難治性滲出性中耳炎,鼓膜アテレクターシス,癒着性中耳炎の治療にsubannular tube(SAT)留置術がある。SAT留置術を行った症例の臨床経過と有用性を検討した。
2012年12月~2015年12月までにSAT留置術を施行した11症例(13耳)を検討した。年齢は6~13歳で,男児8例,女児3例であった。疾患は鼓膜アテレクターシス7例(8耳),癒着性中耳炎4例(5耳)であった。
観察期間内で自然脱落は11耳,平均留置期間は14ヶ月であった。平均13.9 dBの気導閾値改善を認めた。術後感染が4耳で生じ,脱落後永久鼓膜穿孔は認めなかった。
SAT留置術は永久鼓膜穿孔のリスクが低く,鼓膜アテレクターシスは脱落後も経過良好であったことから有用性が高いと考えられた。一方,癒着性中耳炎は感染・再挿入・鼓室形成術に至った症例が多く,適応は慎重に考慮しなければならない。
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