【はじめに】機能性難聴は,純音聴力閾値と他の聴覚検査結果や通常の音声弁別との間に不一致が生じる難聴である。今回は,機能性難聴と考えられる病態を示した6名の片頭痛または前庭性片頭痛の子供達の経過を報告する。
【経過】2019年3月から2020年7月までに子供達は受診した。初診時の4点平均聴力レベルは32.5 dBから62.5 dBだったが日常会話・各種検査結果はほぼ正常であり,彼らは機能性難聴と診断された。問診では片頭痛関連の訴えが聴取され,赤外線CCDカメラによる観察では片頭痛や前庭性片頭痛患者に認められる眼球・眼瞼の異常運動所見が得られた。彼らの片頭痛治療は漢方薬で行われ,聴力以外の症状や所見の改善には4ヶ月から12ヶ月の時間を要したが,聴力はほぼ3ヶ月以内に全員25 dB以下となった。
【結論】片頭痛・前庭性片頭痛の治療により難聴が改善したことから,これらの病態と機能性難聴とは関連があると考えられた。
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