小児耳鼻咽喉科
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46 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
第19回 日本小児耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会
共通講習(感染)
  • 神谷 元
    原稿種別: 共通講習(感染)
    2025 年46 巻1 号 p. 1-4
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/28
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    2019年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,世界的なパンデミックとなり,医療・社会・経済に多大な影響を及ぼした.当初は,行動制限やマスク着用といった非薬物的介入のみで対応せざるを得なかったが,その後,ワクチンや治療薬の導入により,生活は徐々に回復した.しかし,新たなパンデミックがいつ発生してもおかしくない現状が示された.日本では,厚生労働省がクラスター対策班を設置し,実地疫学の手法を活用して感染拡大を抑制した.実地疫学は,現場での調査を通じて迅速に対応し,データを解析することで公衆衛生上の危機に対処する重要な手段である.特に,情報の正確な収集,共有,評価の重要性が再認識された.COVID-19の教訓を活かし,平時からのサーベイランスの強化が,次なる感染症危機への備えとなる.

シンポジウム1『どう診る?子どもの咳・喘鳴』
  • 出口 峻大
    原稿種別: シンポジウム1『どう診る?子どもの咳・喘鳴』
    2025 年46 巻1 号 p. 5-9
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/28
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    小児の咳嗽の原因疾患は多岐にわたる.主な原因疾患はウイルス性気道感染をはじめとした急性咳嗽で,多くは自然軽快する.小児において遷延性・慢性咳嗽の頻度は少ないものの,治療に抵抗を示す症例のなかには,線毛機能不全症候群(primary ciliary dyskinesia: PCD)をはじめとした基礎疾患を有する場合がある.PCDは線毛に関連する遺伝子のバリアントにより生じる遺伝性疾患である.線毛の機能不全により,慢性上下気道感染症をはじめとした多彩な臨床症状を呈する.PCDに対する根本的治療は確立されていないが,早期診断は生命予後に影響する気管支拡張症の進行抑制につながり意義がある.また,慢性咳嗽をはじめとしたPCDに類似した臨床症状を呈し,PCDとの鑑別を要する疾患も多数存在する.長引く咳嗽を呈する小児の診療にあたっては,幅広く鑑別診断を考え,小児科と連携して原因疾患を明らかにし,原因に対する治療を行うことが重要である.

  • 宮本 学
    原稿種別: シンポジウム1『どう診る?子どもの咳・喘鳴』
    2025 年46 巻1 号 p. 10-14
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/28
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    喘鳴は小児期,特に乳幼児期においてよくみられる症状である.急性喘鳴を呈する場合は気道感染症などの鑑別が必要であり,反復性喘鳴を呈する場合は気管支喘息を含めた鑑別が必要である.反復性喘鳴の鑑別には,気道狭窄や胃食道逆流症,閉塞性細気管支炎,線毛機能不全症候群が挙げられ,治療への反応が不良の場合には,喘息以外の疾患も疑うことが必要である.乳幼児期の喘息は,客観的な検査方法に乏しく診断自体が困難な場合もあり,診断的治療を行い診断することがある.また,喘息発症予測モデルに挙げられる項目に合致するかを確認することで,今後の喘息発症のリスクを判断する.喘息の診断後は,IgE関連喘息と非IgE関連喘息に分類する.非IgE関連喘息の場合であっても,その後の経過においてIgE関連喘息へ変化することもあるので,長期的なフォローアップを要する.

小児科耳鼻咽喉科合同感染症セミナー
  • 磯部 裕介, 河野 正充, 土橋 奈々, 日馬 由貴
    原稿種別: 小児科耳鼻咽喉科合同感染症セミナー
    2025 年46 巻1 号 p. 15-19
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/28
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    小児急性副鼻腔炎とは何か?実臨床において膿性鼻汁や後鼻漏をどのように捉えるか?急性副鼻腔炎は実際の現場でどのように診断,治療がされているか?そのような疑問を現場で一度は感じたことがあるのではないだろうか.第19回日本小児耳鼻咽喉科学会総会・学術集会内で開催された第二回小児科耳鼻咽喉科合同感染症セミナー内では小児副鼻腔炎診療の“リアル”と題し,前半に各診療科からの疑問とその回答について,後半は演者全員が参加したパネルディスカッションが行われた.本原稿はその前半部分をまとめたものである.副鼻腔という空間の病態を前(前鼻孔)から挑む小児科医と,さらに後ろ(後鼻孔)からも評価し挑む耳鼻咽喉科医の,両者からの目線を理解したとき,当初の疑問の答えにつながるだろう.

ランチョンセミナー2
  • 久徳 重和
    原稿種別: ランチョンセミナー2
    2025 年46 巻1 号 p. 20-24
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/28
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    現在では気管支喘息(以下喘息)は小児・成人ともに「気道の慢性炎症を特徴とする疾患」とされ,吸入ステロイド(ICS)などの長期管理薬による治療が推奨されている.しかしながら過去の幾多の報告からは,喘息は複数の発作誘発要因が複雑に絡み合った多因子性疾患であり,その多因子性への適切な対応がなされれば症状の著明な改善も得られることが示されている.そして複数の発作誘発要因の中でも心理的要因(以下心因)は喘息全体の病像を最も高い位置から支配しており,心理面での変動が喘息症状の悪化・改善に大きな影響を与え,時にはステロイド剤をも凌ぐ治療効果を発揮する事実も報告されている.筆者らはこれら複数の発作誘発要因を個々の患者において定量的に分析し,全ての発作誘発要因に対して其々の根本療法を総合的に実施する「総合根本療法」を実践し良好な成績を得ている.今回はこの総合根本療法の概略と小児喘息に対する治療成績などについて報告する.

ランチョンセミナー3
  • 森 恵莉
    原稿種別: ランチョンセミナー3
    2025 年46 巻1 号 p. 25-29
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/28
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    耳鼻咽喉科医ですら,嗅覚障害患児を診察する機会は少ない.しかし,それは患者数が少ないためなのか,受診機会が少ないためなのかは不明である.自覚していても訴えない,保護者が気づかない,あるいは深刻に捉えられずに放置されていたりする可能性もある.加えて医療機関においても,嗅覚の評価方法や診断・治療法は主に成人を対象として確立されているため,小児に特化した診療体制が整備されていない現状がある.さらに健診では嗅覚に関する問診項目が設けられておらず,小児の嗅覚機能や嗅覚障害の実態が十分に把握されていない.この為,嗅覚障害を抱えたまま適切な診断や治療の機会を得られない小児が少なくないと考えられる.

    本総説では,小児の嗅覚障害の実態と,耳鼻咽喉科領域で身近な疾患とを紹介する.また,頻度は多くないものの,見逃されやすい嗅裂狭窄についても紹介し,小児の嗅覚障害が「隠れた問題」として存在しうることを指摘する.

症例報告
  • 今井 直子, 安達 のどか, 浅沼 聡
    原稿種別: 症例報告
    2025 年46 巻1 号 p. 30-36
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/28
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    リンパ上皮性唾液腺炎は主に成人にみられ,小児では非常に稀な慢性の耳下腺腫脹をきたす疾患である.今回我々は原因不明の膿瘍形成,耳下腺腫脹の反復を繰り返し,抗菌薬の単独投与が無効であったが,副腎皮質ステロイド投与が効果的であったことから好酸球性耳下腺炎を疑ったものの,組織学的検査の結果,リンパ上皮性唾液腺炎と診断された9歳男児を経験した.当科初診時には右側耳下腺の腫脹を認めたが,ステノン管からの細胞診では好酸球は陰性であり,確定診断のため耳下腺生検を施行したところ,リンパ上皮性唾液腺炎の診断となった.リンパ上皮性唾液腺炎は良性疾患と考えられているが,悪性転化を起こすという報告もあり,非典型的な耳下腺腫脹や耳下腺炎においてはためらわずに組織診断を行うことが望ましいと考えられた.

  • 栃木 康佑, 服部 沙彩, 森 文, 田中 康広
    原稿種別: 症例報告
    2025 年46 巻1 号 p. 37-41
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/28
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    外耳道異物は受診後速やかに摘出され治療が終了することが多く,長期間放置されることは稀である.今回,受傷から3年経過し耳痛と耳漏が出現したことにより発見され治療した稀な外耳道異物症例を経験した.

    症例は4歳女児.右耳痛と耳漏を主訴に外来を受診し右外耳道に黒色の異物が認められた.3年前に箸が右外耳道に刺入し救急外来を受診したが異物は確認されなかったとのことであった.全身麻酔下に手術を行い,異物直上の皮膚に切開を加え周囲組織と剥離したのちに異物を摘出した.鼓膜穿孔は認めず抗菌薬軟膏付きガーゼを1枚挿入し手術終了とした.術後13日目にガーゼを抜去し術後2ヶ月目には創部の良好な上皮化を認めた.

    外耳道異物症例を診察する際には異物の破損や体内への遺残について確認することが重要である.さらに,異物を摘出する際には処置によって生じる合併症を予測し説明したうえで処置を開始する必要がある.

  • 金丸 綾佳, 井上 真規, 髙田 顕太郎, 小河原 昇
    原稿種別: 症例報告
    2025 年46 巻1 号 p. 42-47
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/28
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    サラセミアはグロビン鎖の遺伝的な生合成不均衡によりヘモグロビン合成障害を生じる疾患である.重症型は非常にまれで,長期溶血により造血が亢進し骨髄過形成をきたすことがある.症例は13歳男児.4歳時にβサラセミアと診断され経過観察となっていたが,両側頬部腫脹が出現し当科紹介となった.両側鼻腔狭窄がみられたが呼吸障害はなかった.両側滲出性中耳炎を認め,伝音難聴を呈した.CT所見では上顎骨と両側耳管周囲から乳突蜂巣に著明な骨髄過形成がみられたが,明らかな耳小骨の変形は認めなかった.両側鼓膜換気チューブ留置術施行後,気導閾値の改善を認めたが,低音域の伝音難聴が残存した.サラセミアの根治治療は骨髄移植であり,本症例も16歳時に骨髄移植が行われた.骨髄移植後も顔面骨骨髄過形成の増大による呼吸障害や難聴進行の可能性があり,長期的な経過観察が必要である.

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