵襲の手術が望ましいが,確実に鼓膜閉鎖を行うことが重要で,穿孔部位や残存鼓膜の状態で術式を決定している。耳小骨先天異常では,術前のCTや聴力検査でアブミ固着か否かの判断が重要で,固着の際は中学生以降の手術を検討している。いずれにせよ,将来生活に支障を来さない良い耳を作ることを第一に考えながら,小児中耳手術を行っていく心構えが肝要である。

モーニングセミナー
  • 中島 逸男
    2017 年 38 巻 3 号 p. 308-310
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    小児における閉塞性睡眠時無呼吸症(obstructive sleep apnea:以下OSA)は稀な疾患ではない。しかしながら成人とは異なり,小児ではその身体的特徴や成長発達において同じ疾患,症候名であっても同様に考えて診療できないとされている。

    とくに成長発達と睡眠は相互に影響することから,安易に経過観察を指示することなく,耳鼻咽喉科医による積極的な小児OSAの診断・治療介入が期待されている。

  • 杉山 剛
    2017 年 38 巻 3 号 p. 311-315
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    小児の閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)における基本的な治療戦略は,診断,治療,術後評価であると考える。いびき(鼾)の存在は,OSAのスクリーニング上,最も重要な所見であるが,口呼吸や睡眠動画の確認も有用な情報となる。多因子的上気道狭窄疾患ともいえる小児OSAにおいては,閉塞部位を明らかにすることが治療戦略上重要となるが,ポリソムのグラフィ(PSG)では,閉塞部位を同定することは出来ない。小児OSAの原因として最も頻度が高いのは,アデノイド増殖口蓋扁桃肥大であり,治療の第一選択はアデノイド切除口蓋扁桃摘出術(AT)である。しかし,ATによりOSAが根治しない症例も存在する。これらの症例に対してはステロイド点鼻薬やロイコトリエン受容体拮抗薬をはじめとする保存的治療や上顎拡大術や口腔筋機能療法をはじめとする小児歯科的治療を考慮する必要がある。これら補完的治療の適応を理解し,テーラーメード治療を行うことが小児OSA治療のゴールであるといえる。

  • 澤田 正一
    2017 年 38 巻 3 号 p. 316-320
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    当院におけるreal-time PCRを用いた取り組みを紹介し,小児急性中耳炎の起因微生物の複雑さを明らかにした。肺炎球菌ワクチン導入後,小児急性中耳炎では肺炎球菌が減少し,インフルエンザ菌が増加している。肺炎球菌の感受性ではワクチンタイプが減少したことにより,耐性肺炎球菌が減少し,インフルエンザ菌では耐性化は進む傾向にあった。耐性インフルエンザ菌の増加している状況は,ペニシリン系抗菌薬がどこまで有効か難しいところではあるが,他の抗菌薬に比べ中耳移行の良いペニシリン系抗菌薬は,今後も上手に使っていく必要がある。そのためには,原因菌やその薬剤感受性をしっかり調べることが重要である。

    さらに小児急性中耳炎で問題となる反復性中耳炎に対する,十全大補湯と鼓膜換気チューブ留置術について検討した。両者とも有効性の高い治療であるが,十分適応を考えて保護者の十分な同意を得て行う必要がある。

スイーツセミナー
  • 西田 光宏
    2017 年 38 巻 3 号 p. 321-325
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    呼気中一酸化窒素(以下,呼気NO)は,気道上皮細胞において,IL-4やIL-13刺激により誘導される一酸化窒素産生酵素(iNOS)により産生され,好酸球性炎症,特にアレルギーを基礎とする気道炎症との関連が深い。ATSが発表した呼気NO解釈ガイドラインによると,適正治療にも関わらず呼気NO値が低下しない症例は,持続性ないし反復性の吸入抗原暴露の可能性があり,環境中の抗原量を検討する必要がある。小児喘息は,高率にアレルギー性鼻炎を合併し,「one airway, one disease」と表現されるように,鼻炎と喘息は密接に関連する。アレルギー性鼻炎を合併する喘息は,非合併例よりも重症度が高くて,コントロールが悪い。コントロール不良の重症鼻炎合併喘息児に対しては,家庭環境整備指導に加え免疫疫療法も選択肢の一つであり,免疫療法の効果判定指標の一つとして,呼気NO値は有用である。

ランチョンセミナー
  • 足立 雄一
    2017 年 38 巻 3 号 p. 326-329
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    乳幼児は,その解剖学的ならびに生理学的特性から喘鳴を来たしやすい。呼吸時に聴取される狭窄音である喘鳴は吸気性喘鳴(stridor)と呼気性喘鳴(wheeze)に分類され,一般的には上気道から気管の狭窄ではstridorが,それより末梢側の狭窄ではwheezeが聴取されるとされている。その鑑別にあたっては,乳幼児では呼吸機能などの客観的な指標が得られにくいため,まず詳細な問診ならびに聴診によって疾患を絞り込んだ上で必要な検査を行う。治療に関しては,それぞれの疾患や病態に応じた治療を行うが,喘息を鑑別するにはβ2刺激薬を吸入後に再度聴診所見や努力呼吸の程度を評価したり,吸入ステロイド薬などの長期管理薬を一定期間使用してその効果を評価する。今後は,乳幼児喘鳴のフェノタイプやエンドタイプに基づく治療法の確立が望まれる。

  • 伊藤 真人
    2017 年 38 巻 3 号 p. 330-335
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    小児特有の注意点に配慮しながら,特に「滲出性中耳炎と難治性の急性中耳炎」について,それらの合併症・後遺症を含めた診断と治療について述べる。

    小児滲出性中耳炎では,並存する鼻副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎,繰り返す急性中耳炎などの感染・炎症に対する積極的な保存的治療を行うべきである。外科的治療の適応については,特に言語発達遅滞や構音障害がみられる場合や,難聴によって起きる様々なQOLの低下がすでに存在する場合には,より積極的な対応が望まれる。

    急性中耳炎の治療のポイントは,①抗菌薬の適正使用と,②難治例(反復例・遷延例)への対応,さらに③重症化や合併症を早期に診断し,適切な治療と行なうことである。近年わが国では,急性乳様突起炎は保存的治療で治癒する疾患であるとの意見もみられるが,側頭骨内・頭蓋内などの重篤な合併症の危険も高く,外科治療(膿瘍切開排膿術や乳様突起削開術)の適応を見誤ってはならない。

原著
  • 藤井 可絵, 守本 倫子, 小森 学, 吉浜 圭祐
    2017 年 38 巻 3 号 p. 336-343
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    当院にて手術加療を行った先天性後鼻孔閉鎖症19例について初回手術時期,ステント留置期間およびサイズ,再手術例についての検討を行った。初回手術年齢平均は両側閉鎖例で生後4か月,片側閉鎖例では5歳3か月と,両側閉鎖例で有意に低年齢での手術を受けていた。ステントの平均留置期間は,両側閉鎖例と片側閉鎖例での比較,および初回手術後開存した例と術後狭窄あるいは閉鎖した症例で比較した結果,有意差はなかったが,ステント径は両側閉鎖例では有意に小さいサイズを選択しており,初回手術年齢が低年齢であることと関連している。再手術した8例中7例は最終的に開存しており,成長と共に鼻腔が拡大することで手術方法やステント径も選択できる事が良好な結果につながると考えられ,症例に応じた手術計画を立てる必要があると考えられた。

  • 藤井 直子, 諸頭 三郎, 大西 晶子, 内藤 泰
    2017 年 38 巻 3 号 p. 344-353
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    残存聴力活用型人工内耳(EAS)植込術を実施した高音急墜型あるいは漸傾型の聴力像を呈する小児感音難聴児5例(手術時年齢:6歳から15歳)の術後成績を検討した。EAS術後,全例で低音域の聴覚閾値の温存が確認できた。術前の補聴器装用閾値は高音域で不十分であったが,術後EAS装用下の高音部閾値は45 dB以下に改善した。5例中補聴器の継続装用をしていた4例の術前裸耳,補聴器装用下の単音節聴取成績は,0%から55%と35%から55%であったのに対し,EASでは術後12カ月で70%から95%まで改善した。補聴器装用を中止していた1例においても,術前裸耳55%であったのに対し,EASでは90%に改善した。保護者に実施した音質に関する質問紙では,全ての項目で改善が見られ,達成総合点は術前の「悪い」から術後は,「中くらい」,「良い」の段階へと改善した。以上から,EASは小児例においても有用であると結論した。

  • 佐藤 梨里子, 工 穣, 出浦 美智恵, 岩崎 聡, 宇佐美 真一
    2017 年 38 巻 3 号 p. 354-360
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    口蓋裂児における滲出性中耳炎は,再発率が高く,幼少期から鼓膜換気チューブ留置術が必要となることが多い。今回我々は,73症例144耳を対象に鼓膜換気チューブ留置術を行った症例のその後の経過について検討した。73症例中2例(3%)が片側のみの手術で,71例(97%)は両耳に手術を行った。鼓膜換気チューブ留置期間は,144耳全体の総留置期間の平均が43.5カ月,挿入回数は手術1回が80%(116耳),手術2回が18%(26耳),手術3回が2%(2耳)であった。鼓膜換気チューブ脱落後の再発率は,口蓋裂型,男女差,合併症などで比較したが明らかな有意差は認められなかった。口蓋裂児の滲出性中耳炎の治療は難治性であり,乳突蜂巣の発育や口蓋裂の手術方法,副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の合併など様々な原因が挙げられる。今後さらに症例数を増やし,長期的な経過観察による検討が必要であると考えた。

症例報告
  • 冨山 道夫
    2017 年 38 巻 3 号 p. 361-366
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    中咽頭におけるアデノウイルス(Adv),A群β溶血性連鎖球菌(A群溶連菌)混合感染例の報告は散見される。今回内視鏡で上咽頭所見が確認できたAdv,A群溶連菌混合感染の2例を経験した。症例1は2歳男児。発熱を主訴に受診した。鼻咽腔内視鏡検査で咽頭扁桃に白苔を認めた。白苔よりAdv迅速診断を施行したところ陽性,細菌検査ではA群溶連菌が検出された。amoxicillin(AMPC)10日間投与にて治癒した。症例2は5歳男児。発熱,頭痛を主訴に受診した。鼻咽腔内視鏡検査で膿性後鼻漏を認め,A群溶連菌迅速診断を施行したところ陽性でAMPCを投与した。2日後発熱続くため再診した。当院の医療圏がAdv感染症の流行期にあったため,鼻咽腔ぬぐい液よりAdv迅速診断を施行したところ陽性であった。第4病日に解熱した。Adv感染症において,鼻咽腔における細菌感染との混合感染の有無を十分に検索することが重要であると思われた。

  • 吉冨 愛, 馬場 信太郎, 二藤 隆春
    2017 年 38 巻 3 号 p. 367-371
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    小児において,一側声帯麻痺による声門閉鎖不全に対して外科的治療を行うことはまれである。心疾患術後の一側声帯麻痺に対し,声帯内自家脂肪注入術を行い奏功した一例を経験した。症例は9歳,男児。3歳での心疾患術後より嗄声と食事中のむせが出現し,左声帯麻痺と診断されていたが,5年以上症状が不変であったため当科を受診した。声の聴覚心理的評価はG2R1B2A1S0,最長発声持続時間(MPT)は4秒で,左声帯の傍正中位固定と萎縮を認めたため,声帯内自家脂肪注入術を施行した。腹部より採取した脂肪を細切法にて加工し,喉頭直達鏡下に左声帯に注入した。術後の音声機能はG1R1B1A0S0,MPT 8秒に改善し,むせる頻度も著明に減少した。声帯内自家脂肪注入術は喉頭の枠組み構造に手術操作を加えず,比較的低侵襲であるため,喉頭が成長過程である小児において,一側声帯麻痺に対する安全かつ有効な手術法と考えられた。

  • 橋本 亜矢子, 峯田 周幸
    2017 年 38 巻 3 号 p. 372-375
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    ランゲルハンス細胞組織球症(Langerhans cell hystiocytosis,以下LCH)は主に小児期に見られる,異常なランゲルハンス細胞が単クローン性に増殖する疾患である。今回,難治性外耳道炎からLCHの診断に至った稀な症例を経験した。症例は4か月女児。主訴は外耳道腫瘤であった。初診時に外耳道に充満する易出血性の白色病変があり,生検する事で診断に至った。LCHは骨,皮膚,肝臓などに症状が現れ,小児科,脳神経外科,皮膚科,整形外科,耳鼻科など多くの診療科にかかり診断が遅くなる事がある。小児の難治性外耳道炎を診た際にはLCHを疑い,他病変の有無の確認,病理組織検査の提出が望まれる。その臨床像は経過観察で改善するものから,生命予後の悪いものまで様々であるため,早期に診断し,早期に小児腫瘍内科医に紹介する事も重要である。

  • 大塚 雄一郎, 根本 俊光, 岡本 美孝
    2017 年 38 巻 3 号 p. 376-381
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    単純ヘルペスウイルス(以下HSV)初感染症は症状から歯肉口内炎型(単純疱疹性歯肉口内炎)と咽頭扁桃炎型(ヘルペス性咽頭炎)の2つに分類される。前者は歯肉腫脹や口腔の粘膜疹・アフタを生じ,後者は咽喉頭に多発する有痛性の粘膜疹・アフタと高熱のため全身状態が不良となる。HSV初感染症の診断には血清抗体価が有用であるが,HSV-IgMは発症早期には陽性化しないことに注意が必要である。その点に注意して診断した5例の小児の口腔・咽喉頭のHSV感染症を報告する。1例が男児で4例が女児で年齢は2から17歳であった。4例が歯肉口内炎型,1例が咽頭扁桃型であった。後者の咽喉頭病変の把握に喉頭ファイバースコピーが有用であった。全例で38℃以上の発熱を認め,4例が咽頭痛を訴え3例は食事摂取が困難であった。2例は外来で3例は入院加療とした。5例で抗HSV薬を投与し,1例は抗菌薬も投与し後遺症なく治癒した。

  • 竹田 和世, 上羽 瑠美, 後藤 多嘉緒, 五十嵐 一紀, 二藤 隆春, 山岨 達也
    2017 年 38 巻 3 号 p. 382-387
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/31
    ジャーナル フリー

    気道異物は3歳までの小児に多いとされ,異物の部位や介在の遷延によっては呼吸障害や感染症の併発のため重症化することがあり,早期の診断と治療が必要である。我々は,8か月に渡って気道異物の診断に至らなかった一例を経験した。症例は,既往に気管支喘息がある3歳10か月のダウン症の女児である。8か月前に喘鳴症状を認めたが気道異物の診断に至らず,他院で喘息として治療を受けた。喘鳴悪化のため当院小児科に緊急入院した。耳鼻咽喉科での喉頭内視鏡検査で声門部に異物を認め,気道異物と診断し,全身麻酔下に異物摘出術を施行した。異物は星形のスパンコールで,摘出後より喘鳴は消失した。小児の気道異物,特に精神発達遅滞児においては症状の訴えが乏しく,早期の診断や迅速な対応が困難である。喘鳴が遷延する際には気道異物を鑑別疾患にあげ,CT検査や気管支鏡検査などを検討すべきである。

学会報告
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