下咽頭梨状陥凹瘻に対して,経口腔的に瘻管を摘出する内視鏡下瘻管摘出術が近年報告されるようになった.当科でも2例の経験を得たので報告する.
(症例1)13歳男児.前医で2年前に左前頸部膿瘍にて切開排膿を受けた.受診の1ヶ月前に膿瘍が再発したため当科を紹介された.術前に下咽頭造影および咽喉頭内視鏡検査により瘻孔を同定することができた.手術2週間前にも膿瘍の再発を認めたが抗菌薬治療で消炎後に同手術を施行した.
(症例2)6歳男児.4歳時に左咽頭後壁から甲状腺左葉にかけての膿瘍形成があり切開排膿を受けた.下咽頭造影や咽喉頭内視鏡検査では瘻孔は同定されなかったが,経過から梨状陥凹瘻が強く疑われ同手術を施行した.
いずれの症例においても,術中に下咽頭を十分に展開し内視鏡で観察することにより容易に瘻孔の同定・切除が可能であった.
2症例とも術後経過は良好で,合併症や膿瘍再発は認めていない.
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