室内環境
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20 巻, 1 号
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原著論文
  • 青柳 玲児, 池田 四郎, 海福 雄一郎, 松延 邦明, 関根 嘉香
    2017 年 20 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    標準ガスは,純度,濃度が予め決定されたガスであり,発生法は高圧ガス容器を利用する静的発生法および拡散管やパーミエーションチューブを用いる動的発生法に分類される。アセトアルデヒドの標準ガスは市販のパーミエーションチューブにより発生可能であるが,発生開始から1ヶ月で浸透速度が変化し,長期的な安定発生に課題が残っている。そこで,アセトアルデヒドを対象に長期的な安定発生を意図した新規のパーミエーションチューブを作製した。これを10℃,20℃,30℃に保持し流量200 mL min-1で窒素及び空気の異なる希釈ガスの条件下で連続的に発生させ,DNPH誘導体化-HPLC法で測定したアセトアルデヒドの濃度から求めた浸透速度とチューブの質量減少速度を比較した。その結果,質量減少速度は窒素中において10℃ 2320 ± 2.98 ng min-1 (k=2),20℃ 6719 ± 0.87 ng min-1 (k=2)を示した。10℃, 20℃では質量減少速度が3ヵ月間,不確かさの範囲内で一定となり,30℃では速やかに質量減少速度が減少した。空気中の浸透速度は窒素中の各温度での値と不確かさの範囲で一致した。使用後のパーミエーションチューブ内からは酢酸が検出されたが,アセトアルデヒドの発生濃度に影響を及ぼさなかった。これより,チューブを20℃以下に保持することにより,従来法より長い3ヶ月間,精確にアセトアルデヒド標準ガスを供給することが可能である。
  • 野口 実華子, 渡邊 美咲, 福田 祥子, 吉田 精作
    2017 年 20 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    大阪近郊において,69軒の一般家庭のハウスダストを2011~2015年に採取し,含まれる殺虫剤6種類を分析し,これまでの調査と比較検討した。電気掃除機で収集したハウスダストは,アセトンによる超音波抽出後,有機リン剤のクロルピリホス,ダイアジノン,フェニトロチオンはFPD-GCで,有機塩素剤のS-421とパラジクロロベンゼン,ピレスロイド剤のペルメトリンはシリカゲルカラムで精製後,ECD-GCで分析した。クロルピリホスの検出頻度は24/60で,最高値(0.48 μg/g)と平均値(0.026 μg/g)からは,1995年(平均値0.72 μg/g)と2001年(平均値1.22 μg/g)の調査より濃度が1桁~2桁減少していることがわかった。2003年以前にシロアリ防除処理を行った家屋においてクロルピリホス汚染が高頻度にみられた。ダイアジノンは69例全てから検出されなかった。フェニトロチオン濃度の平均値は減少したが,検出頻度(41/69)はこれまでの調査と同じであった。ペルメトリンの検出頻度(31/36)は高く,最高値(13 μg/g),平均値(1.7 μg/g),中央値(0.36 μg/g)とも分析した薬剤の中では最も高濃度であった。S-421の検出頻度(63/69)は高いが,平均値は0.057 μg/gと1995年(平均値2.06 μg/g),2001年(平均値0.54 μg/g)調査より減少した。パラジクロロベンゼンの検出頻度(31/38)は高く,これまでの我々の調査にない高値(9.6 μg/g,7.0 μg/g)が検出された。
技術資料
  • 林 大貴, 長岡 優輝, 関根 嘉香
    2017 年 20 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    メタノールはこれまで生活環境中の空気汚染物質として,あまり注目されてこなかったが,自動車用燃料や燃料電池の水素源として新たな用途が広がりつつあり,生活環境中にメタノールガスが拡散する可能性が指摘されている。二酸化マンガンは室温でホルムアルデヒドと反応し二酸化炭素を生成することから,空気清浄材料の成分として実用に供されている。この二酸化マンガンが常温でメタノールガスをホルムアルデヒドにまで酸化できれば,ホルムアルデヒドの酸化分解と同様に常温常圧下で二酸化炭素にまで無機化できる可能性がある。そこで本研究では,物性の異なる4種類の二酸化マンガン粒子とメタノールガスの反応性を密閉式試験で調べた。その結果,室温において試験容器内の気中メタノール濃度は著しく減衰し,その減衰速度は二酸化マンガン粒子の比表面積に依存的であった。同時に気中二酸化炭素濃度の有意な増加が観測され,二酸化炭素への転化率は結晶構造に関係した。また反応容器中に中間体として極微量のホルムアルデヒドおよびギ酸種の生成を認めた。このことから,二酸化マンガンがメタノールガスに対しても常温酸化分解活性を有することが明らかとなった。
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