小児耳鼻咽喉科
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42 巻, 1 号
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巻頭言
第15回日本小児耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会
シンポジウム1―ことばが気になる子どもに早期アプローチ
  • 岸本 真希子
    2021 年 42 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    発達障害の診断がついている子どもの中から言語発達上の課題を見つけ出しアプローチする上で,或いは発達障害に併発している言語発達障害の子どもにアプローチする上で,改めて,発達障害の中でも近年有病率の向上が指摘されている自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder;以下ASD)とは何かについて概説を行う。本稿では乳幼児期から就学前までのASD児に焦点を当て,支援につながるための理解,評価法,支援,ことばの発達を促進するためのアプローチ,早期療育の意義,現状の課題について述べる。

  • 青木 俊仁
    2021 年 42 巻 1 号 p. 7-10
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    3歳児健診で構音に誤りのある3歳6か月児にカ行とガ行に構音の誤りが認められても,近年,カ行とガ行の構音の獲得が遅れていることから,すぐに専門機関の受診勧奨は行わず,保健師による経過観察を行い,その後言語聴覚士の再評価を行う。3歳児健診での構音の誤りのうち,置換や構音操作の未熟のよる歪みが認められても自然治癒する可能性が高いことから,保健師による経過観察を行う。3歳児健診での構音の誤りのうち,側音化構音などの異常構音による歪みは自然治癒しにくいため,早期に言語聴覚士などによる言語訓練を開始する。3歳児健診で構音の省略が認められた場合は,言語発達も遅れている可能性があるため,言語発達の評価を行い,早期に言語聴覚士などによる言語訓練を開始する。

  • 富里 周太
    2021 年 42 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    吃音は発話の流暢性が障害される疾患である。2–4歳で発吃し,大部分は自然治癒するが,継続した場合は社交不安障害のリスクとなる。吃音の症状には波があり,また場面によって症状の生じやすさが変化するため,診察室で症状が生じないこともしばしば経験する。近年Lidcombe programやRESTART-DCMといった幼児期の吃音に対するエビデンスレベルの高い介入が行われるようになってきているが,すべての吃音がある児にこれらの介入をするのは現実的ではない。しかしながらDemands and Capacities Model(DCM)に基づいた対応を提案したい。また,発吃後1年経過,吃音が増悪傾向にある,4歳を過ぎる,発達障害の併存を疑う場合は,専門機関への紹介を検討すべきであろう。

  • 田中 裕美子
    2021 年 42 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    原因が見当たらないのにことばの遅れを呈する2歳児をレイトトーカー(LT:Late Talker)と呼ぶが,英語圏ではその約15%が4・5歳で特異的言語発達障害(SLI: Specific Language Impairment)に至るという。SLI児は文レベルで話していても深刻な言語の問題を呈し,就学後学習の躓きにつながり,それが長期に続くことが報告されている。つまり,早期のことばの遅れは言語発達障害に至る大きなリスク要因であり,子どもの言語の問題はことばを話すかどうかでは捉えられない。そこで,言語の問題をコミュニケーションではなく,学習言語の視点から捉えた評価や指導法を提言し,評価法の一つとして,教えた効果から言語習得力を捉えるダイナミックアセスメントを,LTの経過観察の中で文法や言語習得力を育む親の言葉かけや関わり指導法の一つとして日本版Toy talk(トイトーク)を紹介する。

シンポジウム2―薬剤耐性(AMR)対策を考慮した小児耳鼻咽喉科感染症への対応:理論と応用
  • 林 達哉
    2021 年 42 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    正しいAMR対策は,適切な抗菌薬を,必要な場合に限り,適切な量と期間使用するこに尽きる。アモキシシリン(AMPC)は多くの小児耳鼻咽喉科感染症の第一選択経口抗菌薬となる薬剤である。しかし,AMPCしか使用しないのが正しいAMR対策であると言うのは,論点を単純化し過ぎた誤解である。AMPCで改善しない場合には,原因菌を考慮し第3世代セフェム系抗菌薬やフルオロキノロンが正しい選択となる場合もある。このことは小児急性中耳炎ガイドラインの基本的考えであり,抗微生物薬適正使用の手引き第二版にも間接的ながら記載がある。

    抗菌薬治療は耐性菌を通して将来の患者の治療にも悪影響を与える。抗菌薬特有のこのような性質を十分理解の上で,疾患のマネジメントを目指すことがAMR対策を考慮した感染症診療の最も重要な基本である。

  • 澤田 正一
    2021 年 42 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    小児における耳鼻咽喉科領域の感染症は,呼吸器感染症が主体であるが,小児の抗菌薬使用の必要性が多い領域であり,薬剤耐性(AMR)対策に重要な領域である。今回筆者は,小児呼吸器感染症,とりわけ急性中耳炎における病原微生物と,その感染症における役割を明らかにするとともに,抗菌薬の適正使用について考察した。急性中耳炎では,90%以上に細菌が検出されるが,multiplex PCRの進歩により,ウイルスや細菌が2種類,3種類以上検出されるものも多い。病原微生物が多種になると,炎症が高度になってCRPも高値になるものが多くなっていた。このように中耳炎は炎症が複雑化することが多いため,短期に狭域抗菌薬を投与して改善しないからと安易にステップアップするのではなく,しっかりどの病原微生物が関与しているかをみること,また全身状態や血液検査などから,強力な抗菌薬が必要で無い場合は,狭域でしばらくみるなどの工夫が必要である。

  • 宮入 烈
    2021 年 42 巻 1 号 p. 32-36
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    感染症において原因菌の薬剤耐性化は死亡率の上昇に寄与する深刻な問題である。小児における抗菌薬処方の多くは軽症の気道感染症に対する広域抗菌薬であり,不適切な使用が薬剤耐性菌の問題を助長している。処方医は小児科医と耳鼻科医が同等に多く我々の姿勢が問われている。対策の一環として,乳幼児を対象とした「抗微生物薬適正使用の手引き(第2版)」が2019年に発行された。手引きは気道感染症,中耳炎,急性下痢症について抗菌薬の必要性の有無に関する基準を設け,初期治療における第一選択薬を提示したものであり,学会のガイドラインと原則は同一である。適正使用を推進する上では,小児耳鼻咽喉科感染症の病原体疫学を考慮して抗菌薬の不使用やアモキシシリンを軸とした診療が必要となる。そのうえで患者ごとに,耐性菌感染症を考慮した第二選択薬を検討する必要があり,診療の現場においては見極めの力やフォローアップが求められる。

  • 石和田 稔彦
    2021 年 42 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    小児呼吸器感染症に対する抗菌薬投与のタイミングは,感染のフェーズから考えることが重要であり,ウイルス感染に続発する細菌感染合併時ということになる。症状や臨床経過,微生物検査,血液検査等から,抗菌薬投与の要否と使用薬剤の選択を行う。抗菌薬投与の必要性は,年齢によっても異なる。同じ呼吸器感染症であっても,2歳以下の乳幼児は,細菌感染の合併で哺乳力低下や水分摂取の低下を来たしやすく,肺炎に進展しやすく,また中耳炎も合併しやすいため,全身状態,胸部所見,鼓膜所見を注意深く観察し,抗菌薬投与のタイミングを逃さないよう留意する。一方,抗菌薬適正使用のためには,患者教育や医療者自身の教育も重要であり,小児科・耳鼻咽喉科医師,薬剤師,患者家族を含めた地域での連携した対応が求められる。

シンポジウム3―小児の睡眠時呼吸障害の問題点と対応
  • 小保内 俊雅
    2021 年 42 巻 1 号 p. 43-46
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    乳幼児期は自律神経調節の発達期であり,発達段階に則して考える必要がある。1歳未満では乳幼児突然死症候群(SIDS)が重要な課題である。SIDSは,生後2~4月が好発時期のため,1歳未満に焦点を絞って睡眠時呼吸調節の発達とその異常に関して概観する。

    中枢神経の発達は受精卵形成からの時間経過に依存しており,何らかの異常がない限り個体差は生じない。神経病理学的検討では生後2か月頃には,延髄背側神経核群は成人のレベルまで発達する。

    生後6か月までの乳幼児の睡眠時呼吸様式は,動睡眠期の呼吸様式は複雑になり,無呼吸や多呼吸が出現する。静睡眠期には呼吸数は減少しリズムも安定し,無呼吸の出現はほとんど見られない。生後6か月までは生理的に中枢性無呼吸が認めるが,閉塞性無呼吸は認めない。

    より未熟な新生児期から生後1か月ではなく,自律神経調節へと移行する時期に,無呼吸が契機となり突然死が惹起されている。

  • 杉山 剛
    2021 年 42 巻 1 号 p. 47-50
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    小児の睡眠呼吸障害(SDB)における診断・検査の問題点について,上気道狭窄の原因診断と重症度評価の観点から考察した。上気道狭窄の原因はアデノイド・口蓋扁桃肥大であることが多いが,小児のSDBにはアレルギー性鼻炎(AR)の合併も多く,特に学童期以降ではARもSDBの原因となりうる。小児SDBの重症度診断におけるゴールドスタンダードはPSGであるが,小児SDBの病態を「単純性鼾症(PS)or SDB」と2択で考えるのではなく,上気道狭窄の重症度により,正常からPS,上気道抵抗症候群,SDBまでを連続したスペクトラムとして考えると,重度の上気道狭窄症例に認められる間欠的低酸素血症の診断が重要であり,終夜酸素飽和度測定によるMcGill oximetry scoreが有用である。無呼吸低呼吸指数は必ずしも再現性が高いとは言えず,第一夜効果や季節による変化なども考慮して評価することが必要である。

シンポジウム4―軽度~中等度難聴児への対応と課題
  • 野田 哲平
    2021 年 42 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    高度・重度難聴を早期に発見し適切な補聴を行うことの重要性が広く認識されるようになった一方で,健聴と難聴の境目にある軽・中等度難聴に対しては,種々の問題が残っているように感じている。聴覚障害自体が他者から分かりづらい障害であるが,程度が軽・中等度であると気付かれにくいために診断が遅れがちである。また多くの軽・中等度難聴児にとって補聴器が有用な選択肢であるが,難聴児自身や周囲の理解不足によって適切な補聴が受けられないこともある。難聴児はそれぞれの不便さを抱えており,聴覚そのものやコミュニケーション能力,それらをベースとして育まれる有形無形の素養の欠如によって学業や就業などの社会参加が困難になり得る。漏らさず早期発見する検査体制のより一層の充実と,社会全体で難聴児を支える仕組みの構築が望まれる。

  • 片岡 祐子
    2021 年 42 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    小児難聴の中で身体障害者に該当しない軽度・中等度難聴児は約30%を占める。2010年から導入された軽度・中等度難聴児への補聴器購入助成制度は現在すべての都道府県で実施され,その恩恵により補聴器を購入する児は増加している。ただし補聴器を装用しても正常聴力児と同等の聴取が可能なわけではなく,インクルーシブ教育を受ける中で問題に直面する児は多い。その問題は言語発達遅滞や学力の低下,友人とのコミュニケーション,心理面など多岐にわたり,年齢が上がるにつれて顕著化,複雑化する。それらの課題に対して,聴取の環境調整や視覚情報の提示,教育面,心理・社会面も踏まえて個別に介入や支援を行うこと,教育者や周囲の理解を啓蒙することが必要である。難聴児が成長し社会参加をするに当たり必要なセルフアドボカシースキルを確立できるような指導や支援を行うべきある。

  • 島田 亜紀
    2021 年 42 巻 1 号 p. 61-65
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    一側性難聴児は対側が正常聴力であれば,乳幼児期の言語獲得や日常生活において支障はないと考えられてきた。しかし,両耳聴ができないために,騒音下での聞き取りが困難,難聴側からの聞き取りが困難,音源定位が困難である。特に学童期になると,集団学習の場である学校の教室は暗騒音や他の児の声などの騒音があることから,一側性難聴児にとって教室は教師の声が聞き取りにくい環境であると考えられる。これまで本邦では,一側性難聴児の座席配置を教室の前方で聞こえる方の耳を教師に向ける席が望ましいと指導する程度で,それで十分な聞き取りができるかの検討は行われてこなかった。我々は,一側性難聴児の騒音下での語音聴取能を評価し,学校での聴覚補償として,一側性難聴児の補聴援助システムの使用とその購入費助成制度について報告した。

臨床セミナー
  • 湯田 厚司
    2021 年 42 巻 1 号 p. 66-71
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    小児スギ花粉症は急増し,最近の疫学調査では0歳代児の約1/3が新規にスギ花粉症を発症している。小児にも抗ヒスタミン薬を中心に治療が行われるが,年齢による用法用量に注意が必要で,特に6歳と7歳で用量が2倍違う抗ヒスタミン薬が多い。また,錠剤は7歳からのみ適用である。その他,12歳と15歳時点での用法用量の違いも注意して治療する。この15年で小児適用薬が増えたものの,アレルギー性鼻炎の薬物治療法に大きな変革はないが,2018年にダニとスギ花粉の舌下免疫療法が低年齢児にも保険適用となった。我々は1800例以上の数多い舌下免疫療法の経験があり,約半数を小児が占める。これらの解析から,小児と成人で効果や副反応に差はないので,積極的な小児治療も勧めたい。多重感作例も多いが,重複感作で効果に差がない。また,スギ花粉とダニの併用舌下免疫療法が安全に行える報告をしており,両アレルゲンでの治療も勧めたい。

原著
  • 伊勢 一哉
    2021 年 42 巻 1 号 p. 72-77
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    気管切開は,嚥下障害がある場合に誤嚥症状悪化の原因になる。今回我々は気管切開管理中の重症心身障害児に対し,スピーチバルブ(以下SV)を用いて誤嚥防止を試み,SV装着前後の嚥下機能について比較検討を行った。対象は,気管切開を有し誤嚥性肺炎を繰り返した重症心身障害児。SV装着前後において嚥下内視鏡検査を施行し,喉頭クリアランス,嚥下時の喉頭挙上の有無,誤嚥の有無について観察した。また,改訂水飲みテストの結果と,誤嚥性肺炎の発生について検討した。SV装着前の喉頭クリアランスの結果は全例不良で,誤嚥性肺炎の発生を認めていた。SV装着後の喉頭クリアランスと改訂水飲みテストの結果は良好で,誤嚥性肺炎の発生はなかった。SVの装着により,誤嚥性肺炎が回避されたと考えられた。

  • 田中 加緒里, 羽藤 直人
    2021 年 42 巻 1 号 p. 78-86
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    経口摂取経験のないまま長期経口挿管管理をうけたことによる嚥下発達の遅れが見られた先天性心疾患術後症例の摂食嚥下機能について検討を行った。その結果,その嚥下機能低下の病態は,長期安静および低栄養に伴う全身,および嚥下関連筋の筋力低下が主体であったが,嚥下中枢機能は保たれ,咽頭期嚥下出力は良好であり,口腔咽頭の嚥下発達段階に合わせた食形態指示やリハビリ介入等により嚥下の予後は良好であった。

    また,乳幼児のVFSSにおける舌骨下垂所見は,咽頭収縮力低下,食道入口部開大不良および喉頭侵入リスク等と関連がある可能性があり,口腔期および咽頭期嚥下機能評価や,治療効果判定の指標として有用であることが示唆された。舌骨下垂症例では窒息・誤嚥リスクが高いため,その原因や病態を理解した上で身体・口腔・咽喉頭の発達に合わせた食形態指導,頸部やや前屈位等の姿勢調整,舌および舌骨上筋群の筋力増強を目指した刺激やおもちゃなめ等の積極的な介入が有用である。

症例報告
  • 森本 千裕, 西久保 敏也, 西村 忠己, 大西 智子, 武山 雅博, 内田 優美子, 大塚 進太郎, 山中 敏彰, 北原 糺
    2021 年 42 巻 1 号 p. 87-91
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    自動ABRを用いた簡易聴力検査で遅発性難聴を早期診断し,治療の結果難聴が改善した無症候性サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus; CMV)感染症の1例を経験した。症例は現在2歳の男児。出生時の尿を用いたCMV-DNA定性検査が高値であったが,自動ABRは両側Passで他の合併症状も認めないことから,無症候性先天性CMV感染症と診断された。定期的に自動ABRを用いた児の聴力フォローを行っていたところ,生後3か月に片側Referを呈し,日齢119のABRでは右が50 dBHL,左が70 dBnHLとなった。そのため日齢123からバルガンシクロビル塩酸塩(VGCV)16 mg/kg/回の投与を開始したところ,開始24日後のABRで右30 dBnHL,左40 dBnHLと速やかな改善を認め,現在も聴力は正常である。早期診断と早期治療が,先天性CMVによる遅発性難聴の改善に有用であった。

  • 杉山 庸一郎, 布施 慎也, 椋代 茂之, 平野 滋
    2021 年 42 巻 1 号 p. 92-95
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    小児の進行性呼吸困難では診断だけでなく気道管理が重要である。声門下嚢胞による呼吸困難に対し,緊急気管切開術による気道確保を行った症例を報告する。1歳3か月女児。喘鳴を伴う呼吸困難を主訴に当院入院となった。喉頭内視鏡検査では声門下狭窄は指摘できず,頸胸部CTにて声門下に腫瘤性病変が指摘された。呼吸状態悪化が持続したため,耳鼻咽喉科,麻酔科,小児科連携のもと,気管切開術および喉頭直達鏡検査を行い,声門下嚢胞と診断した。後日,全身麻酔下嚢胞開窓術を行い,術後9か月の時点で再発なく経過観察中である。

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